【ライブレポート/写真166点】初開催<ビバラポップ!>はアイドル愛とドラマの連続

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▲Maison book girl/Star Stage(写真全7点)

Star Stageメインステージ上に設置された大型ビジョンモニターのトラブル対応のため、約30分遅れでスタートしたMaison book girl。センターステージにフードを深く被った姿で登場した4人は、薄暗いライティングのもと、クールなパフォーマンスを展開していく。その楽曲とステージングは、キラキラとしたアイドルの王道路線とは一線を画する、前衛的で近代アート感の漂うものだ。3曲目の「faithlessness」、4曲目の「rooms」では煌びやかな照明のもとしなやかなパフォーマンスをくり広げ、「my cut」の途中で“みなさん、声を出してください”と観客を煽った。残念なことに、ステージ上のモニター2面のうち片方のトラブルが解消しなかったのだが、逆に正常なモニターの方に途中から“bug“という文字を表示。アーティストとしては予期せぬトラブルであっただろうが、この事態をひとつの演出に昇華させたのは見事だった。ラスト「karma」では、モニターにカウントダウンが表示され、数字がゼロになった瞬間、彼女たちのステージはすっと幕を下ろした。フェスという場においても、自分たちのスタイルを決して変えることなくアーティスト性の高いステージを構築したMaison book girl。その凛とした姿は、崇高で、美しかった。

▲BiSH/Star Stage(写真全6点)

“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのライブは、「BiSH-星が瞬く夜に-」からスタート。疾走感のあるビートが会場に響き渡ると、のっけからメンバーとオーディエンスは強い一体感を見せる。“さいたまスーパーアリーナ、行くぞ!”というアイナ・ジ・エンドのアジテーションに観客は大きな歓声で応え、この曲の最後には大合唱が起きた。<ビバラポップ!>でのBiSHの掴みは完璧だ。続いて、投下されたのは、なんと1曲目と同じ「BiSH-星が瞬く夜に-」。BiSHは、過去にもこの曲を何度もくり返すというセットリストで、さまざまなステージに大きな爪痕を残してきたが、<ビバラポップ!>にもこの仕掛けを用意していたのだ。一部の観客は一瞬戸惑いを見せていたが、この曲の持つキャッチーさとメンバーの力強いパフォーマンスによって、すぐに熱いレスポンスを見せた。3曲目の「GiANT KiLLERS」では、ハシヤスメ・アツコが観客を煽り立て、リンリンの狂気あふれる叫びが轟く。気がつくと、アリーナ後方にはサークルモッシュが現れ、高速メタル系ナンバー「MONSTERS」では、観客の熱量はさらなる高まりを見せた。

今年3月にリリースした「PAiNT it BLACK」、デビューアルバムの1曲目を飾る「スパーク」で会場のボルテージを上げきったところで披露されたのは、BiSHのエモーショナルサイドを象徴する「オーケストラ」と「プロミスザスター」。美しく叙情的なメロディがさいたまスーパーアリーナを包み込み、オーディエンスも心をグッと掴まれていた。「beautifulさ」で、アイナが“ビバラポップであなたたちに出会えたことが嬉しい。明日から強く生きていこう”という力強いメッセージを放つと、会場にピースフルな空間が作り出された。最後に披露されたのは、この日3度目となる「BiSH-星が瞬く夜に-」。メンバーとオーディエンスが合わせる振り付けは、この日一番の一体感を見せていた。“楽器を持たないパンクバンド”というコンセプトにふさわしい、予定調和を壊した圧巻のステージングを披露したBiSHの6人は、満足感をたたえた笑顔とともにステージを去っていった。

▲欅坂46/Star Stage(写真全8点)

平手友梨奈、志田愛佳、原田葵、今泉佑唯の4名が出演を見送り、17名編成で<ビバラポップ!>のステージに臨むことになった欅坂46。出演直前には、主催者より“メインステージ上に設置されたモニタートラブルが解決できないこと。欅坂46は、このイベント用に映像演出を用意していたが、このトラブルによりそれが使用できなくてもライブを行う”というアナウンスもあって、決して万全な状態とは言えない状況に置かれていた。結成以来、幾多の困難を乗り越えて来た彼女たちが<ビバラポップ!>で、どのようなパフォーマンスをくり広げるのかーー逆境に挑む彼女たちの姿にオーディエンスの注目が集まる中、欅坂46のステージは幕を開いた。

