【インタビュー】地獄ヘルズ、3バンドが合体した地獄のロックンロールアルバムが完成

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■初期衝動を活かしつつちょっとしたリフをつけたり
■展開をつけたりする作業がすごく楽しかった


――こういうバンドで「腐るまで」みたいな曲もやる辺りは、さすがは戸城さんといえますね。自作曲の「地獄のサンダー超特急」についても話していただけますか。

ジョニーダイアモンド:地獄ヘルズが以前出した3曲入りのシングルに「地獄のrock’n roll fire」という曲があったから、次は絶対サンダーやね…みたいな(笑)。

戸城:もはや曲調とかじゃないという(笑)。

ジョニーダイアモンド:そう(笑)。なので、“サンダー”というテーマは最初からあって、それを踏まえて曲を作って戸城さんに聴かせたら、「お前、これ完全にオジー・オズボーンじゃねぇか」と言われて(笑)。

戸城:オジーの「クレイジートレイン」と同じリフを持ってきやがって(笑)。全く一緒で、さすがにこれはダメだろうっていう(笑)。それで、俺が勝手にいじって、今のリフに落とし込みました。

――なるほど(笑)。でも「地獄のサンダー超特急」のリフは、すごくカッコいいです。

戸城:それは、ランディー・ローズのお陰かな(笑)。

一同:ハハハッ!

荒金:僕は、「極楽ANGEL」が好きです。THE SLUT BANKSと首振りDollsはハードロックで好きなバンドが共通していたりするけど、僕は正直そういう畑はあまり通っていなくて。戸城さんとは、ジョニー・サンダースとかの話をずっとしていたんですよ。「極楽ANGEL」はギターのフレーズとかにジョニー・サンダースっぽさを感じていて。それで、この曲は僕の中のジョニー・サンダースっぽさを意識してギターを弾いたんです。そういうところを活かせたのが、すごく良かったと思います。

戸城:俺の中で印象が強いのは、やっぱり三人が書いた曲だね。自分以外の人間が書いた曲をアレンジするのが楽しかったから。だって、ナオとかジョニーの最初のデモは酷いんだよ(笑)。

ナオ:いや、マジでヒドいっス(笑)。

戸城:MTRとかで作ったデモじゃなくて、スタジオで演奏したのを“バコッ”と録ったようなのをラインに上げてきて。それが、これといって何があるわけでもなくて(笑)。しかも、1曲の形になっていなくて曲の断片が並んでいるんだ(笑)。

ナオ:Aメロはこういう感じです、サビはこういう感じです…という(笑)。

戸城:せめて曲の形にしろやっていう(笑)。でも、それは彼らの初期衝動の塊だよね。だから、初期衝動を活かしつつちょっとしたリフをつけたり、展開をつけたりしていって。その作業が、すごく楽しかったんだ。


――プロデューサーの役割も果たされているんですね。では続いて、『地獄のロックンロールファイヤー』のプレイや音作りなどについて話しましょう。

ナオ:ボーカルが三人いるので、私は主にハモリの担当が多かったです。祐さんとカタヤマ君は声のタイプが全然違うから、それぞれに合わせた声でハモる必要があるんですよ。たとえば同じAメロでも1番は祐さんが歌っていて、2番はカタヤマ君が歌っていると、一緒のニュアンスでハモっても良い感じにならない。逆に、それが面白かったですね。レコーディングしていく中で二人の声に合わせるコツみたいなものもだんだん掴んできて、ちょっとハモリの職人になったような感覚を味わえました(笑)。

板谷:そこは、俺もやるなと思った。でも、ナオ君がメインで歌っている場所もいっぱいあるよね。というか、むしろ一番多いんじゃない?(笑)

ナオ:……実は、そうなんです(笑)。でも、今回はハモリの印象が強いですね。「極楽ANGEL」とかは、メッチャちょけた感じでハモッたんですよ。きれいに音を乗せるんじゃなくて、ちょっと上でキュンキュンいってる感じのハモリにしたんですけど、それが自分的には楽しかったです。

――ハードロックでトリプルボーカルというのはレアですよね。歌の振り分けは、どうやって決めたのでしょう?

