【対談】<ルナフェス>SUGIZO [LUNA SEA]×GLIM SPANKY、共鳴を見せたアートの世界

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「取材のときは感覚を研ぎ澄ませたいからね」と、SUGIZOがチャクラのバランスを整えるという私物のアヴェダ製ミストを取り出し、周囲にふりかけた。古代インドの智慧を基に作られたというそのアロマは、取材ルームの空気をリフレッシュさせ、「うわ~いい香りですね、え?第三の目(第6チャクラ)に効果があるんですか?」と松尾レミの鋭敏なアンテナを、一瞬でONにしてみせた。

◆SUGIZO [LUNA SEA]×GLIM SPANKY 画像

SUGIZOとGLIM SPANKYという一見接点も共通点も見えない両アーティストだが、話を交わしてみれば、そこには時代や世代/趣味嗜好を飛び越えた、アートそのものに共鳴するアーティストの姿がありありと浮かび上がってきた。魂を震わせ、クリエイティビティに全身全霊を傾ける両アーティストの発言には、音楽に我が身を捧げる原始的な衝動に満ち溢れている。

このインタビューは、2018年6月23日&24日に幕張メッセで開催される<LUNATIC FEST. 2018>に出演するGLIM SPANKYと、彼らの出演を強く推していたSUGIZOとの初対談の様子を記したものである。

   ◆   ◆   ◆

■カルチャーもありファッションもあり
■すべてが表現されてロックスターになる──松尾レミ

──SUGIZOとGLIM SPANKY……何の取り合わせなの?と、各ファンも面食らっているでしょうね。

SUGIZO:僕は、GLIM SPANKYがデビュー当時から大好きで、今回<LUNATIC FEST. 2018>にお誘いしたんです。

──そもそもSUGIZOが惚れるミュージシャンって、どういうアーティストなんでしょうか。音楽性という意味では、LUNA SEAとGLIM SPANKYって違いますよね。

SUGIZO:んー、表面的には音楽性やスタイルは違うかもしれないけど、根底にあるものは近い気がしますよ。1960~1970年代のサイケデリックな文化が好きだったり、そういうロックに洗礼を受けてきた……お互いに共通する音楽のキーワードのひとつとしてピンク・フロイドもありますし。

松尾レミ:はい。

▲松尾レミ/GLIM SPANKY

SUGIZO:GLIM SPANKYって一見オーセンティックな古き良きロックを奏でているようですけど、実はそれを完全に自分たちで消化して新しいものにしている感覚が僕はとても好き。変なたとえですけど、25年くらい前にレニー・クラビッツがすげえカッコいいと思ったときと近い感覚かな。

松尾レミ:うわー、すごい。ありがたいです。めちゃくちゃ嬉しい。私もレニー・クラビッツ大好きです。

SUGIZO:当時レニーがプロデュースしていたヴァネッサ・パラディがまたすごくカッコよくてね、超好きだったんだけど、そのあたりの時代が一周して、今20代の奴らが最高にカッコいいロックを体現しているよね。2014年だったかな……「焦燥」?

松尾レミ:はい、デビュー曲です。高校2年生のときに作った曲で、それでデビューしたのでGLIM SPANKYにとってとても大事な曲。それに引っかかってくださるなんて、もう本当に嬉しい。


──GLIM SPANKYのふたりは、LUNA SEAがデビューした頃に生まれていますよね。そこからどういう歩みをすれば、SUGIZOの感覚とオーバーラップするようになるんだろうか。

松尾レミ:SUGIZOさんの作品や活動には、最高にロックが好きでカルチャーも入っていますよね。私達も、ロックは音だけじゃなくてカルチャーもありファッションもあり、立ち姿や目線もすべてが表現されてロックスターになると信じているので。

──なるほど。

松尾レミ:そういう部分でもSUGIZOさんは完璧。なにより凄いと思うのは、ここまで世界レベルなスターになっても、ライブハウスに行ったりインディー・ロックまでも掘り下げて表現されているところ。GLIM SPANKYが 演った小さなライブハウスのライブにまで来てくださって。テーム・インパラのライブでもSUGIZOさんをお見かけしたのが衝撃的で……こんなところにもSUGIZOさん!って。

──そんなSUGIZOからのオファーですが、<LUNATIC FEST. 2018>への出演依頼を受けたときは、まずどう思いましたか?

松尾レミ:客層がどんな感じなのか想像ができなかったので、女性からは敵対視されるのかな?とか(笑)。どうなろうと私は私でいこうとは思っているんですけど、どういう景色が生まれるのか本当に楽しみと思いました。LUNA SEAが好きで来るお客さんって、ロックが好きで、なんで自分がこの音楽を聴いてこのファッションをしているかの答えを持っている人が多いと思うんです。GLIM SPANKYもそういうお客さんがとても多い。だから、表面的なファッションやテイストが違っても、深層にある自分を表現するアイデンティティを強く持った魂がつながるんじゃないかなと期待して、ロックを楽しむ夜にしたいと思っています。

SUGIZO:僕は、単純にカッコいいと思う/共演したい/大好きなアーティストたちと一緒にやりたい……それだけなんですよ。前回、<LUNATIC FEST.>に来てくれたお客さんたちは、自分たちのキャパシティ外のアーティストや自分の趣味と違うものを積極的に堪能してくれた。あの場所を通して、自分の音楽のセンスや自分のロックの幅が広がることを喜んでくれるリスナーが多かったので、出演者はみんなアウェイのつもりでステージに上るんだけど、お客さんがみんな盛り上がってくれた。それはすごく感動的だったんだよ。

──今回の<LUNATIC FEST. 2018>では、更にジャンルが多岐にわたっていますよね。

SUGIZO:「大丈夫かな」って思っているアーティストがたくさんいるかもしれないけど、そういう人こそが本領発揮できる場所になればいいなと思っているんです。そういうシーンを俺が観たいんだよね。

──LUNA SEAが用意した“共鳴の舞台”ですね。

SUGIZO:アティテュードが繋がっていれば大丈夫なんですよ。表層的なジャンルとか居場所なんて、いわば国の違い/出身地の違いみたいなもんでさ、俺は神奈川でGLIM SPANKYは長野、ただそれだけ。まじわっちゃえばひとつになれるし、信用もできる。もちろん地元を背負って錦を飾る愛国心/郷土愛も大事でね、それを持った上で、違った人たちとまじわるのは素敵なことじゃない? ただそういうことですよ。

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