【連載】Vol.037「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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ザ・ローリング・ストーンズのシックスティーズ音源『オン・エア』をじっくり聴こう! PT3


▲提供:ユニバーサルミュージック

『オン・エア』をじっくり聴こう!PT3ではボーナス・トラックを楽しんでみることにする。改めてになっちゃうけど、60年代のBBC音源がオフィシャル化するなんてまさに夢の夢。デビュー時とあって、レパートリーのそのほとんどがジャガー/リチャード(ズ)やナンカー・フェルジ名義でなく、彼らのリスペクトするアーティストのカバーや少年期に楽しんだブルース/R&Bナンバーなのだ。そんなこともあって、毎回楽しみに読ませてもらっている「BLUES & SOUL RECORDS」の最新号(No.139)でもしかり『ON AIR』がピック・アップされている。オリジナルについてもしっから探求。『ON AIR』に登場したナンバーからオリジナル11楽曲が付録CDに収められているのも嬉しい。


▲提供:株式会社スペースシャワーネットワーク

そういえば、P-VINE RECORDSの創始者/日暮泰文さん(彼と初めて会ったのは60年代末@新宿のディスコ“the other”。当時はブルース&ソウル愛好会を運営、よくレコード・コンサートに参加させていただいた)に80年代後半だったと記憶しているけど、アルバム『ローリング・ストーン・クラシックス』の企画を持ち込み、快くお引き受けしてもらった。90年2月、ストーンズ初来日時にこのアルバムをメンバーやスタッフにプレゼント、大好評だった。特にキース・リチャーズやミック・ジャガー、ロニー・ウッドからは追加のリクエストが何度も入った。後楽園ホールで行われた来日記者会見の取材陣の入場からオープニングまでのBGMにはこのCDが使用された。


▲from Mike's Collection

ボーナス・トラック
(1)I Wanna Be Your Man
64年2月3日録音で8日放送の“Saturday Club”から。ブライアンのギターがまさしく64年という時代をダイレクトに感じさせてくれる。前半はミックが少し抑え気味に歌っている。ジョン・レノン&ポール・マッカー共作。B4はその後リンゴ・スターのリード・ヴォーカル・ナンバーとしてレコーディングしたことはあまりにも有名。2016年デザート・トリップでポールが歌いだした時は大拍手してしまった(*^_^*)。


▲a pixerama foldbook of THE ROLLING STONES(UK) From Mike's Library

(2)Carol
64年4月13日録音で18日放送の“Saturday Club”から。チャック・ベリーのBillboard誌HOT100(TOP100)9曲目チャート・イン・ナンバー。58年9月29日付18位が最高位。そんなチャック・ベリー・サウンドをそのままストレートにカバーしている。


▲64年9月15日発売日本盤シングル「テル・ミー」 B面に注目 from Mike's Collection

(3)I'm Moving On
64年4月10日生放送された“The Joe Loss Pop Show”から。プレイハウス・シアターでのファンを前にしてのパワフル・ライヴ・ヴァージョン。オリジナルはハンク・スノウ、50年にBillboard誌カントリー・チャートで21週1位に輝いた。59年にレイ・チャールズはアルバム『I'M MOVIN' ON』を発表、ハンク・ナンバーをカバーした。ストーンズはそのアルバム・タイトル・チューンからレパートリーにした。余談になるけど、エルヴィス・プレスリーを売り出したトム・パーカーは、その直前までハンク・スノウを育て上げていた。


▲65年11月20日発売の日本盤7インチEP(コンパクト盤 コンパクト・ディスク/CDとも称された)『ウイ・ウォント・ストーンズ 実況録音盤』 from Mike's Collection


▲73年10月25日発売の日本盤7インチEP『ウイ・ウォント・ストーンズ ライヴ』 from Mike's Collection

(4)If You Need Me
64年7月17日録音で23日放送の“The Joe Loss Pop Show”から。何度も記してしまうけどミックのソウルフルなヴォーカルが堪能できる。初めて聴いた時のマイ・メモには“キースのコーラスが実に大張りきりで、ミックにガンガン迫っている”。ここに若いキース・フリークも注目して欲しい、です!このナンバーのライターのひとりにクレジットされているウィルソン・ピケットがオリジナル。63年作品。同時期にソロモン・バークもシングル・カット。両者の対決となったが、ソロモン・シングルが大ヒットした。


▲63年発売のソロモンの日本盤シングル「イフ・ユー・ニード・ミー」。ストーンズ・マニアはB面もしっかりチェック。そのB面にこんな邦題もあったなんて、当時ストーンズ担当のキングレコード武田さんはお気づきにならなかったようです。当時の中古盤には右下に ○ があけられていた。多分65年頃に購入した。 From Mike's collection

(5)Walking The Dog
もう20数年前になるけど渋谷クワトロのバックステージでルーファス・トーマスとSTAXやストーンズの話しをしたのを思い出す。正式インタビューとしてテープを回せばよかったと後悔したくらいエピソードがいろいろ…。そのルーファス御父さん63年の大ヒット・ソングでBillboard誌R&Bチャート5位、HOT100で10位を記録。ゴールド・シングルにも輝いている。そのナンバーをストーンズはファースト・アルバムに収録した。64年4月13日録音で18日放送“Saturday Night”からのこのヴァージョンは、レコードと同じようなスタイルで演奏。


▲64年4月16日リリースUKファースト・アルバム(LP)「THE ROLLING STONES」 From Mike's collection

(6)Confessin' The Blues
ジャズ・ピアニストとして知られるジェイ・マクシャンが41年に発表した作品。ストーンズは58年にリトル・ウォルターがリリースしたシングル「The Toddie」B面ヴァージョンからのカバー。64年7月17日録音 で23日放送の“The Joe Loss Pop Show”から。ライヴ感覚あふれたブルースな世界をしっかり味わえる。Thank you very much, Cofessin' The Blues!


