【ライブレポート】サバトン、エンターテイメントに徹した楽しすぎるステージ

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スウェーデンが誇るヘヴィ・メタル・バンド、サバトン。その3回目の来日公演(2018年4月2日(月)@ZEPP TOKYO)を見てきた。

◆サバトン映像&画像

3回目とは言っても、単独公演はこれが初。ヨーロッパではかなり前から大人気であった彼らだが、2015年の<ラウドパーク>でやっと初来日。アルバムももちろん素晴らしいサバトンだけれど、やはりその本領発揮の場はライヴである。一度聴けばすぐに合唱できる曲のわかりやすさ、そしてエンターテイメントに徹した楽しすぎるステージで、<ラウドパーク>に集った数万人のメタル・ファンをワンパンチでノック・アウト。彼らはそれこそ一夜にして、ここ日本でも大人気バンドとなったのである!その証拠に2017年には再び<ラウドパーク>に登場。そしてそれからわずか半年後、念願の単独公演が実現したのだ。「アモン・アマースも出てたから、厳密には単独じゃねーじゃん」なんて言われそうだが、まあいいじゃないですか、細かいことは。

で、そのアモン・アマースが終わり、舞台上ではセットの転換が行われる。物凄い手際の良さでドラムが入れ換えられていく。と、ここで多くの方が思ったに違いない。「戦車がない!」と。そう、今回の来日公演では、残念ながら戦車は持ってこられなかったようだ。まあでも別に戦車がないからって、音楽的支障をきたすわけでもない。そもそも戦争するわけじゃないし。なんて考えていると、ステージ上のスクリーンに『World of Tanks 1.0』の宣伝(?)が映し出される。これはサバトンがコラボしているオンライン・ゲーム。ゲーム内には、サバトン仕様の戦車が登場するのだ。続いて「In the Army Now」のSEが流れると、場内のボルテージも一気に高まる。サバトンはショーのスタート前に別のバンドの曲をかけて雰囲気を盛り上げるのを常としているのだ。以前はヨーロッパの「Final Countdown」などを使用していたが、現在使っている「In the Army Now」は、もともとは南アフリカのシンセ・ポップ・デュオ、Bolland & Bollandの曲。のちにステイタス・クオーがカバーしてヒットさせている。スクリーンには戦車や灼熱の鉄を鍛える映像などが映し出されると、条件反射的に興奮してしまうではないか!凄まじいサバトン・コール。


そして「The March to War」にあわせ、メンバーがステージに登場。1曲目はもちろん定番の「Ghost Division」。2008年の4枚目『The Art of War』の(実質的)オープニング・ナンバー、アップ・テンポの大名曲だ!まるでハンマーのように打ち下ろされる迫力十分のドラム。ヴォーカルのヨアキムも初っ端から暴れ回る。っていうかヨアキムって、こんなにアクション大きかったっけ?ヨアキムの煽りを受け、サビでは大合唱が巻き起こる。興奮したオーディエンスの歓声が凄まじい。続いては一転、スローでヘヴィな「Uprising」。スクリーンの動画が曲とシンクロしていて、ときどき歌詞も表示されるのがとても親切。ここで2016年に加入したばかりのギタリスト、トミーが「バンド内のバカ担当」として紹介されると、凄まじいバカ・コールが!「次はお前の好きな曲をやっていいよ」と、ヨアキムから選曲を任されるバカ。「デトロイト・ロック・シティ」(KISS)を演奏し始めるバカ。しかも圧倒的に歌がうまいバカ!「サバトンの曲限定に決まってるだろ!」とヨアキムに思いっきり突っ込まれ、場内も大爆笑。サバトンのエンターテインメントの真髄を見せつける。で、結局トミーが選んだ(?)のは「Swedish Pagan」。重厚なコーラスの入った、実にヘヴィ・メタルらしい曲に、会場中の拳が突き上げられるさまは圧巻!続いては「ウィ・ウィル・ロック・ユー」(クイーン)を思わせるリズムが印象的な、6thアルバムのタイトル曲「Carolus Rex」。「わりとヘヴィな曲中心に攻めてくるなー」なんて思っていると、そんな思いを見透かされたのか「ミッド・テンポの曲が続いたから、次は速いやつ!」と「Screaming Eagles」。これはおそらくサバトンの中でも最速の部類だろう。ただ正直この曲はあまりサバトンらしくないせいか、彼らに限っては、曲の速度と場内のボルテージが比例するわけでもないのでは、と次の「The Last Stand」を聴きながら思ったり。「The Last Stand」みたいな曲こそ、まさにサバトン。まるでアクセプトのようなフォーメーションとメジャー・キーの勇壮なメロディとがあいまって、思わず拳を突き上げずにはいられない。