オープニングSEの「Overture」が流れ、モニターにメンバーの写真と名前が映し出されると、会場には大きな歓声が響き渡る。オーディエンスの期待感がぐんぐん高まったところで放たれたのは、最新シングル曲の「ガラスを割れ!」。MA-1を身にまとまった17名は、冒頭から力強いパフォーマンスを見せつける。その様は、ロック・アーティストのようだ。続く、攻撃的なサウンドを聞かせる「大人は信じてくれない」でも、クールさと内面に秘めた熱さが同居したパフォーマンスで、観客の心をぐっと掴んでいく。

MCでは、キャプテンの菅井友香が“<ビバラポップ!>は初めての開催ということで、出させていただいてうれしいです。(欅坂46として)さいたまスーパーアリーナも初めてです。ゴールデンウィーク最終日楽しんでいますか? 最後まで盛り上がっていきましょう”と語り、<ビバラポップ!>、さいたまスーパーアリーナへの想いの強さを伝えた。中盤になっても、彼女たちのパフォーマンスは切れ味を増していく。「東京タワーはどこから見える?」「エキセントリック」では躍動感あふれるフォーメーションダンスを披露し、「二人セゾン」「世界には愛しかない」ではまばゆい照明のもとストーリー性のあるダンスで観客を魅了。楽曲ごとにセンターを交代し、フォーメーションをめまぐるしく変えていく彼女たちのステージングからは、一瞬たりとも目を離すことができない。

欅坂46の勢いは、フィナーレに向けて加速していく。メンバーとオーディエンスが一体となってタオルを振り回す「危なかっしい計画」、メンバーの軽快なステップが印象的な「風に吹かれても」を経て、最後に披露されたのは激しいデジタルサウンドとパフォーマンスが強烈な「不協和音」。全身をダイナミックに使った鬼気迫る17人のパフォーマンスは圧巻だった。この日、<ビバラポップ!>のステージを自分たちの色に見事に染め上げた欅坂46。これまでもロック系フェスで存在感を示して来た彼女たちのグループとしての完成度の高さを改めて感じさせるステージだった。

▲大森靖子(弾き語り)/Star Stage(写真全7点)

欅坂46のあと、ただ一人でセンターステージに立った大森靖子の姿に会場中の注目が集まる。15分間の中でアコースティックギターを掻き鳴らし、冒頭の欅坂46カバー「サイレントマジョリティー」から期待を裏切らない鬼気迫る弾き語りで会場を惹きつける大森。「私が好きな人に作ったラブソングです」という紹介からは道重さゆみへの愛で創られた楽曲「ミッドナイト清純異性交遊」を歌い上げる。この楽曲はラストのコーラスに“ラララのピピピ”と道重さゆみソロ曲のフレーズが入っていることをはじめ、全編を通して練りに練られたメッセージが詰まっており、<ビバラポップ!>で歌われることで新たな意義を得た楽曲ともいえるだろう。歌唱後、次の出演者紹介に「道重さゆみ!」とコールをあげ、会場が暗転したあとも彼女はセンターステージからメインステージの方をじっと見つめていた。

▲道重さゆみ(シークレットゲスト:高橋愛)/Star Stage(写真全10点)

ゲストソロの最後を飾ったのは道重さゆみ。モーニング娘。時代の担当曲「好きだな君が」からソロでステージに登場した後は、リソースを全て可愛さに振り切ったかのような洗練されたパフォーマンスで会場を魅了した。自身のキャリアの中で意外にもこれがフェス初参加となった道重だが、この日はシークレットゲストとしてモーニング娘。OGである高橋愛を迎え入れた。「Fantasyが始まる」と「みかん」、大森靖子リクエストによる「セクシーキャットの演説」、そして高橋愛ソロでの「SEXY BOY 〜そよ風に寄り添って〜」と、モーニング娘。現役時代の楽曲が立て続けに披露され湧き上がる会場。モーニング娘。が現存するアイドルグループとしていよいよ20周年を迎え、アニバーサリーイヤーでOGの出演も相次いだ中、橋渡し役も引き受けながら自らプレーヤーとしてステージに立つ彼女の存在感は未だ目が離せないものがある。終盤には道重ソロ公演以降のナンバーから、先に弾き語りに立った大森靖子に応えるように「ラララのピピピ」で締めくくった。

