【インタビュー】KIRA、日本の音楽シーンだけに収まりきれない“むき出し”な彼女を表現したAL『NAKED』

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■自分の体験を正直に書いてるけど絶望は絶望
■それを無理やり希望で表現しなきゃとは思っていない


――これまでに配信されている曲以外は「Bye Bye Boy」「Ecstasy」後にできた曲が多いの?

KIRA:1曲目「Black Knight」、3曲目「Honesty」、6曲目「さよなら」がそうですね。「さよなら」はまるまる書き直したんですよ。あと10曲目「#Harder」のサビを書き直したかな。

――「さよなら」はグッときますよね。

KIRA:この曲は3回レコーディングしているんです。この時期、精神的にもグラグラで。本録りが終わったあとに録音し直したんですけど、それでも気に入らなくて。それで3回目にやっと満足できるものが録れた。このアルバムを作っている間に、父方と母方のおばあちゃんが2人とも亡くなったんです。あと、このアルバムに収録されている楽曲のプロデュースもしてくれている下拓くんの飼ってた猫も死んでしまって。でも、書き方のタッチが未熟で気に入らなかったというのもあって、歌詞を書き直して。歌う時も、みんなの気持ちを背負ってという感じで声を吹き込んで。

――KIRAさんなりの鎮魂歌というのは伝わりました。

KIRA:3回録っていますからね。実は途中歌詞に納得できなかったので「入れるのやめときましょう」って言うくらい納得できてなかったんです。でもスタッフが「入れましょう」って言ってくれて頑張りました(笑)。

――収録して正解でしたね。

KIRA:うん。昔は人の意見なんて全然聞きませんでしたけど、「さよなら」の歌詞に関しては、レコーディングエンジニアさんにも意見を聞いたりして。今作はとにかくクオリティを上げたい!という思いが強かったから人の意見をかなり聞いたかも。いままで、人の意見を聞かずに、自分の中の感覚でしか作れなかった部分があったから、なるべく聞くという姿勢でしたね。意見を並べて、やっぱり自分の考えがいいってなることもあるし、他の人の意見のほうがいいってなることもあったから。


――自分は何がやりたいかわからなくて人の意見を聞くのではなく、KIRAさんのやりたいことが明確だったから他人の意見を聞けたのかもね。

KIRA:あぁ、そうなのかなぁ。プライベートはブレブレなんですけどね(笑)。でも楽曲に関しては、こっちの方がカッコいいっていう、自分なりに確固としたものはあるかも。好き嫌いとか、自分の感覚は信じて言い切れる。

――配信されたものはリミックスしているんですね。

KIRA:うん。15曲目「TERRY JANE」は「Remix」ってついてるけど、もともとあったものなんですよ。この曲はめっちゃ魂が宿っていて。

――卍 LINEとのコラボ楽曲で掛け合いがあるから、ドラマみたいですね。

KIRA:これは、10年前に亡くなった大阪のアーティストでTERRY THE AKI-06さんへの追悼の曲でもあるんです。洋介くんもTERRYさんと仲が良かったので、TERRYさんの周りの人たちと洋介くんとで、芦屋のモーツァルトと言われている(前田)和彦さんの元で作ったんです。

――「Remix」ってついてる理由は?

KIRA:この曲のリミックスコンテストをやったんですよ。いろんなクリエイターと出会いたいなと思って。仕事でやるんじゃなく、「やりたい!」ってやってくれるヴァイブスが高い人を集めて、彼らとこれから音楽をいっぱいやって行こう!って。そしたら25曲くらい集まって。その中で優勝したのがこのリミックスなんです。仙台のエスナっていう若い男の子なんですけど。いろんな意味でパワーが詰まってる曲なんです。

――なるほど。

KIRA:なんかもう全部足跡みたいな曲ばかりなんですよね。実話が元になってる曲が多いし。

――「Bye Bye Boy」も実話?

KIRA:そう。次の「Honesty」も今私が正直に思ってることだし、「Ecstasy」も身近にいる邪悪な恋愛をしている人のこと、「さよなら」はおばあちゃんが死んだこと。HISATOMIくんと一緒にやった「One More Dance」は違うところでリリースされていたんです。ファンからするとKIRA=FANTASYっていう図式ががあるんですけど、HISATOMI先輩とはずっと歌っていきたいなと思っているから、先輩にも入って頂きました。こういう交友関係から曲ができるのも自分の足跡ですよね。

――「他の女」は、プライベートで親交があるDOZAN11(ex. 三木道三)さんの作詞作曲で。

KIRA:うん。道三さんの家族と一緒にスリランカカレーを食べに行ったりする付き合いです。この曲は道三さんが作詞作曲してくれました。ライブの時に、「KIRAに一曲聴いてほしい曲があんねん」って言われて。聴かせてもらったら一発で「歌わせてください!」ってなって。これ、私、絶対歌えるって。ヴォーカルディレクションも道三さんがやってくれて、オールプロデュースなんです。私は歌っただけで。まるまる人の歌詞を歌ったのは、「他の女」が初めてです。誰かの実体験らしいですよ(笑)。

――いつもリアルなものをやってるから、KIRAさんの実体験なのかと思った。道三さんのディレクションはどうでした?