「次の曲は英語バージョンとスウェーデン語バージョン、どっちで聴きたい?」というアンケートで、何故か圧倒的多数でスウェーデン語バージョンが選ばれた「The Carolean's Prayer」(というか「Karolinens bon」)。そしてバグパイプが鳴り響けば、もちろん「Blood of Bannockburn」しかない!続いてヨアキムがギターを手にして披露されたのが「Resist and Bite」。「ギターが弾けるから、ショーではこの曲が1番のお気に入り」だというヨアキムは、曲が終わってもギターの演奏をやめない。結局シールドを引っこ抜かれ、蹴りを入れられステージから退場させられるハメに!で、そのまま次の「Gott mit Uns」はヨアキム抜きで、クリスとトムがヴォーカルを担当。サバトンには珍しいシャッフルのノリノリ・ナンバーだが、2人とも歌うまいなあ。続く「Winged Hussar」は、ハンマー打ち降ろしドラムに美しいコーラスという実にサバトンらしい曲。それにしても、ときどきヨアキムがフレディ―・マーキュリーに見えてくるのだが、気のせいだろうか。アップ・テンポの「Night Witches」を挟んで、初期の名曲「Attero Dominatus」!今年に入ってからは、演奏されるのがこの日でまだ2度目という少々レアなこの曲にて本編は終了。


割れんばかりのサバトン・コールに応えるように、スクリーンにはノルマンディー上陸作戦の映像が。そして「We shall fight on the beaches, we shall fight on the landing grounds, we shall fight in the fields and in the streets, we shall fight in the hills; we shall never surrender」という、メタル・ファンにはおなじみすぎるチャーチルの演説!と来れば、当然「Aces High」!のわけはなく、記念すべきサバトンのデビュー・アルバム『Primo Victoria』のタイトル曲だ(これは1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦をモチーフにしたもの。)ジャンプに大合唱と場内も大盛り上がり。続いて「サムライの歌が聴きたいか?」とプレイされたのが、「Shiroyama」。スクリーンの動画も思いっきり和風に。しかし「感謝」の文字がデカデカと映しだされるのは、訳わからないようなわかるような。で、最後は「To Hell and Back」。ラストを締めるにふさわしい、まるでフォーク・メタルかのようなエスニックな旋律を持つこの曲に、オーディエンスも大合唱で応える。最後にはスクリーンに「ARIGATO TOKYO」なんていう表示が出る演出も、何気に素晴らしい!

というわけで、あっという間の全16曲80分。ヘヴィ・メタルの良いところをすべて凝縮したようなライヴであった。それにしても戦争とヘヴィ・メタルって、本当に相性が良いなと再確認した次第である。で、3月29日(木)の東京公演のセットリストを確認してみると、4曲もセットが異なるではないか!こっちも行っておけば良かったと後悔することしきりである!

文:川嶋未来 / SIGH
写真:Mikio Ariga(撮影:3月29日 EXシアター六本木)




【メンバー】
ヨアキム・ブロデーン(ヴォーカル)
パル・スンドストロム(ベース)
クリス・ローランド(ギター)
トミー・ヨハンソン(ギター)
ハネス・ヴァン・ダール(ドラムス)


サバトン 『ザ・ラスト・スタンド』

【初回限定盤CD+ライヴCD】¥3,500+税
【通常盤CD】¥2,500+税
※日本語解説封入/歌詞対訳付き
初回版CD
1.スパルタ
2.ラスト・ダイイング・ブレス
3.ブラッド・オブ・バノックバーン
4.ダイアリー・オブ・アン・アンノウン・ソルジャー
5.ザ・ロスト・バタリオン
6.ロークズ・ドリフト
7.ザ・ラスト・スタンド
8.ヒル 3234
9.SHIROYAMA
10.ウィングド・ハザーズ
11.ザ・ラスト・バトル
《初回限定盤ボーナストラック》
12.カモフラージュ(スタン・リッジウェイ カヴァー)
13.オール・ガンズ・ブレイジング(ジューダス・プリースト カヴァー)
《日本盤限定ボーナストラック》
14.バーン・イン・ヘル(トゥイステッド・シスター カヴァー)
ボーナスDVD《2016年2月24日フランス・ナント公演》
1.ザ・マーチ・トゥ・ウォー
2.ゴースト・ディヴィジョン
3.ファー・フロム・ザ・フェイム
4.アップライジング
5.ミッドウェイ
6.ゴット・ミット・ウンス
7.レジスト・アンド・バイト
8.ウルフパック
9.ドミニウム・マリス・バルティック
10.カロルス・レックス
11.スウェディッシュ・ペイガンズ
12.ソルジャー・オブ・スリー・アーミーズ
13.アッテロ・ドミナトゥス
14.ジ・アート・オブ・ウォー
15.ウィンド・オブ・チェンジ
16.トゥ・ヘル・アンド・バック
17.ナイト・ウィッチズ
18.プリモ・ヴィクトリア
19.メタル・クルー
通常盤CD
1.スパルタ
2.ラスト・ダイイング・ブレス
3.ブラッド・オブ・バノックバーン
4.ダイアリー・オブ・アン・アンノウン・ソルジャー
5.ザ・ロスト・バタリオン
6.ロークズ・ドリフト
7.ザ・ラスト・スタンド
8.ヒル 3234
9.SHIROYAMA
10.ウィングド・ハザーズ
11.ザ・ラスト・バトル
《日本盤限定ボーナストラック》
12.バーン・イン・ヘル

◆サバトン『ザ・ラスト・スタンド』レーベルオフィシャルページ
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