【インタビュー】GOING UNDER GROUND、20周年を迎えてなお新たな道を切り拓き続ける意欲作「スウィートテンプテーション」

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GOING UNDER GROUNDのニュー・シングル「スウィートテンプテーション」が6月6日にリリースされた。シンプルな素材の良さを活かしつつ秀でたアレンジ力を発揮して、深みのある世界観を創りあげた2曲が収められた同作は、彼らの新たな魅力を味わえる注目の一作といえる。今年20周年を迎えて、今なお新たな道を切り拓き続けていることからは、バンドが非常にいい状態にあることがうかがえる。意欲作を完成させたGOING UNDER GROUNDのメンバー3名に集まってもらい、「スウィートテンプテーション」と現在の彼らについて、大いに語ってもらった。

◆GOING UNDER GROUND~画像&映像~

■今の自分たちが作った曲の中で一番いい曲をシングルにしよう
■そういう思考で作ったのが「スウィートテンプテーション」です


――新しいシングルは、どんな構想のもとに作られた作品でしょう?

松本素生(以下、松本):どういう作品を作ろうかなと考えることは、もはやないんですよ。自分たちはバンドをやってこうなりたいとか、こういうところに立ちたいといったことは、どうでもよくなっているんです。今は三人で普通にバンドをやっていること自体が特別だから、今回はこういうテーマでとか、こういう層のリスナーに向けてみたいなことを決めて、それに沿って曲を作るということはない。「いわゆるシングルを作るというような考え方は、もういいんじゃないか? だって、20周年だから」という気持ちがあって、今の自分たちが作った曲の中で一番いい曲をシングルにしようというところで意見が一致しているんです。そういう思考のもとに作ったのが、今回の「スウィートテンプテーション」です。

――自然体でバンドと向き合っているんですね。表題曲の「スウィートテンプテーション」はいつ頃、どんなふうに作った曲ですか?

松本:2017年の夏の終わり頃にテレビ番組に出たんですよ。それで、楽屋で待っている間にギターを弾いていたら「スウィートテンプテーション」ができました。これいいなと思って、iPhoneで録っておいたという(笑)。それが、前回のツアーが始まるときで、ツアーで新曲をやりたいねという話になったんです。

中澤寛規(以下、中澤):去年のツアーはアルバムのリリース・ツアーで、アルバムの曲にプラスして新曲もやりたかったんです。新曲を作って、アルバムの先のGOING UNDER GROUNDも見せたかったから。

松本:そう。それで、「スウィートテンプテーション」を形にして、ツアーでずっと演奏していって、今回シングルとして出すことにしました。


――サラッと作られたようですが、聴きどころの多い曲に仕上がっていますね。まずは、8ビートを基本としつつ、サビでシャッフルに変わるという大胆な構成が新鮮です。

松本:それは、最初からそういう構成でした。ずっと同じような曲を作っていると、飽きちゃいますよね。20年もやってきたから自分たちの形みたいなものはある。今までにないことをやりたいとか、この曲は何回でも演奏したいなと思うようにしたいという気持ちはあるけど、実際に作るものはシンプルになってきているんです。ただ、僕はミュージシャンであると同時にリスナーでもあるから、ずっと好きなミュージシャンもいるし、聴かなくなってしまったミュージシャンもいる。ずっと聴いている曲は、聴いたときに一瞬クエスチョン・マークが浮かんだり、なんでこんな曲を作ったんだろうと思うようなことが多いんですよ。僕はそういうミュージシャンに惹かれるし、自分たちもそうありたいと思っている。20年間もやっていると、もう曲なんていくらでも書けるんですよ。だから、どういう曲をやるかというのは、そこに乗るのか乗らないのかという、ただ一点だけだと思うんですよね。なんとなく乗らないながらも、シングルとして安牌を切れるという立場に今の自分たちはないし、誰からも音楽をやってくれと頼まれていないんですよ。自分たちがやりたいからやっているだけで、「お願いしますよ、新曲作ってくださいよ」と言う人は誰もいない。

