【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第6回ゲスト:AKi [シド]

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■僕のスーパーハッピーなところだけ
■抽出したのが、母親──ASH DA HERO

ASH:第一印象ってどうでした? 初めて会ったときのこと覚えてます?

AKi:ちゃんとASH DA HEROと認識したのは、2年前のイベント<PARTY ZOO>(L'Arc-en-CielのKen主宰イベントツアー<PARTY ZOO 2016>)のとき。それ以前にも別のイベントで会ってるんだけど、あのときの男がASHだとは結びつかなかった。

ASH:そうだと思います。全然違ったんで。場末のロックスターみたいな感じというか、音楽をもうやめようと思ってた頃だったし。最後の遺書作りじゃないけど、誰も救ってくれないから、俺は自分でヒーローをやるわって始めたことが今につながっているんです。AKiちゃまと初めて会ったときは、誰も救ってくれないと思っていた末期状態でしたからね。全てに対して、うぜーと。

AKi:確かに、今みたいに明るい感じの男ではなかった。でもその後に<PARTY ZOO>で話したときの印象は強くて。

ASH:楽屋が一緒でしたからね。

▲<PARTY ZOO 2016~Ken Entwines Naughty stars~>

──その時のことTAKING BLUESの第一回目(※ゲストKen [L'Arc-en-Ciel])でも話してくれましたね。

ASH:そうそう。

AKi:ステージにも一緒に上がって、一緒に歌ったのが仲良くなるきっかけだった。

ASH:最後の大セッションでは僕の担当パートはなかったんですよ。そしたらAKiちゃまが「ASH、俺の歌うパートあるから一緒に歌ってよ」って。ほぼ初対面だから、僕の歌はあまり聴いたこともないはずなのに、そうやって誘ってくれたんですね。AKiちゃまがいろいろ仕切ってくれて、すごい頼もしい人だなってのが第一印象。あの1日を通してすごく仲良くしてもらったんです。もうね、自分が女だったら彼女候補にしてほしいって、その日から勝手に思ってました(笑)。乙女心的に、この人はカッコいいかもって。

AKi:その話で引っ張るか(笑)。でもそのセッションでL'Arc-en-Cielの「浸食〜lose control〜」を歌ったとき、“なんだ、コイツは。歌がすっげーウマい”って(笑)。素晴らしかった。カッコ良かった。

ASH:難しい歌でしたけどね。

AKi:それをサラッと歌ってたんだよね。最初の話に戻るけど、バースディイベント(<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>)のときに洋楽のカバーをしたんですよ。エアロスミスとかボンジョヴィとか。そういう曲を歌いこなせるシンガーは、ASHしかいないと思ったからね。その人選、間違いじゃなかった。そして本当に素晴らしい歌だった。ロック好きならASHの歌を聴くべき。

ASH:嬉しい、ありがたいです。

──フェスなんか出ると、歌い出した直後から観客の視線を振り向かせますからね。

AKi:持っていくよね。

ASH:そうなんですかね〜。インタビューで「あのフェスでは完全アウェイじゃなかった?」とか聞かれることあるんですけど、アウェイでもあんまり気にしないんですよね。もちろん楽しそうに観てくれていたら、こっちももっと楽しくなる。楽しくなさそうだったら「楽しめ、この野郎」って気持ちになる。ただそれだけのこと。

AKi:それがロックのあるべき姿だよね。

ASH:そういう人に憧れ、そういう人に心を奪われてロック始めたようなところがあるから。セックス・ピストルズのジョニー・ロットンの姿をビデオで観たとき、細かいことはよく分からないけど、とにかくカッコいいと。

AKi:それは何歳のとき?

ASH:15歳でしたね。

AKi:15歳でピストルズが響いたんだ。

ASH:そうなんですよ。ひょんなことからバンドをやることになって、最初に歌ったバンドの曲はオフスプリングだったんですよ。カリフォルニアにはこういうメロディックハードコアパンクというジャンルがあるのかって。で、メロディックが付くということは、普通のハードコアってのもあるのか。ああ、マイナースレットがいたと。そうやって、どんどん遡って聴いていって、セックス・ピストルズを知るんですよ。友達のお兄ちゃんにVHSビデオを借りて、最初は眠かったけど、「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」になった瞬間ですよね。サウンドは古いと思ったし、曲も意味不明だったけど、ジョニー・ロットンがウワーッとやってるのを観て、気持ち悪いけどカッコいいみたいな。

AKi:ASHの原体験ってパンクなんだね。

ASH:音楽的ルーツは幼少期に聴いてたソウルやブラック・ミュージックだけど、ミュージシャンとしてのルーツは間違いなくパンク・ロック。

AKi:小さい頃から音楽が流れている家庭環境だったの?

ASH:うちは母親がもともとピアノの先生で、オヤジがもともとフォークバンドやっていて。家にピアノもギターもあったんです。夕方になると母親がピアノを弾きまくっていて、日曜日になるとオヤジがスピッツとかJ-POPとかを弾き語りで歌ってくれて。僕のスーパーハッピーなところだけを抽出したようなのが、自分の母親なんですよ。もしここにいたら「いつもほんとお世話になってます。メッチャ、カッコいいですね」とか馴れ馴れしく言い出しそうな、例えるなら平野レミさんみたいなタイプで(笑)。

AKi:へぇ〜(笑)。会ってみたい。お母さん、お若いんだね。

ASH:気持ちが若い。だから車に乗ると、カーステからアース・ウィンド・アンド・ファイアーの後にボズ・スキャッグスが流れて。歌いながら運転しているから、俺も合いの手にコーラスを歌ったりとか。母親の歌にハモを付けたり。

AKi:ああ、そういう感じなんだ。じゃあ、こうなるよね、仕上がりとしてね(笑)。

ASH:仕上がりって(笑)。とにかく音楽がメッチャ家に溢れていたんです。

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