ナオ:最初はそれぞれが作詞したところを歌ったりしていたんですけど、曲の中で三人の得意分野みたいなところが見えてきて。それで、得意なところを歌ったり、同じメロディーをそれぞれが歌ってニュアンスの違いを出したりという感じでした。

――三人は色気があるところが共通しているうえで、ナオさんは情熱的、カタヤマさんはエモーショナル、そして板谷さんは貫禄に溢れています。

一同:そう! 板谷さんの歌には、人生が滲み出ている(笑)。

戸城:アハハ(笑)。最後に入っている「腐るまで」は、最初は1番と2番があって、ギター・ソロがあって…という構成だったんだけど、ちょっと違うなと思って。それで、どうせならということで、それぞれに1コーラス歌ってもらうことにしたわけ。で、仮歌の時は祐が最初に歌ったんだよね。そうしたら、人生を悟ったヤツが最初に歌っちゃったもんだから、次に来るのが若造過ぎちゃって(笑)。それで、祐には最後に登場してもらうことにしました(笑)。

ナオ:最初に私が歌って、次に(カタヤマ)ヒロキ君が歌って、最後に祐さんという順番になったんですけど、この曲を聴いていると3番になるたびに“敵わねぇ!”と思います(笑)。これは、俺には出せねぇって。私も人生経験を積んで、祐さんみたいな歌が歌えるようになりたいです。

カタヤマ:歌に関しては祐さんとナオ君がすごくパワフルというか、武器でいうと金棒みたいな“ブォーン!”というタイプで、僕は小さいナイフみたいな感じだなと思っていて。それで、二人に負けないように吠えることにしたのが「ヘルズ・ボーイズ」です。サビのところを歌っていて、そこは凶暴さを出すことを意識しました。Droogで激しい歌を歌っていないわけじゃないけど、もっとパワフルにという。そういうところで、歌に関しては「ヘルズ・ボーイズ」が印象に残っています。

戸城:ヒロキは、あとの二人とちょっとカラーが違うというのが良いんだよ。チェッカーズでいうところのフミヤさんだから(笑)。もちろん祐は、高杢さんね(笑)。

板谷:まぁ、そうなりますよね(笑)。

戸城:俺、チェッカーズのカバーとかも、やろうかなと思っているんだ(笑)。

一同:ええっ? そうなんですか?(ザワザワザワ…)

――それも、ぜひ聴いてみたいです(笑)。板谷さん、ご自身の歌に関しては、いかがでしたか?

板谷:自分が歌詞を書いたところは自分の中にイメージがあるけど、ナオちゃんやヒロキ君が書いたものは彼らの世界なんですよね。それを俺が歌うにあたって言霊というか、想いを入れるということにやり甲斐を感じました。それができていないと自分の歌を歌えないから、そこはしっかりやりましたね。その結果、ナオちゃんやヒロキ君が意図したものとはちょっと違っているかもしれないけど、自分なりの表現ができたかなというのがあって満足しています。そういうアプローチを採ることで、トリプルボーカルというスタイルがより映えるだろうというのがあったし。それに、ナオちゃんとかは普段首振りDollsではドラム&ボーカルでやっているけど、地獄ヘルズでは歌に専念してハンドマイクを持って歌うわけだから。

ナオ:もう、地獄ヘルズでは解き放たれています(笑)。

カタヤマ:もう、ずっとステージ前のキワッキワにいるよね(笑)。

板谷:そう(笑)。ナオちゃんが“ガッコーン!”といくから、俺らは怒られるんですよ。お前ら二人ももっと前に出ろよって(笑)。そんな風にナオちゃんは地獄ヘルズではよりシンガーとして立っているし、ヒロキ君は俺とは違ったエモーショナルなスタイルだから、より自分を出さないと…という気持ちもあって。だから、どの曲も自分らしくということを意識しました。

金川:ドラムに関しては、今日ここにいない人のことを代弁するとD’ERLANGERの菊地哲(dr)さんも参加されていて。5曲くらい叩いているんですけど、どれも彼のドラムが炸裂していて、彼の後輩ドラマーとしては“全部、哲さんで良いんじゃね?”みたいな感じでした。でも、「地獄の一丁目」とか「デストロイヤー」はツインドラムで、交互に叩いているんですよ。

