【インタビュー】<ルナフェス>SUGIZO編、「ただただ音楽そのものに貢献したい」

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■シーンそのものを崩壊させるような破壊力
■計らずともそれが実現するような気がしています

──朝からエンジン全開でいかないといけないわけですもんね。LUNA SEAとX JAPANのステージはもちろんですが、DIR EN GREYのステージでヴァイオリンを弾いたり、そういった飛び入りのシーンを含めて、ご自身が印象的だった場面を絞り込むとしたらどういうところでしょう?

SUGIZO:絞り込むとしたら、DIR EN GREYとDEAD ENDとKA.F.KAですかね。

──全部じゃないですか(笑)。

SUGIZO:それで全部だとしたら、本当にどれも印象に残ってます。特に、DIR EN GREYは一日ちゃんとリハーサルスタジオに行けて、一緒に練習ができたから、まだ安心感があったけど、DEAD ENDは当日の楽屋で、YOU(G)さんとMORRIE(Vo)さんと楽屋で合わせただけ。緊張したんですが、僕もRYUも本当に大好きな「SERAFINE」をMORRIEさんとYOUさんとJOE(B)さんと一緒に出来た。こんなに感無量なことはない。ぶっつけ本番でもドンと来い。で、僕は12弦のエレアコを持ってなかったのでMORRIEさんのテイラーを借りたりしたのも思い出深い。

──そして、KA.F.KA。

SUGIZO:やっぱり土屋昌巳さんは僕の恩師のなので。昌巳さんと僕のツインギターで、ジョイ・デヴィジョンを演るっていうのは最高にクールだなと思った。とても感慨深いのはあの日が、森岡(賢 / Key)さんと一緒にステージに立った最後になってしまったこと。実はそれから数ヶ月後に、僕はソロでminus(-)と対バンしているんですけど、一緒のステージで演奏したという意味では、あれが最後になっちゃった。自分の中では、とても大切な思い出です。

──そういった、感慨深い場面や忘れられない場面があった前回ですけれども、今回、開催意図や意義の部分で、前回と違うところはあるんでしょうか?

SUGIZO:今回のほうがいろいろな意味で、実はあいまいですね。前回は先輩だ、後輩だ、仲間だっていう、LUNA SEAと深い繋がりがあるが故の、LUNA SEAの歴史を総決算するような“時間軸”がとても重要だったんですけど、今回は良く言うと広い、悪く言うとあいまい。なので、もちろん僕が大好きなアーティストもいるし、共演したかったアーティストもいる、逆に会ったことのない人もいる。今回のほうが、ジャンルやカテゴリー、一般的にファンの方々が思っている常識をぶち壊すような布陣ではないかと。

──そういったラインナップが揃ってますね。

SUGIZO:おもしろいのが、近年とても仲良しな、BRAHMAN。たとえばTOSHI-LOW(Vo)くんと僕にとって、つながりはとても自然なことなんですけど、おそらく両バンドのファンからしてみたら、すごく斬新なことで。僕らが想像していた以上に、良くも悪くも盛り上がっているんですよ。もちろんシーンが違って、ファンの人たちのスタンスやライヴに対する取り組み方も違う。でも意外と、僕らステージに立つ側は、カテゴリー関係なく仲間はどんどんつながっていくし、むしろその境界線を飛び越えることが、とてもハッピーで快感ではあるんです。

──なるほど。

SUGIZO: LUNA SEAとback numberが同じステージに立つことも興味深いし、良くも悪くもファンの人たちがざわついている。GLIM SPANKYは以前、彼らのライヴを観に行って、素晴らしくてオファーさせてもらったんですけど、シーンとしてどう交差するのか、おそらく一般的にはわかりにくいはず。単純に僕がとても好きだということなんですけども、それでいいと思うんですよね。大黒摩季さんも音楽やシーンとしてまったく違う。だけど、真矢がとても深いつながりを持っている。それ故に、LUNA SEAのアルバム『LUV』レコーディングにも参加してもらって、今回出演していただくに至ったんです。そういう意味では、意外と実は媒体の方々やライターの方々、評論家の方々、そしてファンの方々のほうが、気がついたら自分たちでボーダーをつくってらっしゃるんじゃないでしょうか、と僕は思いますね。保守的というか。僕らアーティスト側は、ただ自分たちが最高だと思えるもの、自分たちが素晴らしいと思えるものを、どんどん生み出して広げていきたいだけ。