中澤:お客さんは、別としてね。

松本:そう。そうなると、自分たちが「これ、いいね!」といって乗ってきたものをやるしかない。今はたぶんそういう時期だと思うし、それをやらないといけない時期だとも思うんです。そういうことをバンドらしく、楽しんでやれているのがいいなと思って。最初は五人でデビューして、一人減り二人減って、バンドを続けようかな、どうしようかなみたいなときもあったけど、やっぱりバンドやろうよという話になって、自分もそういう気持ちになって。みんな家族ができたりとか、生活が昔とは変わったりしている中で、今は音楽をやることが本当に特別なことになっている。20代の頃はリハにいくのが面倒くさいなとか……まぁ、リハは今でも面倒くさいときがあるけど(笑)、みんなで音を合わせたり、明日はライブだとかいうことが、20代の頃よりも今のほうが全然楽しいんです。だから、そこに関しては絶対に妥協したくないし、バンドをやるときはマックスでありたい。「スウィートテンプテーション」という曲の裏側には、そういう思いがあるんです。


▲松本素生

――その言葉どおり、聴きやすい曲でいながら、薄っぺらいものにはなっていませんね。この曲のアレンジは、どんなふうに詰めていったのでしょう?

松本:これは、iPhoneで録ったのをもとにして、スタジオでみんなでセッションして詰めていったんだっけ?

中澤:そう。初めて合わせてからツアーまであまり時間がなかったので、ファースト・セッションで“バァーッ”と形にして、それを録ったのを一回持ち帰って、僕がそれを整理してデモを作って、ライブで聴かせられるようにしました。短時間で形にしたけど、今回のアレンジも、そのときとほぼ変わっていないです。

石原聡(以下、石原):ベースは、どうだったかな? ……最初にスタジオでセッションしたときのフレーズがそのまま活かされているところもあれば、中澤の作ったデモからもらったところもあるという感じだったと思います。あとは、サビで場面が変わるので、それを強調することを意識しましたね。この曲を作っているときの気分としては、今回のシングルには20年前のライブDVDがついているんですけど、そのときの気分に近かったですね。そのときも誰かに頼まれたりしたわけじゃなくて、その前からあった曲をみんなでワイワイしながらCDにして、できた曲をライブでやったんですよ。「スウィートテンプテーション」を作ったときは、その頃の感覚に近いと思いました。そのDVDのもとになっている映像は僕が持っていて、確認するために見たらMCもすごいし演奏もヘッポコだけど、30分くらいまるっと見れて、こいつらいいバンドだなと思ったんですよ(笑)。今の自分たちがあの頃に近い感覚でいるとしたら、それはすごく嬉しいことだなと思いますね。それに、ライブDVDも、ぜひ観てほしいです。

中澤:最近の僕は、ギターはもうそんなに弾かなくていいか…みたいなところがあって。「スウィートテンプテーション」も最初にみんなでセッションしたときに、「じゃあ、ここギター・ソロね」と振られて、もうギター・ソロ弾かせないで。20何年も、いろんな曲でソロを弾いてきたんだからと(笑)。でも弾いてほしいと言われたので、どうしようかなと考えて、今回はサポートで若いキーボーディストがいるから掛け合いみたいにしようかなと思ったんです。そうしたら自分も楽しめるんじゃないかなと思って。それで、最初はギターとピアノがハモって、後半はギターとハープシコードが違うフレーズを奏でるという間奏を作りました。ギターはシンプルなフレーズを繰り返す形になっていて、いい合いの手ができるところを見せちゃおうかな…みたいな(笑)。

松本:みんながいい感じで“ワァーッ”とやっているところに、「よっ!」といって出てくるみたいな?(笑)。

中澤:そうそう(笑)。それが、できるようになったんです、マインド的にも。若い頃だったら、“俺、なんか全然弾いてないじゃん”みたいに思っただろうけど、今はもうそういうことはなくて、ちょうどいいじゃんと思えるんです。その代わりじゃないけど、サビは歪んだ音で“ダァーッ”と弾く形になっていて気持ちいいし。ギターは、いいところに落とし込めたと思います。

――同感です。サビ前の歪んだ音が入ってくるところも、すごくカッコいいですし。

中澤:あのノイズは、(松本)素生が出しているんですよ、たしか。

松本:そうだっけ?