▲65年2月20日発売日本盤セカンド・アルバム(LP)「ローリング・ストーンズ第2集」 from Mike's Collection

(7)Everybody Needs Somebody To Love
後年にはキング・ソロモンとも称されたソロモン・バークの64年のチャート・イン・ナンバー(HOT100で58位)。65年3月1日録音で6日放送の“Top Gear”から。スチューことイアン・スチュワートのピアノが印象的なR&B。ヴァリエーションに富んだ構成。ミックのシャウトぶりがここでも輝いている。I need you、
you×2、そしてYes I Doでエンディング。


▲65年1月16日リリースのUKセカンド・アルバム(LP)「The Rolling Stones No.2」 from Mike's Collection

(8)Little By Little
ナンカー・フェルジ&フィル・スペクター共作。ジミー・リード63年のシングル楽曲「Shame Shame Shame」にインスパイアーされたのは歴然だ。64年4月10日生放送“The Joe Loss Pop Show”から。歓声入りのライヴ・レコーディング、アップ・テンポの小刻みなブルース・ロックだ。


▲64年2月21日リリースUKサード・シングル「Not Fade Away」のB面 from Mike's Collection

(9)Ain't That Loving You Baby
ストーンズとしては初出楽曲。メンバー全員が心よりリスペクトするジミー・リードはBillboard誌R&Bチャートに50年代から60年代にかけて20近いナンバーを送り込んでいるが、これはジミーの代表作で56年に同チャート3位までランク・アップした。64年7月17日録音で23日放送の“Top Gear”から。


▲UK/CD「I'M JIMMY REED」 from Mike's Collection

(10)Beautiful Delilah
64年4月13日録音で18日放送の“Saturday Night”からのこの楽曲はストーンズとしては初出。チャック・ベリーのオリジナルで、58年に少し話題になった(HOT100で81位)。アップ・テンポのナンバー、小刻みなリズが印象的。


▲JP3枚組LP BOX「CHUCK BERRY(from the beginnings 1955~1960)Vol.1~Vol.3」のVol.2 from Mike's Collection

(11)Crackin' Up
ボ・ディドリーが59年にヒットさせたナンバー(R&Bチャート14位、HOT100は62位)。ストーンズのお気に入り楽曲で、63年にはスタジオ・レコーディングしたこともある。ここに収録されたのは64年7月17日録音で23日放送の“Top Gear”から。レゲエ・タッチというかカリプソ風、ダンサブルなリズミック・ヴァージョンである。ストーンズがこんな世界をすでに63~4年頃からキメテいたなんていうことはずっと後になってから知った。ストーンズのこの楽曲が公式化されたのは77年リリース・ライヴ・アルバム『Love You Live』が初めて。こちらは同年春のエル・モカンボ・クラブでのスモール・ギグ・ヴァージョンだった。


▲95年リリースのUS書籍「Bo Diddley LIVING LEGEND」 from Mike's Library

(12)I Can't Be Satisfied
マディ・ウォーターズは41年にアラン・ロマックスによって初レコーディング。そこでまず取り上げられた。その後シカゴに移ったマディは48年4月に再びこの楽曲を録音、シングル・リリース。R&Bチャートではカップリング曲の「I Feel Like Going Home」がランキングされた(11位)。この64年7月17日録音で23日放送の“Top Gear”からのストーンズ・ヴァージョンでは、ブライアンのスライド・ギターをじっくりと楽しめる。


▲1957リリースのUS/LP「the best of MADDY WATERS」 中学生時ヤマハ池袋店にオーダーし半年後にようやく届いた。 From Mike's Collection

(13)I Just Want To Make Love To You
ウィリー・ディクソン作の名曲、マディ・ウォーターズが54年4月13日にチェス・スタジオでレコーディング。R&Bチャート4位。シングル表記は“Just Make Love To Me”。64年4月10日生放送された“The Joe Loss Pop Show”から。プレイハウス・シアターでのファンを前にして、デビュー・アルバム同様にアップ・テンポに編曲しての演奏だ。


▲64年6月13日リリースのUS/シングル「Tell Me」のB面 from Mike's Collection


▲64年4月26日に行われた“NME ALL STAR CONCERT”プログラム from Mike's Collection


▲“NME ALL STAR CONCERT”プログラムの11~12頁。この日ストーンズは「I Just ~」を演奏した。 from Mike's Collection

(14)2120 South Michigan Avenue
64年10月8日録音で31日放送の“Rhythm And Blues”からのインスト・ナンバー。ナンカー・フェルジ名義のオリジナル、憧れのチェス・スタジオの住所をタイトルにした。同地初訪問時に完成したと伝えられる。このヴァージョンを初めて聴いた時のマイ・メモから。“ビル・ワイマンのベースが全体をぐいぐい引っ張る”“ミックのブルース・ハープもグルーヴィン!”“その昔、ストーンズ・イベントや同特集番組でテーマとして使わせてもらった”。


▲64年8月14日リリースのUK/EP「Five By Five」 from Mike's Collection

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