【ライブレポート】これからも輝き続ける、安室奈美恵という永遠のファンタジー

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安室奈美恵が6月3日、東京ドームにて<namie amuro Final Tour 2018 〜Finally〜>のファイナル公演を行った。ここでは9月16日に引退する安室奈美恵にとって、最後となったこのライブの模様をレポートする。

◆ライブ写真

トーチを手にした赤と青の光を放つ2人のランナーが登場し、ステージ頂上の点火台に炎が灯る。その真下、ナポレオン・ジャケット風のドレス姿で現れた安室奈美恵が歌い始めたのは、「Hero」だ。

14歳の時にポップシーンのトップに立つと決意し、どんな高い壁が立ちはだかる時も逃げることなく、自らのスタイルを貫くために戦い続けた愛と勇気の可憐な戦士は、どんな時も側にいるよと、まっすぐ前を見つめ、伸びやかな声で「Hero」を歌う。その優しく強い眼差しと歌声に、満杯の観客の誰もが確信したに違いない。25年間、安室奈美恵はどの時代もずっと私たちのヒーローだった。その事実はこれからも決して変わることはない。



 沖縄出身のガールズグループのリードシンガーとして、安室奈美恵は14歳でデビューした。彼女の存在を広く世に知らしめたのは言うまでもなく、小室哲哉というプロデューサーとの出会いだった。次々とミリオンヒットを放ち、彼女のファッションを真似る「アムラー」という社会現象が起きるほどのカリスマシンガーとなった10代。だが安室奈美恵の真髄は、20代半ばから2度目のピークを作れたことにある。「Hero」に続き披露された「Hide & Seek」のミステリアスなマーチング・サウンドをバックに、クールに歌い始めた安室奈美恵の姿を見てそう確信する。



ステージこそが自分のすべて。それ以外は自由に「安室奈美恵」を妄想して欲しいと、最先端のR&Bビートを武器に、妖しくクールな世界を確立した第2期の安室奈美恵。コーンロウに編んだ髪とスパンコールの衣装に早替えした彼女は、ダンサー陣を引き連れ、“目を閉じても消えないファンタジー”(「Do Me More」)と歌いながら、左右の肩を上下に揺らし、ニーハイブーツに包んだ脚をエレガントにクロスさせ、ステージを歩く。10代のカリスマから、大人の女性の色香と強さを体現した時代へ。セルフプロデュースによって見事に変貌を遂げた彼女の軌跡が、今、鮮やかに蘇っていく。暗転した照明がその美しいシルエット映し出した瞬間、鳥肌が立つ。目の前にあるのは、彼女の強さに魅了されたすべての人たちが愛したポップ・クィーンの姿だ。



アシンメトリーにカットされたピンクのオフショルダーのミニドレスに着替えた後は、キュートなダンスと笑顔で、”ファッショナブルでポップな安室奈美恵”を披露していく。オーディエンスたちは飛び跳ねたりポンポンを振ったりして、楽しそうにステージを見つめて盛り上がっている。「Break It」「Say the word」と続いた場面では、ダンサー=安室奈美恵の真骨頂とも言えるバキバキのダンスシーンを披露。イントロが流れた瞬間、大きなどよめきが沸き起こった「Say the word」のインタールード部分では、10代の頃と同じキレのある動きでダンサーたちとシンクロ。すると、場内から地鳴りのような歓声があがる。歌って踊る安室奈美恵はどうしていつも私たちをこんなにもワクワクさせてくれるのか。キレキレの動きを前にして、これが安室奈美恵のファイナル・ツアーの最後のステージだという事実が、なんだか夢のように思えてくる。それでも、“一緒にはいられない、もう”と歌う「Love Story」の1フレーズが、揺るぎない現実へと意識を引き戻す。



「SWEET 19 BLUES」を皮切りに、ユーロ時代~小室時代の名曲が続くゾーンがスタート。当時から彼女を見守り続けてきたファンはもちろん、最後のツアーを見届けようと久々にライブに足を運んだファンも、両手を高く上げたりシンガロングしながら、楽しそうにステージを見つめて盛り上がっている。安室奈美恵の音楽や生き様は、きっと彼ら一人一人の人生にいろんな形で寄り添ってきたに違いない。ひとしきりお祭り状態で盛り上がった後、「Get Myself Back」の美しい調べが場内に響く。“大丈夫きっとすべてはうまくいく”。なんでもない言葉のはずなのに、安室奈美恵が歌うと本当にそう思えてくるのはなぜだろう。なのにこれからはもうそれをライブで聞くことは出来ない……。