中澤:うん。素生に“ピギャアーッ!”みたいなノイズを出してほしいと言われたけど、うまくできなかったんです。それで、1回やってみてよといったら、素生が一発で決めたんです。それで、「なるほど。じゃあ、これ使おう」という(笑)。

松本:全然、覚えてない(笑)。「スウィートテンプテーション」のアレンジに関していうと、いつもより音数が少ないんです。歌中はアコギとベースとドラム、ギターのちょっとしたオブリだけで、サビに歪んだギターが入ってくるくらいになっています。変な例えかもしれないけど、20才くらいのときは居酒屋にいったときに唐揚げとか、チクワの天ぷらとかが出てくると「いただきまーす!」と喜んで食っていたけど、今の僕らは、もう食えないんですよ(笑)。ちょっとあれば、これくらいがちょうどいいなと思う。要は、もう飽きているんですよね。バンドも同じようなところがあって、丈さん(河野丈洋 Dr)がやめる前……僕がバンドをやめようと思っていた頃のGOING UNDER GROUNDは、もう脂っこいものはいらないとわかっているけど、みんな強迫観念にとらわれて、脂っこいのがGOING UNDER GROUNDだろうと思っていたんです。そういうところで疲弊していったけど、ここ3年くらいで今の形に戻れたというのがあって。今は曲を作るときも、これでいい感じだなと思ったら、それでよしとするようになっています。

――そういうスタンスが、いい方向に出ていますね。「スウィートテンプテーション」の歌についても話していただけますか。

松本:歌は、僕は歌詞がちゃんと書けると上手く歌えるんです。ちゃんと書けないと上手に歌えない。で、僕は細かいところのピッチとかを後で直すのが面倒くさいから、全部一気に歌いたいんです。昔は切り貼りして自分の歌を作ったりしていたけど、今は歌ったままを活かしたい。今回も3~4テイクくらい歌って、終わらせました。


――早いですね! この曲の歌は温かみと哀愁が漂う歌中と、訴えかけるサビの対比が絶妙です。

松本:それも、いい歌詞が書けたからです。いい歌詞というか自分が思っていることを書けたから、そのまま歌えました。思っていないことを書いたりとか、歌詞が気に入っていないと、いいテイクを出すのに時間がかかるんです。先週もレコーディングをしていたんですけど、いい歌詞を書いているから基本的に1~2回で終わりました。だから、エンジニアさんは相当楽だと思います(笑)。

――たしかに(笑)。歌詞に関しては。「スウィートテンプテーション」はバンドライフを描いているとも取れるし、誰もの人生にある“断ち切れない思い”をテーマにしているとも取れる内容になっています。

松本:バンド人生を書こうとはまったく思っていなかったんですけど、出だしの“君の声がしない場所まで旅を続けよう 昔話したくないから旅を続けよう”という歌詞がメロディーと一緒に出てきたんですよ。で、ツアーの初日が仙台だったんですけど、ライブ当日になっても歌詞が完成していなくて。それで、仙台に向かう車中でAメロとかを書いたから“ワゴン車で”とかいう言葉が入っているんです。あと、この曲の歌詞で一番気に入っているのは、なぜ“アイスクリーム! アイスクリーム!”なんだろうというところですね。その意味が、自分でもわからない。鼻歌でずっと作っていたら、“アイスクリーム”という言葉が出てきて、これいいなと思ったんです。それで、ナカザ(中澤)に、「アイスクリーム、アイスクリームって出てきちゃって、意味はないけど気に入っているんだよね。どう思う?」と聞いたら、そういうのは絶対活かしたほうがいいと言われて。それで、そのまま活かすことにしました。意味不明だけど、僕の中では腑に落ちる言葉だったから。

――“アイスクリーム=I Scream”かなと思いました。

松本:そうか! それは、なかったなぁ(笑)。そういう意味も持たせたことにすれば良かったなぁ(笑)。なるほどねぇ……。

中澤:いや、その意味も持たせてるんだよね?(笑) “I Scream”という意味もあるんですよ(笑)。

松本:遅いって(笑)。そういうことは考えなかったけど、そう捉えてもらっても構わないです。というか、嬉しいです。

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