【ライブレポート】OLDCODEX、横アリでツアーに決着「ここが一つの区切りだと思ってる」

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胸を焦がす熱いライブは会場がどこであろうと同じだった。2月8日、横浜アリーナにて<OLDCODEX Arena Tour 2018“we’re Here!”>の最終公演が開催された。

◆OLDCODEX ライヴ写真

5thアルバム『they go, Where?』を引っさげて2017年にスタートしたツアー<OLDCODEX Tour 2017 "they go, Where?">で全国を廻った日々を経て、神戸と横浜で開催された初のアリーナクラスの会場でのライブ。すでに何度も日本武道館で単独公演を行なっているとはいえ、さらにスケールアップした会場に「どんなライブになるんだろう?」と不安と期待を抱いていた人も多いと思うが、会場に足を踏み入れるとOLDCODEXらしくアリーナ席はすべてスタンディングエリア。暴れたいだけ暴れられる空間が用意されていた。SEの音量がアップするにつれて、手拍子と歓声も大きくなり、頭上を飛び交うカメラに“うぉぉぉぉ〜!!”という声があちこちで上がり、熱狂と興奮の中、暗転したステージにメンバーが登場。ライブは幕を開けた。

YORKE.の手によるOLDCODEX史上最大規模のステージセットが照明によって魔法がかけられたように表情を変える中、オープニングは最新アルバムの1曲目を飾る陰影のあるグランジ色の強いナンバー「problem」。続いて、「あの頃の俺らはどこに行っちゃったの?」と問いかける「Where’d They Go?」が投下された。数えきれないほどの拳が突き上げられる場内の景色は2曲目にして既に壮観だ。武道館に比べたらスタンド席からステージまでの距離は当然ながら遠く感じる。が、全力で真摯なTa_2のヴォーカル、ペインターでありパフォーマーでありヴォーカリストでもあるYORKE.の一瞬たりとも止まらない動き、熱い熱いカタマリが全速力で飛んでくるような歌と演奏を全身に浴びて感じたことは、どんなに広い会場であろうがOLDCODEXのライブに撃ち抜かれる感覚はまるで変わらないということだった。


Ta_2がメーターを振り切る大声で叫び、客席も負けじと歓声を送る。近年のOLDCODEXがフェスや海外のイベントなどアウェイな場所でも挑み続けてきたこと、ヴォーカリストとペインターという異色の形態を活かして真っ向から勝負してきたことは何よりも、放たれる楽曲が物語っていた。ライブの定番である痛快なナンバー「Seek your turn」は爆発力を増し、「飛び跳ねな!」と叫んだ「#4」ではみんな、一斉にジャンプ。Ta_2が気迫みなぎるラップで火をつけ、YORKE.がキャンバスに筆を走らせたかと思ったら、ドラム台に上がって煽り、ファンクなビートに反応せずにはいられない「Frame in Flame」では音と照明とセットが織りなすアートな光景が目の前に広がった。

「やべえ! めっちゃ楽しい!」と無邪気な笑顔を見せたTa_2は、フェスではなくワンマンでしか見られない景色があることに言及し、「ここから先はなんでウチに絵描きがいるかってことをよく教えてやる。俺らにしかない武器を見せてやるぜ!」と中盤に突入。

激しさとノスタルジックな世界観が交錯する「loose my breath」から夢と現の間を行き来するようなミディアムでセンシティブなナンバー「Outsomnia」へと。YORKE.が心の内を描いていくようにキャンバスに向かい、イントロのアルペジオから、その世界に引き込まれていく「Achromatic habit」とOLDCODEXのインナーサイドが色が滲んでいくように鳴らされていく。煽り倒し、激しくラウドな曲を叩きつける彼らが実は非常に繊細でもあるということはファンは周知の事実だと思うが、光と影、太陽と月の両サイドを表現し、Ta_2の言うように溜まっていた感情やら思い出やら全てを吐き出させるのがOLDCODEXのライブである。



このブロックの最後に披露されたのはEDM的アプローチの「A Black Toy」。クラブ空間と化した横浜アリーナのステージのセンターに降りてきた巨大なキャンバスにYORKE.が蛍光色でペイントしていき、再びスルスルと天井へと上がっていったキャンバスが燃えあがり、炎の中からOLDCODEXの文字が浮かび上がる演出に驚愕の大歓声が沸き起こった。

次のセクションではTa_2とYORKE.を支える強力な楽器陣をフィーチャリング。ドラムのRyoは「こだわりが日に日に増していく。俺たちの屋台骨」、ベースの泰造は「いつもはマイペースだけど、楽屋で音楽かけたり、動画を見てるといつも最初に食いついてくる。隠れ熱血漢」、ギターのショーンは「去年のOLDCODEXを救ったギタリスト」とTa_2に紹介された。

そして初めて口を開くYORKE.にはTa_2から「相当、ホットな話題持ってるんだろうな」とハードル高く設定されたものの、YORKE.はいつもながらのマイペース。「お集まりいただいて本当にありがとうございます。去年から続いてきたツアーに決着つける日なんじゃないかなって考えたら昨日、全然、眠れなくて」と、横浜に泊まったら近くのコンビニでファンと遭遇したエピソードを明かし、Ta_2は「YORKE.と一緒で不安でしょうがなかったけど、違ったのはぐっすり寝た」と会場を沸かせ、朝から野菜を煮込んでラーメンを作って食べた話や、気合いを入れてサングラスをかけて会場入りしたにも関わらず、スタッフにPASSは持っているかと止められて凹んだリアル話を披露しながら、新曲を作っていることも報告し、最後に自己紹介。「俺はいつもと変わんねえ! 思いきりオマエらが楽しんで死ぬほど大暴れして、全部出し切って“今日、ライブ来てよかったな”、“このチケット、めっちゃ思い出になったわ”、“今日、ライブに行かなかったヤツ、マジ後悔してるな”って思わせるボーカルでいます!」と会場に宣言した。