やるせない気持ちになりかけた瞬間、ステージの3つのスクリーンに、「1997年」と「2012年」、そして今この瞬間の「a walk in the park」を歌うライブ映像が映し出される。左手にマイクを持ち、右手で前髪をかきあげる仕草も、ステージを走る場面も、3つの時代を通して完璧にシンクロさせていく彼女の姿に、場内から歓喜の声が上がる。その映像からも明らかなように、安室奈美恵はどの時代も数万人規模のライブを行っているという事実に今更ながら驚く。何よりも、どの時代より今の彼女がいちばん美しくて輝いていること。それこそが、すべての観客、そしてすべてのファンの誇りだ。


「Fighter」「In Two」、そして「Do It For Love」と、最後のアルバム『Finally』に収められた最新曲を続けて披露し、本編のラストを一気に盛り上げていく。「騒げー!東京ーっ!」
叫ぶ彼女の声を合図に場内の熱気が頂点に達すると、安室奈美恵の足元からステージがせり上がり、「THANK YOU 25th I ♡ FAN」というLEDライトのメッセージが輝く。FANSという複数形ではなく、FAN。きっとそれは、目の前のファン一人一人に向けた彼女からの心からの愛と感謝の形なのだと思う。

「9月16日以降、私がこうしてステージに立つことはありません。だからこそ、この25年間が私の中で、とてもとても、大切な思い出になりました。こんな私に素敵な25年間の思い出を作ってくださったファンのみなさん、そして、サポートしてくださったすべてのみなさまに、心から感謝しています。ありがとうございました」


小室哲哉が最後に彼女に書き下ろした「How do you feel nao?」まで、アンコール曲もすべて歌いきり、ステージに一人残った安室奈美恵は、時折涙声になりながら、金色に輝くマイクを両手で握りしめて観客にそう語りかける。小室哲哉プロデュースのもとを離れた後、歌とダンスだけに集中してもらうため、挨拶以外のMCを行って来なかった彼女が、こうして直にオーディエンスに気持ちを伝えることの真意。それを痛いほど理解している観客たちは、固唾を飲みながらその一言一言をかみしめている。

「いち音楽ファンとして、みなさんの素晴らしい毎日の中に、素晴らしい音楽がつねにあふれているように、心からそう願っています。これからも素敵な音楽に、たくさん、たくさん、ぜひ出会ってください。25年間、ありがとうございました。最後は!笑顔で!みんな元気でねーー!バイバーーーイッ!!」


叫ぶようにそう言った彼女の声に応えて、割れんばかりの拍手と大歓声が沸き起こる。アルバム『Finally』に収められていた6曲の新曲。そのすべてに描かれていた”未来”が、もしも彼女が歌う通り色鮮やかで愛にあふれたものならば、残された私たちはとてつもなく寂しいけれど、ステージを去ると決めた安室奈美恵のこれからを、心から祝福したいと思う。

終演後、会場の外には歴代のツアーやミュージックビデオの髪や衣装でドレスアップした女性ファンのグループ、ミニ安室ちゃん風の小さな女の子、ツアーTシャツを着た男性ファンたちが、紅潮した頬でライブの興奮を分かち合っていた。涙で目を潤ませた女性ファンが、テレビクルーの取材カメラの前でステージの余韻を語っている。チケットは取れなかったけれど、とにかく会場に来て熱気を少しでも分かち合いたいという人も大勢いたことだろう。彼らがどんなタイミングでどんな風に安室奈美恵に魅了され、どんな風にそれぞれの人生と共に彼女の音楽が鳴っていたのかはわからない。けれど、安室奈美恵というステージの上のアスリートは、この先も彼らの心の中で、スポットライトと共に輝き続けるだろう。安室奈美恵はこれからも私たちにとって、目を閉じても消えない永遠のファンタジーなのだから。


