【インタビュー】KIRA、日本の音楽シーンだけに収まりきれない“むき出し”な彼女を表現したAL『NAKED』

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前作『SURVIVE』から約2年のブランクを経て、KIRAのニューアルバム『NAKED』がついに完成した。これまでの作品でも本音をさらけ出していた彼女だが、プロデューサーRyosuke“Dr.R”Sakaiとの出会いにより、さらにひと皮向け、タイトル通りの「むき出し」な彼女を表現した楽曲が15曲収められている。日本の音楽シーンだけに収まりきれそうもない、サウンドも必聴の力作について、今回もKIRAが赤裸々に語ってくれた。

◆KIRA~画像&映像~

■今までは内容先行だったんですけど今回は曲調先行
■とはいえ、歌詞の内容はほぼ実体験ばかりなんですけど(笑)


――前作『SURVIVE』のテーマが「愛と裏切り」でしたけど、今作はその続編なんですか?

KIRA:続編ですね(笑)。もっとやさぐれたみたいな。

――いやいや、すごいパワーアップした。

KIRA:パワーアップと思ってもらえたなら嬉しいです。『SURVIVE』も、その前の『LISTENER KILLER』の時も今より未熟な部分があったから、なにも知らないまま「こう思った!わー!」みたいな感じで書いてリリースするみたいな感じだったけど、今回は特に尊敬するプロデューサー(Ryosuke“Dr.R”Sakai)と出会えたのが大きかったです。「このことを書きたいんです!」というよりかは、「かっこいいことをやっていこう!」みたいな感じで始まりました。今までは内容先行だったんですけど、今回は曲調先行。とはいえ、歌詞の内容はほぼ実体験ばかりなんですけど(笑)。

――エロい曲はよりエロく、パワフルにメッセージを伝える曲はよりパワフルに強くなったよね。

KIRA :嬉しい!大人っぽくしようっていうテーマはあったんですよ。

――それでタイトルも『Naked』?

KIRA:お客さんからすると、曲の印象や写真の印象を変えてきたって感じちゃうかなと思うんですけど、私的には、変えて色付けするんじゃなく、脱ぐ!みたいなイメージ。崖から飛び降りるような感じで「全部見て~!」みたいな感じ。心を裸にしてっていう作品。かっこいい服を着て「見て!」っていう感じじゃなく、脱いで「心を見て!」っていう。本当のかっこよさとか、本当の美しさ、強さを表現できたらという思いで作りました。

――心を裸にするというのがアルバムのテーマだったわけですよね。「もっと見てほしい」という強い思いがあった?

KIRA:女として無駄なことを削ぎ落としていくような感じ。若い時は、あれをしてこれをしてっていう風にテンコ盛りにしてたけど、痩せてスッピンのほうがキレイでしょ?って。心の面でも、削ぎ落としてシンプルに「好き」とか「いい」とか。音楽というより、プライベートで人間的な面で、シンプルに行こうという気持ちになっていたんですね。いろいろ邪念もあります。誰々がこう言ってたとか、人の言葉を気にしてしまうようなところもあったし、「なんであんなこと言ってしまったんやろ」って3日くらい悩んだり(笑)。もともとそういうタイプだったけど、それをもっとシンプルに変えるみたいな術を覚えて。


――それがイコール大人な感じになったというのは、本人が大人になった証拠でもあるかもしれないね。

KIRA:なっちゃいましたねー(笑)。前作から2年もあったので、良くも悪くも経験も増えますしね。『LISTENER KILLER』は“100%希望!”みたいな感じだったでしょ。

――うん。若い感じ。それはその時のKIRAさんなんですけどね。

KIRA:あの頃はホンマに心がきれいだったんで(笑)。

――今はきれいじゃないの?(笑)

KIRA:いや、ちょっと傷ついているんです(笑)。“100%きれい!”なのが『LISTENER KILLER』。逆に『LISTENER KILLER』を作る前はめっちゃ病んでいたんです。その頃は「無知な闇」。超暗い歌ばっかり歌っていたし(笑)。今は「知ってしまった闇」みたいなのがある感じかな。大阪のレゲエシーンに助けられてフェスとかにもブワーッと出るようになって、急に回りに人も増えて「ポジティヴ!」ってなったんですね。ネガティブな歌なんて一生歌わへん!イエーイ!って感じで。でも、『SURVIVE』で「愛と裏切り」を経験したわけですよ。

――人を信じられなくなったって言ってたもんね。

KIRA:そう。絶望的な歌も収録されていたけど、でも信じたいという想いが作品になった。信じたい、でも信じられないってウダウダしてる時期だったんですよね。今回に関しては、「無」という感じかも。

――仏ですか。

KIRA:仏になったか、あるいは死んだかどっち?みたいな(笑)。自分でもまだわからないところにいるんですけど。

――歌詞自体、俯瞰している感じだもんね。

KIRA:あぁ、そうかも。物事の真ん中にいたらツラすぎて。感情をなくすまでいかないけど、自分的には曲で表現するしか聞いてもらえないことなんですよ。仕事にしても恋愛にしても、私って普段からうるさいタイプなので、周りにいろいろしゃべるんです。けど、「あぁ、また何か言ってるわ」としか受け取ってもらえないのかなってちょっと思ってるんですよ。だったら曲に込めるしかなくて。アルバム制作ってマジ孤独だけど、孤独なぶん、ここに書くしかなかったから。