――お二人の名前がクレジットされているのに2台のドラムが同時に鳴っていないので、一人はパーカッションを叩いたのかなと思いました。

金川:いや、「デストロイヤー」の速いフィルとかは、全部哲さんが一人で叩いているんです。で、後半のショボくなるところが俺です(笑)。

――ショボくはないです(笑)。個性の異なるお二人のドラムも楽しめましたよ。菊地さんの饒舌なドラミングに対して、金川さんのドラムはタイトかつ肉感的という心地好いリズムが光っています。

金川:俺は、そういうところを目指しているんです。フレーズとか、音だけでは哲さんみたいに凄いと言われるところには持っていけないから、気持ち良いリズムということを大事にしている。そういうドラムの良さは伝わりにくいから、哲さんと比べると地味に感じるだろうなというのがあって。だから、そこに気づいてもらえたのは嬉しいです。THE SLUT BANKSの時は哲さんみたいに叩けたら良いなと思って結構手数をぶち込んだり、音もヘヴィな方向ではなくて“スコーン!”と抜ける、ある意味シャープで抜ける音を出すようにしたりしているんですね。でも、地獄ヘルズは哲さんが参加すると分かっていたから違いを出したかったし、地獄だしということで低い音作りにして、普段やらないようなバカっぽいドラムを叩きました。難しいことはしないで、シンプルにいこうと。特に、ナオ君が書いた「ヤバいヤツ」とか、8曲目の「極楽ANGEL」とかは、普段はこういう音にはしないという、低くて、どっしりした音で、結構シンプルに叩いたつもりなんですよ。それが結構気持ち良い感じに仕上がっていたから、完成したトラックを聴いて、“良いじゃん!”と思いました。自画自賛な感じですけど(笑)。

ナオ:いや、みんなメガにぃのドラムは、すごく良いと思ってるから。

一同:うん、兄貴のドラムは気持ち良いし、カッコいい。

――同感です。どの曲をどちらが叩くかという振り分けのポインは?

金川:曲作りの段階で俺は一応全部の曲を叩けるようにしておいて、これとこれは哲さんに任せるかと戸城さんに言われて、分かりましたという感じでした。本当は全部叩きたかったのに…みたいな(笑)。

一同:ハハハッ!!

板谷:チクリと来ましたね(笑)。

戸城:言うねぇ(笑)。でも、俺も断腸の思いで振り分けたんだよ。

金川:本当ですか?

戸城:……多分(笑)。

ジョニーダイアモンド:アハハ(笑)。ギターは、僕と祐太朗君は全くタイプが違うから、役割分担とかを話し合ったりはしていないけど、良い感じにキャラ分けができたかなと思います。僕の中では、自分は“汚いほう担当”という感じです(笑)。戸城さんにエグいギターを入れて欲しいと言われたことあって、そういう方向でいきました。

荒金:今回はジョニーと二人でやり取りする時間があまりなかったんですよ。レコーディングの時も戸城さんに、ジョニーにこういうものを弾かせたり、ギター・ソロを弾かせたいから、その裏で何をしようか考えようと言われることが多くて。でも、それを想像してアプローチを考えるのが楽しかったし、その場でフレーズとかを決めて録るという経験をあまりしたことがなかったので勉強になりました。ギターで印象が強いのはさっき話した「極楽ANGEL」もそうだし、あとは「腐るまで」ですね。「腐るまで」は今回の中で最後にできた曲で、これも現場でギター・パートを作っていったんです。で、どんな音にしようかというところを揉んでいって、この音良いねということになって。それで、じゃあ一回合わせてみようかといって弾いたテイクが、そのままOKになった。そういう録り方ができたのがすごく嬉しかったし、ライブ感のあるテイクを録れたという意味でも満足しています。

ジョニーダイアモンド:僕は6曲目の「ヤバいヤツ」で、初めてトーキング・モジュレーターを使ったんです。前から興味はあったけど、現物を見たのも初めてで、こんな風になっているんだと思いました。

戸城:俺が使えと言ったんだけど、現物を見てすごく喜んでた(笑)。

ジョニーダイアモンド:気持ちが上がりました(笑)。トーキング・モジュレーターはすごく面白くて、今回使わせてもらえたのは良い収穫になりましたね。今後は首振りDollsでも使うことになると思います。

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