【インタビュー】ファンキー加藤「ステージ上で歌ってナンボ、前よりもさらにライブ感のある音源になった」

ツイート

■鋭利なもののほうがリスナーに深く刺さるなということを感じていて
■だから、よりリアルな心情や本音を発信していこうと思うんです


――話をアルバムに戻しますが、「急性ラブコール中毒 Solo ver.」という曲は……。

ファンキー加藤:“急性ラブコール中毒”というのは、元々はライブをした後には声が嗄れるわけですよ。それを表現するために、“急性ラブコール中毒”という造語を作って、ブログとかにアップしていたんです。「急性ラブコール中毒になって、声が嗄れたぜ」みたいな感じで。その時に、急性ラブコール中毒という言葉は良いなと思って、そこから曲を作ることにして。それで、今までPart.1からPart.3まで出して来たんですけど、Part.1はロックンロールで、Part.2はEDMで、Part.3はダンスクラシックだった。要は、年代年代のダンスミュージックですよね。で、今回「急性ラブコール中毒」の続編を作ろうということで、どの年代を反映しているダンスナンバーにしようかという話になって。それで、90年代が空いているなと。90年代は何が流行ったかというとパラパラだといって、パラパラをやろうということになりました(笑)。

――アルバムを聴いていてこの曲が出てきた時は、かなりな衝撃でした(笑)。

ファンキー加藤:衝撃ですよね(笑)。これをマジでやっているとは思われたくないんですよ。“今、敢えてのパラパラだよ”ということが伝わらないとヤバい(笑)。

――いえ、それは伝わりました(笑)。ただ、お遊びとはいえ、この曲のクオリティーはすごく高いですね。

ファンキー加藤:こういうおふざけソングこそ真面目にやらないと面白くないから。だから、真剣に曲作りをしたし、メロディーとか、歌い方とかもちゃんとあの頃に寄せました。この曲は、若干歌謡曲っぽいメロディーがありますよね。90年代の音楽は、サウンドはすごくカッコいいのにメロディーはちょっといなたかったりして、それが特色であり、魅力になっている。そういうことも、ちゃんと研究したんです。


▲3rdアルバム『今日の詩』初回限定盤【CD+DVD】


▲3rdアルバム『今日の詩』通常盤【CD】

――その結果、すごく病み付き感のある曲になっています。

ファンキー加藤:そう言ってもらえると嬉しいです。「急性ラブコール中毒」もそうですけど、僕は毎回アルバムに1~2曲くらい下ネタのおふざけソングを入れているんですよ。ファンの皆さん……特に、コアなファンの方が喜んでくれるので。ただ、そこもちゃんとやっているというか。ただ単に卑猥な言葉を連呼すれば良いというものではないので。ちょっと匂わせて、クスッと笑わせるくらいのところに落とし込みたいんですよね。

――「急性ラブコール中毒 Solo ver.」の“ジジイになっても、まだまだいくぜ!”という歌詞も良いですね。ところで、今回“Solo ver.”ということは、いつもは誰かとコラボされていたのでしょうか?

ファンキー加藤:いや、それもね……“Solo ver.”の“ソロ”というのは“独り”ということなんですよ。誰かとじゃなくて、独りで…(笑)。

――あっ、そういうことなんですね。

ファンキー加藤:そう(笑)。今までの「急性ラブコール中毒」は、ラブコールを送る対象の相手がいたんです。でも、今回はいろんなことを踏まえて“全部独りで処理します”と(笑)。それで、ソロ・バージョンなんです(笑)。

――な、なるほど(笑)。それを知ったうえで歌詞を読むと、一層来るものがありますね(笑)。今作は「おーい友よ」もそうですが、等身大の歌詞が多くなっていますね。

ファンキー加藤:どんどん、そういう風になっているかな。なんて言うんだろう……僕は、鋭利なもののほうがリスナーに深く刺さるなということを感じていて。だから、よりリアルな心情や本音を発信していったほうが良いなと思うんですよ。そうすると独りよがりなメッセージになってしまうかなという気がしていたけど、逆にパーソナルな視点の歌のほうが普遍的なものになったりするし。そういうところで、音楽というものがより自分の身近なものになってきていることは感じています。

