【千歌繚乱インタビュー】Initial'L、嘘偽りのない自分たちの音楽を

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Lycaon解散後、同じメンバーでゼロからリスタートしたロックバンド・Initial’L。ジャンルを超えてイベントに積極的に出演し、Initial’Lは多くの経験を積んできた。

始動から約1年半たった今、5人が積み上げてきたことをリセットしたからこそ、手に入れられたものとは何なのだろうか。3ヶ月連続配信シングルの最新曲「Calling」に込められたのは、今の5人だからこそ伝えられるどストレートで熱いメッセージだった。5月23日にGARRET udagawaにて開催されるBARKS主催3マンイベント、<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>に参加する意気込みも含め、2018年現在のInitial’Lの偽らざる想いをたっぷり語ってもらった。

◆アーティスト写真

※本記事は5月23日(水)にGARRET udagawaで開催される<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>において、来場者限定で配布される「千歌繚乱 ARTIST BOOK」掲載のインタビューの一部を事前に公開するもの。「千歌繚乱 ARTIST BOOK」ではメンバーへの一問一答アンケートなど、より深い内容が掲載されている。

   ◆   ◆   ◆

――2016年にInitial’Lとして新たに活動をスタートさせ、環境も変わったと思います。その中で感じた変化を教えてください。

悠希(Vo):変化は……全部ですね。ヴィジュアル面もそうだし、曲の作り方やライブの持っていき方も。昔はライブだと演出に重点を置いて考えていたんですけど、今はInitial’Lの音楽をどう伝えるか考えています。

一朗(Dr):前のバンドでは劇というか、シアトリカルなニュアンスを打ち出していたんですけど、よりストレートなライブに近づけたいなと思うようになりました。ライブって熱いものだよなって。

――もっと飾らない自分たちを出したいと思うようになったんですか?

サトシ(G):わかりやすく言うと、それに近いですね。前は演じている人がステージにいたんだけど、今はその人自身がいるっていう。

▲悠希(Vo)

――サトシさんだったら、前はLycaonのサトシという人格があったということでしょうか?

緋遊(B):唯一、サトシに関しては例外ですけど(笑)。

サトシ:ふだんからサトシなので自分は何も変わってないんですけど、バンド単位でいうと、ふだん生活して思うことをもっと伝えたかったり、人間味を感じてもらって、Initial’Lの音楽を身近に感じてもらいたいと思っていますね。

緋遊:昔より歌っている内容も明るい方向に向かっている感じはありますね。そこがいちばん変わったところかもしれない。闇と光じゃないけど、今は前向きなメッセージ性が強い曲が多いかなと。

悠希:ファンタジーからリアルになった感じですね。

ZERO(G):いろいろな面で考え方は変わりました。曲作りにしてもステージにしても昔よりも今の方が楽しめていて、以前の自分は視野が狭かったのかなって。

もっといろいろな音楽をInitial’Lでできたらいいなと思うようになってきています。自分たちができることをもっと増やしたいというか。

――やりたい音楽の幅が広がったんですね。

ZERO:それは自分にとって大きな変化ですね。

▲サトシ(G)

――メンバーは全く一緒でバンド名前を変えて新しい一歩を踏み出すって勇気が必要だと思うんです。前のバンド、Lycaonと比較されることもあるだろうし、離れていく人たちもいると思うし。そういうリスクをわかった上での決断だったと思うんですが、それでもヴィジュアル系から脱したかったんでしょうか?

悠希:まぁ、僕がメンバーの中で見た目の変化がいちばん目に見えてわかると思うんですが、またゼロからという気持ちでInitial’Lを始めたので。確かにファンからもらう手紙には批判は多かったですね。でも、そこを受け止めた上で今の僕があるというのをわかってほしかった。抵抗があったり、イヤだったりする気持ちもわかる。だったら、“昔の悠希が好きだった”っていうコたちも含めて今のInitial’Lを一緒に作っていきたいなという想いがありました。リスクがあることをわかった上でバンド名を変えて活動を始めた理由は、自分たちがやりたいことをより自由にやりたかったから。その時々で聴いている音楽が変化するようにバンドもやりたいことが変わっていくと思うんですよ。自分たちが楽しくなかったら、ファンのコたちにも伝わってしまう。シーンに関しては同じような音楽が溢れることが嫌だったというのもありますけど。

