【インタビュー】フォロー・ザ・サイファー「すなわち暗号やミステリーみたいな感じさ」

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サバトンの作曲補佐官、ケン・シェングストロムが立ち上げた新バンド、フォロー・ザ・サイファーのデビュー・アルバム『フォロー・ザ・サイファー』が、ここ日本でも発売になる。

◆サバトン映像&画像

『フォロー・ザ・サイファー』は、シンフォニックでメロディック、そしてとてもデビュー作とは思えないクオリティを誇る作品だ。女性ヴォーカリスト:リンダの歌唱力とそのパワフルさも素晴らしい。ナイトウィッシュやバトル・ビースト、そしてもちろんサバトンあたりが好きならば必聴の作品となっている。ケンが作曲に関わったサバトンの名曲「カロルス・レックス」のフォロー・ザ・サイファー・バージョンも聞きどころだ。

ケンとヨナス・アスプリンド(B)に話を聞いてみた。



──ケンはサバトンの曲作りに参加していたとのことですが、ヘヴィ・メタルの世界で作曲を手伝うというのはわりと珍しいことですよね。どのようにして、サバトンの手伝いをすることになったのでしょう。

ケン:ずいぶんと前に、俺とヨアキム(ブロデーン)はインターネットを通じて知り合ったんだ。ファランに引っ越そうと思っていたところ、ヨアキムから一緒に住もうという申し出があってね。サバトンはサウンド・エンジニアを必要としていて「君のミックスはなかなか良いね、こっちに来て俺たちのエンジニアをやらないか?」って言われた。それで1年ほど一緒に住んでいたんだ。サバトンとの出会いはこんな感じだったんだけど、正直サウンド・エンジニアとしての仕事は退屈でね、そんなときヨアキムから「一緒に曲を書かないか」という申し出を受けたんだよ。ヨアキムと俺は、とてもメロディの好みが似ていたから、一緒に曲作りをするのはとてもスムーズなことだった。

──それ以前にも作曲経験はあったのですか?

ケン:もちろんあったよ。俺が曲を作るようになったのは…いつからだろう、もう17年くらいは作曲をしているよ。メタルは常に俺の興味の一部だったから、ヨアキムと曲を作る以前からメタルの作曲もしていた。

──今後もサバトンとのコラボレーションは続いていくんですね?

ケン:そう願うよ。『カロルス・レックス』以来ずっと彼らのアルバムに参加しているからね。もし彼らがまた俺を必要とするなら、俺は喜んで手伝うよ。

──そして自分のバンドであるフォロー・ザ・サイファーを始めようと思ったきっかけは何だったのでしょう。

ケン:初めは俺のソロ・プロジェクトのつもりだったんだ。自分自身の音楽を作りたいと思っていたから。一切誰とも妥協することなく、俺のやりたいことをやりたかった。それで曲をいくつか書いて、シンガーのオーディションをやったんだ。5~6人試したのだけど、最後に来たのがリンダ(トニ・グラーン)だった。彼女がスタジオにいたのはたったの15分くらい。すぐに彼女が適任だとわかったので、「もし君が望むならお願いしたいのだけど」って伝えた。彼女のパフォーマンスには本当に感銘を受けたんだ。その後曲を書き進めるにつれて、バンド形態にするのも良いんじゃないかと思い始めた。それでフォロー・ザ・サイファーというバンドを結成することにしたんだよ。

──その他のメンバーはどうやって選んだのですか?

ケン:音楽は俺の頭の中にあったけれど、アルバムの曲作りも時とともに展開していく感じだったから、コンセプトのようなものは一切なかった。アルバム作りの中盤で、もうひとりソングライター(ヴィクター・カールソン)が加わったんだ。だから最初に書いた「ウィンターフォール」は1980年代っぽい雰囲気があるのに対し、ヴィクターが書いた「プレイ・ウィズ・ファイアー」などは、全く違った感じだろ?これはアルバムを作りながらコンセプトも発展していったからなんだ。次に作るアルバムでは、俺たちがやりたいことがより明確になっていると思うよ。質問はそれだけだっけ。忘れちゃったよ(笑)。

──「サイファー」という単語には複数の意味がありますが、バンド名にはどのような意図があるのでしょう。


ケン:2003年頃に、今このバンドでやっているものに近い音楽を作っていたんだ。メタルとかエレクトロニクスみたいな感じのやつ。で、そのプロジェクトのデータをセーヴするのに、ファイル名を決める必要があった。その時ふと思いついた名前が「フォロー・ザ・サイファー」だったのさ。14年に自分のバンドを始めた時に、いくつかの曲のパートが2003年に書いた曲に近いものがあったし、ノスタルジックな意味も込めて、その「フォロー・ザ・サイファー」をバンド名にするのが良いのではと思いついた。だから具体的に意味があるという訳ではないんだよ。フォロー・ザ・サイファーは新しく始められたバンドで、どんな未来が待っているかはわからないという意味でも、このバンド名はあっているだろう?フォロー・ザ・サイファー、すなわち暗号やミステリーみたいな感じさ。シンプルだろ。

──デビュー・アルバム『フォロー・ザ・サイファー』が日本でも発売になりますが、どのような内容なのか教えてもらえますか。

ケン:ヨナス、この件は君が説明する?

