【インタビュー】Rhythmic Toy World、揺るぎない自信とエネルギーに満ち溢れたアルバム『SHOT』

ツイート

■僕らは宇宙船だっていうことをここで歌いたいと思った
■一番大事なときに一番大事にしてきたものを出したくて


――アニメの話が出ましたけど、「僕の声」が『弱虫ペダル GLORY LINE』のオープニングテーマとして起用されましたね。反響はいかがですか。

内田:僕ら的にも自信のある作品ですし、『弱虫ペダル GLORY LINE』の関係者さんにも、「すごく反響が良いんですよ!」って言っていただいて嬉しいです。色々SNSからもそういう賛辞の声が飛んでくるので、自分たちが思い描いたような未来になっているというのが正直なところです。

――アニメファンの内田さんからすると、感慨深いんじゃないですか?

内田:「負けたくない!」という気持ちがあったんですよ。これほどいろいろなバンドがアニソンとかやっている中で、「絶対俺の方がアニメ好きだから!」っていう(笑)。「一番好きなやつが一番良いものを作るんだ」っていう気合は半端なかったですね。もう絶対これは外せない、最高のものを、抉り取るような気持ちで……。

――想像以上の熱で圧がすごい(笑)。

一同:ははははは!

内田:でも、それがあったからこそ、良いものができあがりました。このテーマソングは、メジャーデビューとは全く別な話で。声をかけていただいた方は、僕らがメジャーデビューするということも知らなかったし、メジャーサイドの方も、僕らがアニソンを担当することも知らなかったんですよ。だから、タイミング的には、本当に自分たちが今までやってきたバンド人生に背中を押されてるような、エールをもらっているような感じでしたね。


▲『SHOT』<DVD付き初回限定盤>


▲『SHOT』<通常盤>

――この曲も収録されたメジャー1stアルバムを『SHOT』と名付けた理由は?

内田:インディーズの当時から応援してくれている方が節目節目にメッセージをくれるんです。その方が僕らのことを「Rhythmic Toy Worldは夢を乗せて飛んでいく宇宙船だ。僕らもそこに乗ってるんだ」って言ってくれていて。僕はそれをずっと、良い言葉だなって思っていたんです。それで、このアルバムを作っていく中で、1曲目の「BOARD」の歌詞が全然書けなくて。そんな中でジャケットが届いたんです。そのイラストを見たときに、2ヶ月くらい書けなかった歌詞が10分で書けたんですよ。その瞬間につながったんです。僕らは宇宙船だっていうことをここで歌いたいって。周りの人からすると、なんでいきなり宇宙船の歌を歌ってるんだって思うかもしれないですけど、そんなこと関係ないなって。一番大事なときに、僕らが一番大事にしてきたものを出さないでいつ出すんだっていうことで。それでアルバムタイトルも宇宙船を意識して『SHOT』にしました。

――1曲目の勢いのまま、ものすごくイケイケな一枚ですよね。

内田:そうですね。テンポ感もあり、曲調もエネルギッシュな曲が大半を占めているので。“音楽業界のエナジードリンク”みたいな。

一同:(笑)。

岸:翼が映えそうなね?

内田:本当にそういう感じに仕上がったというか。メジャーデビューっていうタイミングで、エネルギーに満ち満ちた作品になったなって思います。


▲磯村貴宏(Dr)

――今回、過去作から「さなぎ」を再録して、「さなぎ~想像力の最前線Ver.」としてリード曲としていますね。

内田:これはもう、僕ら全員共通の思いなんですけど、「さなぎ」は僕らのターニングポイントになった曲なんです。まだアマチュアでやっていた頃、まったくお客さんが増えなかったんですよね。本当に毎回一人か二人で。それであるときある人に楽曲にダメ出しをされたことがあって。「もっとポップじゃなきゃダメだ」って。「自分たちが思う最大限のポップな曲を作ってみなよ」って言われたんです。でもその頃、僕らは斜に構えていて。

