【ライブレポート】三浦大知、「これからも積み重ねて最高のエンタテインメントを作っていく」

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三浦大知が、デビュー20周年を迎えた2017年9月から自己最長、最多となる21会場26公演を巡った全国ツアー<DAICHI MIURA BEST HIT TOUR>。

◆ライブ画像(18枚)

その追加公演として1月31日に自身初の大阪城ホール、2月14日、15日にこちらも自身初となる日本武道館2day公演をともに大成功させた。ここではそのなかからヒップホップ界からRHYMESTERの宇多丸、KREVA、千晴、そしてシンガーの絢香、世界的ダンサーでコレオグラファーでもある菅原小春、Folderの元メンバーで女優の満島ひかりまでもがサプライズゲストとして訪れた2月15日の日本武道館公演のレポートをお届けしよう。

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この日は三浦大知、その男の“しなやかさ”の裏に隠された「闘争心」を垣間見れた貴重な夜だった。ここにきて、三浦大知の完成度の高さは「凄い」どころか、さらに高い「別次元」へと到達していた。歌って踊れる、というだけではない。彼の場合は歌、ダンス、リズム感、身体能力、アクティング、ソングライティング、楽曲を解釈する力、パフォーマンス、エンタテインメント性。そのどれもがケタ外れ。音楽を表現し、可視化していくときに動員しているこの“総合力”は、まさに唯一無二といえるだろう。そんな誰も真似できないレベルのスキルを持ちながらも、ステージの彼はそれを自慢げにアピールすることなく、礼儀正しく、体力的にキツくなっても常に穏やかでやさしそうな笑顔をうかべて、すべてをしなやかに、スムーズに見せていく。それが三浦大知のライブの特徴でもある。


立ち見まで出たこの日の武道館。「大知」コールが上がるなか、ステージ後方を覆う巨大なLEDパネルに浮かんでいた“BEST HIT”の文字が消え、場内の客電が落ちる。聴こえてきたのは生のバンドサウンド。次の瞬間、光に照らされ、浮かび上がるシルエット。三浦大知が「すべてが〜」とサビを歌いきるとまたもや照明が暗転。再び明かりがともると、ステージには6人のダンサーが登場。ライブは初出場した紅白でも歌った「Cry&Fight」で幕開け。曲の途中、今度は突然演奏がストップ。まさか?と思っていたら、無音シンクロダンスが始まった。サイレントな武道館に響くのは、三浦大知とダンサーが履く靴と床が擦れる音のみ。そのかっこよさ、シンクロ率に圧倒され、身体中の全神経が研ぎ澄まされていく。三浦大知最強の武器のひとつをオープニングから見せられた観客は、驚愕しっぱなし。こうして音がない空間でもダンスで音楽を感じることができることを体感させたあとは、LEDのグラフィックともダンスがシンクロしていく「Look what you did」、三浦大知の周りをダンサーがサークルで囲って踊る「(RE)PLAY」とダンスでがっつり魅せるナンバーを立て続けに披露。

次の「FEVER」は三浦大知が一人でパフォーマンス。客席に近づいてセクシーに腰、胸をポップしたあと、背中でもファンを悩殺していく色気たっぷりの姿に釘付けになる。「Can You See Our Flag Wavein’In The Sky?」ではマイクのスタンドプレイや、フェイクや歌の間の取り方、ファルセットまで洋楽っぽさを意識したアクトで人々を魅了し、「Who’s The Man」では観客が一丸となって「大知!」コールで場内を盛り上げ、その声援に応えて途中からダンサーも加わったステージで華麗なステップを繰り広げる。三浦大知のライブは、見どころ、聴きどころがあちこちにあり、それが次々と変化していくので、観ていると本当に身体中が忙しくなる。


このあと短い挨拶をはさんで「次はシーンを変えて。こんな感じ」と三浦大知がいって、エンタテインメントなショーがスタート。舞台下手側にはバーカウンターが設置され、バーテンダーに扮したダンサーのNOPPOが出てくると、「Blow You Away!」を歌いながら三浦大知が映像のなかにダイブ。LEDパネルの映像のなかの三浦大知と実物のNOPPOがコミカルなやりとりを見せる。歌いながら映像のなかで着替えをした三浦大知が、本当に衣装替えした姿で映像から現実のステージに戻ってくると、客席からは大歓声がわきおこる。ミラーボールの映像に包まれ「Complex」を届けたあとは、バンドがジャジーなBGMを奏でるなか、カウンターにバーテンダーとバーの客に扮した三浦大知とダンサーが集まり、台詞なしのアクティングでストーリーを展開していくショータイムがスタート。コミカルなパントマイムのような演技を見て、客席からは笑いがこぼれる。もちろんここで見せる演技もまた、バンドが奏でる音と動きはすべてシンクロ。歌わないダンサーたちも、三浦大知と同じような音楽に対する高い総合力がなければ、こんなエンタテイメントショーは作れない。物語は、バーに来た客たちがアコギを指差し、三浦大知に弾き語りをリクエストするところで終了。そこから、バーのカウンターチェアに腰掛け、アコギを弾きながら歌い出したのは「Your Love」。


