【ライヴレポート】sleepyhead(ex.SuG武瑠)、“人間”として一歩を踏み出す<透明新月>の夜

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3月17日(土)、元SuGの武瑠によるソロプロジェクト“sleepyhead”の初ライヴ<sleepyhead 0TH ANNIVERSARY LIVESHOW「透明新月」>が東京・SHIBUYA TSUTAYA O-EASTにて開催された。記念すべき当日のレポートをお届けする。

◆sleepyhead ライヴ写真(全13点)

大人になれば、きっと誰だって傷つかなくて済むのなら、ツライことや痛みをともなう経験、失敗は、できればしたくないし、避けて、上手に生きたい。平穏な日々、そんな当たり前の毎日に幸せはあると大人になったシンガーたちも歌っている。だが、大人になったいまでも、気づけば、相変わらず荒波を立てまくりながら、見なくて済むような心に痛みをともなう経験やツライものから絶対に目を背けず、傷つくと分かっていながらも正面突破で立ち向かい「これでいいのか」と自問自答をくり返して人生に食らいついていく。そんな切実な“生き方”でしか、生きていることを実感できない人間もいる。

“生きたくて生きたくて、死にたくなる”(「ALIVE」)
アンコールラストに披露された歌、そこに描かれた、表現者が表現する場所を失っていた13040820秒間の地獄からのメッセージを聞いた瞬間、心が悲鳴をあげた。

「どんなにツライことがあっても“ただの遠回りだったね”って、あとからみんなと思える。それだけで幸せだなって思うから。ミュージシャンとしてではなく“人間”として一歩を踏み出す。それをみんなと共有できて幸せでした。ありがとうございます」──武瑠


2017年9月2日、日本武道館をラストライヴとして10年の歴史に幕を閉じたSuGのフロントマン・武瑠が、ソロプロジェクト“sleepyhead”として2018年3月17日、東京・SHIBUYA TSUTAYA O-EASTにて開催した初ライヴ<sleepyhead 0TH ANNIVERSARY LIVESHOW「透明新月」>。パンパンに集まったオーディエンス。場内が暗転すると悲鳴が響くなかキーボード、ドラム、ベースという布陣のサポートミュージシャンがスタンバイ。最後に武瑠が姿を表し「武瑠!」と叫ぶ声援が一段と高まる。声が途切れる。ステージを静かに凝視するオーディエンス。儚げなピアノのフレーズが流れ出し、キャリアゼロのsleepyheadのライヴは「闇雲」で幕を開けた。暗めのステージ、レーザーの光が、武瑠はさむように現れた黒パーカー&ボトムスのダンサーを照らし、場内は幻想的なナイトクラブの装い。答えを探しても、何も見つからない日々。“僕は光に飢えていた”と武瑠はメロディにのせて感情を赤裸々に吐き出す。

「“不完全”でもステージに帰ってきました。結局」
この日の武瑠の第一声に続いて、畳み掛けるような8ビートにのせて始まったのは「結局」。体はビートにのりながらも、“夢見た故の後遺症”“嫌いな自分のまま終われるわけがないだろう” 。武瑠から次々放たれる言葉が、容赦なくオーディエンスを飲み込んでいく。最後“泥水すすっても夢見てしまう僕だ” と儚い声で歌い、音がパッと途切れた。「音楽をやるかどうかも分かんない」。そういっていた武瑠が、再びここに戻ってきた理由に、胸が痛いほど締めつけられる。場内にファンの嗚咽が響くなか、武瑠が改まって「あえて“ただいま”ではなく言わせてください。初めまして。sleepyheadです」と挨拶。「綺麗な答えはなくていい。決意一つで人は進めるって、本当にその通りで。ここで歩み出して、みんなと一緒に答えを見つけていきたいと思ってます」と不完全でも歩み出した理由を伝えた。

そして、嫌なことがあったとき「世界一自分は不幸だと思ったこと、みんなもあると思うだけど」と問いかけ「俺もこの間いろいろあって。世界一不幸だと思ってたけど、世界一不幸でい続けるヤツこそ一番不幸でダサいと思って辞めた。それを味わったからこそ、今日は世界一幸せになりにきました!」と元気よく宣言。そうして次の「酩酊」へ。“酩酊させてよ もっともっと”というキャッチーなメロディにのせ、黒いレザーのバニーマスクをつけた女性ダンサーとともに、フロアはジャンピングで盛り上がる。



場内はとたんに秘密結社のクラブのような雰囲気へ。武瑠がギターを持ち「熱帯夜」が始まる。「かかってこい!」と武瑠が煽り、ダンサーたちがタオルを回すと、フロア全体に真っ白いタオルで埋め尽くされる。開放感あるコード展開、タオル回し、“オッオッオー”とシンギングを誘うサビのコーラス。キャッチー度の高いナンバーに、場内のテンションは急上昇。だが、次の「WANT ME BACK」でムードは一転。グルーヴィーなリズムにのせ、同じフレーズを何度もループする武瑠。その横で、首を鎖につながれたバニーダンサーズたちがもがき、舞台はアダルトな妖しい雰囲気に包まれる。“愛”と“欲望”につながれたバニーダンサーズたちを、投げキッスの呪文でスマートに解いた武瑠(フロアから悲鳴があがる!)は「君たちが思ってるよりも変態です」といって観客の笑いを誘った。

