【インタビュー】キズ、来夢を苦しめる8つの誤解(前編)

ツイート

■【その3】来夢はファンを救う救世主であるという誤解

――誰かを救いたいという気持ちは、いつからあるのでしょうか。普通に生きていたら、むしろ救われたいと思うひとの方が多いのではと思うんです。

来夢:僕が救われたいから救いたいと思ってるんですよ。救ったことによって救われていると思う人間なんです。それこそセカンドワンマン<裏切り>で伝えたんですけど、自分の存在意義というか、僕たちのライブを楽しんでくれたとか、何かを感じて持って帰ってくれたり、感動してくれたりすると自分が救われるんですよね、結果。やってて良かったと言うか。まだそこまでは思わないですけど、「今日ライブをできて良かったな」とか、「歌ってる意味ってあるんだな」と感じるところがあるので、自分が救われたいからファンを救いたいのかなと思います。

――だからファンの方に曲の意味や発言の意図を考えることまでを求めるといいますか。

来夢:あー求めますね!

――つくり手と同じくらい求めているような。

来夢:そうですね、それは思います。例えば最近出した曲で「十九」というのがあるんですけど。これはパッと見たら恋愛の曲だと思うんですよ。でも実は違っていて、僕が十九歳のときにビルの5階から飛び降りたという、「この世からおさらばしよう」という自殺願望の曲だったんです。恋愛と自殺って結びつかないと思うんですけど、結びついたんですよね。でも僕が「自殺の曲」と言ってしまったらその意味にしかならないですよね。というところで、やっぱり歌詞に対してもいろんな方面から感じられるように作っているんですけど、言いたいことはいつもひとつなんです。

――どこまで歌詞や言葉で意味や意図を伝えるべきか、葛藤なんですね。

来夢:ファンに求めすぎているのかわからないですけど、不安になるんですよね。ファンがライブで馬鹿そうな楽しみ方をしていると、「本当にわかってるかな」ってすげー不安になるんですよ。「すげー楽しそうにアホな顔して楽しんでるけどほんとにこの曲の意味わかってんの!?」って(笑)。それはそれで嬉しいんですけど、不安になることも多いんですよね。

――不安になりつつも、救って救われてるんですね。

来夢:そうです。最初は救いたいとも思わなかったし、意識もしていなかったんですけど、救っていたみたいで。それが自分の中の生きがいなのかなと思ったりもします。だからシングルに対しても中途半端なメッセージ性を残すわけにもいかないし、単純な恋愛ソングなんかも描けるわけもないし。こういう風に悩み続けるのが宿命なのかなとか、使命なのかなと思ったりもします。


■【その4】来夢は地方ライブが嫌いという誤解

――考えて考え抜いて、言葉を紡いでいる来夢さんですが、どのように考えを巡らせているんですか?

来夢:僕は疑問を持つことからはじめています。自分に対しても他人に対しても疑いを持ちます。例えばワンマンツアーをやらない理由。普通なら既に東名阪ツアーくらいやっている規模だと思われるんですけど。

――そうですね。

来夢:でも、名阪とかに行くと東京よりも小さいハコでやるのが現実的で、そこだと僕がやりたい演出ができません。この前のTSUTAYA O-WESTで伝説を残したんですよ。2階席までソールドアウトしてパンパンだったんですけど、大きな赤字を残すという伝説を(笑)。

――赤字?

来夢:とりあえず派手な演出を入れたかったんじゃなくて、いまのキズを100%引き出す演出を入れたくて大きなLEDや紗幕を使ったり。WESTのスタッフの方も驚いていました。

――その規模でやるものではないと。

来夢:ですね。一秒一秒の演出にも絶対こだわりたかったので、「WESTだからこれくらいの演出でしょ」ではなくて、そこにも疑問を持って、限界までやりました。そしたら、赤字でした…。

――(笑)。

来夢:それでも僕はすごく満足しています。WESTに来るお客さんって派手な演出を見慣れてないと思うんです。そういう人に対して感動を与えるべき使命があると思ってるんですよ。だから、東京並の演出ができるようになるまでは地方でワンマンライブをやらないと決めたんです。やっぱり、どこでやっても100%のライブを見せてあげたいし劣ったライブをするのはファンに失礼なんじゃないかと思いました。ファンの方々はそれでも喜んでくれるとは思うんですけど、地方だからこそ見せてあげたいライブがあるんです。なんせ僕は宮崎出身なので、東京のように演出のある大きなライブが見れなかったんです。だから、自分が見せたい演出ができるまで絶対にやりません。でも、たぶんこれも「来夢は地方が嫌いだ」っていう誤解が生まれている要因だと思います(笑)。

 
   ◆   ◆   ◆

「誤解されている」という来夢の言葉を聞いてまず想像したのは、「何でわかってくれないんだ」というリスナーや世間への怒りだった。けれど、インタビューが進む中で見えてきたのは、来夢の切な願いだった。それは、「ファンの方と心で繋がりたい」、「曲の意味を分かち合いたい」という願い。後編ではキズのメンバーの素顔から、来夢がキズで実現したい最終目的までを語ってもらう。

取材・文◎神谷敦彦(『ヴィジュアル系の深読み話』編集長)
編集:服部容子(BARKS)

◆ 【インタビュー】キズ、来夢を苦しめる8つの誤解(後編)

<キズ4th ONEMAN「さよなら」>

2018年9月24日(月・祝)
Zepp TOKYO

[出演]キズ
[開場/開演]17:15/18:00
[前売/当日]4,500円(D別)/5,000円(D別)

[チケット]
■e+プレオーダー先行予約
受付期間:8月26日(日)12:00~9月6日(木)18:00
結果確認・入金期間:9月8日(土)13:00~9月10日(月)21:00

■各種一般発売:9月15日(土)

<キズ3rd ONEMAN「怨ミ晴ラサズオクベキカ」>

2018年5月3日(木・祝)恵比寿LIQUIDROOM
1秒で完全SOLD OUT
※当日券の販売はございません。

3rd SINGLE「傷痕」

2018年3月13日 RELEASE

【TYPE A】
DMGD-003A
¥1,500(tax out)
[CD]
1.傷痕/2.怨ミ節/3.十九

【TYPE B】
DMGD-003B
¥1,500(tax out)
[CD]
1.傷痕/2. 怨ミ節/3.EMIL

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス