【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第8回ゲスト:Lenny code fiction

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■ライバル視みたいなものはないんです
■あるのはビッグラブとリスペクトだけ──ASH DA HERO

ASH:なるほど、滋賀県生まれ、ラルク育ち。じゃあ、ずっとhydeさんみたいになりたいと思っていたとか?

航:中学のころはギターも持たず、ピンのボーカルでやりたいって。カラオケで歌い方も頑張って物真似とかして。中学3年から高校に行くときの春休みに、VAMPSがデビューしたんですよね。それでギター&ボーカルの凄さにも気づいて、ネット通販で一番安いギターのセットを買うんですよ(笑)。

ASH:おおっ、常に航クンの指針になっているんだ。

航:そうです。色の似ているギターを選んで買って(笑)。最初にコピーしたのもVAMPSの「LOVE ADDICT」です。あと滋賀にはパンクバンドも多かったんで、周りにもギター&ボーカルが多くて、その流れもあって。

ASH:でも航クンの第一印象と比べると、ルーツが意外。若い世代なのに、バッキバキのバイカーロックっぽいものが好きなのかな、と第一印象では感じたから。L'Arc-en-Cielをルーツに持っているから、Lenny code fictionはメロディが綺麗なんだね。

航:メロディは曲作りでもかなり意識してますね。初ライブからオリジナル曲でした。

ASH:それが15歳ぐらいか。そのころは滋賀のどこで活動してたの?

航:B-FLATですね。若手のバンドをすごく応援してくれるライブハウスなんですよ。だから月10本ぐらいB-FLATに出てました。

ASH:いろんな企画にライブハウス側が呼んでくれたんだね。俺も高校生のとき、メインのバンドが4つあって。

航:えっ、4つのバンドに入っていたんですか(笑)?

ASH:ボーカリストは普通しないんだけど、4つともサポートボーカリストとして入ってた(笑)。だから月に12本とかライブをやっていて、その頃はついに学校へ行かなくなっちゃった。明日も昼過ぎからリハだし、夜中までリハだしって感じで。でも十代のころの月10本のライブは、今になって、いろいろ効き目あったなあって。

航:だいぶありますね。

ASH:モニターがあまり聞こえないとか、いろんな環境でやるからね。俺たちの遊び場だったり、いろんな経験をさせてくれたライブハウス。ミュージシャンとして活動するための全部を教えてくれたよね。

航:そう思います。次のライブのために新曲もいっぱい書こうとか、自分たちのモチベーションも日に日に上がっていきましたね。

ASH:そうすると、自分の音楽や言葉も探していくじゃない? この音楽と出会って変わった、という経験もあった?

航:大阪や東京でもライブをするようになったとき、同世代で流行っていたのがクリーン・サウンドで歌詞を綺麗に乗せるスタイルのバンドで。最初はそっちにも憧れたけど、やっぱり男気あるほうがいいなと。ASHさんと出会ったときも、こんなバンドが東京にはいるんや、と驚いたし。

ASH:そうか、当時はまだ滋賀に住んでたよね。

航:そうなんです。パンク以外で、ガッツリとした男気あるバンドとはそれまで出会ってなかったんです。

ASH:Lenny code fictionの前身バンドは、航クンにとって何個目?

航:それが高校1年で組んだ最初のバンド。メンバーがちょっと変わったり、バンド名は変わったけど、最初のバンドが今もずっと続いてるわけです。

ASH:だから強いんだね。対バンしたのが2015年でしょ。21歳ぐらいなのに、なぜ、こんなに場数を踏んでる感があるんだと思ったから。ライブハウスの落書きをちゃんと背負ったバンドだった。ライブを観たとき、それが前身バンドから見えてきたんだよね。合点がいった。同世代の中で流行っていたスタイルのバンドたちが、ある種、反面教師になったんだね。

航:そうです、絶対に男気あるバンドのほうがカッコいいと思ったんで。

ASH:根がロックなんだろうね。人生、ロックンロールしている気がする。バンドやって世界もだいぶ変わったよね、きっと?

航:変わりました。デビューのタイミングがASHさんと同時期なんですよ。

──ということはライバル意識が当時はあったんですか?

ASH:デビューしてからお互いにそれぞれの道って感じで、交わることがなかったから。でも「Lenny code fictionが新譜出すんだ。アニメのタイアップ、スゲーじゃん」という感じ。ライバルというよりも、「やっぱLenny code fictionは来てんじゃん、イケイケ!」みたいな。カッコいいと思ったヤツらには、年上だろうが年下だろうが、あんまライバル視みたいなものはないんです。あるのは、単純にビッグラブとリスペクトだけ。

航:たぶん、デビュー後に対バンもしていたら、あのライブは悔しかったなとか、いろいろあったとは思うんですよ。でもその機会がなかったから。ただ、うちのギターと、自分らに足りない佇まいとかライブ中のMCとか、いろいろ話すんですよ。僕らふたりで“華の研究会”って呼んでるんですけど(笑)。

ASH:おもしろい研究会だね(笑)。

航:そこにASHさんはいつも出てきます。だから“華の研究会”の人なんですよ(笑)。ASHさんの華はマジでヤバイって、僕らにとっての研究テーマになってる(笑)。20代前半、ステージでの自信感がなくて悩んでたとき、「ASHさんを見ろ」って、“華の研究会”で議題にあがって。だからライバル枠ではないんです。どうすればこんな人になれるのかっていう対象の人。

ASH:そんなふうに思ってくれてたんだ、嬉しいね。でも航クン、華あるよ。そういう話をマネージャーともしてたくらいだから、「華があっていいボーカルだね」って。華と狂気がある。普段は温厚な感じだけど、ステージに立つと全然違うからね。オオカミになる。言葉がビリビリ伝わってくる。同世代とかにライバルとかいる?

航:トレンドの音楽をやっている同世代バンドがライバルです、未だに。対バンする4バンド全部が優しい音楽やって、そこに自分らのバンドということもあって、お客さんが無反応。その記憶が未だに残っているんで、どうにか見返してやりたいって。

ASH:分かる、分かるなー、その気持ち。

航:そういうライバル心とか反骨精神がパワーになることも多くて。

ASH:そう言われたら、そうかもしれない。対象物が人というよりも、常に覆したいものがあって、それが原動力になってる。社会とか倫理とか世界とか、そういうものに俺は敏感かも。なぜこういう流れやルールになっているんだって。あるいはそれを要動しているヤツなのか。目に見えないものを常に暴きたいって気持ちもあるね。例えば今回のワールドカップで日本チームに対する辛辣な意見。何となく乗っかって批判したほうがイケてるって風潮にもなってる。いやいや、応援したほうが良くないかって。選手の立場だったら、「それでも信じるぜ」と言われたほうが力が出る。航:そのほうが絶対にプラスになりますね。

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