【インタビュー】マルコ・メンドーサ「すべてはロックン・ロールだよ」

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1990年代半ばにブルー・マーダーのメンバーとしてハード・ロック/ヘヴィ・メタル・シーンに登場して以来、ホワイトスネイク、再結成シン・リジィ、ブラック・スター・ライダースといったバンドでプレイし、現在はザ・デッド・デイジーズのメンバーとして活動しているスーパー・ベーシストのマルコ・メンドーサ。これまで数えきれないほどのセッションもこなしている彼が、自らヴォーカルも担当した3rdソロ・アルバムの『ヴィヴァ・ラ・ロック』、ザ・デッド・デイジーズの4thアルバム『バーン・イット・ダウン』(3月21日発売)と2枚のアルバムを完成させた。

◆マルコ・メンドーサ映像&画像

どちらもマルコのグルーヴィーなベースがキーとなった70年代テイストのハード・ロックが持ち味となっているが、この2作に加え、今春に発売予定の若井望のプロジェクトNozomu Wakai's DESTINIAの新作『METAL SOULS』でも、ロニー・ロメロ(Vo)とトミー・アルドリッジ(Dr)と共に全曲でプレイしており、彼が関わったアルバムが3ヵ月連続でリリースされることになる。まさに多忙を極めるマルコにこの3作品について語ってもらった。



――アルバム『ヴィヴァ・ラ・ロック』はソロとしては3作目となりますが、そもそもどういうアルバムを作りたいと考えていたのですか?

マルコ・メンドーサ:曲作りのプロセスで、この方向性で行くぞと決めておくのは好きじゃないんだ。まず、楽しい曲を書きたかった。歌詞でもメロディでも、今の俺が言いたいことに相応しい曲をね。既に何曲かはあったけど、去年の12月までそのタイミングがなかった。それで、時間ができた時に素晴らしいギター・プレイヤーで素晴らしいプロデューサーで俺の大切な友人でもあるデンマーク人のソレン・アンダーセンと組んで、1970年代のスタイルのアルバムを作ろうと思ったんだ。1970年代は俺がたくさんの曲を聞いて音楽をプレイし始めた時代で、メロディも歌詞も人の心に響くものが多かったから、そのルーツに戻りたかったんだよ。

――確かに1970年代のテイストを感じさせる作品になりましたが、どういったバンドや音楽が影響源になっているのでしょうか。

マルコ・メンドーサ:物凄くたくさんある。ザ・ビートルズのようなヴォーカルもちょっとやってみようとしたよ。俺はザ・ビートルズの大ファンなんだ。俺の音楽の旅はザ・ビートルズから始まったからね。それと、エアロスミスもそうだ。彼らはバンドとして本当に凄い。影響を受けたもののリストだったら終わりはないよ。ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、アリス・クーパー…。曲としては、アリス・クーパーのストーリーテリングのアプローチから影響を受けているのが「ロケットマン」。色々なことが語られているからね。あと、サンタナとジャーニーも含まれるだろうな。俺は今、ジャーニーのニール・ショーン、同じく元サンタナとジャーニーで、リンゴ・スターのオールスター・バンドでプレイしているグレッグ・ローリーと一緒に仕事をしているんだ。新しくザ・デッド・デイジーズのメンバーとなった俺の相棒であるディーン・カストロノヴォ(Dr)も一緒だ。俺はそういった人達からも影響を受け、インスパイアされている。素晴らしい仲間に囲まれているんだ。

――歌詞に関しては主にどういったことを歌っているのですか?

マルコ・メンドーサ:例えば「レット・イット・フロウ」は、人生は常に変化し続けるのだから、その変化に乗る方がいいということだよ。認めて受け入れてオープンな考え方を持ち、周囲の変化も問題視しない方がいいという曲だ。「スウィーテスト・エモーションズ」は、俺達誰もが夢を見て、愛していて、渇望していて、求めているものについての曲だ。それから「スー・イズ・オン・ザ・ラン」は、俺には10代の娘が1人いるんだけど俺達が住んでいる南カリフォルニアでは10代全般に関する大きな問題が存在しているんだ。特に女の子達だね。若い女の子達が、早くそこから抜け出して大人になりたがって自立したいと思っている。その中にはハリウッドに行って、どんなことをしてもスターになるという夢を実現させようとする子達がいるんだ。スーという名前を思い付いたのは、1シラブル(母音の発音が1つ)で綴りやすいからなんだけど、「スー・イズ・オン・ザ・ラン」は、十代の女の子達が抱える苦悩を描いている。彼女達はどんなことをしても夢を追い掛けたいと思っているけど、困った状況に追い込まれていることに気が付くんだよ。どん底の状態でね。俺はそういった話をたくさん見聞きしている。以前はハリウッド地区に住んでいたからね。とても悲しいことだし胸が痛むよ。そういう風に、色々な人生について描いているんだよ。人間の頭や心の中にあることを何でもね。


――シン・リジィの「チャイナタウン」をカバーしていますが、マイク・トランプ(Vo)とガンズ・アンド・ローゼズのリチャード・フォータス(G)が参加していますね。どういう経緯で2人が参加することになったのですか?