――ヴィジュアル系は好きなんだけど、シーン自体がちょっと窮屈になっちゃたみたいなことを前に言ってましたよね。

悠希:その時に思ったのはヴィジュアル系って狭い世界だから、例えば近年でいうと“メンヘラ系”が流行ると、みんながわりと同じ方向を向きがちなんですよ。本当にやりたくてやってるんならいいんだけど…っていう想いを感じていて。でも、ヴィジュアル系から脱したかったんじゃなく、嘘偽りのない自分たちの音楽をストレートに出すバンドをしたかったから、Initial’Lを始めたんです。ジャンルがどうのこうのじゃないから、ヴィジュアル系のイベントにもロック系のイベントにも出るし、ファンのコたちはどっちのライブでも身体を揺らせて楽しんでいるから、そこに線引きはしていないんですけどね。

――ひとつのカテゴリーに縛られることに息苦しさは感じていたんですか?

一朗:というよりも、他の世界を知らなかったんですね。Initial’Lになってからロックバンドとも共演するようになって、いろいろなことを知って。

悠希:Lycaonの時はLycaonの時でやりたいことをやってたんですよ。でも、バンドが1回終わって、また集まった時に「こういうことも俺たち、できるじゃん」、「カッコよくね?」って。

――Lycaonはやり尽くした感があっての解散だったから?

悠希:うーん。でも、あのままLycaonを続けても、今のInitial’Lのような音楽をやっていたと思うんですよ。

サトシ:時間はもっとかかったかもしれないけど、そうだね。

ZERO:Lycaon自体もさかのぼっていくと楽曲のタイプがめちゃめちゃ変わっていったバンドだったから。

悠希:そう、そう。ひねくれたところがあって、まわりが似たような音楽やってたら俺たちは絶対に同じ方向を向かないみたいな。

――ということは、1回バンドがバラバラになったからバンド名を変えたっていう感覚なんでしょうか?

悠希:そうですね。解散したのにまた同じバンド名じゃおかしいなというのがあったので。

サトシ:Lycaonは本当にカッコいいバンドだと思ってやっていて、ちゃんと終わらせたっていうのがあったんですね。でも、しばらくしたら結局、みんな音楽しかやることなかったっていう(笑)。

ZERO:バンド名はだいぶ悩んだけどね。

▲ZERO(G)

――さっき一朗さんはInitial’Lになってから、いろいろ変化を感じたと話してくれましたが、実際、感じたことやぶつかった壁というのは?

悠希:壁しかなかったですね(笑)。対バンした相手からは「ヴィジュアル系だよね」っていう目で見られることもあったし、ヘドバンだったりライブのノリ方もそもそも違うから、ウチのファンとうまくやっていけるかな? って心配になったり。バンド同士で仲良くなっていくにつれて、そういう不安は自然となくなっていきましたけど。

サトシ:それはありましたね。イベントに出ても他のバンドのファンと境目がわかっちゃうぐらいにノリが違う。

悠希:線が見えたよね(笑)。

一朗:Initial’Lにはヘドバンの曲はそんなにないんですけど、ゆくゆくは他のバンドのファンの方にも“こういうノリも楽しいよ”ってわかってもらえたらなって。

悠希:綺麗に揃うから戸惑うっていうのもあるんじゃないかな。「私も揃えないとけないのかな」とか「右と左、どっちから行けばいいんだろう?」とか。僕らが今まで思っていた当たり前がそうじゃなかったり、僕らになかった感覚が当たり前だったり、そういうのばっかりだったんですけど、少しずつ自分の中で昇華して自分たちなりの答えを出していっている状況ですね。

――違うジャンルのバンドと対バンするからには、お客さんを振り向かせたいという気持ちがあると思いますが、どうアプローチしていますか。

悠希:ちょっとでもノッてくれたら「ありがとう!」みたいな感じで伝えるようにはしていますね。

緋遊:「楽しいんだぜ」っていうのは伝えたくて。

一朗:それはあるね。

ZERO:違った熱量が自分たちの中から出ているのは感じています。

サトシ:そう。「俺たちがいちばん楽しんでるぜ」っていうのが伝わると徐々に後ろで見ている人たちにも響く感覚があります。

緋遊:対バンする相手の熱量に負けないようにね。

――その熱量ってどういうところで感じますか?