岸:うん、そうだね。

内田:「誰の言うことも聞かねえぜ」みたいな。俺たちの音楽は俺たちで決めるっていう感じで。だけど悔しかったので、「やってみるか」って「さなぎ」を作ったんです。最初は自分たちでも「こんな曲、俺らやっていいのかな?」くらいの感じだったんですよ。でもこの曲をやってから、どんどんお客さんが増え出して。アマチュアの頃って、ライヴで毎回10人お客さんを呼べるようになるのが一つの壁って言われていて。「さなぎ」を作ってからは、10人、15人と、コンスタントに来てくれるお客さんが増えてきた。本当に「ありがとう」って言いたい曲なんですよね。そこから色んな曲を出してきましたけど、最近知った人でも昔から応援してくれている人たちでも、みんな最後に「さなぎ」にたどり着いて僕らと同じように大事にしてくれて。僕らにとっては、新しい一歩を踏み出そうっていうときに、この曲に僕らのそばにいて欲しかったんです。それでこのアルバムを出すにあたって、僕らの大事にしている曲をお守りみたいに一緒に連れて行こう、っていう思いで入れました。それくらい大事にしている曲なので、リード曲にもしました。

須藤:この曲は僕らにとって大事な1曲ですし、それを今の僕らでやるという意味で“想像力の最前線Ver.”って名付けているんです。昔の自主盤を聴いてると、「こんな感じで曲に対してアプローチしてたんだな?」っていうのがあって。今の僕らの技術とかメンタルでやったらどうなるのかなっていうのが、すごくワクワク感がありましたね。またこれで勝負したいなっていう気持ちがあったので、今回再録できてすごく嬉しいです。

内田:“想像力の最前線Ver.”っていうのは、この曲を書いて歌ってたときに見ていた「自分たちはこうなりたい」っていう“想像力の最前線”に、今の自分たちがすごく似ていて。今が、あのときに僕らが思っていた最前線なんだっていう。もちろんこの先もその最前線は変わっていくんですけど。あえてアレンジも変えていないのは、僕らがあのときに思ってた衝動を今の自分たちが鳴らすっていうところにすごく意味があると思っています。

磯村:前回のツアーファイナルでメジャーデビューを発表した後にやったのが「さなぎ」。そのときにも感じた「ああ、自分たちってこうだよね」っていう、この曲があったからこそ今の自分たちがあるっていうことを演奏するたびに再確認できる曲です。当時の自分たちのアレンジが逆に今になると新しいなって思う。当時はお客さんがいなくて、本当にすごく考えたんです。内田が弾き語りしたものから作ったんですけど、これをもっとキラキラさせてお客さんを増やすためにはどうすればいいかっていう、自分たちがもっと上に行きたいっていう野心が詰まっているんですよね。今の事務所に入るきっかけになったのも、プロデューサーさんに「さなぎ」を聴いてもらったことですし、今回のメジャーデビューの話も、レーベルの方が「さなぎ」を良いって言ってくれていて。それを軸にアルバムを考えたときに、すごく想像力が浮かんだんですよね。今回聴き返してみて、またすごくこの曲が好きになりました。

岸:全部言われちゃいましたけど(笑)。昔から応援してくれたお客さんのなかには、メジャーデビューしたら僕たちが変わっちゃうんじゃないかって心配している人がいるかもしれないですけど、「さなぎ」をここに入れることによって、「その人たちも置いていかないぞ」っていう気持ちがあります。それと、僕らのこと知らない人たちが「さなぎ」を聴いてどう思ってくれるかなっていう楽しみもあります。


▲岸 明平(Gt)

――では、メンバーそれぞれの推し曲を教えてください。

岸:僕は「リバナ」ですね。これはもともとあった曲で、歌詞とリードギターもちょっと違ったんです。今回、内田が歌詞を新しくして、それに合わせてリードも変えてくれって言われて。それでどうしようかなって考えてたときに、新しい歌詞を見たら泣いちゃったんですよね、良すぎて。

内田:全然、歌詞を読んでくれないですよ。

岸:読めなかった。遠目に歌詞を見ただけで、出てくる単語が目に入ってきて。「あ、これ泣いちゃうから読めない」って。自分も親に迷惑をかけてきたので。そういうのもあって、すごく良い歌詞だなって。家に帰って頑張って読んで(笑)、歌詞を思いながらリードを作ったので、歌詞とリードが連動しているっていうくらい、感情を込めたギターが弾けた曲です。

内田:僕は「青く赤く」です。本当にこのバンドって、ラブソングを書かないんですけど、昔に1曲だけ書いた「8535」っていうラブソングをファンのみんなが好きだと言っていてくれていて。男四人でガチャガチャして汗まみれでワーッみたいなライヴをやっているので、それでラブソングを歌いますっていうのもなかなかこっぱずかしいんですけど、それでも、ラブソングを聴きたいっていう人たちもいて。それでなんとなく書きたいって思ったんですよね。どうせ書くなら、みんなが好きだって言ってくれる曲の続きにしようかなって。その先の物語をみんなにプレゼントしたくて書きました。ただ、「8535」はバラードチックな曲なので、「青く赤く」はギターロックな曲調にしてみたんです。これはセットで聴いてほしいですね。

