【ライブレポート】Official髭男dism、グッドミュージックで湧かせた過去最大規模の饗宴

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これが旬のバンドの勢いというものか。7月5日に中野サンプラザで行われた<Official髭男dism one-man tour 2018>のファイナル公演は、バンド史上最大規模の会場に2200人のオーディエンスが大集結。高い音楽性と娯楽性を両立させた、エンタテイメント性たっぷりのマジカルなショータイムが繰り広げられた。

◆Official髭男dism ライブ写真

レディース&ジェントルメン! ショーの始まりを告げるのはどこかで聞いた声、そう、ドラマ『コンフィデンスマンJP』で五十嵐役を演じた小手信也のナレーションだ。間髪入れず暗転、SE、そして階段状のセットの上にスポットライトを浴びて颯爽と登場する4人。否が応にも盛り上がらざるを得ないオープニングから、『コンフィデンスマンJP』主題歌になったメジャーデビューヒット「ノーダウト」へ。前菜を飛ばしていきなりメインディッシュから始めるような、出し惜しみ無しのスタートダッシュ。気合も期待も満点の立ち上がりだ。

ベース楢崎誠とギター小笹大輔は三つ揃いスーツ、ピアノ&ボーカル藤原聡とドラムス松浦匡希はチョッキ姿でばっちり正装。しかし早くも2曲目「Second LINE」で藤原はボウタイを外して放り投げ、熱唱モードへ突入。“踊る準備は出来てるか!”と叫びながら「Tell Me Baby」へ。え、もうミラーボール回しちゃう? キラキラしたムードを身にまとう、軽やかにステップを踏むファンクチューンだがギターとベースの音はぐっとへヴィなロック調、そしてメロディはとことんポップ。ヒゲダンの特徴であるブラックミュージック、ロック、ポップスの塩梅が絶妙さは、ライブを観ると実によく体感できる。


「ツアーファイナルへようこそ。心を込めて全身全霊でグッドミュージックを届けていきます」

藤原の声も興奮で弾んでいる。手拍子、ステップ、ワイパー、全身でオーディエンスに要求しながら「恋の前ならえ」「Driver」「ブラザーズ」と、スピードチューンを連ねてぐんぐん飛ばす。「ブラザーズ」のように古典的なロックンロールのリズムを使いながらも、ブルーノ・マーズばりのファンキーなダンスチューンに仕上げるセンスに惚れ惚れする。ハンドマイクを持って走り回りながら、素晴らしいハイトーンも繊細なファルセットも自在に操る藤原のパフォーマンスに舌を巻く。巧い、そして強い。

そんな藤原のボーカル力が遺憾なく発揮されたのが、「LADY」「相思相愛」のドラマチックバラード二連発だ。原曲にはないフィンガークラップのビートが心地よく、よりディープなソウルバラードに深化した「LADY」と、あまりにも切ない歌詞にエモい歌、ラストシーンでステージいっぱいに光があふれ出す演出にぐっと来た「相思相愛」。「たかがアイラブユー」はアップチューンだが、切なさと希望との間を揺れ動くラブソングの流れにぴたりとハマる。ヒゲダンのライブは歌詞がくっきり聴こえる、それは当たり前のようでいて当り前じゃない、音と言葉へのこだわりが生んだベストなリスニング環境だ。

「ヒゲダン史上最大の会場に、たくさんの人が来てくれてうれしいです。みなさんの人生に寄り添う歌を歌っていきたいという思いを、あらためて強くしました。

曲は「115万キロのフィルム」。ニューアルバム『エスカパレード』の1曲目を飾るヒゲンダン流ピアノポップの代表曲にして、一生かけての愛を誓うスケールの大きなラブソング。冒頭とラストを飾る、ピアノと歌だけの弾き語り風のパートではたっぷりとメロディをためたり伸ばしたり、それに合わせてオーディエンスの体がゆらりと揺れる。広い会場がまるで路上ライブのように親密で空間に変わる。これぞヒゲダンマジック。

「夢のような景色です。うしろも2階も全部見えてます。みんなの歌声を聴かせてください」

ドラムス松浦の「中野、サイコーです!」という渾身の叫びから始まった「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」は、犬派の僕と猫派の君の永遠に終わらないロマンチック・ラブストーリー。2200人の“ずっとこのままでいようよ”の大合唱が素晴らしい。




おもむろに藤原がマイクをつかんで階段を駆け上がり、ハッピーなディスコポップ「ESCAPARADE」からはいよいよライブ終盤のノンストップ・ダンスタイムだ。ぐるぐる回るミラーボール、虹色ライト、きらめく髭マークの電飾をバックに、爽快ロックチューン「コーヒーとシロップ」、痛快ディスコチューン「SWEET TWEET」へ。ベース楢崎が笑顔満面でステージ中央に踊り出る。負けじとギター小笹が飛び出してハードロックばりの野太いディストーションギターを響かせる。ラストチューン「発明家」を歌う前、“この曲が、みなさん明日からの人生に寄り添いますように”と言ったあと藤原が思わず口走った“届け!!”という言葉が忘れられない。銀テープが高々と舞い、すべての灯がつけられた場内にあるのは幸せな笑顔と音楽だけだ。

