「VOCALOID」がバージョンアップ、4人の日英ボイスバンクを同梱、大量プリセットでカンタンに歌声が制作できる「VOCALOID5」発売

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「VOCALOID」が4年ぶりにバージョンアップ。カンタンに歌声が制作できる大量のプリセットや、多数の新機能を搭載した「VOCALOID5」が登場。「VOCALOID5 STANDARD」と「VOCALOID5 PREMIUM」、2種のラインナップで、7月12日よりダウンロード販売がスタートした。

バーチャルシンガーによる新しい音楽として高い人気を誇る「VOCALOID」楽曲。「VOCALOID5」は、さらに多くのクリエイターにバーチャルシンガーによる音楽を取り入れてほしいという思いから、制作フローを大幅に刷新。さらなる機能強化が行われた。

これまでのVOCALOIDでは、歌詞とメロディをゼロから創作するという、初心者にはハードルが高い作業が必要だった。それに対してVOCALOID5では、2000個以上のプリセットフレーズやオーディオをドラッグ&ドロップするだけで歌のベースが出来上がる新しい制作フローを採用。あらかじめ歌詞が入った調整済みのフレーズから、試聴して気に入ったものを選んで貼り付けるだけで歌声制作が行える。また、「Yo!」「Yeah!」といったオーディオ・サンプルも多数収録、楽曲にカンタンにアクセントを加えることができる。

▲用意されたプリセットからオーディオやフレーズを選択するだけで歌のベースが完成。

ユーザーが細かく調整する形式だった歌唱表現の調整も、わかりやすくビジュアル化されたアイコンを選択するだけで、よりすばやくダイレクトにクリエイターの感性を反映できるようになった。従来の歌詞やメロディを最初から入力していく方式や、歌唱表現のパラメーターを細かく調整する方式にも対応。ユーザーに合った好みのスタイルで歌声制作が行える。

好みの歌い方、声色に一発変換する新機能が「スタイル機能」。メインボーカル風、コーラス風、さらにロボット風まで100種以上のスタイルを用意。パラメーター調整でより細かくブラッシュアップすることも可能だ。


▲「スタイル機能」で約100種類の歌わせ方をカンタンに反映することができる。

歌唱表現の調整がよりカンタンに行える新機能も用意。「アタック&リリースエフェクト」は、自力では調整が難しかったビブラートなどの歌唱表現技法を、アイコンを選んで貼り付けるだけでカンタンに反映できる機能。「エモーションツール」では、歌い方の抑揚やスピード、音素の長さなどを波形を見ながらカンタンなマウス操作を行うだけで調整が可能だ。


▲「エモーションツール」が歌い方をビジュアル化。波形を見ながら調整できる。

声の張りと息の量をコントロールできる新しいパラメーターも3種用意。「Exciter」で声の張り具合を、「Air」で発音に混ぜる息の量を、そして「Breathiness」で発音に混ぜる息の量と母音の音色を調節することが可能に。合計13種類のパラメーターでよりリアルな自分好みの歌声に仕上げることが可能。さらにボーカルトラックに効果的な11種類の実用的なオーディオエフェクトも同梱される。

また今回は、国境やジャンルを超えた表現をさらにサポートするために、編集ソフトに加えて、日英×男女のボイスバンク(人間の声を元に生成した声のデータベース。これまでの歌声ライブラリに相当)を同梱。「VOCALOID5 STANDARD」は4種、「VOCALOID5 PREMIUM」は8種のボイスバンクを収録する。

▲イラストはSTANDARD、PREMIUMの両方に収録されるボイスバンク。左からAmy、Chris、Kaori、Ken。PREMIUMにはさらに4種が追加される(右)。

<VOCALOID5 STANDARD / PREMIUMに収録されるボイスバンク>
●Amy (エイミー):ドライブした現代的歌声の英語女性ボイスバンク。ナチュラルな発音と多様な声色が魅力で、R&B からPops にマッチ。
●Chris (クリス):オーセンティックなR&B 英語男性ボイスバンク。甘く柔らかな低域から伸びのあるパワフルなハイトーン・ボイスまで広い音域を歌いこなす。
●Kaori (カオリ):ソウルフルな歌声の日本語女性ボイスバンク。伸びのある歌声でパワフルなジャンルに最適。
●Ken (ケン):シャープで透き通った日本語男性ボイスバンク。軽やかな歌声でJ-POP を歌いこなす。

「VOCALOID5 PREMIUM」には上記のほか、日本語女性ボイスバンクの「VY1」、日本語男性ボイスバンクの「VY2」、英語男性ボイスバンク「CYBER SONGMAN II」、英語女性ボイスバンク「CYBER DIVA II」が付属する。

オーディオエフェクトやVST、AU、MIDIキーボードによるリアルタイムレコーディングに対応したのも大きなトピック。WindowsだけでなくMacにも対応するなど、外部連携機能の強化も行われた。また、「VOCALOID3」「VOCALOID4」の歌声ライブラリをボイスバンクとして仕様することも可能だ。

特典として、DAWソフト「Cubase」に「VOCALOID」の機能を組み込める「VOCALOID4.5 Editor for Cubase」が付属する。このソフトは、「VOCALOID4 Editor for Cubase」のGUIおよび操作性はそのままで、「VOCALOID5」のボイスバンクを使用できるというもの。編集機能は「VOCALOID4」相当で、「VOCALOID5」のすべてのボイスバンクが利用できるが、「VOCALOID5」より追加された機能は利用できない。また、今後リリースされる新OS、新Cubase 環境はサポート対象外となっている。

従来バージョンのユーザー向けの商品もラインナップ。「VOCALOID3 Editor(SE)」「VOCALOID4 Editor」「VOCALOID Editor for Cubase(NEO)」「VOCALOID4 Editor for Cubase」の購入者を対象としたお得な「VOCALOID5 バージョンアップグレード版」が用意される。


製品情報

◆VOCALOID5 STANDARD
価格:25,000円(税別)
◆VOCALOID5 PREMIUM
価格:40,000円(税別)
◆VOCALOID5 STANDARD バージョンアップグレード版
価格:15,000円(税別)
◆VOCALOID5 PREMIUM バージョンアップグレード版
価格:24,000円(税別)
発売日:2018年7月12日
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