コルグ、アナログシンセやアンプなど新製品を中心に数多くのアイテムを発表

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コルグが2月9日に新製品内覧会を開催、フラッグシップ・アナログ・シンセサイザー「prologue」やデジタル・ピアノ「D1」をはじめ、1月に行われた世界最大の楽器ショー「NAMM Show 2018」で発表された新製品を中心に数多くのアイテムを紹介した。発表会には難波弘之やfox capture planが登場し、新機種での演奏も披露された。

アナログ・シンセサイザー、デジタル・ピアノ、チューナー/メトロノーム製品から多機能型リズムマシン、ポータブル・ステレオPAシステム、VOXブランドのアンプやARTURIAのアナログ・シンセなど幅広いジャンルの新製品が揃った今回の内覧会。ステージでのアーティストの実演を交えた製品紹介に加え、別室では多くの実機を見ることができた。まずは、シンセ、キーボード関連製品から見ていこう。なお、記事中の価格はすべて税別となっている。

■フラッグシップ・アナログ・シンセサイザー「prologue」


▲「prologue-16」は61鍵モデル。16ボイス仕様で新開発のアナログ・コンプも搭載する。

アナログ・シンセサイザー「prologue」は、キーボーディストのステージ・ユース、プロデューサーのスタジオ・ユースに応える2モデル。16ボイス+61鍵の「prologue-16」、8ボイス+49鍵の「prologue-8」をラインナップする。2VCOのアナログに加え、ノイズ、VPM/FM、自作のオシレーター・プログラムをロードできるユーザーの計3タイプの新開発マルチエンジンも搭載する。


▲こちらは8ボイス+49鍵の「prologue-8」。コントロールはつまみ中心で、ディスプレイは波形を視覚的に表示するオシロスコープなど最小限。

同時に2種類のサウンドを演奏できるバイ・ティンバーでレイヤー、スプリット、そしてメイン・ティンバーとサブ・ティンバーがなめらかに切り替わるクロスフェードに対応。アルミとウッドによるスタイリッシュなボディに、日本製のナチュラル・タッチ鍵盤を搭載。「prologue-16」のみに搭載されるのは、新開発のアナログのコンプレッサー「L.F. COMP.」。低域のブーストとコンプレッションを同時に行い、音の密度を上げる機能で、ライブに向いた機能と紹介された。


▲難波弘之が4曲を演奏。自身のバンドSense of Wonderの演奏を収録したマルチから抜いたトラックを「KRONOS」で再生、この音源をバックに演奏。ソロ・ピアノならぬ「ソロ・シンセという感じで」prologue-16を演奏する場面も。

演奏を披露したのは、40年以上KORGシンセを使っているという難波弘之。「どんなシンセかなと一言でみなさんにお伝えしにくい感じなんですけど、印象としてはPolysixとMS20にFMシンセが加わって、思いっきりハイパーになった感じ」と説明。「クロスモジュレーションができるので、Prophetみたいな音も出せます。」「いろんなことができますので、非常におもしろいシンセ」と説明。ツマミによるリアルタイム・コントロールを駆使し、暖かみのあるパッドから幻想的なソロ、アグレッシブなリードまで多彩なサウンドを聴かせた。

「prologue」はいずれもオープンプライスで2月24日発売(市場予想価格はprologue-16が220,000円、prologue-8が170,000円)。


▲展示室の一番奥で光っていたのは、銀色のボディと鍵盤がまぶしい「prologue Metallic Model」。ショーモデルで、発売予定はないとのこと。

■スリムなスピーカーレスのデジタル・ピアノ「D1」


▲グランド・ピアノの弾き心地を再現した鍵盤が持ち運べる「D1」。ステージでの演奏に必須の譜面立て&専用ペダルが付属する。

最小奥行きサイズ約26センチ、極限までスリム化にこだわったスピーカーレスのデジタル・ピアノ「D1」は、ステージでの演奏にぴったりのモデル。どこでも持ち運べるコンパクトなボディに日本製の高品質なRH3鍵盤を搭載し、ワンランク上の弾き心地を提供。クラシックだけでなく、ジャズもロックも、ファンクも弾きたい。狭い部屋にもスマートに弾きたい。でも、やっぱりタッチにこだわりたい。そんなピアニスト、キーボーディストの願いを叶えてくれる。発売は5月12日、価格はオープンプライス(市場予想価格 49,800円)。