そうして「BEST HIT TOUR IN武道館。初めての2days。こんなスペシャルな日に“この人”を呼ばないわけにはいかないでしょう。KREVA!」という三浦大知の呼び込みで、KREVAがステージに現れる。昔から三浦大知をフックアップしてきたことをよく知っている大知ファンから、大歓声が上がる。KREVAは上手に置かれたスタンドマイクの前に立ち(こんなKREVAが見られるのもレア)、オートチューンをきかせた声で「Your Love」をしっとりとコラボ。ロマンチックな気分に場内をひたらせたあと、次の「NAMIDA」では千晴。「No Limit」では三浦大知とKREVA、千晴をつないだ張本人、RHYMSTERの宇多丸まで登場。宇多丸は彼が小さな頃から陰ながら応援してきたことを観客に打ち明け「ソロで戻ってきたとき“日本の音楽会を救うすごい天才が帰ってきた”といってて。ここにきていっきにブレイクっていわれてるけど。俺からしたら当たり前なことで。正義は勝つ」と、三浦大知を褒め称えた。その言葉を受け止め、三浦大知は「僕、夢がありまして。4人でステージに立ちたいです」とリクエスト。するとKREVAと千晴が再びステージに登場。KREVAの「全速力」にのせてゲスト3人が人生の先輩として、三浦大知に贈る言葉を各々ラップで届けていく姿は、胸にこみ上げてくるものがあった。


Folder時代から数えてデビュー20周年、三浦大知として30歳を迎えた節目の1年。「全速力」でアゲアゲになった場内に向かって「スペシャルは何個あってもいいだろうということで、次は女性アーティストの方」といって絢香を呼び込む。やわらかくやさしいタッチの声からパワフルな声、息を混ぜたミックスボイスなど三浦大知に負けないぐらいバリエーション豊かに声質を使い分ける絢香と「ハートアップ」を息のあったハーモニーで歌い上げた。後方のLEDがせり上がり、バンドが姿を見せるとライブも後半戦へ突入。1番のサビラストにロングトーンを聞かせ、まだまだ体力の余裕さえ感じさせる圧倒的な声量で観客を盛り上げていった「Darkest Before Dawn」。


アリーナに向かってスロープ状に敷き詰められたLEDパネルの上へ移動して、パネルの光とダンスが音とシンクロしていったキラーチューン「Right Now」で、さらにその興奮が高められていって次は「Unloclk」。曲が始まるとステージには女性ダンサーの姿が。彼女が菅原小春と分かった瞬間、武道館は異様な熱気に包まれた。小春は全身から強烈なオーラを放ちながら、アグレッシブなダンスで三浦大知に近づいて何度も威嚇。すると、途中までしなやかさを保っていた三浦大知からは次第に柔和な笑顔が消え、小春が放つ熱量に引っ張られるようにどんどん野性が表面化。普段はしなやかさの裏に隠れて、なかなか見ることがない闘争心メラメラの三浦大知が引き出され、ファンはその姿に心を奪われ、興奮状態に。


そこにとびきり激アツの「I’m On Fire」を投下。ダンサーたちがソロパフォーマンスでさらに興奮を膨張させたところに、ダメ押しの「EXCITE」は盛り上がらないわけがない。ここではバンドメンバーまでフロントに出てきて、タオルを一斉に回す観客たちで会場のボルテージはマックスに。その興奮を沈ませ、最後は音楽でみんなとつながり合おうというように「music」をとびきりの笑顔で歌って、武道館が多幸感に包まれるなか本編を締めくくった。

アンコールの声に呼ばれて、再び舞台に登場した三浦大知。彼は「<BEST HIT TOUR>、楽しんでいただけましたでしょうか。今日はたくさんのゲストに来ていただいて。こんなゲストが呼べるのは三浦大知だけだと思います(笑)。今回のツアーのロゴは地層なんですけど。三浦大知として、そしてチームとして積み上げてきた結果、ここまできて。そのなかで、こんな素敵な人たちと出会えたことを嬉しく思います。これからも積み重ねていきたいと思います」と述べる。ダンサーと同じレベルで踊るテクニックも、どんなに踊り続けても乱れることのないボーカルも、無音シンクロダンスも、すべては日々の積み重ねから生まれたもの。そして、その原点となったのが1997年にデビューしたダンスボーカルグループ、Folderだった。


