【ライブレポート】予想と期待を裏切るリッチー・ブラックモア

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2016年に19年ぶりの復活を遂げて以来、今年で3年連続のツアーを開催することとなったリッチー・ブラックモアズ・レインボーだが、今回は全ての会場のアリーナがスタンディング仕様であるためか、まだ気温の低いこの土地でも待ちきれないファンが早くから屋外入場レーンに長い列を作っていた。




ロシア公演を皮切りにツアー3箇所目となるフィンランドのヘルシンキ公演は、フィギアスケートやアイスホッケーで有名なHartwall Arena会場での開催となった。コンサートでは13000人を収容するというこのアリーナもソールドアウトとなっていた。2016年の復活年には北欧のフェスティバル出演の噂もあったが、実現には至らなかったとあって、地元ファンはかなりの熱狂ぶりな様子で、若い世代や親子連れらしき姿も多い。

会場内にはレストランやバーなども充実しており、開演前BGMはジューダス・プリーストやハロウィン、ブラック・サバスといった往年のヘヴィ・メタルが流れ、地元フィンランドのローカルバンドがオープニングアクトを40分ほど務めた後、レインボーの出演は21時予定のところ15分ほど遅れての開演となった。

お約束のオープニング「威風堂々」は今年は別アレンジのものに、そして「Over the Rainbow」からリッチーがステージ上に登場しての「Spotlight Kid」は何度観てもテンションが上がる。リッチーの立ち位置はセンターがデフォルト、シンガーのロニー・ロメロが上手のパターンだ。「I Surrender」「Mistreated」「Since You've Been Gone」あたりまでは通常通りの展開だったが、「Man on the Silver Mountain」ではベーシストのボブ・ヌーボーが観客との掛け合いとMCを始めた。セットリストは毎年ほぼ同じなのだけれど、毎回こうした変化を確かめることができる。今年はメンバーの存在感が随分とバンドらしくなっており、ドラムスのデヴィッド・キースも以前より派手なパフォーマンスをみせることで、地味だと感じていたリズム隊の存在感が際立ってきたようだ。





ステージセットは昨年同様に虹のセットは作られず、バックのスクリーンに映像が映し出されるものだ。パターンも少なくシンプルゆえに少々物足りなさも感じるものの、定番のアルバムアートワークには毎回心が躍る。

「Sixteenth Century Greensleeves」も別アレンジで披露され、以前はセットリストで決められた場所でのみMCを挟んでいたロニー・ロメロも「楽しんでるかい?」「みんなどこから来たの?」と自由に観客とコミュニケーションを取っていた。ステージも順調に進行しながら、この日4月13日はリッチーの誕生日前夜の為「Defficult to Cure」の途中にバースディを祝うコーナーも設けられていた。メンバーからのプレゼントがステージで渡されたものの、リッチーは開封もせず無愛想にステージ袖へ引っ込んでしまい、メンバーが慌てるというまさかのサプライズ(ハプニング)。ボブが必死に場を繋ぎながらプレゼントを自ら開封し観客に見せるという、シナリオ通りにいかないのもリッチーならではの出来事であろうか。イェンス・ヨハンソンのキーボードソロをたっぷりと挟んだ以降に演奏は「Defficult to Cure」へと戻っていった。




ぎこちなさを残しながらも、後半のキラーチューンが続くと観客は変わらず熱狂し、「Stargazer」や「Long Live Rock'n' Roll」は素直に楽しめたものの、「Burn」のギターソロでは若干の違和感を残していた。本編ラストのこの曲でメンバーは一旦ステージ上を去り、本来ならアンコールで「Black Night」「Smoke on the Water」は鉄板のはずだったが、「We Want More!」コールを15分~20分ほど続けても結局メンバーが姿を現わす事はなく、このまま客電が点灯し終演を迎えてしまった。アンコールなのだから本来はなくても当然なのだけれど、彼らの場合はステージからメンバーがひとりずつ去って行く演出もあり、これがないとショーとして未完成となってしまう。しかし予定調和ではない、こちらの予想と期待を裏切るところもリッチー・ブラックモアたる魅力なのかもしれない。

新曲を収録したライブ盤がリリースされた事もあり、ツアーでは新曲がプレイされることも期待されたものの、別の意味で特別な夜になったようだ。この後に控えるチェコとドイツの公演では新曲の披露はあるのか…気になるところだ。

文・写真:Sweeet Rock / Aki
編集:BARKS編集部





<Rainbow ~Memories in Rock 2018 ~>
2018.4.13.Helsinki Hartwall Arena
1.Land of Hope and Glory
2.Over the Rainbow
3.Spotlight Kid
4.I Surrender
5.Mistreated
6.Since You've Been Gone
7.Man on the Silver Mountain ~Woman from Tokyo ~ Man on the Silver Mountain
8.Perfect Strangers
9.Sixteenth Century Greensleeves
10.Soldier of Fortune
11.Difficult to Cure ~ Keyboard Solo ~Difficult to Cure
12.All Night Long
13.Child in Time
14.Stargazer
15.Long Live Rock'n' Roll
16.Burn



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