▲fox capture planは、“現代版ジャズ・ロック”をコンセプトとしたピアノ・トリオ・サウンドを目指し2011年に結成。「JAZZ JAPAN AWARD 2015アルバム・オブ・ザ・イヤー・ニュー・ジャズ部門」を受賞、2017年はSUMMER SONIC出演、TBSドラマ「カルテット」の音楽を担当するなど精力的に活動している。

「D1」のポテンシャルを生演奏で感じさせてくれたのは、fox capture planの3人。1曲目を演奏後、ピアノのRyo Kishimotoがいくつかのプリセットのピアノ音を弾き、「(デフォルトの音色に比べ)高音と低音のヌケ感をより強調した感じ」「先程ライブで使用した音は音ヌケがすごくよくて気に入っています。バンド・サウンドにすごく馴染む」とそれぞれの特徴を紹介。


▲Ryo Kishimotoが「D1」のピアノ、エレピのサウンドを中心に演奏。

「僕が思ったD1のすばらしいところは、まずタッチです。すごく弾きやすい。」「バンドとかでやってて生ピアノを弾いてると、弾いた感じと音の発音するタイミングの違和感みたいのをたまに感じる楽器もあったりするんですけど、これはそういうのがいっさいなかった。」「普段僕はKRONOSの88鍵を使っているんですけども、どちらかというとこれ(D1)はGrandstageの鍵盤に近いのかな。」「KRONOSの88鍵モデルよりも新しいだけあって、ハンマーアクションに対するこだわりもより格段に上がっている。」と説明。「もう一つは操作性。すごくカンタンです!」と続け、その場で解説しながらプリセット選択、音の明るさやタッチ(打鍵の強さによる強弱の変化)を設定し、すぐに演奏開始と、操作性のよさを実演して見せてくれた。

■volcaライブセットを実現する4chミキサー「volca mix」


▲スピーカー搭載で気軽に楽しめるのはvolcaならでは。ステレオ・スピーカーになっているだけでなく、音量もこれまでのvolcaより大きい。エフェクター用のSEND OUT/AUX INはステレオ・ミニ。AUX INを4台目のvolca用に使うことも可能。

人気のvolcaシリーズには待望のミキサー「volca mix」が登場。複数のvolcaによるライブセットを可能にする4チャンネル仕様で、各チャンネルにコントロールしやすいボリューム・フェーダーと切れ味のよいLO/HI CUTフィルター、SENDノブ、ミュート・ボタンを搭載。すべてアナログ回路によるマスター・エフェクトには、モノラル・ソースをステレオ音源に拡げるエキスパンダーや、ダンス・ミュージックに欠かせないサイド・チェイン効果を演出するダイナミック・レンジ・コンプレッサーも用意。volcaならではのシンク機能や、3台までのvolcaに電源供給できるDCアウトも備える。発売は2月24日、価格は18,000円。


▲3台のvolcaとの組み合わせ。volca mixもサイズはシリーズ共通、コネクタもすべてトップパネル上に配置。ACアダプターに加え、DC-DCケーブルとオーディオ・ケーブル各3本が付属するので、すぐにライブセット構築できる。


■ARTURIAのセミモジュラー・アナログ・シンセ「Mini Brute 2/2S」


▲鍵盤搭載の「Mini Brute 2」。パネル右奥でパッチングが行える。

▲「BeatStep Pro」ゆずりのパッドとシーケンス機能を備えた「Mini Brute 2S」。音源部はトップパネル上半分に配されたエディット機能ともに2機種共通。

