【ライブレポート】The BONEZ「新曲しか披露されていないのに、まるでベスト選曲のライヴを観ているかのような気分に」

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自信作を作りあげたバンドというのは、やはり良いライヴをするものなのだな、と思った。The BONEZのことである。4月29日、東京・渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された<Track Order-“WOKE”先行レコ発LIVE!->を観て、素直にそう感じさせられた。

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■BONERたちは、まるでこの曲たちを
■最初から知っていたかのようだ

この公演はそのタイトル自体が示す通り、5月9日に発売を迎えるニュー・アルバム『WOKE』の楽曲すべてを、その収録順通りに先行披露するというもの。まさに“ライヴ版リスニング・パーティ”とでもいうべきか。ただ、ライヴの場で新曲をいち早く体感できるというのはファンにとって願ってもないことであるはずだが、そこには当然のようにリスクも伴うことになる。なにしろ演奏されるのは耳慣れないというよりも初めて耳にする曲ばかりなわけで、そこでもしも観衆が“じっくり聴き込みモード”に入ってしまったら、普段の彼らのライヴのような極上の一体感を味わうことはできなくなるかもしれないのだから。


開演予定の午後6時を6分ほど過ぎた頃、場内は暗転。ステージ上の配置についたメンバーたちは、全員がめずらしくブラックスーツでキメている。「カッコいい!」とつぶやく声があちこちから聞こえてきた。すると、頭上からのスポットライトを浴びたJESSEが、ギターを奏でながらそっと歌い始める。ステージ両脇の壁面に設置されたスクリーンには、「Until you wake up」という楽曲タイトルが映し出される。当然ながらアルバムでも1曲目に収められているナンバーだ。一瞬の静寂。いきなりガツンとバンド・サウンドが迫ってくるものと思っていたはずのオーディエンスは、そこで少しばかり身構えてしまったのではないだろうか。

しかしこの曲のそうした穏やかなパートは、あくまで冒頭の部分だけ。曲がアッパーに急転すると、誰もがビートに飛びつくように同調し、フロアは一気に熱を帯び、猛者どもはすぐさまクラウドサーフへと興じていく。激しく頭を振りながらドラムを叩くZAXが被っていた帽子はいつの間にか彼の背後へと落ちていった。


次なる「Bird〜people with wings〜」の途中、JESSEは「一緒に歌おうか」を無謀な提案をしてみせる。しかしBONERたちは実に呑み込みが早く、“Yeah”が繰り返されるこの曲のコーラス・パートに無理なく加わってくる。そうした即時的反応の素晴らしさに、メンバーたちも圧倒されていたに違いない。この曲が着地点に至った直後、ZAXは「渋谷! ヤベえ!」と叫んでいた。そしてJESSEは「こんなカッコして暑くてしょうがねえけど、正装でビシッとおまえらのためにやっからよ!」と挨拶。

「全部(みんなの)知らない曲だけど、知ったフリしとけ!」との言葉通り、まだ誰も聴いたことのない『WOKE』からの楽曲ばかりがその先も続いていく。しかしBONERたちは、知ったフリをしているというよりも、まるでこの曲たちを最初から知っていたかのようだ。このバンドの発信するメッセージや彼らの生きざまに共鳴する者たちには、すでに4人と同じビートやタイム感といったものが標準装備されているのかもしれない。そんなふうに思えるほどにステージ上とフロアのシンクロ率が高く、双方の間に隔たりがない。新曲ばかりが続いても、場内の熱気は一瞬たりとも冷めることがなかった。


■“これまでの5年間を経てきたからこその現在”が
■ぎっしりと詰まったきわめて強力な作品

僕自身は取材者の特権でアルバム音源を事前にじっくりと試聴していたが、この『WOKE』という作品には、自然にスッと身体に浸透してくるような気持ち良さがある。しかも聴き重ねていくほどに味わい深さを増していく楽曲がとても多い。そしてこの日、初めてその楽曲群が生演奏されるのを味わいながらまず感じさせられたのは、各楽曲のライヴでの即効性の高さだ。なにしろ新曲しか披露されていないのに、まるでベスト選曲のライヴを観ているかのような気分にさせられるのだ。そこで同時に確認できたのは、このアルバムの曲順にはまったくスキがないということ。

彼らはステージ上での発言のなかで、この日のセットリストについて、選ぶべき対象が羅列された“メニュー”ではなく、提供される料理の内容も順番も決まっている“コース“という比喩をしていた。肉料理やデザートが最初に出てくるというのも場合によっては新鮮で面白いのかもしれないが、然るべき順序でそれぞれの料理が供されるからこそ美味しくいただける、というのも絶対にあるはずだ。そうした意味においてこの日のセットリスト、すなわち『WOKE』の曲順は、このアルバムをいちばん有効に味わうことができるよう、完璧に編まれていたように思う。