マルコ・メンドーサ:俺は足かけ22年ぐらい、断続的に再結成シン・リジィでプレイしているんだけど、彼らが世界中で大ヒットさせた曲の他にも、あまり知られていない素晴らしい曲がたくさんあるので、そういう曲をカバーしたらどうだろうと思ったんだ。それから、マイク・トランプはソレンと一緒にプレイしているし、俺もマイクの大ファンで、何年も前から友達同士なんだ。それで「チャイナタウン」をやると決めた時に彼に打診してみたら、是非やりたいと答えてくれたわけ。リチャードとはザ・デッド・デイジーズで一緒にツアーをしていたし、知られていないかもしれないけど、彼はシン・リジィでプレイしていたことがある。それで彼に、プレイしてくれないかと訊いてみたら、彼も是非やりたいと言ってくれたんだ。

――もう1曲、テッド・ニュージェントの「ヘイ・ベイビー」もカバーしていますね。

マルコ・メンドーサ:これも唯一無二の存在であるテッド・ニュージェントへの敬意の表明だよ。彼ともバンドのメンバーとしてたくさんの時間を一緒に過ごしているからね。「ヘイ・ベイビー」は彼と一緒にツアーをしたりレコーディングをしたりしていた時に、俺が歌っていた曲なんだ。素晴らしいクラシック・ソングだと思う。オリジナルはデレク・セント・ホームズがレコーディングした曲で、彼は素晴らしいシンガーで友人でもある。一緒にツアーをして、一緒に音楽をプレイして、俺にチャンスを与えてくれたバンドに敬意を表したいんだ。そういった人達は大勢いるから、将来、もっとトリビュートをやるかもしれないよ。とにかく、これは美しい曲だしクラシックなロックン・ロールだよ。

――今後、ソロとしてどういった活動を?

マルコ・メンドーサ:ヨーロッパでツアーをすることが決まっているよ。その後、日本のファンの前で是非プレイしたいな。俺は演奏する機会があれば、何でもやるつもりだ。

――続いて、ザ・デッド・デイジーズの新作『バーン・イット・ダウン』についてですが、どういうアルバムにしたいと考えていましたか?

マルコ・メンドーサ:よりへヴィなアルバムにしようと話をしたんだけど、このアルバムがいかに素晴らしいものになったかは、言葉では説明できない。みんなを仰天させるだろうね。最高の中の最高のメンバーが揃っているんだから当然だよ。ギターのダグ・アルドリッチ(G)は本当に凄いプレイヤー/ソングライターで、何もかもが素晴らしい。もう1人のギターにはバンドの創設者のデイヴィッド・ローウィー(G)がいて、いつも溢れるほどたくさんのアイディアを持っている。素晴らしいミュージシャンだ。ブライアン・ティッシーは自分の活動に進むことにしたんだけど、幸いなことにディーン・カストロノヴォを新たにドラマーに迎えることができた。ベース・プレイヤーとしての俺にとっても凄く嬉しいことだ。ディーンは素晴らしいドラマーであるだけでなく、親愛なる友人であり信じられないほどのシンガーであり、ソングライターとしても優れている。だから、ベース・プレイヤーとしてディーンと一緒にプレイできることは、本当に素晴らしいことなんだ。そして勿論、ジョン・コラビ(Vo)がいる。ソングライターとしてもシンガーとしてもブリリアントで、本当に素晴らしいアーティストだ。それがこのバンドだよ。そういった要素が揃っていて、マーティー・フレデリクセンのようなプロデューサーがいるんだからね。素晴らしい作品を作るための素材は全部揃っている。本当にグレイトなアルバムになっているよ。ファンは嬉しい驚きを感じるだろうね。実に凄いアルバムだよ。だから、これを大きなステージでライヴで演奏するのが待ち遠しいよ。

――あなたのキャリアにおいてザ・デッド・デイジーズはどういう位置付けのバンドですか?