――そうだよね。すごく濃い時間を過ごしてたんですね。

KIRA:濃かったです。女として生きるのも大変だなって思ったり。だから歌詞は俯瞰しつつ濃くなった感じはあるかもしれない。さっきも言ったけど、今回知り合ったプロデューサーのSakaiさんが歌詞にもすごいダメ出しする人なんですよ。「こんな幼稚な歌詞じゃあかん!」って、赤ペン先生みたいに手書きでいろいろ指摘されて。「もっと比喩を使ったほうがいい」とか、書き方とか表現の仕方とか。それでケイティ・ペリーやレディ・ガガとか私の好きなアーティストの歌詞を改めて見直したんですけど、洋楽って洒落た比喩表現にあふれているんですよね。そういう洋楽の歌詞もリファレンス(参照)しながら、いつもとは書き方を変えて。仕上がったものは私の書きたいものを詰め込んでいるんですけど、ストレートに書いていたところを比喩表現にしたり。今までは歌詞も子供っぽかったと思うんですよ。

――今まではストレートだったし、そうなりがちだよね。

KIRA:うん。ストレートすぎた。ライヴに来てくれるお客さんにはそういう方が伝わりやすかったりするから、今までは「大阪っ!」って感覚で、「わかりやすい方がええやん!言葉選びも面白い方がええやん!」って、誰も使わないようなワードを使っていたんです。その誰も使わんようなワードをもっとオシャレでもっとかっこよく、大人っぽくしたほうがええやん?っていう考え方に変わったんですよね。

――前はストレートじゃないと伝わらないと思ってたところもあったと思うけど、ストレートじゃなくても伝える方法がわかったというのもあるんじゃない?

KIRA:うんうん。伝え方っていっぱいあるなって思った。前は1個しかないと思っていたけど10個くらいあるんだなって感じですかね。

――逆に匂わせるほうが伝わったりするよね。今作はそういうのが多い。

KIRA:匂わせまくりました(笑)。

――先行配信の「Ecstasy」なんて、まさにそれを代表する1曲。だからよりエロい。秘密の恋だし。この一瞬だけは、他のものもすべて排除して、二人の世界に浸るというような曲ですよね。秘密の恋の曲は前作『SURVIVE』にもあったよね。

KIRA:「Ice Cream Harmony」ですね。「Ecstasy」はそれよりももっと邪悪な恋。ネガティヴで結ばれている二人の歌なんです。妖艶さは意識しましたね。イメージ的には狭い部屋の中の歌で。自分が昔、そういう恋愛の仕方をしていたから。

――えっ!? 秘密の恋?

KIRA:いや(笑)。お互いを高め合おうぜ!みたいな関係じゃなくて、引き摺り下ろし合うような恋愛ばかりしていたんです(笑)。どっちかというと、そういう昔の恋を思い出して……。でも、若い時ってそういうことありますよね? 相手の全部を奪ってやる!みたいな。未来を見据えて相手に尽くすとか、相手を幸せにしたいとかじゃなく、自分の欲求をただぶつけるみたいな。今しかない、明日死ぬかもしれんくらいの感覚で生きている二人が傷つけ合う、引き摺り下ろし合うというような。それをイメージしたんです。実際、邪悪な恋愛は時間の無駄だと今は思っています。

――パワーいるよね。

KIRA:うん。本当にパワーがないと無理ですね。

――それをよくぞここまで耽美な感じで描いて。サウンドがまたその世界観を引き立ててカッコいい。

KIRA:本当にカッコいい。今回は、アルバムのリード曲「Bye Bye Boy」と、この「Ecstasy」をSakaiさんと最初に作ったことで私自身が変わりました。

――オリンピックのメダリストを育てるコーチのような人なんだね。そういう人に出会っちゃったんだ。

KIRA:そうかもしれない。自分の全体を見てくれる人はいなかったし、それをできる力を持っている人にも今まで出会わなかったから。Sakaiさんは、私のことを考えて全部を見てプロデュースをしてくれるし、すごいハッキリ言うんですよ。ズバッと「この歌詞ないね」って言われたら、傷つくけど、「じゃあ、こう行こう」ってできるから。

――「なにクソ~っ!」みたいな感じで頑張れるんだ。

KIRA:そう(笑)。だから、この2曲でめちゃめちゃ成長しました。この2曲を書く前とあとでは全然違います。私の中では別人が書いたんじゃないかというくらい違う。あとから書き直したりもしたし。ここの歌詞、子供っぽいとか。

――見えるようになってしまったんだ。

KIRA:うん。確実に一段階アップしたと思います。ホンマに引き出してもらったと思います。

――ダメ出しされてもへこたれないKIRAさんだったからだね。心が折れるタイプだったら引き出せなかったかも。

KIRA:ははは(笑)。勝つ~!みたいな感じでしたからね。

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