【インタビュー】マシーン・ヘッド「オーディエンスが見たことのないものを届けたい」

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マシーン・ヘッドの来日公演<Catharsis World Tour in Japan 2018>が、7月初頭よりスタートとなる。東京から福岡まで全5ヶ所を回る全国ツアーだ。

◆マシーン・ヘッド映像&画像

いつもエネルギーにあふれているマシーン・ヘッドのステージは、期待を裏切らない鉄板のパフォーマンスを見せつけてくれる。日本公演を間近に控え、ギタリスト/ヴォーカリストのロブ・フリンに、話を聞いた。



──ツアー調子はいかがですか?

ロブ:最高だよ。アメリカも、ヨーロッパも素晴らしかった。集客もマーチャンダイズの売り上げも過去最高のものになった。ヨーロッパではほとんどのショウがソールドアウトになったし、ツアーはとにかくうまくいっているよ。何しろ新作にあれだけネガティヴな反応があった後だろ?コンサバティヴなメタル・ファンの中には、あのアルバムの歌詞に本気で腹を立てたものもいたようだし(笑)、散々悪口も言われて「2度とマシーン・ヘッドなんて聴くか」なんていう反応もあったけど(笑)。ショウ自体もとてもうまく行っているし、新曲をプレイしてもリアクションは良い。結局インターネット上の反応なんて、ただのたわごとだったということさ(笑)。

──以前あなたは『カタルシス』は一部のファンを混乱(Confuse)させるだろう、と言っていましたよね。

ロブ:"Confuse"という単語は使わなかったと思うけど、それに近いことは確かに言った。俺が言いたかったのは、このアルバムを聴くには、広い心が必要だということ。「マシーン・ヘッドのアルバムはこういうものであるべきだ」という先入観にとらわれていると、その期待には応えられないということさ。このアルバムは、以前の作品とは異なるものだ。そして俺は、そこが気に入っている。明らかに安全地帯から出て作った作品だからね。メタルというのは、時に足枷にとらわれることがあると思うんだ。「メタルとはこういう音であるべきだ、こういう外見であるべきだ」という考え方に対して、限られた考え方しか持てない人々がいる。メタルもロックも大好きではあるけれど、俺にはどちらも歩みを止めてしまっているように見えるんだ。どのバンドも同じような音を出して、新しいバンドも90年代のバンドと変わらない作品を作っている。そういう懐古主義に、ウンザリしているんだよ。俺は常に前進したい。俺は今でも最近の作品も聴くようにしている。メタルも聴くし、ハードコアも、ヒップホップ、ポップスも、R&Bも、ゴシックも、あらゆるものを聴いている。俺にとって素晴らしい音楽というのは、何であれ素晴らしく、それがメタルという箱に収まっている必要はない。箱から飛び出してしまっていても、それがクールであることは多々あるのさ。メタルというジャンルが、常に同じであって欲しいと思う一面もある。しかし一方で、無意識に、同じことには飽きてしまってジャンルの壁を押し広げようとする抵抗も存在しているんだ。面白いバランスの取り方だよね。俺たちのニュー・アルバムについて悪口を言ってたやつらも、結局ショウに来れば新曲に興奮してるってことだ。おそらく最も議論を呼んだ2曲は「イズ・ゼア・エニバディ・アウトゼア?」と「トリプル・ビーム」だろう。「トリプル・ビーム」はつまらないニュー・メタルで、「イズ・ゼア・エニバディ・アウトゼア?」は、商業的という言葉は使いたくないが、とてもキャッチーなメロディックな曲だからね。「イズ・ゼア・エニバディ・アウトゼア?」は、今年の1月まではプレイしていなかったんだ。どんな反応になるか、想像がつかなかったからね。ところがいざプレイしてみると、リアクションの凄まじいこと!「トリプル・ビーム」へのリアクションも、本当に凄かった。叩かれた曲ほど、ライヴでプレイするとリアクションが良いんだよ。不思議だよな。一方で、俺のお気に入りの曲に対する反応がイマイチだったり。本当に不思議なんだ。アルバムを出すたびに、こういう現象が起こる。ライヴでは、なぜか他の曲よりもリアクションがよくなる曲というのがあって、その理由ははっきりわからない。しかしこの2曲に対するリアクションというのは、嬉しい驚きというよりも、「ファック・ユー!」と言いたい感じのものだったね(笑)。

