【インタビュー】メトロノーム、緻密さと心地好い毒気が混然一体となった最新形「弊帚トリムルティ」

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2016年9月に7年間の空白期間を経てドラマチックな再始動を果たし、今年結成20周年を迎えるメトロノーム。3月7日にリリースされる彼らのニュー・シングル「弊帚トリムルティ」は、テクノ/ニューウェイブをベースにしたうえで様々なジャンルの要素を採り入れた音楽性や緻密なアレンジ、心地好い“毒気”などが混然一体となったメトロノームらしさの最新形を味わえる一作になっている。「弊帚トリムルティ」の話を軸にしつつ、改めてメトロノーム像などについてメンバー三人に語ってもらったインタビューをお届けしよう。

◆メトロノーム~画像&映像~

■昔だったらこういう複雑な曲を作るのにすごく試行錯誤していたと思う
■今は経験が積み重なって苦労しなくても作れるようになりました


――ニュー・シングル「弊帚トリムルティ」を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?

フクスケ:僕らは毎回そうですけど、CDを作るにあたって、三人で話し合ってテーマを決めたりすることはないんです。今回もメンバーそれぞれの曲を1曲ずつ入れようということだけ決めて、それぞれが曲作りに取り掛かりました。選曲会の時は三人が持ち寄った曲が12~13曲くらいあったんですよ。その中からリウが作った「弊帚トリムルティ」を表題にしようと決めました。

リウ:コンセプトみたいなものはなかったので、今の自分が良いと思うものや、メトロノームでこういうことをしたら面白いんじゃないかなと思うものを4~5曲作ったんですね。それを、どれがイチオシみたいなこともなく、並列でみんなに聴いてもらったら「弊帚トリムルティ」が良いということになりました。この曲を作った時は、曲の展開に合わせて主人公が次々変わっていくような映像が浮かんできたり、ライブの時にスポットが当たる人がどんどん変わるようなイメージの曲にしたいなと思って形にしていったことを覚えています。


▲「弊帚トリムルティ」【初回限定プレス盤】


▲「弊帚トリムルティ」【通常盤】

――どこに連れていかれるんだろうという感覚になる展開が光っていますね。

リウ:ありがとうございます。この曲の間奏はギター・ソロが終わって音が伸びていると思ったら、裏でベースが軽くソロみたいなことをしていて、それが終わるとギター・リフだけになって、その後はドロップ・チューニングにしたベースがゴリゴリしたスラップをやって、ザクザクしたギターの上でボコーダーが鳴る…みたいな流れになっていて。僕らにしかできないだろうという個性を詰めた感じですね。ただ、緻密に構築したわけではなくて、イントロから順番に作っていったらスムーズに進んで、気がついたらこういう構成になっていたんです。多分昔だったら、こういう複雑な曲を作るのに、すごく試行錯誤していたと思うんですよ。そういう経験が積み重なって、苦労しなくても作れるようになったというのはありますね。実際、この曲で僕が一番こだわったのはイントロでした。もちろん曲を作る時はボーカルが目立つようにしていますけど、何度でも聴きたくなるような中毒性のあるシンセのフレーズを頭に入れたいなというのがあって。それを形にできたことを感じていて、すごく気に入っています。

――曲が始まると同時に、メトロノームの世界に惹き込まれました。「弊帚トリムルティ」の歌詞についても話していただけますか。

シャラク:シングルの制作に入る前に、リリース後に予定しているツアーのタイトルが先に決まっていて、こういう感じの歌詞を書いて欲しいと言われたんです。それで、いろいろ考えて、“弊帚トリムルティ”というツアー・タイトルをそのまま使うことにして、それに沿った歌詞を書くことにしました。“弊帚トリムルティ”という言葉には“三人でがんばろう”みたいな意味合いが込められていて、そこに自分を混ぜてくれてありがとう…みたいな歌詞になっています。メンバーに向けた気持ちが一番大きいけど、うちらを受け入れてくれるお客さん、もっと大きな世界に対する感謝の気持ちも込めました。

――今の自分達の素直な気持ちを書かれたんですね。では、「弊帚トリムルティ」のレコーディングはいかがでしたか?