取り扱いブランドのARTURIAからは、アナログ・シンセサイザー「Mini Brute 2」「Mini Brute 2S」が登場。「Mini Brute」をさらに進化させたモデルで、セミモジュラー・アーキテクチャーを採用。48パッチポイントを備え、ユーロラック・モジュラーにも組み込める拡張性を持つ。「Mini Brute 2」は「Matrixbrute」スタイルのアフタータッチ対応鍵盤(25鍵)に「KeyStep」相当のシーケンス機能を搭載、「Mini Brute 2S」は「BeatStep Pro」相当のシーケンス機能を備える。4月下旬発売で価格は10万円前後となる見込み。


▲ユーロラック・ケース「RackBrute 3U」は5万円前後となる見込み。左の写真奥にあるのは「Mini Brute 2/2S」に付属するパッチの例を示した冊子。

また、ARTURIAからはユーロラック・ケースも登場。独特なスタンドの構造は「Mini Brute 2/2S」と組み合わせて使用することを考慮したもの。3Uサイズ、88HPの「RackBrute 3U」、6Uサイズで176HP分のモジュールを収納できる「RackBrute 6U」の2モデルをラインナップ。いずれもアルミ製シャシーで、サイドに木製パネルを配し、電源部も内蔵する。発売は4月下旬予定。

▲ARTURIA製品のデモンストレーションは氏家克典。伝説的キーボードが揃うコレクションの最新版「V Collection 6」には「DX7 V」や「Buchla Easel V」などの新タイトルを収録。


■「SQ-1」を同梱した限定パッケージ「ARP ODYSSEY FSQ」

ARP Odysseyの復刻モデルとして2017に発売された「ARP ODYSSEY FS」が、国内で再生産。ステップ・シーケンサー「SQ-1」の限定ARPカラー・バージョンを同梱し、「ARP ODYSSEY FSQ」として3月24日より発売される。Rev1、2、3の3世代をラインナップ、価格は各200,000円。


▲重厚感溢れるフル・サイズのボディに標準鍵盤を搭載。オリジナル発祥の地アメリカで組み立てが行われた限定生産品のパーツから、ごく少数のストックをもとに国内で組み立て、再生産。


▲同梱されるKORGのステップ・シーケンサー「SQ-1」のARPカラー・バージョン。黒パネル×オレンジのシルク印刷で、右上にはARPのロゴも付けられている。


■ライブ、パーティに便利なポータブル・ステレオPAシステム「KONNECT」


▲ライブはもちろん展示会やセミナー、プレゼンなどさまざまなシーンで活躍するポータブルPAシステム。マイクや楽器、オーディオ機器の接続が可能。

「KONNECT(コネクト)」は、サウンドと利便性を両立したオール・イン・ワンのポータブル・ステレオ・PAシステム。運搬、配線、配置がカンタンに行えるコンパクトで取り回しのよい一体型構造で、サイズからは想像できなほどの音圧と、高音から低音までの再生能力を実現。Bluetooth対応で、ワイヤレスでミキシング・コントロールできる専用アプリも用意、ワイヤレスの音楽再生も可能だ。入力は4チャンネルでマイクやギターなどの楽器にも対応。チャンネルごとに独立したボリューム設定を備えるほか、エフェクトをかけることもできる。2月18日発売予定で価格はオープンプライス(市場予想価格 50,000円)。


▲右はKONNECT本体。左はカンタンに持ち運びができるようになる専用ケース(6,500円)。

▲専用アプリで各チャンネルの設定をワイヤレスで行える。さまざまな楽器や音楽ジャンルに対し、最適なEQプリセットを用意。

▲リアパネルには4チャンネルの入力に加え、1ノブで操作できるリバーブ、イコライジングも用意。

■多機能型リズム・マシンやチューナー/メトロノームもラインナップ


▲トップパネル奥にはXLR、標準フォーンの入力を用意。黄色いボタンでリズムスタイルを選択、再生ボタンですぐにリズムがスタート。小節ごとに各リズム・スタイルを組み合わせてメモリーできるチェイン機能を使えば、複雑なリズム・トラックも作成可能。

