【インタビュー】Official髭男dism「みんなが一番ハッピーになるには素晴らしい音楽を作って素晴らしいライブをすること」

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全国的にはまだまだ無名の状態からの、まさかの「月9」主題歌ゲット。そして前代未聞のメジャーデビュー前日発表。さらにメジャーからシングル、インディーズからアルバムの同時リリースという離れ業。一度覚えたら忘れないその名前、ヒゲダンことOfficial髭男dismはいかにして、一瞬にして2018年最大の注目新人バンドとなったのか? メジャーシングル「ノーダウト」とインディーズアルバム『エスカパレード』の話題を中心に、才能あふれるソングライター、トラックメイカー、メロディメイカーであり、今のところブルーノ・マーズに首ったけなボーカル&ピアノ藤原聡に、劇的に変化しつつあるバンドの現状を聞いてみた。

◆Official髭男dism~画像&映像~

■「ノーダウト」シングルが突如店頭に並び
■異例の“ゲリラリリース”でのメジャーデビュー


――ブルーノ・マーズの来日公演、行きましたよね?

藤原聡(以下、藤原):行きました! いやー、もう素晴らしいですよ。今、次のワンマンライブのリハーサル中なんですけど、ブルーノにもらったエッセンスを反映できないかどうか、いろいろ試してるところです。ああいう洋楽のアーティストって、ライブとCDでアレンジを変えてきたりするんですけど、メンバーもミュージシャンもみんな踊るんで、ダンスが激しい曲はドラムとキーボード以外は全部シーケンサーで流してるんです。でも違いは本当にわからないし、バンドっぽい曲はちゃんと生音でやる時もあったりして、どっちもすごくいいんですよね。アリーナだからこそできる演出もあって、本当にすごくて…(以下5分間、大絶賛の感想タイム)。

――ヒゲダンも目指しましょう、日本のブルーノ・マーズを。これ冗談で言ってないですよ。

藤原:ダンスレッスンとか通おうかな(笑)。ブルーノ・マーズはブラックミュージックのエッセンスをしっかり出しつつ、ちょっと年代を感じるシンセサイザーの音も入っていて、その感じがめちゃくちゃ好きなんです。ジャスティン・ビーバーを筆頭に、ループミュージックをトラックメイカーと組んでやってる人はいっぱいいますよね。その中でも一番いいなと思うのがブルーノで、メロディアスな展開をどの曲にも必ず準備してくれているし、それが薄い曲は逆にライブで面白い展開にしていたり、ループ系の音楽との向き合い方がすごくいいんですよね。音もめちゃくちゃエレクトロというというよりは、昔のリズムマシンみたいな感じだったり、生ドラムっぽいサンプルだったり、そのへんはすごくシンパシーを感じます。

――ヒゲダンの音楽も、まさにそこがポイントですよね。

藤原:僕らが今やろうとしている主軸が3本あって、「ノーダウト」のようなダンスミュージック調の打ち込み系をやりつつ、もう1本はJ-POPのグッドメロディをしっかり踏襲しつつ、それをブラックミュージックにしっかり混ぜ込むというもので、あとはバラードですね。その3本が自分の中のコンセプトとしてあって、どこから入ってくれても楽しんでもらえる自信がすごくあります。あとは、グッドミュージックというものと、メッセージ性と、ちょっとユーモアのある歌詞と、その三つもブレないようにしている自信がすごくあるので、どこから入ってくださってもきっと気に入ってもらえると思います。


――今回、シングルとアルバムが同時リリースです。

藤原:アルバムのフラゲ日に渋谷でフリーライブをやって、そこでメジャーデビューシングルのリリースをゲリラ発表したんですけど、やっぱりシングルになっていることによって、ドラマを見て聴きに来てくれた人たちにも音楽が届くので、それはすごくよかったと思います。