緋遊:何かを使って伝えるというより、音そのものにメッセージや熱を乗せて届けている感じがしますね。

サトシ:飾らないカッコよさがあるよね。

悠希:髪をスプレーで固めてないし、化粧もしてないじゃないですか。汗だくで髪もびしょびしょになってやっている姿を見て「コイツら、カッコいいな」と思ったりしましたね。

一朗:ストレートだよね。それを対バン相手にも見せてくれる。ホントにカッコいいと思ったバンドには「むちゃくちゃカッコいい」って言ってくれるし、「俺らはこうなんだ」って気持ちを打ち明けてくれるというか。

ZERO:共演してカッコいいと思っても、ヴィジュアル系バンド同士だと「今日、負けたわ」とか絶対言わないもんね。言いたくないし(笑)。

悠希:やっぱり(ヴィジュアル系って)ひとつ壁があるのかなと。

▲緋遊(B)

――殻にこもっている感じがあるというか。

一朗:実際、悠希も殻にこもっていたからこそ感じることで。

悠希:そう。どこかに壁があったのか共演したバンドのライブが良くても「俺たち負けたわ」なんて言えなかった。ロックシーンのバンドマンってすげえストレートに言ってくるから、こっちもストレートにぶつけられる。

サトシ:最初、驚いたのがイベントの当日、リハーサルが終わると顔合わせがあって「えー? みんな集まるの?」って(笑)。そこで、「みんなで良いイベントにしていきましょう」って。初めて挨拶するバンドもいるし、出演バンドで共有できるものがあるんですよね。

悠希:「コイツらと一緒に今日、楽しませるんだ」ってね。

――そういう経験をするとヴィジュアル系のイベントにも以前とは違う意識で臨めるんでしょうね。今、どれぐらいの割合でジャンルの違うイベントに出ているんですか?

一朗:半々ぐらいですね。

悠希:だいぶ視野が広がりました。

――Initial’Lは今年の3月からシングルを3ヶ月連続で配信。グラムロックテイストの「KINGS AND QUEENS」、EDMとバンドサウンドを融合させた「WAKE UP」と配信してきて、第3弾となる「Calling」はさっき話してくれた熱量の話とリンクするロックチューンですよね。自分次第なんだ、後ろを振り向くなっていうメッセージもストレートだし。

悠希:そうですね。この3部作は全部違うタイプの曲になっていて。


――あえてそうしたんですか?

悠希:俺たちが今やりたいことを3曲にまとめた感じです。「Calling」はInitial’Lにありそうでなかった曲で。

ZERO:うん、なかったね。

サトシ:結成当時は「こういう曲が欲しいな」と思っても自分たちが納得できるところまで持っていく力がなかったと思うんですよ。いろいろ経験してきて、培ってきた力を落とし込めたかなって。

悠希:歌詞はInitial’Lになってから、自分のことやバンドのことを書くことが多いんです。ライブしていて客席を見ていて「この音楽、気になるけど、一歩踏み出せないな」って思っている人が多い気がしたのがキッカケなんですけど、僕自身、ふだん「これ、やってみようかな」「挑戦してみようかな」と思ってもなかなか踏み出せなかったりするんですけど、そうやって迷っている時間ってもったいないなって。「1秒でも早く挑戦していたら、自分はもっと変わっていたかもしれない」っていう若干の後悔が入っている歌詞です。「そんなことで迷っているより、やっちゃえばいいじゃん」っていうメッセージですね。

――“ただいつだってそうやって壊してきたんだ”っていうのは前に進んできたんだっていうニュアンスですか?

悠希:そうですね。そのタイミングは今なんじゃない? っていう。

一朗:さっきサトシが言っていたようにInitial’Lにありそうでなかった曲ですね。こういうテンポ感の曲はありますけど、それとはまた違うタイプ。疾走感があって叩いていて気持ちいい。ライブが楽しみですね。

緋遊:ライブで“もう一押し”っていう時に演奏したい曲ですね。歌詞は後ろを向いてちゃ前に進めないんだっていうメッセージがその通りって。僕はLycaonに後から加入したんですけど、好きなバンドだったのでいろいろな人にLycaonが好きだってアピールしてたらメンバーになれて「ムダなことってないんだな」って。その時はムダだと思っても、そういう積み重ねが前に進むために必要だって教えてくれる曲です。

――ベースについてはどうですか?

緋遊:魂をこめたグリスがあります。

サトシ:そこに至る手前のことがあるじゃん。ひーくん(緋遊)はデモにないベースを入れることがなかったんですけど、今回はドラムしかなかったところにベースを乗っけてきてくれたんですよ。「新しいことにチャレンジしてる!」ってそれが嬉しくて「じゃあ、そこベース入れようか」って。

緋遊:あ〜、そこか(笑)。

ZERO:「Calling」はギターのリフを含めてとにかくライブで演奏するのが楽しみな曲です。がっつり暴れながら弾ける曲なので。

▲一郎(Dr)

――イベントだと、どういうポジションに来る曲でしょうか?