もうひとつ実感させられたのは、JESSEの歌い手としての成長ぶりについてだ。彼のフロントマン、メッセンジャーとしての資質の高さは、前々から誰の目にも明らかだったはずだが、これまでヴォーカリストとしての評価はそこに追いついていなかったように思う。だが、The BONEZで“歌う”ということに従来以上に積極的に取り組むようになった彼の、この約5年間の時間経過のなかでの確かな進化が現在は見てとれる。

加えて、ギターを手放してヴォーカルのみに専念する楽曲での彼の運動量は相変わらず半端じゃない。ときにはステージを離れて客席の人波の上を歩き、BONERたちの手に支えられながらそこに仁王立ちして歌ったりもする彼だが(この夜も二度ほどそうした場面が見られた)、あれにしてみても、支える側以上に支えられる側のバランス感覚がすぐれているからこそ、そしてお互いが信頼関係で結ばれているからこそ成り立つものだ。そうした意味で、あの場面はThe BONEZとBONERたちの関係性を端的に表しているようにも思う。



無駄な沈黙を挟むことなく、実際の収録順通りに『WOKE』からの全11曲を披露し終えた時点で、約60分間に及ぶライヴ本編は終了。すると場内のスクリーンにインタビュー映像が流れ、アルバムについて語り始めた4人の発言が、5月11日に開幕を迎えるツアーのことに及んでいく。そのなかで質問者が、ツアー最終日が大阪公演であることを口にすると、画面のなかのJESSEが「お、大阪?」と言って驚いた顔をしてみせ、続けざまに他のメンバーたちも同様の反応をみせる。そんな小芝居を打ちながらその次の瞬間に発表されたのは、ZEPP TOKYOにて今作に伴うツアー・ファイナル公演実施が9月30日に決定したとの朗報だった。これはThe BONEZの単独公演としては、過去最大規模となるものである。



客席には大きな歓喜の声が湧き、ふたたび明るくなったステージに現れたJESSEは、「おまえらいいリアクションすんな! やっと(ZEPP TOKYOに)連れていけっから!」と言いながら最上級の笑顔を見せた。もちろん彼だけではなく、ステージ上の誰もが満面の笑みを浮かべている。わずか13枚限定で作られたTシャツすらも売り切れなかった過去のあるこのバンドは、本当にゼロ地点からのスタートでここまでやってきた。そんな彼らを初期から支え続けてきたファンを自己史上最大規模の会場に連れていけるというバンド側の歓びと、自分たちが愛し、共鳴するバンドがついにそうした場に到達するというファンの喜び。それがひとつになった素晴らしい瞬間だった。

そしてアンコールに応えて彼らがまず披露したのは、お馴染みの「Thread & Needle」。以降はこのバンドのライヴに欠かせない必殺曲のオンパレードとなった。最後の最後、「Place of Fire」を歌い終えたJESSEは「ジャパニーズ・ロック・バンドでした! ピース!」と言ってステージから姿を消した。午後7時41分のことだった。

アルバム発売を前にしてこの日のライヴで証明されたのは、『WOKE』がThe BONEZの“これまでの5年間を経てきたからこその現在”がぎっしりと詰まったきわめて強力な作品であり、しかも多様なベクトルを持った楽曲それぞれが、非常に高い即効性を持ち合わせているということだった。この作品が世に放たれ、ツアーを経ながら各曲がどのように成長を遂げていくことになるのかが、今から楽しみでならない。ツアー最終日にZEPP TOKYOでどんな景色を目にすることになるのかを想像しながら、この『WOKE』を味わい尽くしたいものである。

文:増田勇一
撮影:Yoshifumi Shimizu


The BONEZ OFFICIAL MERCH WEB STORE限定『WOKE - Bundle Set -』

2018年5月9日(水)発売
TBRD-0509 5,000円(+税)
内容:
・CD (Digipak)
・Limited T-shirt (Silkscreen print 7color)
・Original Sticker

Tracklist :
1 . Until you wake up
2 . Bird ~people with wings~
3 . Rude Boy
4 . One more
5 . SUNTOWN
6 . LIFE
7 . Kings work
8 . Code name
9 . Nice to meet you
10 . Anthem
11 . See you again

通常盤『WOKE』

2018年5月9日(水)発売
収録曲数:11曲
TBRD-0509 2300円(+税)
仕様:デジパック

◆The BONEZ オフィシャルサイト
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