――キャリアを重ねたアーティストは、自身の生き方を示すことも大事ですしね。

ファンキー加藤:最終的には、そういうことになっていくんでしょうね。どれだけ身を削って、ダシを取っていくか…みたいな。でも、もう麻痺しているのかもしれないけど、それにツラさを感じることはないかな。前作のアルバムを作った時は、時期的に自分の内面を曝け出すことが結構しんどかったけど、今は以前より少し前を向けた気がします。だから、今後はどんどん等身大の自分を見せていこうと思っています。


――そういう姿勢は賛成です。話がちょっと逸れましたが、いろいろな情景を描いてみせるアルバムを締め括るのは、そこはかとなくレゲェ感が漂う「ラストナンバー」です。

ファンキー加藤:裏打ちのリズムを活かしてはいるけど、レゲェという認識はなかったですね。この曲はアルバムに新しいファンキー加藤を注入してもらえると良いなというところで、TinyVoiceProductionの前田(佑)さんというプロデューサーと初めて組ませてもらったんですけど、僕の中には最初からはっきりとしたテーマがあって。いわゆるツアーソングにしたかったんです。ロックの人は、よくそういうことを歌いますよね。僕は今までそういう曲を作ったことがなかったけど、ツアーというのはミュージシャンにとっての日常だったりするので、その日常を切り取って歌うとファンの皆さんに楽しんでもらえるかなとずっと思っていたんです。

――実際、「ラストナンバー」の歌詞は、すごくリアルですね。

ファンキー加藤:めっちゃリアルです。爆風スランプさんの曲で「THE BLUE BUS BLUES」というのがあって、売れていない頃に機材車で全国を旅していた頃のことを歌っているんですよ。お金がない日はバスの上に段ボールを敷いて、星空を見ながら寝て、いつかあの星になろうぜということを笑いながら語り合うという歌詞で、ミュージシャンになりたいと思っていた僕にとって、すごく憧れる曲だったんです。その曲が本当に好きで、いつか自分がデビューできたらツアーの歌を作りたいなという想いがずっとあった。それを今回形にできて、すごく良かったなと思います。歌に関してはラップのパートとかもあったので、そういうところはちゃんと韻を踏んで、言葉でリズムを出していくことを意識しました。リズム感には気をつけましたね。

――アルバムを聴いて改めて感じましたが、歌でリズムを出していくことに長けていますね。それもカチカチしたリズムではなくて、バウンド感があるというか。

ファンキー加藤:本当ですか? 自分では、あまり自信がないんですよ。いつも本当にね、レコーディング・ブースで悩みながら、じっくり時間を掛けて歌は録っているんです。だから、そう言ってもらえると、すごく嬉しい。歌がバウンドしているというのは、ライブ感を出すようにしていることが効いているのかなという気がしますね。歌録りをする時はブースの空調を止めて、汗をかきながら歌っているので。

――そういう、ひたむきさも全編を通して伝わってきました。

ファンキー加藤:レコーディングは未だに得意とはいえなくて、もうがんばるしかないという感じで歌っているんですよ。それに、レコーディングが続いていたから、後半は喉の調子があまり良くなかったんです。だから、気合を入れて、全身を使って歌っていた感じがある。そういう必死さが、ひたむきに聴こえるんじゃないですか?(笑)


――いえ、人柄だと思います。さて、『今日の詩』は多彩かつ良質な楽曲が顔を揃えた、聴き応えのある一作になりました。

ファンキー加藤:ありがとうございます。良いアルバムだと思っています、自分でも(笑)。正直、今回のアルバムの制作に入る前は、不安だったんですよ。前作を作った時に燃え尽きてしまって、もうアイディアも何もない状態になったから。でも、適切なリリース・タイミングというものがあるから、新しいアルバムを作ることから逃げるわけにはいかなくて。だから、ちゃんとやろうという気持ちが、いつも以上にありましたね。“音楽を生業としている俺、ちゃんと曲を作ろう”と。アーティスティックとか、レイドバックといった言葉でごまかすんじゃなくて、音楽で飯を食っているんだというプライドを胸に音楽を創った。だから、このアルバムがより多くの人に届くと良いなと思っています。