KIRA:すごく賑やかでしたよ。レベッカのNOKKOさんを意識して歌ったところもあるんです。できると「ブラボー! KIRA、なんでそんなんできんの!?」って。

――賑やかで楽しそう。

KIRA:ホント細かくディレクションしてくれるんですよ。13曲目の「ジェットコースターみたいな運命デス。」は、本録り、コーラス含めて90分くらいで録っているんですけど、「他の女」は一曲通して録っていて、6時間くらいかかっています。3番には道三さんの声も入っているし。

――「ジェットコースターみたいな運命デス。」はロックですね。

KIRA:うん。これこそ、道三さんから連絡きたんですけど、「あの曲、どうやって作ったのか教えて!」って。

――バンドサウンドっぽいもんね。

KIRA:うん。私のバンドのバンマスもやってくれている子と作ったからね。この曲、ヴァイブスとしては前作以前のヴァイブスなんですけど、めっちゃ誠実な歌なんです。これが「Honesty」ちゃうかってくらいむちゃくちゃ誠実。今、歌をやっているのは誰かに言われたからじゃない。誰かに「一生歌唄え、お前、絶対やめんなよ」って言われているわけではない。それなのに勝手にしんどくなって、褒めてもらいたい欲が出てくる。自分で決めたことなのに、人頼りになったり、言い訳したくなってくることがあるんですよ。でも、自分で決めたことを自分でやり通さないと。誰かが代わりに歌ってくれるわけじゃないし、結局、逃げても逃げても向き合わないと。

――その通り。

KIRA:生きているとアップダウンはハンパないし、言い訳したくなることもあるけど、アップダウンの繰り返しは当たり前のことだから、下にいるときは上を夢見て頑張るしかないんですよね。だから歌詞にもそういうことを書いていて。「便所掃除しながら イメージ」っていう歌詞も、トイレが汚いやつはアカンっていう、私がいつも思ってることだし、最初から最後まで、ちょっとしんどいくらい、いろんなメッセージが詰まっているんです。自分的にはリード曲くらいな感じです。

――なるほど。前作から2年のブランクにあったことが全部詰まっている感じの作品ですね。

KIRA:うん。この2年、いろいろ悩んだんですよ。病気で手術もしたし、体力的に体がしんどい時もあって、ちょっとネガティブになった時期もあった。そういうこともあって「ジェットコースターみたいな運命デス。」ができたというのもあるんです。手術の前に、「明日死ぬかもしらんから」って。でも、そこで、死なない程度の痛みとか弱さは経験しておいたほうがいいと思ったんですよ。

――今までの作品にもあった、女性へのエール的なところは今作にもありますね。

KIRA:そうかもしれないですね。誰かの為に!という思いは消えない。前はアホみたいに「傷ついてる人のために」とか言えちゃってたんですけど、今作は自然にそうなってるかも。自分の体験を正直に書いてるけど、絶望は絶望。それを無理やり希望で表現しなきゃいけないとは思っていない。前は明るいKIRAちゃんを求められてるから辛くても笑ってなきゃってところがあったけど。今は「NAKED」なんで(笑)。ホントに正直でいても、自分が辛かった体験は絶望なら絶望として寄り添えるし、私も悲しい時は悲しい歌を聴いて泣くし。悲しい時に「明るい歌、聴こう!」ってならないですよね?

――うん。

KIRA:そういう、傷ついた女性に寄り添える作品ではありますね。確実に。もちろん、男性にも聴いてほしいですけど(笑)。

取材・文●大橋美貴子

KIRAは、カラオケの第一興商が強力プッシュする6月度D-PUSH!アーティストに決定しており、「Bye Bye Boy」「Ecstasy」はすでに楽曲配信されており歌唱が可能。また「Bye Bye Boy」のミュージックビデオは、カラオケ背景映像に今だけクリップ(期間限定映像)として6月12日から順次配信。さらに、カラオケ演奏の合間に放映される音楽情報コンテンツ「DAM CHANNEL」内のD-PUSH!コーナーにゲスト出演し、パーソナリティとのトークを楽しませてくれる。DAM express(目次本)D-PUSH!ページでは、ここでしか読むことのできないインタビュー記事とともにアーティスト写真、ジャケット写真が掲載される。そしてリリース情報、インタビュー記事が同社が運営するwebサイト「DAM CHANNEL」(http://www.clubdam.com)でも掲載される。カラオケ店やWEBで、KIRAとの出会いを楽しんでほしい。

インタビューの続きは以下のサイトで。
◆http://www.clubdam.com/


リリース情報

2nd ALBUM『Naked』
2018.06.06 Release
¥2,700+税 VICL-65006
Tracklist
01. Black Knight
02. Bye Bye Boy
03. Honesty
04. Ecstasy
05. Macaron
06. さよなら
07. One More Dance feat. HISATOMI
08. 他の女
09. ラッキー★ボーイ
10. #Hader
11. How Much Do You Love Me? (Naked Ver.)
12. Rainbow Again
13. ジェットコースターみたいな運命デス。
14. Never Ending Story
15. TERRY JANE (Remix) / KIRA & 卍 LINE

ライブ・イベント情報

7月8日(日)HISATOMIライブ:大阪 PICCADILL
8月11日(木)ラルス:神戸
8月26日(日)NAMIMONOGATARI:愛知
8月26日(日)森の音楽祭:滋賀
9月1日(土)2日(日)ミュージックサーカス:大阪
10月21日(日)スマイルチルドレン:大阪

<★やっぱKIRAやねん2018★>
7月22日(日) 北新地ロイヤルホース

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