そのあとは、11年前の3月16日、同じ場所で初めての一歩を踏み出したバンド時代を「当時は希望もなく、ただ無謀なだけの一歩」だったと振り返った。「いまは失って、傷ついて、大事なものがまたできて傷つくのが怖くても踏み出す一歩」だと、当時との違いを伝えた。そうして「HOPELESS」をパフォーマンスへ。“遠回りだったと笑いあえばそれでいい”と最後の最後に希望がみえてくるこの曲は、全てを投げ出そうになったときに書き出し、一歩を踏み出そうと決めた後に続きを綴ったと曲を解説。“僕たちは忘れていく生き者”のリフレインがせつなさを倍増させていく「HURT OF DELAY」は、もの哀しいピアノのフレーズが「桜雨」(SuG曲)を彷彿させるような、しっとりとしたナンバーだった。舞台のスクリーンには、歌詞が花びらのように上から降ってきた。



再びダンサーも加わって始まった「アトノマツリデ」のオシャレなシティポップスに夜のクラブ風味を加えたような雰囲気、武瑠の前にPCとコントロールパネルを置いたテーブルがセットされ、パネルを自ら操作しながらパフォーマンスした「退行的進化」のEDMなど、次々と新しい扉を開け、踊り狂えるダンスロックミュージックを披露してった武瑠。最後は「そんなもんじゃねーだろ、TOKYO!」とフロアをあおり、白煙が勢いよく吹き上がるなかダンサブルな「狂宴騒々」を届け、ステージ、ダンサー、フロアが一体となって手を掲げながら飛び跳ねていった。

アンコールでは、メンバー紹介を挟んで“不完全復活”と謳った裏には、曲だけではなく、武瑠自身が「まだ自分のなかでふっきれてない。それだけ10年が大切だったってこと。すぐに切り替えられるぐらいだったら、ここに立ってないし。いろんな人が励ましてくれたけど、何もやる気になんなくて。ステージに帰ってくるかどうかも分かんなかったです」とバンドへの思いを引きずっていることを素直に吐露。「でも、いまはみんなの温かい“一緒に楽しもう”という気持ち、頼り甲斐がある笑顔が見られたんで、少し進もうと思いました。前みたいについてきて下さい!」と叫び、本編でも盛り上がった「酩酊」、「熱帯夜」を続けてアクト。

最後に武瑠からは、バンドを終わらせたことについて、メンバーとちゃんと話し合って、ファンのためにも責任を持って自分たちの手で終わらせたという経緯が伝えられた。「責任持って、本当に大切なものをちゃんと失うというのがどれだけ大事なことか。解散を発表してから思いました。だから、ちゃんと失えてよかった。俺は、それらの悲しい気持ちすべてを背負って進む義務があると思います」。バンドのことを話しながら、とうとう感極まって泣き出してしまった武瑠。そして、涙をこらえながら声をふりしぼって「俺が10年かけて教わったのは、恐れずに全身で傷ついて、それを糧に前に進むことです」と伝え、始まったのは「ALIVE」。死にたくなるぐらいもがいて、絶叫も発狂も希望にかえて生きて、そうして人間は老いぼれて土に還るのだと歌う武瑠に、フロアは聞き入り、静かに涙を流した。「みんな、今日は月が綺麗ですね」。武瑠がそうささやいて「ALIVE」の演奏がフィニッシュ。「過去があるからみんなが応援してくれてるのも理解して帰ってきました。その透ける過去を超えるから、期待してて下さい」と、最後は力強い言葉を残してステージを後にした武瑠。その表情は、とても清々しかった。

終演後にはスクリーンを通してニューアルバム『DRIPPING』を6月20日(水)にリリースし、7月6日(金)から初の東名阪ツアーを行なうことを発表したこの日。スクリーンには“See You Next Dream”という文字が浮かび上がった。武瑠の夢が、ここから新たに始まる。

取材・文◎東條祥恵



sleepyhead 1stフルアルバム『DRIPPING』

2018年6月20日発売
価格:3000円+税
品番:SACT-0002
レーベル:STREET GOTHIC LABEL
全13曲収録予定
【アルバム限定BOX受注販売特設サイト】
http://shop.million-d- orchestra.com/?tid=13&mode=f3

<sleepyhead LIVE TOUR 2018 “DRIPPING”>

2018年7月6日(金)下北沢 BasementBar
2018年7月21日(土)心斎橋FANJ twice
2018年7月22日(日)名古屋 ライブホール M.I.D
[料金] スタンディング¥4,860(税込)DRINK代別
[一般発売日] 2018年6月2日(土)

<sleepyhead LIVE TOUR 2018 FINAL “Hole”>

2018年7月29日(日)渋谷WWW X
OPEN/START 16:30/17:15
[料金] スタンディング¥5,400(税込)DRINK代別
[一般発売日] 2018年6月2日(土)

クラウドファンディングプロジェクト概要

名称:mission 0 sleepyhead 秘密結社 S.A.C.T.を発足せよ!
期間:2018年3月3日(土)20::00 ~4月24日(火)23:59
URL:https://camp-fire.jp/projects/view/67057

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