多機能型リズムマシン「KR-55 Pro」は、プロドラマーがその場で叩いているかのような臨場感のあるドラム/パーカッション・サウンドをバックに気軽にセッションが楽しめる製品。生録音されたドラム/パーカッションスタイルを24種内蔵、2つのバリエーションスタイルにフィルイン1/2、エンディングを搭載、トップパネルのボタンで切り替えられるほか、フットスイッチを使用することも可能。豊富な入出力端子を備えるほか、ミキサー機能やエフェクトも内蔵。さらにSDカードに録音できるレコーダー機能も備える。34,000円で2月24日発売。


▲写真左は手前左から「CA-50」「GA-50」、奥がメトロノームの「KDM-3 BK」「KDM-3 WH」。写真右は「Pitchblack Advance」の限定モデル「PB-AD-MG」。

チューナーではシンプルボディのCAシリーズがリニューアル。音名表示を拡大し、さらに見やすくなったギター/ベース用「GA-50」(2,800円)、クロマチック・チューナー「CA-50」(3,200)が2月24日発売。また、機械式のメトロノームのミニチュアのような「KDM-3」(5,500円)がブラックとホワイトの2色で発売中。思ったよりも小さく、思ったよりも大きな音でリズムを刻んでくれる、かわいいデジタル・メトロノームだ。また、ペダル・チューナー「Pitchblack Advance」には、数量限定のメタリック・グレー・モデル「PB-AD-MG」(8,500円)が3月24日より発売される。


▲写真はベース用の「AW-OTB」「AW-OTB-POLY」。音のズレを直感的に認識できる遊び心豊かなアニメーション表示も楽しい。

クリップ・チューナーには、圧倒的な視認性を持つ有機ELディスプレイ搭載モデルが登場。同時に複数弦のチューニングができるPOLYモデルもラインナップする。ギター専用の「AW-OTG」「AW-OTG-POLY」はコード検出機能を搭載。ベース専用の「AW-OTB」「AW-OTB-POLY」は低音のチューニングに最適化、テンポ検出機能も搭載する。単4電池1本で約18時間の電池寿命も魅力。価格はすべてオープンプライス(市場予想価格5,980円、POLYモデル 7,560円)、2月24日発売。


■VOXから新真空管Nutube搭載アンプ新モデルが登場


▲MVシリーズ新機種「MV50 High Gain」と「MV50 Boutique」

コルグがノリタケ伊勢電子の蛍光表示管の技術を応用して開発した新真空管「Nutube」を搭載したギター・アンプの新モデルがVOXから登場。まず、540gの軽量設計ながら50Wの大出力を誇る「MVシリーズ」から2機種。ハイゲインに特化した「MV50 High Gain」と、ギタリスト垂涎の伝説的ブティック・アンプのサウンドを凝縮した「MV50 Boutique」が4月21日に発売される(各25,000円)。


▲新パワー・アンプ「NuPower」技術を搭載したコンボ・アンプ「MVX150C1」。


▲ヘッド・タイプの「MVX150H」とキャビネット「BC-112-150」の組み合わせ。

プリ/パワー共にNutubeを搭載した次世代チューブ・アンプ「MVX150シリーズ」も始動。150W出力のコンボ・アンプ「MVX150C1」(150,000円)、ヘッド・タイプの「MVX150H」(115,000円)の2機種をラインナップする。ピュア・クリーンからモダン・ハイゲインまでカバーする2チャンネル仕様で、高品位なデジタル・リバーブも搭載。ライン録音時でもリアルなアンプ・サウンドが得られるEMULATED LINEOUTも備える。コンボ・タイプの「MVX150C1」は、本機のために用意されたスペシャル仕様のCelestion製Redbackスピーカー(12インチ1基)を搭載。「MVX150H」にベスト・マッチなスピーカー・キャビネット「BC112-150」(60,000円)もラインナップする。発売は3機種とも5月27日。


▲VOXのモデリングギター、Starstreamシリーズも多数展示。フレームに特殊加工を施した個性派モデルStastream Type 1 Plus(左上、5月下旬発売)や、参考出展のベースVSS-1Bシリーズ(右上)も。

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