【インタビュー】the GazettE「改めてthe GazettEというバンドをラフに描けた」

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■徐々に曲が選ばれていって、それが順番に並べられていって、必要な方向性が見えてきた(戒)

戒:でも、やっぱり長く『DOGMA』と時間を共にしていたからなのか、頭では分かっていても、最初の方は『DOGMA』を引きずってしまっているところはあったよね。自分も含め、そこは外して考えようとしても、どうしてもそっち方向にむいてしまう感覚があったというか。一番最初の曲出しのときは、REITAだけじゃなく、みんなあったと思いましたね。なんとなく暗い部分が前面に出てきてる曲しかなかったというか。そこはみんなの曲をじっくり聴きながら、話し合いながら進めていったというか。選曲会を重ねるごとに少しずつそれが抜けていった感はあったかなと。

——抜けていってからの曲調は、どんな風に変化していったの?

▲戒

戒:ぶっちゃけ、完成するまでは固まりはしなかったけど、自分的には、とにかく自分の今やりたいことをやっていくのが最善なのかなっていう感覚に変わりましたね。徐々に曲が選ばれていって、それが順番に並べられていって、なんとなくそこに入っていく楽曲が絞り込まれていくごとに、必要な方向性が見えてきた感覚だったというか。今回はみんなそうだったと思いますね。リード曲(2018年3月10日にアルバムリリースに先駆け、the GazettE Official Siteにて「Falling」MUSIC VIDEOが全世界同時先行公開された)でもあった「Falling」は、わりと最初の方からあったから。「NINTH ODD SMELL」もそうかな。「Falling」も「NINTH ODD SMELL」も原曲はRUKIなんだけど、本人的にすごく悩んでいて。何度も直してたもんね。

RUKI:そう。コレという決め手に欠けたというか。何が悪いとかじゃなく、とにかくしっくりこなかった。“NINTH”ではないんだよな……って、とにかく模索し続けて。「NINTH ODD SMELL」に関しては4回くらい変形したからね。何回も選曲会に出すんだけど、自分の中で“ん〜。なんか違うんだよな”っていうところからずっと抜け出せなくて。なにが違うと感じるのかが本当に分からなくて苦戦したんですよね。自分の中では「NINTH ODD SMELL」みたいな曲が欲しいと思ってるんですけど、なかなか思っているように具現化することができなくて。なかなか踏ん切りがつかない感がすごかった。

戒:選曲会に持って来てる張本人が一番首をかしげてるっていう状況でしたからね(笑)。

葵:RUKIも『NINTH』というイメージを持ちながらも、すごく試行錯誤していたような気がする。自分の中でも、“もっとこうしたい!”っていうのがあって模索してたんだろうなって思ったしね。

——RUKIさんも手探り状態でもあったんだね。

RUKI:そうですね。「その声は脆く」を持っていった選曲会のときも、ずっと考えてましたからね。とにかく、今回はいままででいちばん選曲会が多かったし、集めた曲がいちばん多かった。

葵:いままでは出た曲に対して、“ああでもないこうでもない”って話し合って、次の選曲会にいくんだけど、今回はそれもなく、みんなで聴いて、“ん〜。じゃあ次いつ集まろうか”みたいな感じで、曲がどんどんストックされていくのみ! って感じだったからね(笑)。本当に作りながら見つけていったって感じだった。

RUKI:あははは。そうそう(笑)。どんどん曲だけがたまっていくという。こんなに考えたことなかったかも。気合いを入れてたっていうのもあるんだけど、本当にいつもとは違う難しさがあったな。

