【インタビュー】FINLANDS、自分の二面性を受け入れて生きていくことを決意した2ndフル・アルバム『BI』

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塩入冬湖(Vo/Gt)、コシミズカヨ(Ba/Cho)の2人によるロック・バンドFINLANDSが、7月11日に2ndフル・アルバム『BI』をリリースする。BARKSでは多感な10代の時にギターロックにもろに衝撃を受け、楽器を手にした二人のルーツをさかぼってインタビュー。一緒に音を出して12年にもなる彼女たちの絶妙な関係性について迫り、秀れたソングライターである塩入冬湖のリアルな人生&恋愛観も反映されたアルバムについて話を聞いた。

■理由も特になく国の名前にしたかったんです
■最後に“S”が付いてカッコいい名前って何だろうと思って


──さかのぼってお話を聞きたいのですがFINLANDSの二人が音楽をやろうと思ったのはいつ頃ですか?

塩入冬湖(以下塩入):高校に入学して軽音楽部で出会ったんです。

──部活を通して仲良くなったんですか?

塩入:というわけでもなく軽音楽部には何十人も女のコがいたんですけど。

コシミズカヨ(以下コシミズ):どんどん女のコが抜けていっちゃって2ヶ月たって最終的に残った女子がこの二人だけだったんです。

塩入:「じゃあ、一緒にやる?」って。

コシミズ:やらざるをえない状況になって(笑)。

塩入:そこからずーっと一緒に12年間。

──そんなに女子部員がやめちゃうっていうのはスパルタだったからとか?

塩入:逆に“自分たちで好きにやってください”っていう環境で、教える人もいなければ仕切る人もいない感じだったので。

──二人はなぜやめなかったんですか?

塩入:私はずっと小・中と女子校で大学までエスカレーター式の学校だったんですけど、どうしても軽音楽部にのある学校に入りたくて高校を受験したんです。なので、ここでやめるわけにはいかないなって。

コシミズ:私はバンドに目覚めたのは遅くて中学までバレーボールをやっていたんですけど、途中で興味を持った音楽をやりたくてベースを買ってから入学したんです。みんなやめちゃったけど、ここでやめたら何も果たせないままだなって。放置されている状態でも先輩のやっているバンドを見たりするのが楽しかったので、やめるっていう選択肢がなかったですね。


──あきらめるわけにはいかない二人が一緒にやることになったわけですね。で、バンドを組んだんですか?

塩入:はい。その時、私はボーカルではなくギターだったので男子と四人でコピーバンドをやっていました。

──どんな曲をコピーしていたんですか?

塩入:男のコボーカルだったので当時、流行っていたELLEGARDENさんの曲を中心にやっていたんです。そのあと少したってから、ボーカルが学園祭に出た後、落ち込んじゃって「俺はもう歌えないからオマエ歌え」って言われて「やるしかないか」って、そこからはSHAKALABBITSさんや東京事変さんの曲を歌っていました。

──じゃあ、コピーバンドから始まって今まで二人はずーっと一緒に?

塩入、コシミズ:そうですね。


▲塩入冬湖

──長い付き合いですね。どんな関係性なんでしょうか?

塩入:こんなに一緒にいるって珍しいと思うんですよね。友達を超越しているというか、いい意味で一線を引きながらここまで来ているので、家族でも友達でもない“別枠”っていう感じ。私の中では“友達、家族、カヨ”みたいな。

コシミズ:私の中で冬湖は冬湖です。仕事仲間というわけでもなく、友達としての側面もあるので本当に何とも言えない。

塩入:家族より長くいるからね。3日ぐらい会わないだけで「ものすごく久しぶり」みたいな感覚になる人ってあまりいないと思うんですよ。母親に対してすら思わないのに、カヨには思うので。

コシミズ:そう、そう。何時間一緒にいても気を使うこともなく疲れてしまうこともなく。

塩入:無言でいても平気だし、生活の一部みたいなものでベタベタすることもない、サッパリした付き合いですね。

──それがさっき話してくれた一線を引いた付き合い?

塩入:そうですね。ずっと長く一緒にいるためには深く踏み込まないことも大事だなと思っていて。

──すごい境地に達していますね(笑)。

コシミズ:恋人同士みたいに依存しちゃったりすると、どっちかがいないと自分ひとりだと立っていられなくなったり。そういうのを避けたかったので。

──理想の関係ですね。

塩入:気づいたらこうなっていたというのはありがたいですね。

──ちなみにFINLANDSを結成する前にもバンドをやっていたと思うんですが、今とはまた形態が違ったんですか?

塩入:FINLANDSになる前はもう一人女のコがいてスリーピースバンドだったんです。そのバンドの活動が止まってから二人でやろうということになったんですけど、その時点で7~8年カヨと一緒にやっていたので、ここでまた新しいメンバーを入れたら温度差や理解度の違いが絶対に出てくるなと。「だったら二人でやろう」と思って断られることなんか全く考えずに「二人でやりますよ」ってカヨに言って。

コシミズ:(笑)「バンド名は何がいい?」って言われて「あ、やるんだ」って。ずっと一緒にやってきたし、私も音楽を続けていきたいと思っていたので単純に嬉しかったです。で、二人でバンド名の候補を出し合って私もいくつか案を出したんですけど、気づいたらFINLANDSになっていました。「全ボツ?」って(笑)。

塩入:そういうこと多いんですよ。一応、意見を聞くんですけど聞いている内に自分の案が思い浮かんで「これで」みたいな(笑)。


▲コシミズカヨ

──事後承諾ですね。バンド名と音楽性は繋がっているんですか?

塩入:意味は全くなくて、理由も特になく国の名前にしたかったんですよ。最後に“S”をつけていちばんカッコいい名前って何だろうと思って、FINLANDSかなって。

──ワールドワイドに活動したかったとか、北欧好きとかでもなく?
塩入:何も考えずに付けたんだと思います。

──とは言え、FINLANDSは夏でも冬のファッションでライブをやっていますよね。それはこだわりですか?

塩入:これは結成して1年目ぐらいにバンドの大会みたいなのに出て映像を撮ることになったのがキッカケですね。受かっても落ちてもどっちでもいいからインパクトを残すために厚着で出てみようって。それが思いのほか、いろんなところで書かれたりして「もう脱げないな」って(笑)。

コシミズ:2014年だったと思います。あの時は家にある防寒着を全部身につけました。耳当てとかニット帽とか。

塩入:ティペットみたいなのしてね。

──ステージって照明だけでめちゃくちゃ暑いですよね。

塩入:もう慣れました。人間の身体と精神って繋がってると思うんですよ。真夏の野外だったり、照明が近いライブハウスでも耐えてこられたので、変な自信がついたんですよね。心が折れなければ身体は大丈夫なんですよ。

──すごい。途中で「1枚脱ぎたい!」って思いそうだけど。

コシミズ:ははは。「脱ぎたい」とも思わなくなってくるんですよ。もうユニフォームなので。これがFINLANDSですっていう。

◆インタビュー(2)へ
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