【インタビュー】ニック・ムーン、いよいよソロ・デビュー「すごくワクワクしてるんだ」

ツイート
Photo by Yoshiharu Ota

KYTEが活動を休止してから約5年。シンガーのニック・ムーンがいよいよ今月、ソロ・デビュー・アルバム『CIRCUS LOVE』をリリースする。すでに先月、東京で開かれたトークを交えたショウケース的な公演をはじめ、この先、インストア・ギグの開催、<GREENROOM FESTIVAL '18>への出演、<ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018「BONES & YAMS」>のオープニング・アクトなど、ライブ活動も本格的に再開。新しいスタートを切った彼は、KYTE時代とは違う、よりエレクトロニックで変化に富んだサウンド、私的な歌詞、1人だけのパフォーマンスなど新しい側面を見せてくれる。

◆ニック・ムーン画像

大好きな日本でこれから起きることにワクワクしているという彼に、KYTEの活動を休止した理由や記念すべきソロ・デビュー・アルバムについて話を聞いた。

   ◆   ◆   ◆

■『CIRCUS LOVE』は長いこと頭の中にあったフレーズなんだ

──アルバムについてお伺いする前に、まずはKYTEについて教えてください。解散したわけではなく、活動を休止しているだけですよね?

ニック・ムーン:だと思うよ。僕ら、そのことについてちゃんと話してるわけじゃないんだ。友達の間のことだから、外に向けて大々的に発表する必要はないって感じてる。いまの時点では、それぞれ、別のことをやってる。僕は自分のプロジェクトに専念してるし……。わざわざ発表するのは馬鹿げてるって思ったんだ。KYTEはそういうタイプじゃない。僕らはいまでも近くに住んでて、よく会ってる。ケンカ別れしたわけじゃなく、ただ、それぞれ別のことをやりたいってだけなんだ。

──では、2013年、なぜバンド活動を止めようと決めたのですか?

ニック・ムーン:楽しくなくなったってわけじゃないんだけど、先のことについて意見が一致しなくなった。それで、<FUJI ROCK FESTIVAL>でプレイしたあと、しばらくバンドから離れてみようってことになったんだ。お互いムカつくなんてことになったら最低だからね。僕らは学生時代、バンドを始める前からの友達で、そっちのほうが大事なんだ。KYTEを続けるなら、全員の意見が一致してなきゃならない。僕らはファミリーみたいなもので、音楽によってファミリーが壊れるようなことは避けたかった。

──それで、あなたはソロ・アルバムを制作し始めた?

ニック・ムーン:最初はそうじゃなかった。曲は書いてたけど、それはプロダクションに興味があって、いろいろ学びたくて、(KYTEとは)別のスタイルの音楽を作ろうとしていただけなんだ。結局、リリースすることになったけど、最初はそんなこと考えてなかった。家、家にあるスタジオで純粋に楽しむために曲を作ってた。数年経って、このコレクションはいいなって思い始め、リリースすることにしたんだ。


──この5年間、音楽を作る以外では何をしていたのですか? リリースまでにずい分時間がかかりましたが、音楽を止めようと思ったことはありましたか?

ニック・ムーン:それはないね。でも多分、曲をリリースし続けるっていうサイクルには疲れてた。僕が音楽を止めることはないよ。それが僕だから。KYTEに関しては、友達と始めたことだから、それによって友情にひびが入るのが嫌で、ひとまず止めることにしたけど、音楽を作りたいっていう気持ちが無くなったことはない。5年か、時間が経つのは早いよね。レスターで静かな生活を送ってた。何もしないっていうのが好きなんだ。音楽以外はね。

──トムとスコットはいま何をしているんですか?

ニック・ムーン:トムはいいプロデューサーなんだ。リミックスやったり、レーベルの仕事をしてる。スコットはいまでもたまにライブ・ミュージシャンとしてドラムをプレイしているけど、劇場でライティング・デザインの仕事もしてるんだ。突然で驚いたよ。KYTEとは全く違う仕事だからね。そう、どれもクリエイティブだけど、それぞれ違うことをやってる。

▲ソロ・デビュー・アルバム『CIRCUS LOVE』

──そして、いよいよ今月、あなたのソロ・デビュー・アルバムがリリースされますが、タイトルを『CIRCUS LOVE』とした理由は?

ニック・ムーン:長いこと、頭の中にあったフレーズなんだ。最初、プロジェクトの名前にしようと思ってた。曲のタイトルにしようと考えたこともあった。サーカスには混沌としていてクレイジーなイメージがあるんだけど、僕らは大好きで、そのカオスを楽しんでる。クレイジーなんだけど、なんか温かい感情が湧いてくる。その感じが気に入ったんだ。

──そうですか、カオスという感じはせず、何人かの人物が入れ替わり登場するようなショート・ストーリーが詰まった一冊の本を思い浮かべました。

ニック・ムーン:ああ、それはナイスだね、ありがとう。

──このアルバムに最も影響を与えたものはなんですか?

ニック・ムーン:一番影響を与えたもの……、わからないけど、間違いなく、僕はこの数年でこれまでとは違い、よりエレクトロニックなライブを観に行くようになった。それまではバンド主体のフェスティバルばかりだったけど、友達とダンス・イベントなんかに行くようになったんだ。ヴィジュアルがビッグで、ライティングがより鮮明なものだね。それには影響を受けたと思うよ。よりエレクトロニックで、よりスピーディーっていうのは、大きなインスピレーションだったと思う。

──なにかテーマはあったのですか?

ニック・ムーン:音楽的には“変化”だね。1人でやるのは初めてで、僕はまだプロダクションを学んでいるところだから、どんどん変化していると思う。歌詞の点では、そのときは自分でもわかってなかったんだけど、はっきりしていることが1つある。ある関係が終わって半年から1年くらいの間に書いたものが多くて、怒り、苦しみ、ちょっと恥ずかしかったり(笑)、そういう感情が順々に現れてる。最近、1年くらい前に作ったのはもっと穏やかになってるんじゃないかな。すごく個人的なものになった。それって自分にとっては新しいことだったよ。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報