麗:「Falling」とかがあったりもしたから、なかなかね。

RUKI:逆に、『DOGMA』で自信がついたところもあったし、もうちょっとラフに作りたかったっていうところでこだわりでもあったんだと思う。リアルに進んでいく感じを魅せたかったというか。『DOGMA』で止まってしまう感じにはしたくなかったというか。『DOGMA』は、1つの世界観を確立させるということの提示だったから、そことは違うとこにいきたかった。the GazettEって、いろんな曲ができるバンドでもあると思うんですよ。いろんな曲をやっていきたいと思っていたバンドだったというか。今回のアルバムの中で言うなら、ストレートな「UNFINISHED」みたいな曲もできれば、「虚 蜩」や「その声は脆く」みたいなバラード的な曲もできれば、激しくて暗い曲もできるっていう。でも、激しくて暗くてマニアックな曲は『DOGMA』で提示してきたし、そこもthe GazettEの曲として魅せることができたから、9枚目にしてできることを、the GazettEの音として魅せたかったんですよね。9枚目に立つ自分達は、どういうことをすべきなのか? というところを形にするのがすごく難しかったですね。いままでが分かるアルバムにしたかったんですよね。この歴史があるからこそ、いろいろできるバンドになっていたいというか。それを形にしたかったんです。ジャケットの絵に込めた意味もそういうことでもあるんですよね。the GazettEには『DOGMA』という一面もありつつ、『DOGMA』以前のthe GazettEの一面もちゃんと魅せつつ、今のthe GazettEという武器を魅せたかった。世界観を押し付けるようなアルバムにはしたくなかったというか。

——なるほど。すごく納得のいく言葉だな。今回のアルバムの印象としては、いい意味で、進化前のthe GazettEの基盤的なところが押し出されているような感じがしたから。

葵:分かります、ちょっと懐かしさを感じるというか。3曲目から11曲目まではそれを感じるかな。

RUKI:12曲中3曲目から11曲目ってほとんどだね(笑)。

葵:あははは。たしかに(笑)。中には新しい風を感じる曲もあるから全曲そうではないけど、流れで聴くと懐かしさが漂う感じというか。

——新しさを感じる風というのは、麗曲の「BABYLON'S TABOO」?

葵:そう。「BABYLON'S TABOO」は新しい。

RUKI:たしかに、「BABYLON'S TABOO」は新たな風だね。

葵:わりといろんな作り方をしてきてはいるけど、バンドとしての曲の作り方ってフォーマットがあるんだけど、この曲はそれを超えてきた。

▲麗

麗:この曲はまさに、『DOGMA』を経て、もっと洗練させていきたいという自分の想いが出て作り上げた曲でもあったかな。でも、そこばっかりを見て曲作りをしてしまうと、ライヴで盛り上がるということが疎かになってマニアックになっていってしまうから、そういうところも頑張って意識するように務めたというか。この曲は、いいバランスで作れた1曲になったかなと。でも、ギターの定義をなくしちゃっていいのかな? って自分の中でも若干の躊躇はあったんですけどね。普通だったら、葵、麗のギターがキッチリと別れているんだけど、それを無くしてしか表現できなかった曲でもあったんで、左右のスピーカーから出てくるそれぞれのギターを楽しんでくれてる人からしたら楽しみを奪ってしまった曲になってしまったかもしれないけど。これもこれで1つなのかなと。

葵:空気感の作り方が僕ら的には新しかったと思いますよ。

RUKI:麗のこだわりがすごかった。とにかく細かくて。

REITA:音の波形を見て葵に説明してたもんね!

葵:そうそう(笑)。あのド頭のフレーズは本当に難しかった。

——音色もいいよね。

葵:固めのね。

戒:そこも大きなこだわりでしたからね。

——個人的にはドラムのタム使いもすごく好きだった。

戒:これはね、すごく大変でしたね。

REITA:俺的には麗曲で言ったら、「BABYLON'S TABOO」の難しさ以上に「THE MORTAL」の方が難しかった。全編とおして親指で弾く弾き方なんて、いままでやったことがなかったから、すごく大変で。

——ベースのスラップが効いてる曲だからね、「THE MORTAL」は。

麗:デモの段階で入れていたシーケンスの音に近い感じが欲しかったんですよ。REITAは理想どおりのアプローチで弾いてくれましたね。

REITA:シーケンスの音をそのまま活かすなんて癪じゃないですか。由美子じゃないですか(=釈由美子)。

葵:いや、そのボケはここで要らないと思うけどね(笑)。

REITA:あ、そう(笑)? だから頑張ったんですよ。

葵:その頑張りあって、「THE MORTAL」のベースは本当に良い音してるからね。これからもあの音で頼む。

REITA:大変なんだって(笑)。

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