【インタビュー】AIMI「どんなに遠回りをしても、いつもいちばんに考えているのは音楽」

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2016年9月にソロ活動をスタートした元ステレオポニーのAIMIがアルバムをリリースする。クラウド・ファンディング「CAMPFIRE」にて2017年9月に支援募集を開始した「アルバム制作プロジェクト」がプロジェクトスタートからわずか8分で目標達成100%、3ヶ月で350%を達成し、見事アルバム制作にこぎつけた彼女。ソロとして初のアルバムはどんな思いで制作されたものなのだろう?

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■今ならAIMIが
■誰かを引っ張っていけるかもしれない

──ソロとしての曲作りは2016年の春からだったそうですが、その段階での気持ちの勢いはどんな感じでしたか?

AIMI:そこをお話するには、もうちょっと前の感情に遡らなきゃいけないかもしれません。まず、グループに所属していたときに自分と向き合うべき時期があって、音楽を伝えるうえで言葉を大切にしたいという思いがすごく強くなっていったということがありました。AIMIがAIMIを表現するうえで何が必要か、どうしたら説得力を持って自分にも何かを言ってあげられるか、という模索が始まったんです。

──思えば10代でのメジャー・デビューでした。

AIMI:そこで数えきれないくらいの貴重な経験をさせて頂いたんですけど、常に「自分は今、どこにいるんだろう?」という不安みたいなものがあって、それが何なのかを自分に問いかけたかった。等身大の自分で、目の前にいる人たちに自信を持って何かを伝えるためには、まず、その人たちの日々の気持ちにちゃんと目を向けたかったし、そういった社会のなかで自分はどこに位置しているのかも俯瞰で眺めたくなったんです。

──そこがソロとしての原点だったんですね。沖縄に帰ったりもしてたんですか?

AIMI:しばらくゆっくりした時期もありました。時間の経過のなかで、止まってしまうものも多かったんですけど、曲作りはしてましたし、ちょっとずつ歌ってもいたんです。自分のなかで火が消えちゃったということは一度もなかったです。

──それはスゴいです。

AIMI:自分が引き出せてなかったものを引き出したいとか、もっといろんな感情を知りたい、というふうに貪欲になっていきました。それまでやったことのない表現方法を試してみたり、感じたことのないことを感じに行ったことのない場所を訪ねたり……そうやって自分の足で歩いてみるなかで、考え方がまたいろいろと変わってきたんです。あのとき自分はこう言えなかったけど、今なら言えると思えることもたくさん出てきた。そこでやっと、ちゃんと生きているんだなという気持ちになれましたね。ただ、時間はすごく経ってしまっていたし、いろんな出来事があったりもして、なかなか自分を突き動かすものが出てこなくて。

──ちょっと立ち止まってしまった時期だったんですね。

AIMI:そんなタイミングで、不思議なことに今の事務所の社長さんとの出会いがあって、まったく何もない状態なのに「やってみない?」と言われたんです。その言葉がすごく大きかったです。私はやっぱり音楽がやりたいんだ、自分にはそれが必要なんだということに気づかされました。出会いとか生まれてくるものに対してすごく素直になれて、「ほら、こっちだよ!」という声に誘われるようにして新たな曲作りが始まりました。

──音楽に再びたどり着いたんですね。

AIMI:それまでは、いろんな人のご縁で歌ってこれたと思っていたんですけど、そこからは「今ならAIMIが誰かを引っ張っていけるかもしれない」という強気な気持ちになれました。

──それは頼もしい!

AIMI:どんなに遠回りをしても、いつもいちばんに考えているのは音楽。体と心でそれを実感しながら頭で考えたときに、「やっぱりコレなんだ!」と。曲作りをスタートさせるとき、一瞬、書きためてたストックのことも頭をよぎったんですけど、「いや、ここからがAIMIだ」と思い直して、「0から始めます」と宣言しました。そして、コーライティング(※作詞作曲を共作すること)というカタチにも臨んでみようと思いました。

──楽曲ごとに新たな共作者との出会いがあったと思うんですが、戸惑いはありませんでしたか?

AIMI:ワクワク感のほうが大きかったですね。「あ、私、こんな色を持ってるんだ」と発見することも多くて。

──作業として、たとえば曲のきっかけはどんなふうに?

AIMI:それは曲によってもコーライティングのチームによっても違いますね。私が「こういう曲を持ってきました」と提示して、みんなで肉づけしていったものもあるし、トラックから作るという未知の世界に足を踏み入れて作ったものもあります。後者は「なんだこりゃ!」という驚きとワクワクがありました(笑)。生にはない音色とかリズムとかからアプローチしていって、「あ、こういうのって面白い!」と積み重ねていきましたね。

──新鮮なメロディラインがいっぱいありますもんね。気持ち的なところも話したりしてましたか?

AIMI:その都度、その都度、発信したい気持ちはあったので、そのイメージを話して曲作りに入ることが多かったです。たとえば「We-know」のとき話したのは、同年代の友だちに起こってるさまざまな変化。留学したり、仕事を持ったり、なかには子供が生まれたりする子もいて、みんなもう親元から巣立っていく時期なんですね。そういう今だからこそ、遠回りしながら私が感じてきた景色を共有できると思ったし、「大丈夫だよ。大人になるってコワいことじゃないんだ」と背中を押してあげられる気がした。そんなことを話しながら曲作りしていきました。

──口ずさみたくなる可愛い曲ですね。

AIMI:「We-know」と「Cotton」は、「今からやっていこう」という本当に初期の頃、トラックから作った曲ですね。ちなみに最初の1曲目は「Cotton」。どんなに遠く離れていても忘れない出会いというものを歌いたかったんです。なんかそれが雲の上にいるような気持ちに思えて。なかなか説明しづらい感覚なんですけど、たぶんいちばん最初に表現したかったことですね。


──それらのソロ態勢になってからの曲を、初めてライブでお披露目したのは?

AIMI:2016年9月4日です。

──AIMIさんの誕生日ですよね。

AIMI:はい。その日にファンのみんなにまた会えるのはうれしくてたまらなかったんですけど、同時に、今のAIMIを全力で投げたときに受け取ってもらえるのかという不安もありました。でも、実際ステージに立ったら、そんなことなんて忘れてしまうほど、目の前にすごく開けた景色があったんです。「あ、私、もっといくわ」という気持ちになれたんです。

──そうですか!

AIMI:音楽でつながっていたんだと心から思えたし、今まで大切にしてきたものが、今、ここにあるという感動があった。「もっと届けていく!」という強い思いがあふれてきましたね。

──誕生日がターニング・ポイントになったんですね。BARKSの連載で「獅子奮迅の」という言葉がいつも出てきますが、まさにそんな気持ち?

AIMI:はい。「おりゃ〜!」っていう(笑)。がむしゃらに突っ走っている感じじゃなくて、「ここからだと思っていいよね」と応援してくれていたみんなと手をつないでいるような感覚になれたんです。そこから、今度はワンマンライブを目標にして、もっともっと曲を作りたいと思うようになりました。情熱がふつふつと湧いてきて、AIMIの色で表現したらどんなことが起こるんだろうとワクワク感が止まらなくなったんです。

◆AIMI インタビュー(2)
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