【ライブレポート】ALvino、活動停止前最後のステージで「曲に込めた3人の気持ちは永遠」

ALvinoが3月17日、＜2018 ALvino Ending Tour「changeless ［Smile］」＞の東京･日本橋三井ホール公演を開催した。東名阪3公演の規模で行われた同ツアーはALvinoのラストツアーであり、東京公演はそのファイナル。つまり、活動停止前最後のステージとなる。その速報レポートをお届けしたい。

◆ALvino 画像

ALvinoは2017年7月29日、「ヴォーカルのShotaが2015年に発症した喉の不調」を理由にオフィシャルサイトにて活動停止を発表。その時アナウンスされていた2017年のライブスケジュールはそのまま敢行され、2018年、＜Ending Tour「changeless ［Smile］」＞を冠した同東名阪ツアーにて12年の活動に一旦幕を下ろすこととなった。

会場となる日本橋三井ホールは、伝統の街･日本橋に位置する多目的ホールだ。東京駅や銀座からほど近く、地下鉄にも直結。高級感溢れるエントランスをはじめとした格式高い雰囲気が、ALvino最後のステージをより緊張感の高いものにしてくれる。

開演時間の18時に場内が暗転、ブルーのライトが照らすステージにメンバーが登場した。オープニングナンバーは2006年発表の1stシングル収録曲「ビタースマイル」。透き通るようなギターのアルペジオサウンドが爽やかな幕開けを告げ、軽やかなポップチューンが場内の空気を鮮やかに染め上げる。続けて、「みんなで踊ろうぜ！」というShotaの短いMCを挟んで演奏された「春恋」はKOJIと潤によるハモリとリレーソロが秀逸。ツインギターの醍醐味を最大限に活かしたアンサンブルはもとより、それらの核を貫く美しく芳醇な主旋律はALvinoならではのものだ。

この日演奏されたアンコールを含む全24曲はバンドの12年を総括するもの。彼らの原点とも言える1stシングルから、同ツアーのために作られたという最新曲「Changeless」まで、ALvinoのすべてが凝縮されたセットリストだった。また、「昨年9月のツアーから今日までの間に、ALvinoがこれまで生み出してきた全曲を演奏したかった」とは開演前のバックステージで聞いたKOJIと潤の言葉。結果、東名阪3公演がまったく異なるセットリストだったという事実からも、ラストツアーに対する3人の思い入れの深さと強さがうかがい知れる。

「心のままに歌って、演奏して。会いに来てくれるみんながいて。とても大好きな場所です」というShotaのMCを挟んで、ライブは「ココロフィルム」「WB」の連発で最高潮を迎え、本編の幕を閉じた。そして、鳴り止まないアンコールに応えて、再びステージに登場したメンバーからファンへ向けた感謝の言葉が。

「この12年間、みんなの応援のおかげで続けることができました。心から感謝しています。これまで作ってきた僕らの音楽が、みんなの励みや、背中を押すきっかけになれれば。曲に込めた3人の想いは永遠です」──KOJI

「寂しくはないんです。楽曲という僕らの分身がこれからも生き続ける。今日のステージで、そういう気持ちになれました。ツアーのサブタイトルの“スマイル”という言葉が示す通り、みんなの輝かしい笑顔をもらうことができた、いい一日でした」──潤

「3人で前へ進もうと決めて、今回、こういう場所を用意させていただきました。ムリヤリでも笑おうとかじゃない、ALvinoらしい優しい空間になったと思います。一人一人のペースで、音楽がみんなの笑顔を運んでくれました」──Shota

Shotaの言葉通り、この日のステージが大げさにドラマを演出した感傷的なものではなく、爽やかさすら孕んでいたのは、彼ら本来の音楽性と人間性によるものだろう。そして何よりも、メンバー個々の未来にとって通過点のひとつであるという、ステージと客席の共通認識があったからに他ならない。Shotaの全身全霊のシャウトも、KOJIと潤による高い技量に裏打ちされたプレイもアンサンブルも、あまりに激しい客席の熱狂に絶えきれず、会場が揺れ過ぎて階下から苦情が来たという微笑ましいエピソードも、そのすべてがこの日のハイライト。MCをタイトにしてでも、出来る限りたくさんの楽曲を届けたいというメンバーの気持ちが、そのまま伝わってくる真摯なステージだった。

そして、客電が灯されたまま演奏されたアンコールラストの「この手紙...」。涙を拭うファンの表情が、晴れやかな笑顔に変わったこのシーンこそ、この夜のすべてを物語っていたようだ。BARKSでは後日あらためて、同公演の詳細レポートをお届けする。お楽しみに。

取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
撮影◎TORU ASO