須藤:「ブッシャカ」が推しですね。反骨精神、雑草魂が見える曲。歌詞のセンスも光っていて、なによりもライヴでマストになりそうな曲。みんなで「ブッシャカ、ブッシャカ」って言えるところがいいなって。この曲をライヴで楽しんで、また生活に戻っていくっていう姿が見えるので。お客さんがストレスを発散できて、なおかつ自分も楽しめるので一番この曲が好きですね。

磯村:僕は「27時」です。今までになかった曲です。男臭い、気怠い感じで歌っていて。この曲を歌っている内田の声がすごく好きなんですよ。歌入れした後の音源を家で洗濯しながら聴いていたんですけど(笑)、「この曲、こんなに良くなったんだ!?」って驚きました。僕が考えてた曲のイメージとすごくハマっていて。このアルバムの中で一番、曲と雰囲気、イメージが全部がハマった曲ですね。何気なく聴いてても、一つ一つのワードが自然と入ってきて、ふとしたときに聴きたくなる。これまでのRhythmic Toy Worldにない雰囲気の曲なので聴いてもらいたいです。

――これからのRhythmic Toy Worldはどこに向かっていきますか?

内田:「僕らはみんなが知っているRhythmic Toy Worldのままメジャーに行くんだよ」っていうことを本当に伝えたい。もちろん、この作品で知ってくれる人たちも増えると思うんです。でもやっぱり、今まで支えてきてくれた人たち、一緒にやってきた人たちと作ってきたものを、どうしても多くの人たちにも知ってほしくて、「ASOBOYA」っていう曲を入れています。「ASOBOYA」っていうのは僕らが大事にしているワードなんですけど、それを曲にして入れることで、「僕らのことを誇ってくれていいんだよ」って言いたいんです。僕らを応援してくれている人たちは、「Rhythmic Toy Worldのこんなところが好きなんだ」っていうことを持ったままでいてほしい。それを新しく僕らのことを知ってくれた人たちに伝えて行って欲しいと思うんです。僕たちはこれからも、みんなが誇りに思えるようにステージに立ち続けるので。本当にそれだけですね。

取材・文:岡本貴之


リリース情報

メジャーデビュー・アルバム『SHOT』
<DVD付き初回限定盤>
VIZL-1373 \3,300 + 税
DVD内容:
『キオク』と題された彼等のインディーズ初期から「転生?なにそれ美味しいの?ツアー」まで、メジャー・デビューまでの道のりを追いかけた80分を超える長編ドキュメンタリー作品
<通常盤>
VICL-64993  \2,800 +税
1. BOARD
2. 僕の声〔Album Ver.〕
3. ラストオーダー
4.さなぎ~想像力の最前線Ver.
5. 会えるように
6. ペーパー人間
7.ブッシャカ
8. 青く赤く
9. ライブハウス
10. 27時
11. 革命の唄
12. ASOBOYA
13. リバナ

ライブ・イベント情報

『SHOT』発売記念【SHOOTING TOUR】
5/16(水)千葉LOOK※ワンマン
5/22(火)秋田LIVE SPOT 2000
5/23(水)盛岡the five morioka
5/25(金)横浜BAYSIS
5/27(土)富山SOUL POWER
6/19(火)小倉FUSE
6/20(水)大分club SPOT
6/30(土)静岡UMBER
7/ 5 (木) HEAVEN`S ROCK 宇都宮VJ-2
7/ 8 (日) 松本ALECX
7/13 (金) 岐阜柳ヶ瀬 Ants
7/14 (土) 神戸太陽と虎
7/16 (祝) 岡山CRAZYMAMA 2ndRoom
7/17 (火) 高松DIME
7/19 (木) 京都GROWLY
7/27 (金) 前橋DYVER
7/29 (日) 西川口Hearts
8/8(水)四日市 Club Chaos ※ワンマン
8/19(日) 郡山 CLUB #9 ※ワンマン
8/25(土) 水戸 LIGHT HOUSE ※ワンマン
9/14(金) 札幌 COLONY ※ワンマン
9/16(日) 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd ※ワンマン
9/22(土) 広島 Cave-Be ※ワンマン
9/24(祝) 名古屋 CLUB QUATTRO ※ワンマン
9/28(金) 梅田 Shangri-La ※ワンマン
ツアーファイナル
10/29(月) Zepp DiverCity ※ワンマン

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス