【インタビュー】シンセイナム「音楽にすべてを語らせたい」

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シンセイナムが8月10日にセカンド・アルバム『リパルション・フォー・ヒューマニティ』をリリースする。

◆シンセイナム映像&画像

ドラゴンフォース/元スリップノット/メイヘムといったバンドのメンバーが集結したシンセイナムは、9月のヨーロッパ・ツアーで、ステージ・デビューも果たし、さらに11月にはここ日本にもやってくる予定となっている。フレデリクはドラゴンフォースのときとは違った一面を見せるのか?久々にジョーイ・ジョーディソンの激しいドラミングを体験できるのも楽しみだ。

バンドの中心人物であるフレデリクに、話を聞いてみた。


──セカンド・アルバム『リパルション・フォー・ヒューマニティ』がリリースになりますが、デビュー作『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』(2016年)や昨年の『アッシュズ』EPと比べて、どのような内容なのでしょう。

フレデリク:今回のアルバムには『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』『アッシュズ』両方の要素が入っていると思う。1990年代のデス・メタルのヴァイブ、複雑なリフ、クレイジーなソロ…守備範囲を広げた部分もあるよ。「ファイナル・リゾルヴ」「スウォーン・トゥ・ヘル」「セイクリッド・マーター」のようなミッド・テンポの曲も増えたし、タイトル曲や「ライズ・オブ・ザ・ライト・ベアラー」「ニュイ・ノアール」などは速くて怒りに満ちている。「アイ・スタンド・アローン」や「マニフェステイション・オブ・イグノーランス」や「フォーセイクン」なんかは冒険的なスローな曲だしね。「フォーセイクン」は、オーケストレイテッドされていて、ある意味『エコーズ・オブ・ザ・トーチャード』のコンセプトの集大成的な部分がある。ストーリー・テリング的というかね。

──今回は、ジョーイ・ジョーディソンがフランスに来てレコーディングしたんですよね?

フレッド:そうなんだよ。ジョーイと話して、彼がフランスに来てレコーディングするのがベストだという結論になった。そうすれば、色々と意見を交換しながら作業できるからね。これまではインターネットを通じたファイル交換だったから、ファイルを送ってしまうとその後の変更というのはなかなか簡単にできなかった。顔を見て、同じ部屋でいろいろと試してみる方が良いと思ったのさ。それでジョーイとステファン(ビュリエ)と俺で家を借りて、一緒に曲を覚えて、アイデアを出し合って、これはいいね、これはボツ、みたいな感じでやったんだ。

──今回のアルバムには、アッティラはどの程度参加をしているのでしょう。

フレッド:『アッシュズ』のレコーディングを始めたときに、彼はパリに来たんだ。それでニュー・アルバムやツアーについてのプランを話し合ったのだけど、アッティラはMayhem、SUNN O)))、Tormentorなどでとても忙しいので、コミットできないというんだ。で「バンドを抜けるということ?」と聞いてみたら「いやいや、そんなつもりはまったくない」と。もちろん多少時間はとれるかもしれない、ただ全面的にコミットできるかは約束できないので、とりあえず俺のことはあてにしないでくれということなんだ。俺たちとしてもアッティラが必要だから、とりあえず今回のアルバムとツアーには不参加ということで合意した。なので曲も、アッティラが歌うことは想定せずに書き進めた。結局彼も少し時間をとれたようで、歌詞を3曲と、バッキング・ヴォーカルも3曲という形で参加してくれたけどね。ツアーについても、今のところ彼は参加しないということになっているけれど、昨日話したところだと、何回かのショウには参加できるかもしれない。というわけで、アッティラは、もちろんまだシンセイナムのメンバーだよ。

──アルバムのタイトル“人間への嫌悪”というのはどのような意味が込められているのでしょう。


フレデリク:まさにタイトルそのままだよ。俺はますます人が嫌いになってきてるんだ。実を言うと、俺はミュージシャンとしての人生を送るにあたって、ずっと自分自身に問いかけ続けているんだ。ミュージシャンとしてやっていくには、人々に祝福される必要があるわけだけど、そこには二面性があるわけさ。俺はライヴをやってファンと交流をしたりするのは大好きだ。俺はとても社交的な人間だからね。だけど一方で、今の社会…スノーフレイクスとか、何でもジャッジしようとしたり、ポリティカリー・コレクト(ポリティカル・コレクトネス)がどうのとか、そういう下らないことにこだわるやつらにウンザリしている自分もいる。自分でもよくわからないんだよ。自分の二面性にとらわれてしまっている感じで。まあとにかくタイトルは、憎しみと怒りについてさ。

──先ほど「スノーフレイク」という表現を使われていましたが。

フレッド:とにかくあらゆることに気分を害する新世代のやつらのことだよ。すべてのことにポリティカリー・コレクトであることを求め、「あれを言ってはだめ、これを言ってはだめ」みたいなさ。あまりに簡単に気分を害するというのが、新世代のやつらの気に入らない点のひとつさ。別に俺にとって実害があるわけではないのだけどね。「何でそんなことを言うんだ?何でそんなことを信じるんだ?」って。もちろんこういう奴らが世の中のマジョリティではないのだろうけど、こういう新世代のやつらは、俺にとってはとても奇妙なんだよね。俺も君と同じように古い世代だからさ。

──一方で、タイトル曲を除くと、他の曲の歌詞はいつも通り、暴力的でイーヴルなものですよね。例えば「ファイナル・リゾルヴ」は何について歌っているのでしょう。

フレッド:この曲の歌詞は、ジョーイとショーンと一緒に書いたんだ。歌詞は、俺の案をもとに完成されたのだけど、まあ正直言って、あんまり深い意味はない。いつもたいてい歌詞の案を書いて、「何の意味もないな。何かもうちょっと意味を持たせないと。でも語呂はいいな」なんていう調子なんだ。確かこれを書いたときは、何かテロ事件があったんだと思う。ちょっと待って、歌詞を覚えていないので、間違ったことを言う前にチェックさせて。そうそう、これはもともと「クラッシュ」というタイトルだったんだよ。なんとなくこの歌詞のヴィジョンがあって、「敵を破壊しろ」みたいな怒りに満ちた内容だったのだけど、他の2人とは特に意味については話し合わなかったな…。何と言うか、方向性としては「Army of Chaos」みたいな「他のやつらに対峙して俺たちみんなで立ち上がる」というようなアンセムみたいな感じの曲だよ。

──「マイ・スワン・ソング」も面白い内容ですよね。


フレッド:この曲の歌詞は、ハイモットが書いたんだ。だから細かいところはわからないけど、ハイモットが書いたものに一切手を加えずそのまま使ったんだ。これはとても詩的な内容だよね。まあ俺たちはフランス人だからさ。俺の解釈としては、これは自殺についてで、それを詩的に「スワン・ソング」として表しているのだと思う。この曲は、歌詞が先にあったんだよ。だからこれを読んで、曲をつけたんだ。この曲は、アルバムの中で一番ブラック・メタル的だろう?非常に歌詞に合っていると思うよ。

──この曲は長くて構成も面白いですよね。ブレイクがあって。

フレッド:これは最後に書いた曲なんだよ。その時点ですでに十分に曲数はあったのだけど、まだアルバムにするには何かが足りないと感じていたんだ。それでDarkthroneのような、同じリフがしつこく繰り返されるような曲が欲しいと思った。テクニカルではないスタイルの。さっきも言ったとおり、今回のアルバムでは「デス・メタルというのはこうではなくてはいけない」というような、1つのフォーマットに捕らわれるのではなく、さまざまなスタイルの曲を入れたかったからね。非常にブラック・メタルで、同じリフが続いて、ブラストビートのパートは寒々しいものになった。曲の初めと途中のブレイクに風の音が入ってるだろう?あれは実は曲中ずっと鳴っているんだよ。このアイデアはファースト・アルバムのときもやりたかったんだ。これはMorbid Angelの「Abominations」(『Blessed Are the Sick』収録)から得たアイデアさ。あの曲は、最初と最後に風の音が入ってるよね。こういう寒々しくて、風がずっと吹いているというような曲をやりたいと思っていたんだ。結果、歌詞にもぴったりの曲に仕上がったと思う。

──ラストを飾る「フォーセイクン」は、壮大でラヴクラフトっぽい世界観を持っていますね。


フレッド:そうだね。これは地獄のケイオティックな風景だよ。これはアッティラと一緒に書いたんだ。やりとりしてね。仮タイトルは「ヘル」だった。孤独に暮らしているやつがいて、「ここが俺が家と呼ぶところ、俺が一人で住むところ、しかし決して一人ぼっちではない」なんてつぶやいていて、まわりに悪魔たちが飛び回っているイメージだから、ラヴクラフトだね。恐ろしくて別次元の世界が出て来るようなやつ。見捨てられたやつが、別の次元に住むことを強要されて、太陽を、クソのような世界を呪っているんだ。この曲はとても長くてエピックで、オーケストレーションが施されていて、曲の最後には長いギター・ソロが入っている。これはアルバムの最後に、中指を立てているような感じなんだ。アルバムは長い不気味でヴァイオレントで不快な音楽が続いて、だけど最後に突然心地よいソロが展開される。ほっとするというか、グッドバイみたいな感じでね。これでお話はおしまい、ということだよ。

──アルバム・ジャケットは何を表現しているのですか。

フレッド:人が笑っているところさ。最初、アートワークのイメージはあったのだけど、誰に頼むか迷っていたんだ。そしたらジョーイがトラヴィス・スミスが良いんじゃないかって。それで彼のアートワークはNevermoreやDeathで良く知っていたから、ぜひ彼に頼もうということになった。とにかく非常に俺たちらしいアートワークが欲しかったんだよ。典型的な、シンメトリカルな顔などではないものが良かった。で、トラヴィスにメールを送る前に、彼のウェブサイトを見ていたら、イーヴルな笑い顔のサムネイルがあって、まさにこれこそ俺が求めていたものだと思ったんだ。それで「このアートワークを使わせてくれないか?」って彼に伝えて、プロジェクトが始まったのさ。この顔は、まさに人間への嫌悪を表して、何かとても悪いことが起ころうとしている前兆としての笑いなのさ。アルバムの始まりかたも、そんな感じだろう?それ以外のパートも、他の曲の歌詞に基づいている。トラヴィスが歌詞を読んで、解釈したものが描かれている。俺がトラヴィスに伝えたのはイーヴルな笑い顔ということだけで、あとは彼自身の解釈だよ。「アイ・スタンド・アローン」の連続殺人鬼の被害者の頭とか、「インセクツ」からインスパイアされた蜘蛛とか、どれも曲の歌詞に関係しているものさ。

──シンセイナムの初ツアーが決定していますが、一緒にツアーするバンドなどは決まっているのでしょうか。

フレッド:まだバンドを探しているところなんだ。候補がいたのだけど条件が合わなくてね。東京では君たちと一緒にやることが決まっているけど、ヨーロッパの方はまだなんだ。

──ステージセットなども考えているのですか。

フレッド:音楽がそうシアトリカルなわけではないからね。アッティラもいないし。バックドロップなどは用意するつもりだけど、逆十字とか火なんかはやらないよ。今回のアルバムでは音楽も激しいし、音楽にすべてを語らせたいと思っている。メンバー全員プロフェッショナルなミュージシャンだからね。

──では最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

フレッド:シンセイナムや俺がやっている音楽をいつもサポートしてくれてありがとう。いつも同じことばっかり言っているけれど、日本は一番お気に入りの国さ。シンセイナムで日本に行ってプレイするのを、とても楽しみにしているよ。日本盤には特別にボーナストラック「シンビオシス」を入れたのだけど、気に入ってくれるとうれしいな。日本に行くまでは、Twitterで頑張って日本語でメッセ―ジを送るよ。俺の日本語はいまだに「ウンチ」であることはみんな知ってると思うけど(笑)。

取材・文:川嶋未来
写真:Anthony Dubois


<シンセイナム 1夜限定 初来日公演(スペシャル・ゲスト:Sigh)>
2018年11月6日(火)
@渋谷クラブクアトロ
開場:18:00 / 開演19:00
チケット:スタンディング:7,500円(税込)※ドリンク代別途
http://smash-jpn.com/live/?id=2939



シンセイナム『リパルション・フォー・ヒューマニティ』

2018年8月10日 世界同時発売予定
【CD】 ¥2,500+税
※日本盤限定ボーナストラック収録/日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.リパルション・フォー・ヒューマニティ
2.ファイナル・リゾルヴ
3.スウォーン・トゥ・ヘル
4.アイ・スタンド・アローン
5.ライズ・オブ・ザ・ライト・ベアラー
6.マニフェステイション・オブ・イグノーランス
7.セイクリッド・マーター
8.マイ・スワン・ソング
9.ニュイ・ノアール
10.インセクツ
11.フォーセイクン
12.シンバイオシス(日本版限定ボーナストラック)

【メンバー】
フレデリク・ルクレール [ドラゴンフォース](ギター/ベース/シンセサイザー)
ジョーイ・ジョーディソン [ヴィミック/元スリップノット](ドラムス)
ショーン・Z [ドス/キマイラ](ヴォーカル)
ステファン・ビュリエ [ラウドブラスト](ギター)
ハイモット [セト](ベース)
アッティラ・チハー [メイヘム](ヴォーカル)

◆シンセイナム・レーベルサイト
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