【ライブレポート】ジョン・レジェンド、愛溢れる歌声に包まれた贅沢な一夜

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3月12日、ジョン・レジェンドが東京・EX THEATER ROPPONGIにて、3年半ぶりの日本公演を開いた。翌日と合わせ二夜限りという貴重な公演だっただけでなく、海外では1~2万人を収容するアリーナ級の会場で開催されることが多いレジェンドのパフォーマンスを2,000人にも満たないオーディエンスでシェアできる贅沢な時間となった。

◆ジョン・レジェンド東京公演 画像

ツイン・ドラムにギター、ベース、キーボード、トロンボーン、トランペット、サックス、3人のバック・ヴォーカリストという総勢11名のビッグ・バンドを従えてのショウは、最新アルバム『Darkness And Light』(2016年)のオープニング・トラック「I Know Better」で開幕。ステージ中央に設置されたグランド・ピアノを弾き語る、力強くも優しい、ソウルフルなレジェンドの歌声が瞬時に会場を包み込んだ。

現代のキング・オブ・バラード、レジェンドはこの夜、期待どおり、極上のバラードの数々を披露したが、それらは、ときにロマンチック、ときに優しく、シックだったりダンサンブルなときもあれば、たくましかったり、繊細で美しいなど、色彩豊かなものだった。



ハイライトばかりの中、アリアナ・グランデとのデュエット「Beauty And The Beast」はソロでパフォーマンスしたことにより曲の新しい魅力を引き出し、ピアノの弾き語りによるザ・ビーチ・ボーイズのカバー「God Only Knows」の美しさ、シングアロングとなった「All Of Me」、そして多分、この夜最もパワフルだったラストの「Glory」は圧巻だった。また、出産に立ち会ったものの、役に立たず、DJばりに音楽をかけることしかできなかったとのエピソードを披露し、ルナちゃんが誕生した瞬間に流れていたのがこれだったと、カーティス・メイフィールドの「Superfly」をパフォーマンスしたり、家族や数日前に亡くなった愛犬を撮ったビデオが流れるなどアットホームな場面もあった。

ジョン・レジェンドのパフォーマンスをミュージック・セラピーと表した人がいたが、それは音楽性だけでなく、愛情溢れる彼の性格によるところも大きいのだろう。押しも押されもせぬスーパースターながら、その気さくで優しい性質は至るところで見られ、実際、彼が「アイ・ラブ・ユーと口にしよう」と呼びかけたのもあるが、会場には愛が溢れていた。レジェンドへの愛、音楽への愛、一緒にコンサートを観に来た人への愛、その場にはいない人への愛……、様々だろうが、ライブにつきものの熱気や高揚感だけではなく、優しく穏やかな空気に包まれた。



また、バック・スクリーンには映画『グローリー/明日への行進(Selma)』で描かれたマーティン・ルーサー・キング牧師の時代から近年の“Black Lives Matter”まで、人種問題に焦点を当てた映像も流すなど、愛ほど明確に表されたわけではなかったが、メッセージ性の強いパフォーマンスもあった。これは、本国アメリカではさらに強調されていたのではないだろうか。レジェンドの優しいだけじゃない、強く毅然とした姿勢が垣間見られた。

ジョン・レジェンド日本公演初日(3月12日)のセットリストは以下の通り。

I Know Better
Penthouse Floor
Tonight (Best You Ever Had)
Love Me Now
Made To Love
Darkness And Light
Overload
Start A Fire
Used To Love U
Save The Night
Like I’m Gonna Lose You
Save Room
Stay With You
Superfly
Wake Up Everybody
Beauty And The Beast
Ordinary People
Got Only Knows
Surefire
Green Light
Who Do We Think We Are
You & I
So High

アンコール
All Of Me
Glory

Text by Ako Suzuki
Photos by Masanori Naruse
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