──それが今回の<LUNATIC FEST. 2018>であると。

SUGIZO:さっき“時間軸”と言いましたけど、前回の<LUNATIC FEST.>のほうが、ジャンル、カテゴリー、シーンっていうものに当てはまってる。だから、前回はシーンとしてすごくおもしろいものができたと思うんです。1990年代のこのシーン……僕は“ヴィジュアル系”っていう言葉が嫌いなのであまり使わないんですけど、そのシーンが好きだった人にとっては夢のような時間だったかもしれない。それに対して今回は、シーンそのものを崩壊させるような破壊力。計らずともそれが実現するような気がしています。でもわからない。始まってみたら全然違う弁証になるかもしれないので、現時点での自分の感覚ですけど。

──それこそ前回とは逆に、今回のほうが自由なお祭りになるかと思いきや、むしろ狂気のほうに行くかもしれないですよね。今のお話にも出てきましたけど、BRAHMANと一番共鳴できるのはどんな部分でしょう?

SUGIZO:音楽性は一見、全然違うようでいて、その音楽を生んでいる基の精神性がとても近い。とてもシンパシーを感じています。僕が思う生き方……本音で生きて、本音で音を作って、本音で言葉を紡いで。なんとかこの立場でこのシーンを生きながらえているところが似てるっていうか(笑)。アンダーグラウンドとオーバーグラウンド、その両方の重要な責務を担っていて、あらゆるシーンを行き来できるような感覚もとても近い。たとえば彼らがセックスピストルズを好きだとしたら、僕はP.I.Lが好き、みたいな。同じ場所から始まっているんだけど、表現の仕方が違う。この間のBRAHMANの武道館公演も観てきたんですけど、あの音楽、あの立場で武道館を超満員にして、そこでも一切こびを売らないステージを表現し切って、それにお客さんが熱狂する。僕が個人的に、今の日本で一番カッコいいと思っているロックバンドはBRAHMANですね。なので、参加してもらいたかった。

──GLIM SPANKYに関して、素晴らしいと思えたのはどういう部分だったのでしょう?

SUGIZO:彼らを知ったのはデビュー当時のことで、恵比寿LIQUIDROOMにライヴを観に行ったのかな。最初に聴いたときから、(松尾)レミ(Vo)ちゃんの声が信じられないくらいインパクトがあって。“こんな表現ができる女の子が日本に居るんだ!?”って、頭をガツーンとぶん殴られたような衝撃があった。どうも僕は昔から、女性ヴォーカル/男性ギターのユニットが大好きみたいで、その美学ってあるんですよね。その中でも、20代の彼らがどうしてあんなに渋くて刺さってくる表現ができるんだ?っていう。このご時世、ヤバさとかスリル、反抗とかアンチテーゼ、そういうものを感じさせる若者が少なくなっていると僕は思っているんですけど、久々にすごいトゲとアクがある人達が出てきたなって、すごく感動してね。僕の娘とあんまり歳が変わらないですからね、あの2人は。

──わかりやすい関係性でいえば、DIR EN GREYやMUCC。前回も出演したこの2バンドについてはいかがですか?

SUGIZO:もう僕の同志ですよね。DIR EN GREYもMUCCも。GLAYもそうです。僕らのシーンで一番強くつながっていて、その存在感に完全に任せられる。なので、常に一緒に交わっていたい大切な仲間です。

──そういう流れでいくと、ACE OF SPADESもSUGIZOさんから声を掛けられたのですか?

SUGIZO:僕がHISASHI(G)に声を掛けましたけど、実は「ACE OF SPADES、どうかな?」ってINORANが言い始めたような気がする。彼らがステージに立つこと自体久しぶりじゃない? <LUNATIC FEST.>で2年ぶりに再集結してもらえるっていうことが何より嬉しいですね。TAKAHIROくんをヴォーカルに、TOKIE(B)さんもMOTOKATSU(Dr)くんも僕のソロでもずっとお世話になってきた仲間が居るっていう、すごくおもしろい布陣なんですよ。しかも、MIXは小西(康司)さんが手掛けたし、TAKUROがプロデュースしていたりだとか、結局僕らのファミリーみたいな(笑)。そういう意味でもすごく安心してステージに立ってもらえる大事な仲間ですね。

──THE ORAL CIGARETTESもSUGIZOさんだという噂を聞いてますが。

SUGIZO:去年、<テレビ朝日ドリームフェスティバル2017>で共演して。それ以前から存在は知っていたんですけど、今の20代の最もカッコよくて魅力的なロックンロールを体現しているバンドだっていう印象を受けました。僕らの歳にはできないというか、僕らのボキャブラリーにはない、まったく新しい次元のことをやっている。逆に彼らがやっているような新世代の表現に、僕らはとても刺激を受けるんです。ぜひ共演したくて声を掛けさせていただきました。

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