ヨナス:そうだね。俺たちは、他のバンドとは違った突出した作品を作りたかった。アルバムを作るのに3年かけたんだよ。

ケン:「ウィンターフォール」も入れたら4年だね。

ヨナス:ハードなものからソフトなものまでバラエティに富んでいる作品なので、これだというサウンドを得るのは容易ではなかったけれど、うまいバランスになったと思う。とてもハードな曲もあれば、おばあちゃんでも楽しめるようなメロディも入っている。メタル・ファンも楽しめるし80歳でも楽しめる作品だよ。少なくとも俺はそう思ってるんだけど。

ケン:そうだね、俺も賛成だよ。非常に幅広い人たちに気に入ってもらえる作品を作るというのが、ひとつのポイントだったからね。もちろん俺たち自身も気に入る作品でなくては意味がないけれど。俺たちも気に入って、さらに多くの人も楽しめるというWin-Winな作品に仕上がっていると思う。

ヨナス:それにこの作品は、大作の映画みたいでもある。サイファイ映画の良いサウンドトラックになりそうだろ。このアルバムを聴いていると、頭の中に映像が浮かぶよ。

──ヨアキム・ブロデーン(サバトン)、ニルス・パトリック・ヨハンソン(アストラル・ドアーズ、元シヴィル・ウォー)、オレ・エクマン(ディールズ・デス)、ジョニー・リンドクヴィスト(ノクターナル・ライツ)、ロニー・ヘムリン(タッド・モローズ、スティールアタック)というスウェディッシュ・メタル界の重鎮たちが参加しているとのことです。「エンター・ザ・サイファー」などで聞かれる男性ヴォーカルは、この中のゲストによるものなのでしょうか。

ケン:いや、ゲストが参加してくれたのは「スターライト」だけだよ。それ以外の男性ヴォーカルは、俺たちのギタリスト、ヴィクター・カールソンによるものさ。

──このアルバムでは、どのようなアーティストから影響を受けているのでしょう。

ケン:俺は非常にたくさんの音楽を聴くけれども、自分の曲を作るときは、「このバンドみたいなものを書こう」というようなことは考えない。もちろん俺の書く曲は、いろいろなアーティストから影響を受けてはいるけどね。一番影響を受けたアーティストということであれば、ハンス・ジマーだ。ハリウッド映画のサウンドトラックを色々手がけているアーティストさ。彼の作品、映画のクライマックスの作り方が大好きなんだ。そういう意味で、彼は俺のインスピレーションの大きな源になっている。俺は幅広い音楽を聴いてきているけれど、メタルというのは常に中心にあった。メタルはずっと大好きなんだ。とにかく俺は様々な音楽聴くんだよ。エレクトロニックなものも聴くし、クラシックも聴く。それぞれの音楽にみんな素晴らしいパートがあるので、それらを取り入れて新しい音楽を作ることができるのさ。

──歌詞の内容はどのようなものですか。「エンター・ザ・サイファー」はSF的ですし、一方で「マイ・ソルジャー」などは失恋の歌のようです。ずいぶんとバラエティに富んでいるようですが。

ケン:それらの2曲は、どちらもヴィクターがひとりで書いたんだよ。彼はあまり歌詞の内容については語っていなかったので、よくわからない部分もあるんだけど。

ヨナス:「マイ・ソルジャー」は、失恋と戦場の戦士を重ね合わせているんだと思うよ。「エンター・ザ・サイファー」は、不思議の国のアリス的な内容さ。ケン、間違ってたら訂正してくれ。

ケン:それであっていると思うよ。歌詞については、各自が自分なりの解釈をする余地を残したから、ヴィクターと俺とでは、アルバムのコンセプトについても俺、ヴィクター、それぞれのものがあるけれど、基本的なテーマは、戦争などによって世界が破局を迎えたあとという、実際にありうる未来についてさ。それにSFのタッチも加えている。

──アルバムのアートワークも、やはり破局後の世界を表現しているのでしょうか。

ケン:あのアートワークは、サバトンのクリス・ローランドの手によるものなんだ。彼にはまず、俺がPhotoshopで作ったイメージを送った。俺はとにかくPhotoshopが苦手で、おそらく史上最悪のPhotoshopの使い手なんだけど(笑)、とにかくアイデアを伝えるためにね。彼はそれを元に、とても素晴らしい作品を作り上げてくれた。スカイプで15時間くらい話し合って、ブックレットも含めて素晴らしいものになったと思うよ。とても仕上がりに満足している。