そのあと「大知!」といって、Folder時代に一緒に活動していた女優の満島ひかりが突然舞台に姿を表すと、ファンは「かわいいー!」と叫びながら黄色い声援をあげる。ツアーグッズのTシャツをリメイクして作ったという衣装を満島は「みんなも真似してみてね!」と自慢しながら「大知の7歳からのファン代表、満島ひかりです」と自己紹介すると、場内は大歓声に包まれた。そうして、2人でまさかのFolderの「NOW AND FOREVER」をデュエット。歌い終えたあとは、満島と抱き合って、ここまで各々の信じる道を進んで積み重ねてきた人生を讃えあう姿は、胸にグッとくるものがあった。

「たくさんの方に協力していただいて最高のエンタテインメントショーができました。これからも積み重ねて、三浦大知チームとして最高のエンタテインメントを作っていくので、これからもよろしくお願いします」と最後に今後も積み重ね系のスタイルを崩すことなくやっていくと伝えた三浦大知は、3月7日にリリースするベストアルバム『BEST』から新曲「DIVE!」をプレゼントして、この日のライブは終了。「本日は本当にありがとうございました」と生声で感謝の言葉を伝えたあと、ステージを後にした。

三浦大知はこれからも大切に日々を積み重ね、まだ見ぬ場所へと飛び込んでいく。この後、3月7日にベストアルバム『BEST』をリリースすることも決定している。

取材・文◎東條祥恵


※ライブ写真は2日目の武道館公演のものです

セットリスト

01 Cry & Fight
02 Look what you did
03 (RE)PLAY
04 FEVER
05 Can You See Our Flag Wavin’ In The Sky?
06 Who’s The Man
07 Blow You Away!
08 Complex
09 Your Love
10 NAMIDA
11 No Limit
12 全速力
13 ハートアップ
14 Darkest Before Dawn
15 Right Now
16 Unlock
17 I’m On Fire
18 EXCITE
19 music

Encore
01 NOW AND FOREVER
02 DIVE!

ベストアルバム『BEST』

2018年3月7日発売

■2CD+DVD(CD+DVD+スマプラムービー+スマプラミュージック)
AVCD-16835~6/B ¥4,500(税別)

■2CD+Blu-ray(CD+Blu-ray+スマプラムービー+スマプラミュージック)
AVCD-16837~8/B ¥5,500(税別)

■2CD(CD+スマプラミュージック)
AVCD-16839~40 ¥3,200(税別)

収録内容
[CD DISC A]
1. Keep It Goin' On
2. Free Style
3. Southern Cross
4. No Limit featuring 宇多丸(from RHYMESTER)
5. Flag
6. Inside Your Head
7. Your Love feat. KREVA
8. Delete My Memories
9. The Answer
10. Lullaby
11. Turn Off The Light
12. Two Hearts
[CD DISC B]
1. Right Now
2. Voice
3. GO FOR IT
4. Anchor
5. ふれあうだけで 〜Always with you〜
6. IT'S THE RIGHT TIME
7. Unlock
8. music
9. Cry & Fight
10.(RE)PLAY
11. EXCITE
12. U
13. 普通の今夜のことを − let tonight be forever remembered −
14. DIVE!
[DVD/Blu-ray]
Keep It Goin' On
Free Style
Southern Cross
No Limit featuring 宇多丸 (from RHYMESTER)
Flag
Inside Your Head
Your Love feat. KREVA
Delete My Memories
The Answer
Lullaby
Turn Off The Light
Two Hearts
Right Now
GO FOR IT
Anchor
ふれあうだけで 〜Always with you〜
IT'S THE RIGHT TIME
Unlock
music
Cry & Fight
(RE)PLAY
EXCITE
U
普通の今夜のことを − let tonight be forever remembered −
DIVE!

■3CD(OFFICIAL FANCLUB “DAICHISHIKI” Edition) (CD+スマプラミュージック)
AVC1-16841~3
¥3,900(税別)
今アルバム収録曲以外の全楽曲の中から三浦大知ファンクラブ「大知識」会員によるファン投票により選出されたTOP10楽曲を[DISC C]に収録(※DISC A, Bは共通となります。)
[DISC C]
別れのベル
誰もがダンサー
Bring It Down
Who’s The Man
Elevator
ほか全10曲(収録曲順未定)

◆三浦大知 オフィシャルサイト
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