嬉しいことに、今回のファイナルツアーの模様を収録した映像作品『namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~』が8月29日にリリースされることが決定した。“東京ドーム最終公演”と昨年9月に開催された“25周年沖縄ライブ”に加え、5人のディレクターがテーマ別に編集した“各地5大ドームから選べる1公演”の豪華3公演を収録した全5種類。2018年2月から開催され、国内17公演+アジア6公演で、ソロアーティスト史上最多となる約80万人を動員。ファン投票の上位から選ばれた24曲と、ダブルミリオンを突破したオールタイム・ベストアルバム『Finally』収録の新曲6曲で構成されたセットリストなど、安室奈美恵の25年の軌跡を凝縮した過去最高のツアーを収めた映像作品だ。

取材・文◎早川加奈子

DVD・Blu-ray『namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~』

2018年8月29日発売
ディスク:DVD 各5枚組/Blu-ray 各3枚組
初回仕様 (DVD/Blu-ray共通):
・デジパック+ロゴ箔押し
・スマホで簡単に観られる「プレイパス」サービス付き

形態・品番:
(1)東京ドーム最終公演+(2)25周年沖縄ライブ+(3)ナゴヤドーム公演
【ナゴヤドーム】海外アーティストも絶賛のディレクターが洋楽テイストに編集

(1)東京ドーム最終公演+(2)25周年沖縄ライブ+(3)福岡ヤフオク!ドーム公演
【福岡ヤフオク!ドーム】今回唯一の女性ディレクターが安室奈美恵メインに編集

(1)東京ドーム最終公演+(2)25周年沖縄ライブ+(3)札幌ドーム公演
【札幌ドーム】数多くのアイドルグループを手がけるディレクターがグループショットメインに編集

(1)東京ドーム最終公演+(2)25周年沖縄ライブ+(3)京セラドーム大阪公演
【京セラドーム大阪】ダンスジャンルを得意とするディレクターがダンスメインに編集

(1)東京ドーム最終公演+(2)25周年沖縄ライブ+(3)5月東京ドーム公演
【5月東京ドーム】ライブ映像の礎を築いた大御所ディレクターが安室奈美恵と観客の感情を豊かに編集

収録内容(1)東京ドーム最終公演 (DVD2枚 / Blu-ray 1枚)
01_ Hero
02_ Hide & Seek
03_ Do Me More
04_ Mint
05_ Baby Don’t Cry
06_ GIRL TALK
07_ NEW LOOK
08_ WHAT A FEELING
09_ Showtime
10_ Just You and I
11_ Break It
12_ Say the word
13_ Love Story
14_ SWEET 19 BLUES
15_ TRY ME ~私を信じて~
16_ 太陽のSEASON
17_ You're my sunshine
18_ Get Myself Back
19_ a walk in the park
20_ Don't wanna cry
21_ NEVER END
22_ CAN YOU CELEBRATE?
23_ Body Feels EXIT
24_ Chase the Chance
25_ Fighter
26_ In Two
27_ Do It For Love
28_ Hope (Multiangle - NAMIE AMURO×ONE PIECE「Hope」Original Live Movie)
29_ Finally
30_ How do you feel now? (Multiangle - 「How do you feel now?」Original Live Movie)

(2)25周年沖縄ライブ (DVD1枚 / Blu-ray 1枚)
01_ TRY ME ~私を信じて~
02_ ハートに火をつけて
03_ 太陽のSEASON
04_ ミスターU.S.A.
05_ 愛してマスカット
06_ PARADISE TRAIN
07_ Just You and I
08_ Chit Chat
09_ Can You Feel This Love
10_ ONLY YOU
11_ You're my sunshine
12_ a walk in the park
13_ Body Feels EXIT
14_ Chase the Chance
15_ Don't wanna cry
16_ SWEET 19 BLUES
17_ Fight Together
18_ Damage
19_ Mint
20_ Fighter
21_ ROCK U
22_ Let’s Go
23_ Higher
24_ GO! GO! ~夢の速さで~
25_ Strike A Pose
26_ NEVER END
27_ Hero

(3)各地5大ドーム公演から1公演 (DVD2枚 / Blu-ray1枚)
 ※楽曲は、(1)と同様になります。(マルチアングルは収録されておりません)

◆安室奈美恵 オフィシャルサイト
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