【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.96「フジロック新時代突入の予感」

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7月27日(金)28日(土)29日(日)に開催される自然と音楽の共生を目指す日本最大級の野外ロックフェスティバル、FUJI ROCK FESTIVAL’18の出演アーティスト第一弾が、2月9日に渋谷MODIの大型街頭ビジョン、オフィシャルサイトにて発表されました。そのラインナップ情報を受けて、SNS等のネット上で自由に発言するオーディエンスや野次馬の声に、これまでとは違った反応が多く見られることに非常に面白さを感じています。


<FUJI ROCK FESTIVAL’18出演アーティスト第1弾>
KENDRICK LAMAR/N.E.R.D/SKRILLEX
VAMPIRE WEEKEND/CHVRCHES
JACK JOHNSON/MGMT/ODESZA/YEARS & YEARS
ANDERSON .PAAK & THE FREE NATIONALS/CARLA THOMAS
GREENSKY BLUEGRASS/HOTHOUSE FLOWERS/JAMES BAY
SUPERORGANISM/TUNE-YARDS/WESTERN CARAVAN

今回アナウンスされた17組は上記の通りで、上位2組がHIP HOP界からKENDRICK LAMARとN.E.R.D、続く3番手がEDM界のSKRILLEXというかつてない事態に驚いた人も多いはず。また、ANDERSON .PAAK & THE FREE NATIONALSの名も連なっていたことでヒップホップ勢の存在感がたっぷりであったことからか一部では“FUJI HIP HOP FESTIVAL”などの揶揄ワードが造語されたり、「ロックフェスじゃない」等と囁かれているようですが、全体的には「今年のフジロック最高か」といったように歓喜する内容の発言が圧倒的に多く、しかもそれがベテランフジロッカーズからではなく、これまでフジロックに響かなかった未経験層からの大きな感心を集めているように見受けられる点にこれまでとの大きな違いを感じています。

例年ですと約300組ものアーティストが国内外から出演するモンスター級のフェスで、そのうちの17組が発表されたに過ぎません。今後の発表によってロック色に埋め尽くされることもあり得ることでしょう。そうは言っても今年の第一弾発表内容からはいつもと違う驚きと新鮮さを感じました。やはり、これまでフジロックのやり方とは一線を画している、そんな風に受け止めています。

というのも、フジロックと言えば、往年のバンドや不朽のバンド、または誰も知らないような海外新人の両極を出演させることが得意な傾向にあるフェスという認識でいました。それは時に、世界的旬の、第一線のアーティストのいない寂しさも否めず、世界の名だたるフェスとの差を感じてしまうこともなかったとは言えません。しかし、今年は違う。

つい先日のグラミー賞で最優秀ラップアルバム賞を含む5冠に輝き、世界を魅了する若きヒップホップの覇者、KENDRICK LAMARをヘッドライナーに据えたこと、さらに続くアーティストとして、N.E.R.D、SKRILLEXといった世界的に注目を集めているアーティストを全面に出した第一弾発表の仕方はこれまでと大きく違い、フジロック新時代の到来のように映りました。きっと今年は、ひと味違うものを観られるんじゃないか、そんな期待感を持たせてくれるものでした。また、これによって客層がどれほど変わるのかにも注目したいところです。

世界を見ても、コーチェラ・フェスティバルがThe Weeknd、Beyoncé、Eminemを今年のヘッドライナーに迎えることを発表し、同フェス史上初となる“ロックバンドがヘッドライナーにいない年”になるということで話題になったりもしているように、単に、音楽シーンの最前線で世界的に活躍しているアーティストの中に表だったロック率が少ないというのが実情のように思いますが、そうした世界的な動きも踏まえ、苗場での開催が20回目となるフジロックのこれから続く出演者発表にも大いに期待しましょう。


文:早乙女‘dorami’ゆうこ

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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