フクスケ:今回のデモ出しをした時に、この曲の他にもギター・ソロのある曲が1曲あって、その曲は全然良いソロがつけられなかったんです。だけど、「弊帚トリムルティ」はスンナリとギター・ソロのメロディーが出てきて、それをそのまま活かせた。なので、僕の中では、この曲はギター・ソロの印象が一番強いです。

――ブルージーな前半からエモーショナルな後半に移る流れが絶妙です。バッキングに関しては、Aメロはギターを1本にしつつサビなどはステレオに振って、音像の広さをギターで演出していることが印象的です。

フクスケ:歌中のギターが1本なのは、メロディーに対してギターがうるさくならないようにしたかったんです。そのためにはギターの音量を下げるよりも、ギターの居場所を狭めたほうが良いと思って。それに、言われた通りステレオになったパートで音像が広がることで、サビの開けた感じが強調されるというのもありましたね。あと、チューニングを“ドロップD”まで落としているんですけど、僕のギターはフロイドローズ(ロック式トレモロ・ユニット)が付いているので、ドロップDにするとチューニングが全然合わないんですよ。なので、この曲は全弦1音下げチューニングにして弾きました。ライブはレギュラー・チューニングで弾くことになるので、ポジションが変わるんですよね。だから、改めて練習しないとな…と思っています。

――ドロップDに対応するために全弦1音下げにするという発想は盲点でした。それに、ギターの音もすごくカッコいいですね。

フクスケ:今回の音源の音は、自分でも良い感じになったなと思います。「弊帚トリムルティ」と3曲目の「友達の和」のレコーディングは、ケンパー(様々なアンプのトーンを再現できるデジタル・アンプ)を使っています。で、2曲目の「ボクになりたかった僕」だけは、プラグインのアンプ・シミュレーターを使いました。

リウ:僕は自分の曲の場合、ベースのアレンジは一番最後になるんです。この曲もシンセとかを全部入れてから、ベースでどうウネらせていくかを考えました。でも、それくらいかな。途中に出てくるスラップとか、ギター・ソロ後のハイポジにいくフレーズとかは自然と出てきたものだし。なので、特に話すことはないです(笑)。

――いやいや(笑)。この曲のベースは、生とシンベの中間のようなテイストになっていませんか?

リウ:本当ですか? でも、音作りで変わったことは何もしていなくて、ベースをそのままアンプに挿す…みたいな(笑)。だから、シンベっぽく聴こえるとしたら、弾き方だと思います。……たしかに、そう言われると、そうかもしれない。Aメロとかは、スタッカートでルート弾きをしているから。同期がいろいろ入っている中では、ベースはスタッカート気味に弾いたほうがノリが出るし、音の抜けも良くなるんですよ。弾くのは大変ですけど(笑)。でも、それをずっとメトロノームでやっているので得意になっている部分があって、もう無意識にスタッカート気味に弾いたので、忘れていました(笑)。フクスケ君のギターにしても、シャラク君の歌にしてもタイム感がすごくジャストなので、そこにスタッカートのベースを入れると打ち込みっぽく感じるかもしれないですね。あと、スラップのところはキーがDなので、チューニングを下げようか、オクターブ上で弾こうか迷ったんですよ。でも、最近はエフェクターでライブ中にチューニングを下げてしまうので、レギュラー・チューニングでも対応できるんです。なので、レコーディングではチューニングを下げて、低い音でスラップすることにしました。

シャラク:オイラは、いつも全く練習しないでレコーディングに臨むんです。歌録り当日に、いきなり本番という(笑)。それで、ライブでやるごとに歌い方のニュアンスとかが変わっていったりするんですけど、今回はデモであがった10何曲を全部僕が仮歌を歌って、そのうえでどれにするか決めようということになったんです。それで、多少練習できたから、今回は多少ライブに近い感じで録れました(笑)。

――いきなり本番で歌えるというのはメンタルが強いというか、なんというか(笑)。「弊帚トリムルティ」はシャラクさんの少年っぽい歌声と合いの手のパワフルなパワー・コーラスのコントラストが良いですね。

リウ:あのコーラスは、最初からイメージがありました。ライブの時に、お客さんと一緒に歌うことで一体感を出せる曲があっても良いかなと思って。なので、この曲はライブでやるのが楽しみです。

――きっと盛り上がるでしょうね。それに、サビ・パートで声にオート・チューンを掛けていますが、薄い掛かり具合が心地好いです。

シャラク:オート・チューンはちょっと音程が外れたほうが気持ち良く掛かるんですけど、ピッチがわりと合っていると面白く掛からないんですよ。でも、オイラは敢えて音程を外して歌うということが上手くできなくて、掛かりが薄くなってしまっているんです。あまり効果的じゃないなと思っていたので、薄い掛かり方が良いと言ってもらえて、ちょっと安心しました(笑)。

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