――エンターテイメント性を持った作品で、幅広い層のリスナーにお薦めです。それに、先ほど少し話が出ましたが、『今日の詩』のリリースに加えて、その後のライブ展開も楽しみです。

ファンキー加藤:僕も楽しみにしています。全日本インストアフリーライブツアー~超原点回帰~も楽しみだけど、曲数の制限があるんですよね。だから、たっぷり時間が取れる全国ホールツアーも早くやりたい。ホールツアーは『今日の詩』の曲を中心に構成していくことになるので、また新しいファンキー加藤を見てもらえると思うんですよ。なので、今はすごくワクワクしているし、ぜひそれを味わいに来て欲しいです。

取材・文●村上孝之

リリース情報

3rdアルバム「今日の詩」2018年3月21日発売
■初回限定盤【CD+DVD】MUCD-8119/20 ¥4,000+税
【収録曲】
M1.冷めた牛丼をほおばって(TBS系テレビ「CDTV」11月度エンディングテーマ)
M2.花
M3.失恋の詩(日本テレビ系「採用!フリップNEWS」3月度エンディングテーマ)
M4.風物詩
M5.You are the Light
M6.ダイジョウブルース
M7.前へ ~My way~(「淀川 寛平マラソン」テーマソング)
M8.おーい友よ M9.We can Dance
M10.急性ラブコール中毒 Solo ver.
M11.ラストナンバー
【DVD収録内容】
・「冷めた牛丼をほおばって」VIDEO CLIP
・「失恋の詩」VIDEO CLIP
・「失恋の詩」VIDEO CLIPメイキング映像
・漢への道 番外編~アイスクライミング編~
・急性ラブコール中毒 Part.1~Part.3 MVメドレー

■通常盤【CD】MUCD-1406 ¥3,000+税
【収録曲】
M1.冷めた牛丼をほおばって(TBS系テレビ「CDTV」11月度エンディングテーマ)
M2.花
M3.失恋の詩(日本テレビ系「採用!フリップNEWS」3月度エンディングテーマ)
M4.風物詩
M5.You are the Light
M6.ダイジョウブルース
M7.前へ ~My way~(「淀川 寛平マラソン」テーマソング)
M8.おーい友よ
M9.We can Dance
M10.急性ラブコール中毒 Solo ver.
M11.ラストナンバー

「失恋の詩」先行配信スタート
■iTunes https://itunes.apple.com/jp/artist/804607635
■レコチョク http://recochoku.jp/artist/2000178701/
※その他、主要配信サイトでも配信を行います。

ライブ・イベント情報

「全日本フリーライブツアー~超原点回帰~」
【長崎】3月10日(土)@アミュプラザ長崎かもめ広場(JR長崎駅)
【香川】3月18日(日)@「SANUKI ROCK COLOSSEUM」~BUSTA CUP 9th round~(瓦町駅地下広場)
【兵庫】3月24日(土)@あまがさきキューズモール 2F 縁遊広場ステージ
【山口】3月31日(土)@ゆめシティ 1F ゆめ広場
【愛媛】4月1日(日)@・エミフルMASAKI エミモール1F グリーンコート
【香川】4月7日(土)@Thanks SETO 30th Fes(E30瀬戸中央自動車道 与島パーキングエリア 特設ステージ)
【岩手】4月15日(日)@盛岡駅ビルフェザン本館1F フェザンパティオ<吹抜けスペース>
※その後のスケジュールにつきましては、決定し次第随時発表。※無料でどなたでもご覧いただけます。

<全国ホールツアー>
2018年10月13日(土) 埼玉 戸田市文化会館
2018年10月25日(木) 東京 中野サンプラザホール
2018年11月1日(木) 大阪 オリックス劇場
2018年11月10日(土) 岡山 岡山市民会館
2018年11月17日(土) 福井 鯖江市文化センター
2018年11月28日(水) 愛知 名古屋国際会議場 センチュリーホール
2018年12月7日(金) 北海道 札幌市教育文化会館(大ホール)
2018年12月21日(金) 福岡 福岡市民会館(大ホール)
2018年12月23日(日) 香川 サンポートホール高松(大ホール)
2018年12月29日(土) 宮城 仙台サンプラザホール
チケット先行:FC会員様を対象とした3rdアルバム「今日の詩」封入先行を実施。

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス