【インタビュー】GOSPELS OF JUDAS、1st AL発表「氷室さんから受け取ったメッセージは、“音楽だけで、どこまで物語を作ることができるか”」

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■ 音楽だけで、どこまで物語を作ることができるか

──氷室さんが楽曲を手掛けた「Keep the faith」直後のシングル「Lips」(2008年/ドラマ『1ポンドの福音』主題歌)は、YTさんの作曲なんですよね。かなりのハードロックです。

Jun Inoue:ベースがビリー・シーン、ドラムがサイモン・フィリップスというシンセなしのトリオサウンドですしね。KAT-TUNにはワイルドさが求められていたんですけど、ハードロックというジャンルよりも、YTには「とにかくギターを激しく弾いてくれ」ということをお願いしました。

──“YTがギターを激しく弾く=ワイルド”だから。

Jun Inoue:まさにそうです。ガシガシに思いっきり弾く曲を作ってくれと。YTにはテンポだけを伝えてたんですよ。

YT:テンポがとにかく速かったので、まずツーバスがドコドコする感じをイメージして。ギターはやっぱりリフから。そこからつながっていくコード進行を作っていった感じですね。

──それから約2年後のアルバム『“B”ORDERLESS』(2010年発表)から、氷室さんの作品に関わることになったわけですが。

YT:どうしてそうなったのか、未だにわからないんですけど(笑)、本当に何の前触れもなく、突然氷室さんからメール連絡をいただいたんです。「今、アルバムを作ってるんだけど、アレンジをやってくれない?」と。後日、氷室さんのところでミーティングがあって、「3曲デモを渡すから、アレンジしてみて」というお話をいただいてすぐに1曲(「忘れてゆくには美し過ぎる…」)を仕上げて。それを氷室さんに送ったら「カッコいいじゃん!」って。その返信を見てもうガクーンとなりましたね。どういう答えが返ってくるかドキドキでしたから(笑)。

──緊張から解放されて一気に安堵の脱力が(笑)。結果、『“B”ORDERLESS』にはYTさんによるアレンジが6曲収録されています。

YT:残りの2曲のアレンジも気に入ってくださって、他の曲も依頼していただいた感じですね。氷室さんのデモは、エレキギターと仮歌だけのラフな状態なんですけど、氷室さんのテンポ感は凄いんです。そのテンポを活かして、ミーティングのときに話していただいたキーワードをもとにアレンジしていくというやりとりでした。

▲YT

──どの曲もギターフレーズが印象的で、氷室さんのそれまでの作風とはまた一味異なるものがありました。よりアグレッシヴでよりロックなアレンジも多くて。

YT:ギターアレンジに関しては、氷室さんのデモ音源のギターを一度ばらして、自分なりのギターリフに構築していったんです。「ロックにしたい」っていうことは氷室さん自身も言ってましたし、それ以前に氷室さん自身がロックの人ですから。「こういう感じなんだ!って本田(毅)くんが驚いてたよ」って氷室さんが教えてくれて、それを聞いたときは本当に嬉しかったですね。

──以降、氷室さんの作品にアレンジやギタリストとして参加しているわけですが、2012年リリースの「WARRIORS」。この2曲目にGOSPELS OF JUDAS名義の「Play Within A Play」が収録されたほか、同時期に同名義で『龍が如く5 夢、叶えし者』オープニングテーマ曲「Bloody Moon」が発表されています。GOSPELS OF JUDASは、そもそもどういうプロジェクトとして発足したものですか?

YT:氷室さんがご自身のオフィシャルサイトに作品を発表する場所としてDiGiTRONiX(デジトロニクス)を作ったのが2012年で、GOSPELS OF JUDASはそのプロジェクトのひとつとして生まれたものです。

Jun Inoue:ほぼ同時に発足した別プロジェクトがGODBROTHERで、DiGiTRONiX第二弾として2012年に2曲(「LAIR〜世界中の哀しみ集めて〜」「RAIN」)を発表しました。“商業ベースではなく、音楽的な実験をする場”という発想のもとに生まれたプロジェクトで、氷室さんに声をかけていただいて僕も参加することになったんです。

──GOSPELS OF JUDASのアルバム『IF』にはGODBROTHERの「LIAR~世界中の哀しみ集めて」と「RAIN」が収録されていますが、2つのプロジェクトが集約されたカタチと言っていいのでしょうか?

Jun Inoue:GOSPELS OF JUDASは、氷室さんとYTとTesseyさんが進めていたプロジェクトで、今回YTから声をかけてもらって、GODBROTHERが融合したカタチですね。GODBROTHERは先ほどお話ししたようなDiGiTRONiXのテーマへのアンサーが楽曲作りの基本なんですが、デジタルな手法を用いた情熱のある楽曲に熱量を思いっきり乗せようというコンセプトがあります。

──『IF』を聴いて感じたことは、アルバム自体が映画的でサウンドトラック的なストーリーをイメージさせるというもので。もっと言えば、1曲1曲が映像的でもある。そもそもGOSPELS OF JUDASというプロジェクトのコンセプトにはどのようなものがあるのでしょうか?

YT:プロジェクト始動時から、曲を書くときのコンセプトは僕の中にはあったんです。楽曲「Bloody Moon」を書いたときのイメージがまさにそれで、“近未来的な世界観”。それは『IF』にもつながっていますし、プロデュースを彼にも務めてもらっているので、お互いにやりとりをしながら今回のアルバムを作っていった感じですね。

Jun Inoue:音楽が映像と結びついたりダンスと結びついたり、世の中にはいろいろな表現方法があると思うんです。だけど、僕たちが氷室さんから受け取ったメッセージは、“音楽だけで、どこまで物語を作ることができるか”。それを実験してみようということなので、「アルバム1枚を通した物語を作ろう」と最初にYTと話しましたね。アルバム制作のスタートはそこからです。

▲アルバム『IF』

──2012年のプロジェクト始動から現在までの集大成的な意味合いもあるアルバムなんでしょうか?

Jun Inoue:そうですね。2年分くらいの曲があるのかな。GOSPELS OF JUDASとGODBROTHERの既発曲や、YTが作った曲をパズルのように組み上げてアルバムにしようという。

YT:そうだね。その後、ピースをはめるように新しく曲を書き足したりしていった形ですね。

──既発曲の「Bloody Moon」と「Play Within A Play」といった2曲が、GOSPELS OF JUDASの音楽性を形作っていったところはあったのでしょうか?

YT:やっぱりその2曲がスタートですから。GOSPELS OF JUDAS用に曲を作るときは、それを念頭に置いていたので、同じ要素をアレンジで持たせるようには気をつけましたね。明らかに外れるものは入れないようにしていたというか。

──YTさんは2014年からソロ作品のリリースも積極的に行っていますが、その境界線はどういうところに?

YT:自分のソロ作品を作るときは、あまり世界観みたいなものは考えていなくて、“どちらかといえば、少し壊れたものにしたい”とかっていうくらいだから、なんでもありなんです。だけど、GOSPELS OF JUDASの楽曲にはもっと意識的なものがあります。

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