ヨナス:本当に素晴らしいね。

ケン:見てもらえばわかるとおり、もちろんこのアートワークは、さっき話したポスト・アポカリプス的世界とも繋がりがある。戦士が、すべてを破壊し尽くす戦場から立ち去っているところさ。

──フォロー・ザ・サイファーは、コスチュームも凝っていますよね。

ケン:これについてはヨナスがいろいろと頑張ってくれたので、君が答えてくれ。

ヨナス:俺やカール(レフグレン)などが加入したとき、ケンは音楽に集中していたので、俺はどんなことでバンドに貢献できるだろうと考えてみたんだ。それで、衣装についていろいろ考えたんだ。俺たちが音楽として表現しているものは、『マッドマックス』や『ターミネーター』みたいな俺のお気に入りの映画に近いと思った。それで、これらの映画のスチームパンク的なシーンからインスピレーションを受けたんだよ。メタルの世界では、スチームパンク的なものを採り入れているバンドというのは見当たらなかったしね。それでメンバー各自、ステージ上のキャラクターを作り出した。ステージ上がれば、俺は確かにヨナスではあるけれども、同時に海賊でもあるのさ。キャプテンは赤い髪(注:ヴォーカルのリンダ)でね。こうする方が、ステージで心地よいのさ。ただのTシャツやジーンズで演奏をするよりもね。

ケン:ただ音楽だけでなく、ヴィジュアル的なものも大切にしたいんだ。

ヨナス:その通りだよ。ヴィジュアルというのはとても大切で、歌詞とも強い繋がりがあることがわかってもらえると思う。例えば「ア・マインズ・エスケイプ」の歌詞をみてもらえば、漫画的な要素があることに気づいてもらえるだろう。コミックに出てくるようなキャラクターが主人公なのさ。

──日本のファンへのメッセージもお願いします。

ケン:正直言って、日本に関する知識というのはほとんどないけれど、日本にはずっと行ってみたいと思っているんだ。だから俺たちのアルバムが日本でリリースされるというのはとてつもなく嬉しいよ。そしてぜひ日本でプレイできるチャンスがあればって願っているんだ。

ヨナス:俺もだよ。実は俺が以前やっていたバンドの作品も日本でリリースされたことはあるのだけれど、こういうレベルではなかったからね。ぜひ日本に行ってプレイしたいね。音楽を提供する上において、ライヴというのは非常に重要なものだから。俺は漫画とか、日本の文化にとても興味があるし。

取材・文:川嶋未来
写真:Georgios Grigoriadis


フォロー・ザ・サイファー『フォロー・ザ・サイファー』

2018年6月29日 発売予定
【初回限定盤CD+ボーナスDVD】GQCS-90611~2 / ¥3,500+税
【通常盤CD】GQCS-90613 / ¥2,300+税
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.エンター・ザ・サイファー
2.ヴァルキリア
3.マイ・ソルジャー
4.ウィンターフォール
5.タイタンズ・コール
6.ザ・ライジング
7.ア・マインズ・エスケイプ
8.プレイ・ウィズ・ファイアー
9.アイ・リヴァイヴ
10.スターライト
11.カロルス・レックス
ボーナスDVD
1.エンター・ザ・サイファー(ライヴ・フロム・マスターズ・オブ・ロック)
2.マイ・ソルジャー(ライヴ・フロム・マスターズ・オブ・ロック)
3.ア・マインズ・エスケイプ(ライヴ・フロム・マスターズ・オブ・ロック)
4.ウィンターフォール(ライヴ・フロム・マスターズ・オブ・ロック)
5.アイ・リヴァイヴ(ライヴ・フロム・マスターズ・オブ・ロック)
6.マイ・ソルジャー(ライヴ・フロム・フォルケンバーグ [スタジオ・サウンド])
7.カロルス・レックス(ライヴ・フロム・SOA [カメラ・サウンド])
8.ヴァルキリア(ミュージック・ビデオ)
9.カロルス・レックス(ミュージック・ビデオ)
10.ア・マインズ・エスケイプ(リリック・ビデオ)
11.ザ・ライジング(リリック・ビデオ)
12.プレゼンテーション(ケン・シェングストロム)
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【メンバー】
リンダ・トニ・グラーン (ヴォーカル)
ケン・シェングストロム(ギター)
ヴィクター・カールソン(ギター)
カール・レフグレン(ドラムス)
ヨナス・アスプリンド(ベース)

◆フォロー・ザ・サイファー『フォロー・ザ・サイファー』レーベルページ
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