ライブは瞬く間に後半戦へと突入。「reel」では会場がヘドバンの嵐と化し、イントロのRyoのドラムに大歓声が上がったファスト且つヘヴィなナンバー「Deal with」ではTa_2が上手に走り、YORKE.が下手で煽り、センターに2人が集結し、その衝動が炸裂する「Anthem」から「踊り狂おうぜ!」と叫んだ「Scribble, and Beyond」では曲間でTa_2が「ここが一つの区切りだと思ってる。手を伸ばした先に何かあるのか掴みたいと思ってるんだよ!」と大事なことを叫ぶ場面も。

その直後にOLDCODEXは成長し続けると宣言し、最新シングル「Growth Arrow」(TVアニメ『Butlers~千年百年物語~』OP主題歌)へと移行したラストへと向かう流れは今の彼らを象徴しているかのようだった。フックのあるメロディと疾走感のあるソリッドなサウンドは9年目を迎えた彼らが自分たちのヒストリーに向き合ったからこそ生まれたナンバー。そこから大合唱となった「カタルリズム」、「Rage on」、「WALK」とOLDCODEXをライブバンドとして押し上げてきた代表作がたて続けに放たれた。オーディエンスの背中を押し、笑顔にしてきたナンバーたちが横浜アリーナの熱気をマックスへと持っていき、最後にTa_2が語りかけた。

「耳(イヤーモニター)はずして、みんなの声が後ろのメンバーの音すらもかき消されるような声で、すげえなぁって。オマエら、本当に楽しむ天才だな。いろんなことがあって2人でどうしようってなったけど、2人で1回、完結させたいって、この曲を作りました。ちょっと悲しい想いで作り始めたこの曲も今日、ここに来てるヤツら、来れなかったヤツら、まだ俺たちを知らないヤツら、もう離れちゃったヤツら。でも、そんなヤツらに支えられて、とてもいい曲になったって俺は思ってるよ。“we’re Here”。俺たち、ここにいるよ。今年もきっと、また同じように。でも、いつもより、もしかしたら優しくかもしれないけど。また1年歩いていこうと思います。今日はどうもありがとうございました!」──Ta_2

ラストナンバーは最新アルバムを締めくくる名曲「Million from Codex」。切ないメロディ、Ta_2の魂を揺さぶる歌、YORKE.の凄まじいラップが突き刺さってきた。気がつくと左右のキャンバスには太陽と月が描かれ、ライブは余韻を残しまくりの楽曲で幕を閉じた。

力強いOCDコールが鳴り響き、アンコールでは背中にアリーナツアーのシンボル的存在であるスマイルマークがプリントされたフード付きのシャツに着替えて出てきたYORKE.を見て、Ta_2が着てくるのを忘れたことを悔しがりつつ、「みんなで遊べる曲がまだあるの分かってますか?」と呼びかけ、恒例になりつつある「Julio」を選ばれたファン代表のJulio Boy、Julio Girlをステージに招いて披露。大盛り上がりの中、劇場版「SERVAMP-サーヴァンプ-」-Alice in the Garden-の主題歌に新曲「One Side」が決まったことを告知、次のツアーはライブハウスオンリーだということを報告すると怒涛の大歓声に横浜アリーナが湧いた。

ラスト2曲はOLDCODEXの転機になった「Eyes in chase」とライブの最後には笑顔になって帰ってほしいという2人からのメッセージが詰まった「smiling」。スマイルマークが描かれた左右のキャンバスがセンターで一つに合体し、Ta_2がそこに“we’re Here”の文字を、YORKE.がスプレーペイントで“OLDCODEX”の文字を描き、アリーナツアーは完結。Ta_2は「今日、めちゃくちゃ楽しかった。次はライブハウスで」と、YORKE.は「ありがとう!」と言葉を残し、また一つ忘れられない記憶を焼き付けてステージを去った。

取材・文◎山本弘子




セットリスト<OLDCODEX Arena Tour 2018 “we’re Here!”>

2018年2月8日(木) 横浜アリーナ公演
1.problem
2.Where’d They Go?
3.Faith In Me
4.Seek your turn
5.Harsh Wind
6.#4
7.Frame in Flame
8.loose my breath
9.Outsomnia
10.bund
11.Achromatic habit
12.A Black Toy
13.reel
14.Deal with
15.Anthem
16.Scribble, and Beyond
17.Growth Arrow
18.カタルリズム
19.Rage on
20.WALK
21.Million from Codex
EN1.Julio
EN2.Eyes in chase
EN3.smiling

リリース情報

■15th Single「Growth Arrow」
発売中
【初回限定盤】 LACM-34703 / ¥1,800(税抜)
【通常盤】 LACM-14703 / ¥1,300(税抜)
1.Growth Arrow
作詞 : YORKE. 作曲 : Ta_2 編曲 : 小山 寿
2.Sonic In Portrait
作詞 : YORKE. 作曲・編曲 : eba
3.Shelter
作詞 : YORKE. 作曲・編曲 : 小山 寿

DVD ※初回限定盤のみ
01. Growth Arrow (Music Video)
02. Making of“Growth Arrow”Music Video

◆OLDCODEX オフィシャルサイト
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