▲「クライマックス 大森靖子×❤❤❤コラボスペシャルライブ」/Star Stage(写真全12点)

<ビバラポップ!>のラストを飾ったのは大森靖子とゲスト7組によるコラボステージ「クライマックス 大森靖子×❤❤❤コラボスペシャルライブ」。ゲストのトップバッターとなったのは℃-uteラストライブ時の衣装で会場に現れた鈴木愛理。大森靖子作詞の℃-ute曲「夢幻クライマックス」を初めて大森と一緒に歌うというコラボが実現し、会場が沸き起こる。続くLADYBABY・金子理江とは「きゅるきゅる」をコラボ。愛してるよといいながらハグし合う。アップアップガールズ(仮)・吉川友は「イミテーションガール」でダンサーとして参加し、日頃のパフォーマンスとはひと味違ったメタ的な可愛さを見せつけていた。そして、ゆるめるモ!のあのとは「非国民的ヒーロー」で共に絶叫。BiSHのアイナ・ジ・エンドは「あまい」でステージを舞い、「TOKYO BLACK HOLE」で共に嬉しそうなハグを交わしていた。欅坂46の長濱ねるは自身の私服だというワンピース姿で登場し、「絶対彼女」を歌唱。そして、道重さゆみ。「I&YOU&I」からの「マジックミラー」ではアカペラで向き合い、曲後には大森靖子と道重さゆみのハグという感動的な姿でコラボステージを締めくくった。

最後はステージの上に共演者たちが集合しての「ミッドナイト清純異性交遊」。全ステージを終え、達成感に満ちたアリーナにプレゼンター二人から参加者を讃える感謝の言葉と締めの挨拶が届けられた。

▲グランジ・遠山、西井万理那、団長(NoGoD)、ぱいぱいでか美(スクリーンに吉田豪)

▲大森靖子、ピエール中野(関連写真全9点)

「何が起こるか始まってみないと本当にわからない初めてのフェス<ビバラポップ!>です。正直こんなに心が動くとは思わなかったです僕。いろんな悔しい気持ちもあったり、凄く感動することもあったり、やっぱりフェスってそういうことが生まれる場であるべきだと僕は心から思っていて、こういった形で開催できたことを本当に心からうれしく思います。みなさん来てくれてありがとうございます!」(ピエール中野)

「本当にライブが好きで、ライブをしている人の美しさとライブを観ている人の美しさも大好きで、結局人間が好きだなっていうことを、みんなの人生がそれぞれ綺麗だなっていうことを改めて思う一日になりました。本当にありがとうございました!」(大森靖子)

「最後にひとつだけ訊いてもいいですか。来年<ビバラポップ!>を開催するとなった場合、来てくれる人!」と叫ぶピエール中野に、さいたまスーパーアリーナ全体から大きな歓声が応えた。新しい挑戦に満ちた<ビバラポップ!>の初年度は、こうして大団円のうちに幕を閉じた。

■クレジット(対応写真については各写真ページ参照)
Photo by Kazumichi Kokei
Photo by Takahiro Kugino
(c)ビバラポップ! 2018 All Rights Reserved.

◆<ビバラポップ!>ライブ画像(全166点)
◆Star Stage前半レポ
◆Garden Stageレポ

<VIVA LA ROCK EXTRAビバラポップ!>

■公演日:2018年5月6日(日)
■会場名:さいたまスーパーアリーナ
(ステージはメインアリーナ、および野外ステージを使用)

[プレゼンター]
大森靖子 / ピエール中野(凛として時雨)
[出演者]
アップアップガールズ(仮) / 大森靖子「ビバラポップ!クライマックス 大森靖子×❤❤❤コラボスペシャルライブ」 / 吉川友/ 欅坂46 / こぶしファクトリー / 鈴木愛理 / sora tob sakana / DJダイノジ(大谷ノブ彦) / Negicco / ばってん少女隊 / バンドじゃないもん! / BiSH /道重さゆみ/Maison book girl / ゆるめるモ! / ラストアイドルファミリー(シュークリームロケッツ / LaLuce / Good Tears / Someday Somewhere / Love Cocchi)/ LADYBABY

[MC]
グランジ・遠山 / 団長(NoGoD) / 西井万理那 / ぱいぱいでか美 / 吉田豪

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365日、アイドルが作るアイドルメディア Pop'n'Roll 準備号創刊

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