アンコール。楢崎がサックスを、松浦がカホーンを、小笹がシェイカーを振るアコースティック・チューン「夕暮れ沿い」は、ジャジィな味わいが心地よい小粋なポップス。メンバー全員が順番にリードボーカルを担当するが、溌溂としたハイトーン小笹、甘く震えるミドルの楢崎、ふくよかなローを響かせる松浦と、全員が個性的な声を持っているのは発見だった。道理でコーラスが巧いわけだ。ヒゲダンにはまだまだ、表に出しきれていないポテンシャルがきっとある。

やり足りない曲がたくさんあるのでぜひリクエストを。藤原が呼びかけると、会場内が騒然とするほどあちこちから曲名が飛んでくる。その中から「始まりの朝」「愛なんだが...」「恋の去り際」の3曲を選び、サビのおいしいところをさらりと歌ってみせる藤原。ステージと客席の距離がまたグッと近くなった。一気にラストスパートをかけ、軽快なソウル・ポップチューン「What’s Going On?」から「異端なスター」へ。誰も呼び掛けてはいないのに、すべてのオーディエンスが左右にステップを踏んで揺れながらクラップしている、それはまるで教会で聴くゴスペルのように、幸せなヴァイヴスに満ち溢れた美しいフィナーレだった。

「ヒゲダン、サイコー!」

最後はまさかの小手信也が生登場でご挨拶、藤原が「いたのか五十嵐!」と叫ぶのはお約束。最後の最後まで全力で駆け抜けた2時間18曲は、「ノーダウト」1曲でヒゲダンを知った人をすべて引き連れて新しい音楽の旅へと誘う、始まりの舞台だった。新曲「バッドフォーミー」は、テレビ大阪・BSジャパンなどで7月14日から始まるドラマ『グッド・バイ』主題歌。10月にはメジャー2作目のニューシングル(タイトル未定)、11月からは全国ツアー、来年1月24日にはNHKホール公演も決まった。髭の似合う年になってもワクワクしながら音楽を楽しむ、Official髭男dismと共に歩む旅はまだ始まったばかりだ。

取材・文◎宮本英夫
撮影:TAKAHIRO TAKINAMI、椋尾詩



■セットリスト<Official髭男dism one-man tour 2018>ツアーファイナル

2018年7月5日 中野サンプラザ
1.ノーダウト
2.Second LINE
3.Tell Me Baby
4.恋の前ならえ
5.Driver
6.ブラザーズ
7.LADY
8.相思相愛
9.たかがアイラブユー
10.115万キロのフィルム
11.犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
12.ESCAPARADE
13.コーヒーとシロップ
14.SWEET TWEET
15.発明家
EN1.夕暮れ沿い
EN2.What’s Going On?
EN3.異端なスター

<Official髭男dism one-man tour 18/19>

【2018年】
11月07日(水)[神奈川]横浜Bay Hall
11月10日(土)[北海道]札幌cube garden
11月17日(土)[香川]高松DIME
11月18日(日)[愛媛]松山サロンキティ
11月22日(木)[島根]松江AZTiC canova
11月24日(土)[鳥取]米子AZTiC laughs
11月25日(日)[広島]広島CLUB QUATTRO
11月28日(水)[埼玉]HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
12月01日(土)[宮城]チームスマイル・仙台PIT (●)
12月02日(日)[福島]郡山CLUB #9
12月09日(日)[茨城]水戸ライトハウス
12月15日(土)[新潟]新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
12月16日(日)[長野]長野CLUB JUNK BOX

【2019年】
1月11日(金)[大阪]NHK大阪ホール (●)
1月12日(土)[鳥取]米子市文化ホール (●)
1月18日(金)[静岡]Live House 浜松 窓枠
1月19日(土)[愛知]日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール (●)
1月24日(木)[東京]NHKホール (●)
1月26日(土)[福岡]福岡DRUM LOGOS
1月27日(日)[鹿児島]鹿児島SR HALL
2月02日(土)[島根]島根県民会館 大ホール (●)
(●):指定席公演

■チケット料金
スタンディング:¥4,300(税込) ※入場整理番号付き
指定席:¥5,400(税込)
指定親子席:大人¥5,400(税込)・こども¥2,700(税込)

真夜中ドラマJ『グッド・バイ』

2018年スタート
テレビ大阪  毎週土曜 24:56~25:26
BSジャパン 毎週土曜 24:00~24:30
<出演>    大野拓朗 夏帆 奥菜恵他
<原案/原作> 原案:太宰治 原作:羽生生純(実業之日本社刊/リュエルコミックス)
<監督>    Yuki Saito スミス 安食大輔
<脚本>    舘そらみ
<企画・プロデュース>森川健一
<プロデューサー>岡本宏毅(テレビ大阪)宮川宗生(ホリプロ)
<チーフプロデューサー>徳岡敦朗(テレビ大阪)津嶋敬介(ホリプロ)
<話数>    30分×12本
<制作>    テレビ大阪 ホリプロ
<製作著作>  ドラマ「グッド・バイ」製作委員会
<番組HP>http://www.tv-osaka.co.jp/good-bye/

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