マルコ・メンドーサ:俺の頭の中でも心の中でも、今は間違いなく優先順位がNo.1の存在だよ。それにザ・デッド・デイジーズは1年の内の6ヵ月か7ヵ月だけ活動することが、最初からはっきりと決まっている。だから俺達は思い切り活動できるんだ。俺達は、他のバンドなら10年掛かるだけの仕事量をこなしている。あるいはそれ以上かもしれない。俺はそこが凄く気に入っている。俺はそういうチャレンジが大好きだし、俺達が前進し続けているという事実も凄く気に入っているんだ。いつだって前に進んでいるよ。

――Nozomu Wakai's DESTINIAの新作『METAL SOULS』には、どういう経緯で参加することになったのですか?

マルコ・メンドーサ:ザ・デッド・デイジーズで日本に行った時に、Wardレコードから若井望のアルバムに参加することに興味はあるかと訊かれたんだ。俺はいつもクールな音楽に関わりたいと思っているから、「もちろんだ」と言っておいた。それで最初に2~3曲が送られてきたんだけど、俺は文句なしに気に入ったよ。素晴らしい音楽だ。俺が何かやれる音楽だと思ったね。それで俺達は具体的に話し合いを進めてレコーディングをスタートしたら、2曲が5曲になり、5曲が8曲になって、最終的にはアルバム全部をやることになった。それに加えて、トミー・アルドリッジにも参加してもらえることになった。俺の大切な友人でありレジェンダリーなドラマーだ。それも嬉しかったね。

――彼はこの作品に“クラシック・モダン”というコンセプトを考えていたようですが。

マルコ・メンドーサ:その話をしたのは確かに憶えているし、そのフレーズもとても気に入っている。今の音楽ではあるけど、俺達は1980年代を再訪問しているんだ。彼が向かっているのは、間違いなく1980年代と1990年代のスタイルだよ。俺の意見としてはその時代は音楽にとって一番良い時代だった。物凄くたくさんのことが起こっていた。俺は“クラシック・モダン”という表現が凄く気に入っている。すべてはロックン・ロールだよ(笑)。

――Nozomu Wakai's DESTINIAでは今度どんな活動が考えられますか?

マルコ・メンドーサ:若井望は非常にハングリーだし才能がある。俺が何らかの形で助けになれるのなら、バンドの一員としてサポートしたいよ。俺はこれまでもそういう風に人々をサポートしてきたからね。

取材・文:Jun Kawai
写真:Bleu Cotton Photography


マルコ・メンドーサ『ヴィヴァ・ラ・ロック』

3月2日発売
CD 2,500円+税
1.ヴィヴァ・ラ・ロック
2.スー・イズ・オン・ザ・ラン
3.ロケットマン
4.スウィーテスト・エモーションズ
5.チャイナタウン feat.マイク・トランプ
6.バーンド
7.ラヴ 2 U
8.リア
9.ヘイ・ベイビー
10.レット・イット・フロウ
【ミュージシャン】
マルコ・メンドーサ(ヴォーカル/ベース)
ソレン・アンダーセン(ギター/バッキング・ヴォーカル)
モーテン・ヘルボルン(ドラムス)
https://wardrecords.com/products/detail4445.html


ザ・デッド・デイジーズ『バーン・イット・ダウン』

3月21日日本先行発売
100セット通販限定CD+輸入盤ピクチャーディスクLP+直筆サイン入りカード 8,500円+税
CD 2,500円+税
【メンバー】
ジョン・コラビ(ヴォーカル)
ダグ・アルドリッチ(ギター)
デイヴィッド・ローウィー(ギター)
マルコ・メンドーサ(ベース)
ディーン・カストロノヴォ(ドラムス)
https://wardrecords.com/products/list_group4426.html


Nozomu Wakai's DESTINIA『METAL SOULS』

若井望(ギター)PAUL SHORTINO BAND
ロニー・ロメロ(ヴォーカル)RAINBOW/LORDS OF BLACK
マルコ・メンドーサ(ベース)THE DEAD DAISIES
トミー・アルドリッジ(ドラムス)WHITESNAKE
Nozomu Wakai's DESTINIA『METAL SOULS』レーベルサイト
http://wardrecords.com/page/destinia/

ザ・デッド・デイジーズ来日公演

6月25日(月)梅田CLUB QUATTRO
6月26日(火)恵比寿LIQUIDROOM
6月28日(木)名古屋CLUB QUATTRO
[問]クリエイティブマン
https://www.creativeman.co.jp/event/deaddaisies18/
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