──マシーン・ヘッドはさまざまなバンドのカバーをやっていますよね。MetallicaやIron Maiden、PanteraからPoison Idea、Policeなどにいたるまでとても幅広いですが、カバーする曲を選ぶ基準はどういうものなのでしょう。


ロブ:随分とたくさんのメタルのカバーをやったね。Rushの「Witch Hunt」もやったな。あれはとても意外な選曲でクールだったと思う。いくつかの曲はトリビュート企画でやったんだよ。Kerrang!のメイデン・トリビュートとか、Metallicaのトリビュートもあった。その企画のためにレコーディングして、後から自分たちの作品に収録するんだ。ファースト・アルバムではPoison Ideaの「Alan's on Fire」をカバーしたし、セカンドではIce Tの「Colors」をやった。これはラップだよ。Dischargeの「Possibility of Life's Destruction」もやった。『Burning Red』ではBad Brainsをカバーした。基本的にパンクのカバーをするのが好きなんだよ。簡単だしマシーン・ヘッドのもうひとつの面を見せることができるからね。D.R.I.やMisfits、Bad Brains、Poison Idea、Dead Kennedys、G.B.H.、The Accüsedみたいなパンクというのは、マシーン・ヘッドにとても大きな影響を与えているんだ。Sick of It AllやCro-MagsのようなNYHCからも大きな影響を受けている。Sick of It Allは特に好きなんだよ。自分たちのジャンルとは違うものにオマージュを捧げるというのはクールなことだよ。俺たちが聴いているのはメタルだけではないということも示せるし、俺たちのファンに、他のジャンルへも目を向けさせることができるからね。最後にやったカバーって何だろう。考えてみると最近カバーをやってないね。

──先日のライヴでは、Metallicaをプレイしていましたね。

ロブ:Iron Maidenの「Hallowed Be Thy Name」と、ヨーロッパ・ツアーの最後の日はMetallicaの「Creeping Death」をやったね。あれは良かったよ、今日はカバーをやってみるか?みたいな軽いノリでやったのだけど。

──日本公演では、何かカバーをする予定はありますか。

ロブ:どうだろう。その場の雰囲気次第だからね。日本で「Hallowed Be Thy Name」ってやったことあったっけ?思い出せないな。やったような気もする。後で調べてみるよ。takemyscars.comというファン・サイトがあるのだけど、ライヴをやるたびに、このサイトの管理人にセットリストを送ってるんだ。だからここにはマシーン・ヘッドの巨大なセットリスト・アーカイヴがあるよ。俺たちもいつもライヴ前にこのサイトを見て、以前そこでやった時とは違う曲をやるようにしてるんだよ(笑)。まあ、ここまでやるのはショウの準備としてはやりすぎなのかもしれないけど、オーディエンスが見たことのないものを届けたいと思ってるからさ。

──最後に、マシーン・ヘッドのライヴを心待ちにしている日本のファンへのメッセージをお願いします。

ロブ:日本に行くのが待ちきれないよ。日本が大好きだからね。日本は素晴らしいし、ファンはfucking crazyだし、ライヴで彼らが大暴れするのを見るのは最高だよ。俺にとって、日本に行くというのは夢が現実になるということだ。これは前回も言ったと思う。毎回言ってるからね。だけど俺は子どもの頃、宇宙戦艦ヤマトやマクロス、ウルトラマン、ゴジラとかにめちゃくちゃハマっていて、8歳から16歳の頃、とにかく日本に行くのが夢だったんだ。日本人街に行って、マクロスやウルトラマンの本を買っていた。日本語だからまったく意味がわからなかったけど、写真を見て楽しんでいたんだ。だから日本に行くたびに、子どもの頃に戻った気分になれる。毎回自分の夢が叶って幸運だと感じるよ。これまでに日本にはもう15回くらい行ったけど、毎回がスペシャルで、決してそれが当たり前のことにはなっていないんだ。待ちきれないよ。


取材・文:川嶋未来
Photo by Albert Tatlock


<Catharsis World Tour in Japan 2018>

7月2日(月) 東京 TSUTAYA O-EAST
7月3日(火) 大阪 Umeda TRAD
7月5日(木) 広島 Hiroshima CLUB QUATTRO
7月6日(金) 名古屋 Electric Lady Land
7月8日(日) 福岡 DRUM Be-1
チケット:http://smash-jpn.com/live/?id=2855

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◆マシーン・ヘッド『カタルシス』レーベルサイト
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