【ライブレポート】赤西仁の価値観に触れた、<Blessèd>ツアーファイナル

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赤西仁が3月30日、千葉・幕張メッセイベントホールで全国ツアー<JIN AKANISHI LIVE TOUR 2018 “Blessèd”>のファイナル公演を行なった。

◆赤西仁 ライブ画像(全6枚)

昨年2017年はツアーが無く、ワンマンライブは5月の東京・国立代々木競技場第一体育館での2DAYS公演のみだった赤西。そのワンマンライブで予告していたとおり、12月にリリースした最新アルバム『Blessèd』を携えて2月からツアーをスタートしたが、追加公演を含めた全17公演がすべてソールドアウト。すでに2018年2回目のツアーも発表されていて、彼の活動を待ちわびる人々がいかに多いかを証明する盛り上がりを見せている。

アルバム『Blessèd』はEDMやトロピカルハウス、エレクトロニカといったジャンルをより濃く取り入れた1枚だ。曲を構成するための音を最低限まで削ぎ落としているといった印象も受け、これまでの作品と比べても特にスタイリッシュに仕上がっていると感じた。2017年5月のワンマンライブでは、大掛かりな舞台セットによる演出で楽しませてくれた赤西が、今回は『Blessèd』をベースにどんなライブを観せてくれるのか楽しみでならなかった。

会場に到着すると、すでに大きな音が外にまで漏れている。開演までまだ時間があるはずで、これは一体なんの音だろうと思いながらフロアに入ると、後方に設置されたステージにDJ ALISA UENOの姿があった。アリーナはオールスタンディングで、クラブさながらの爆音が流れる中ミラーボールが回る。メインステージに張られた黒幕には赤西の名前やアルバムタイトル、自身のレーベル・Go Good Recordsと業務提携したユニバーサルミュージックのロゴなどがレーザーによって描かれていた。ど頭から、「開場中のBGMはうっすらと流れているもの」という固定観念を打ち破られ思わずニヤリとする。

ライブのオープニングも、レーザーによる演出だった。観客がメインステージの黒幕に気を取られている隙に、花道が伸びた先に用意されたセンターステージにスモークが広がっていく。床下の舞台装置によって、赤西が突如そのスモークの中に現れると観客からは驚きと喜びの混じった悲鳴が上がった。1曲目は、2017年のワンマンライブで初披露された「Yesterday」。頭上や足元、会場内の全方向から赤西に向けてレーザーが飛ぶ。目まぐるしく放たれる照明に反して、赤西はとてもゆったりとした雰囲気で歌い、その貫禄を示していた。


メインステージへ移動した赤西が一度ステージから姿を消すと、ライティングショーがスタート。ここで、今回のライブの演出の要が照明であることを察した。「Go Higher」では手の動き、身体の動きに合わせて照明がゆらゆらと揺れる。「Baila」ではムービングライトにより光の柱が形成され、2本ずつ対になってクロスしていた柱が赤西の歩みに合わせて順番に開いていく。「We The Fire」では横一列に並んだ赤西とダンサー達の前にストライプ状に見える光が落とされ、すだれがかかったようなその光に身体を差し込むと、触れた部分だけがキラキラと輝く。“演者を照らすための明かり”としてだけに照明を使うのではなく、舞台セットや小道具にもしてしまうというアイディアにすっかり感心してしまった。

中盤、JINTAKA名義の楽曲「Choo Choo SHITAIN」の途中で山田孝之がステージに現れた。赤西と山田によるユニット・JINTAKAは2016年9月にCDデビュー、解散と再結成を繰り返し現在は解散をしているのだが、今日はライブを観にきていたそうだ。続くMCコーナーでは、山田と共にファンクラブコンテンツ用のラジオ収録も行なわれ、自由に発言する彼らのトークで会場は一気にアットホームな雰囲気に包まれた。

完璧なステージを見せる赤西だが、彼の魅力はその人柄にもある。恐らく一般的にはクールなイメージが強いと思われるがMC中はとても気さく。ファンと積極的にコミュニケーションをとるなど、初めてライブを観たらギャップに驚く人も多いはずだ。

「Sun Kiss」では、ファン3人の声と山田の声をその場で録音してサンプラーへ取り込み、楽曲中で使用するという参加型企画も。赤西は机に向かってサンプラーを叩きながらその場で音を繋ぎ、歌う。ステージの真ん中ではなく、下手の方で淡い照明に当たりながらのパフォーマンスだったため、それはまるでリアルな楽曲制作の光景のようだった。赤西のプライベートな空間を目にしているようなレア感。2017年のワンマンライブは“息もつかせぬエンターテインメントショー”だったが、今回は観客と作り上げた“この瞬間だけしか聴くことのできないもの”が取り入れられたことで、赤西の温かな人柄をより感じることができた。


「Summer Loving」からトロッコに乗り込んだ赤西は、下手からゆっくりと場内を回り、「Hey What’s Up?」では会場が一体となって腕を上げ、いよいよライブはクライマックスへ。ダンサー紹介後に赤西ひとりがステージに残り、最後に披露されたのはアルバムの1曲目に収録されている「Blessèd」。ストリングスも使われたこの壮大な楽曲はフィナーレの瞬間にぴったりで、この日のこの瞬間のために作られた曲だとしか思えなかった。

赤西はMCで、「普通じゃないものを普通にすべきだと思っている」「常識をうまく変えていこうと思っている」と話していた。冒頭で記した開場中の演出は、この意識から生まれたもののひとつだったのかもしれない。無造作なヘアスタイルにラフなファッション。気取らず、自分が信じたものを大切にしながら突き進んできた赤西は「One Addiction」の最中に会場内をじっくりと見回して満足気にうなずいた。あの瞬間、彼がツアーにかけてきた思いを受け取ったような気がした。


取材・文◎高橋ひとみ(BARKS)
撮影◎田中聖太郎

■セットリスト

1.Yesterday
2.Go Higher
3.Fill Me Up
4.Dayum
5.Good or Bad
6.Feel
7.I Want You
8.Mi Amour
9.One Addiction
10.Choo Choo SHITAIN
11.Sun Kiss
12.Opaque
13.All About You
14.Slow
15.Baila
16.Heart Beat
17.Shine
18.Mami Loca
19.We The Fire
20.Summer Loving
21.Miss Califolnia
22.Ain’t Enough
23.Hey What’s Up?
24.Blessèd

<JIN AKANISHI “JINDEPENDENCE” TOUR 2018>

2018年
4月30日(月・祝)東京・Toyosu PIT
5月1日(火)東京・Toyosu PIT
5月2日(水)東京・Toyosu PIT
5月10日(木)大阪・Zepp Osaka Bayside
5月11日(金)大阪・Zepp Osaka Bayside
5月16日(水)愛知・Zepp Nagoya
5月23日(水)東京・Zepp Tokyo
5月24日(木)東京・Zepp Tokyo ※追加公演

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