ZERO:どこにでも使えますね。最初の起爆剤としても使えるし、ピークを作る曲でもいいし、最後を飾ってもいい。息の長い曲になると思います。

サトシ:言い忘れてました。イントロのギターリフはブルースが基盤になっているんですよ。それを今の時代に表現したらどうなるか? っていう挑戦も入ったている曲です。

――「KINGS AND QWEENS」も今の時代にグラムロックをやったら、どうなるかっていうアプローチですよね。

悠希:それはありますね。
サトシ:当時の音楽を現代のサウンドでやったら、どうなるかっていう実験も詰まっています。




――続いて、いよいよ間近に迫ってきているBARKS主催の5月23日に開催されるイベント<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>について教えてください。共演するChanty、Jin-Machineとは旧知の仲なんですか?

一朗:仲いいですね。Jin-MachineはLycaon時代に北海道で2マンをやったことがあって。

ZERO:Initial’Lになってからも対バンしてます。

一朗:Lycaonの時も好きだったけど、Initial’Lも好きだって言ってくれているので楽しみですね。上手いし、面白いし。Chantyに関してはベースの(野中)拓さんと僕は18才ぐらいからの知り合いで。

――そんなに長い付き合いなんですね。

一朗:そう、そう。高校の時に大阪で対バンして、その頃より今の方が仲がいいですね。そんな時代から音楽をやり続けて今も一緒にいるので。

――1バンドの演奏時間を長めにとるイベントですが、意気込みは?

悠希:やー、負けたくないですね。どのバンドにも。

一朗:今年初のワンマンツアーを経てのイベントだし、その時点より必ずパワーアップしていると思うので。

一朗:準備は万端です。

緋遊:今までやってきたことをぶつけるだけ。この日までに変化していることもあるだろうし、それを武器として出せたらいいなと思います。

一朗:最近、ライブでは緋遊くんが煽り番長なので。

ZERO:もちろん意気込んでいますけど、気張らずにみんなが自分を出せればいいライブになると思っているので、自然な感じでやれたらいいなと。

一朗:最近、ZEROくんはコーラス番長なので(笑)。

サトシ:ブレずにやるだけかなって。3マンって色のぶつかりあいが面白いので俺たちは俺たちのやり方でがっつりぶつかっていきたいなと思います。

取材・文◎山本弘子

  ◆  ◆  ◆

Initial’Lが出演する<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>は、5月23日GARRET udagawaにて開催。現在、イープラスにて一般チケット受付が行われている。

なお、Initial’Lは5月5日に新宿LOFTにて開催された<KINGS AND QUEENS TOUR>ファイナル公演にて7月25日に3rdシングルを発売すること、それを記念したレコ発ワンマンライブを7月27日に初台Doorsにて開催することを発表した。それに加え、秋にはアルバム発売、そのアルバムを引っ提げたワンマンツアーの開催も決定しており、2018年は新生ロックバンドInitial'Lとしての活動的な1年になりそうだ。


<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>

日時:2018年5月23日(水)開場18:00/開演18:30
出演:Initial'L/Chanty/Jin-Machine
会場:GARRET udagawa
料金:【先行チケット】3,800円 【一般チケット】4,000円 【当日券】4,500円 ※ドリンク代別途

【先行チケット】
受付終了

【一般先着受付】
4月17日(火)12:00~5月22日(火)18:00
[イープラス]
チケット購入ページURL:http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002257610P0030001

配信情報

■3カ月連続配信第一弾「KINGS AND QUEENS」
iTunes/Apple Music
https://itunes.apple.com/jp/album/kings-and-queens-single/1356853603?app=itunes&at=10I3LI
レコチョク
http://recochoku.jp/album/A1009655074/

■3カ月連続配信第ニ弾「WAKE UP」
iTunes/Apple Music
itunes.apple.com/jp/album/wake-up-single/1365252864
レコチョク
recochoku.jp/song/S1006611290/

■3カ月連続配信第三弾「CALLING」
iTunes/Apple Music
https://itunes.apple.com/jp/album/calling-single/1374028156?app=itunes&at=10I3LI

レコチョクはこちら
http://recochoku.jp/song/S1006687745/

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