――サプライズリリースって、誰の発案だったんですか。

藤原:レコード会社のスタッフですね。僕は月9のドラマ『コンフィデンスマンJP』の脚本を書かれている古沢(良太)さんのファンなんですけど、いきなりひっくり返ったり足元をすくわれたりする展開がすごく面白くて病みつきなので、僕らもそういうサプライズをやってみようというところはあったかもしれない。だから提案をもらった時に「それは面白い」と思ったんですよね。

――そもそも、アルバムを作っている時には、メジャーデビューは考えていなかったんですよね。

藤原:そうです。メジャーレコード会社と一緒にやることが決まったのは今年に入ってからなので、アルバムから一緒にやるのはもう間に合わないから、メジャーデビューの時期ももう少しあとにしようかという話もあったんですよ。そしたらいきなりドラマの主題歌の話があって、フジテレビのプロデューサーからお話をいただいて…という流れだったので、「嘘だろ!?」という感じでした。でも本当に幸運だなと思ったのは、プロデューサーの方が主題歌のアーティストを探している時に、偶然サブスクリプションか何かで僕らの「Tell Me Baby」を聴いて、「こいつらだ」と思ってくれたということで。ドラマ主題歌と言えばきっといろんな大人の力が動く中で、「いいものを作る」という直感コンパスによってたどり着いてくれた、なおかつまだインディーズにも関わらずオファーしてくれたというのは、感謝の気持ちでいっぱいです。まったく面識もない、バンド名すら知らない状態からいきなり音楽を聴いて、オファーするまでには相当なパワーがいる。だからオファーして良かったなと思ってもらえるような楽曲を絶対作ろうと思っていました。

――曲出しから完パケまで、3週間もかかってないと聞いてます。

藤原:睡眠時間はけっこう削られましたね(笑)。アルバム発売に先駆けて土日にインストアライブをたくさん入れていたので、移動中の新幹線とか飛行機の中でもノートパソコンで作業して、それでなんとか間に合ったんです。歌詞の直しや曲のアイディアをすぐ送らなきゃいけないので、マイクとインターフェースとか全部キャリーバッグに入れて持ち運んでいました。

――何度か、作り直しもあったとか。

藤原:結局10曲近く作りました。「もうひと踏ん張りお願いします」と言われて、2日後に2曲提出するみたいな日程でしたね。「こういう音がほしい」というリクエストがはっきりしていたので、それを反映すると、ほぼほぼ出来上がった状態で送らないといけないので、それが大変だったのを覚えています。ただ、アレンジとか音を作り込んでいく操作の速さは鍛えられたみたいで、むちゃくちゃ速くなりました。すごく実りの多い3週間だったと思います。

――「ノーダウト」はラテン調の、かっこいいけどシリアスすぎず、ユーモラスな感じもするポップチューン。

藤原:ピリ辛だけどリラックスしてるみたいな、そのへんがドラマと合っているなと自分では思ってます。『コンフィデンスマンJP』は詐欺師のお話だけどコメディで、シリアスなんだけどお茶目な部分があるので。

――そういうニュアンスを、曲にも入れてほしいと?

藤原:いや、そこは自分の中で「共通点があるな」と思って作っていたところですね。裏話としては、先方はブルーノ・マーズみたいな曲とか、僕らの「Tell Me Baby」みたいな曲を作ってほしいということで、BPMの指定も明確だったんですよね。確かBPM115、116ぐらいだったと思うんですけど、スタジオにこもっている時にこの曲がふっと浮かんできて、指定のBPMより速いんだけど、オフラインの映像を見せてもらって、その質感と照らし合わせた時に、この速さが合うんじゃないかな?と思って、いわば逆提案させてもらいました。ラテンの要素は偶然思いついて、モントゥーノと呼ばれるピアノのフレーズを使ってみたんですよ。海外では、去年の「デスパシート」(ルイス・フォンシ)あたりからラテンブームが来ていたところでもあって、スタッフと「いやー、取り入れちゃったね」とか言ってニヤニヤしてたんですけど、よくよく調べてみたらラテンにもいろんなジャンルがあって、今回自分たちがやったのはサルサなんですけど、向こうで流行ってるのはレゲトンなんで。「ちょっと違うけど、まいっか」って(笑)。

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