【インタビュー】sleepyhead、ソロでの日々が“滴り落ちた”1stフルAL『DRIPPING』

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SuGの解散から約6ヶ月。武瑠(Vo.)によるソロプロジェクト、sleepyheadが1stフルアルバム『DRIPPING』を6月20日にリリースする。自身の全てを注ぎこんだバンドがバラバラになったことの喪失感と、納得できなかった結末にしばらくは放心状態となっていた武瑠がsleepyheadを始動させるまでの心の揺れや前へと進もうとする想いが滴り落ちた楽曲たちに『DRIPPING』というタイトルはふさわしい。切なくてやばくて踊り狂える音楽がソロプロジェクトのイメージだというが、その洗練されたセンスと刺さってくる言葉、楽曲の中毒性から感じるのは武瑠というアーティストの才能にほかならない。

葛藤で苦しんだ時期を振り返ってもらいつつ、sleepyheadとして踏み出した作品について聞いたロングインタビューをお届けする。

◆sleepyhead 画像

■過去をちゃんと超えてあげないとダメだし、
■バンドが成仏しないなとも感じていたし。


——まず、sleepyheadを始動させるまでには、葛藤やいろいろな想いがあったと思いますが、SuGが2017年9月に日本武道館公演で活動を休止してからは、しばらくはポッカリ穴が開いたような感覚だったのですか?

武瑠:そうですね。メンバーの中では活動休止ではなく、解散だったんですけど、そういった発表ではなかったので、よけいに放心状態になっていたところはあります。自分たちがやってきたバンドをキレイに終わらせられないという悔いがずっと残ってたんです。思っていた以上に復活を待ってくれる人たちがいたから心苦しくて、もう1度集まって「解散しよう」って。

——武道館ライブが終わって、いつ頃話し合ったんですか?

武瑠:2ヶ月後ぐらいでした。それまでの期間は前に進もうにも自分の中で終わっていない感じがして、何もできなかった。メンバーの多数が想いを残したまま次のことを始めたくないと思っていたし、あの頃は「虚しい」っていう感じでした。

——10年やってきたバンドが終わりを迎えた喪失感と一緒に、納得できない想いが押し寄せてしまったというか。

武瑠:バンドがなくなってしまったこともそうだし、なくなったと言えない中途半端な感じですよね。SuGの根本は5人のはずなのに、いつのまにか、そうじゃなくなっていたというか。だからこそ絶対に終わらせないといけないと思っていました。

——武瑠さんはつねに何かクリエイティブなことをして動いていないとダメなタイプというイメージがあったのですが、当時はひきこもり状態?

武瑠:そうですね。自分のブランド(million dollar orchestrA)だけはやっていましたけど、基本、暇なので旅行に行ったり、何も考えないようにしていました。

——考えると壊れてしまいそうだから、突き詰めないようにして?

武瑠:だから、次に何をやるのかも思い浮かばなかったし。

——TwitterなどのSNSも全てストップしていましたよね?

武瑠:いったんリセットしたかったんですよね。あの頃は表に立たずに裏方になるかもしれないと思っていたし。

——苦しかった期間はどれぐらい続きましたか?

武瑠:解散を決めてからもしばらくは「前に進もう! YEAH!」みたいな気持ちにはならなかったですね。3月のSHIBUYA TSUTAYA O-EASTでの初ライブ(<透明新月>)も、ただステージに立っただけというか。ちゃんと復活したと思えたのは5月ぐらいですね。

——そうなんですか? 初ライブではsleepyheadとして初めて新曲を披露したと思いますが、じゃあ、「曲を作ろう」、「また音楽をやろう」と思ったのは、いつ頃になるんですか?

武瑠:それも解散が決まってからですね。ただ曲作りだけは自分との対話みたいな感じでやっていたんです。9月、10月とかは日記みたいな感じで作っていて、その時に今回のアルバム『DRIPPING』に収録されている「ALIVE」や「HOPELESS」がある程度出来ていて、12月にいっきに10数曲書いて、それまでに書いた曲と合わせると43曲。

——43曲も書いたんですか?

武瑠:40曲を目標にしていたんですよ。39曲+1曲。願かけみたいな感じで、SuG(39)を超えるという意味で40曲書かないとスタートしちゃいけないって決めていたんです。去年、30曲ぐらい書いて。

▲『DRIPPING』完全初回限定盤

——スイッチが入ったんですね。sleepyheadというプロジェクト名にした理由も教えてください。

武瑠:1人で会社を作るかもしれないと思った時期に候補にあった名前なんです。“夢から醒めない”とか“寝ぼけてる頭”という意味でつけたんです。大元にあるのはPassion Pitの「Sleepy head」という曲が好きだったからなんですけど、今の自分に合ってるなと思って。

——なるほど。先ほど3月の初ライブのことに触れましたが、あの日は特別な感情があったわけではないんですか?

武瑠:あの日は「プロになれてないな」と思いました。ステージにいる自分にまだ慣れていない感覚だったというか、MCも思いついたことをそのまま言っているだけで、スイッチが入っていない感じ。まだ完全に前向きになれていなかったし、「みんな喜んでくれてるな」とか、ちょっと客観視しながら歌っていましたね。SuGの10年があった中、「復活だ。わーい!」みたいな気持ちには到底なれなかった。ファンもすぐに切り替えられる人とそうじゃない人がいるだろうし、でも切り替えられなくても進むのがフロントマンとしての自分の義務だなと思っていました。過去をちゃんと超えてあげないとダメだし、バンドが成仏しないなとも感じていたし。

——武瑠さんがステージに帰ってくる日を心待ちにしていた人はたくさんいたと思うんですよ。

武瑠:あの日はあえて「初めまして」って言ったんですけど、帰ってきたみたいな気持ちは自分の中になかったんですね。新しいことを始める気しかなかった。もちろん、前の歴史があるから応援されているのはわかっているんですけど、過去をひきずって好きになってもらうやり方はしたくなかったし。

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