【インタビュー】Lenny code fiction、ポジティブで勇敢なメッセージをアッパーなサウンドに乗せた4thシングル「Make my story」

ツイート

全国各地で季節を問わず、邦楽の大型ロックフェスが開催されるようになった昨今、有名アーティストばかりでなく、新世代の若手ロックバンドの活躍も目覚ましい。そんな音楽シーンにあって、卓越した演奏とよく通る歌声、キャッチーなメロディを武器に活動しているのが4人組ロックバンドLenny code fictionだ。8月22日にリリースされる4thシングル「Make my story」は、リード曲がTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』のオープニング・テーマとなり、幅広いリスナーを獲得することが予想される。そんな彼らに、楽曲制作についての他、バンドマンとして生きていくことを“人生の正解”として選んだ理由について、メンバー全員に聞いた。

■こだわったのはサビの広がりです
■狭い空間で鳴っていて一気にサビで広がる


――2017年から、「VIVA LA ROCK」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」等、大型ロック・フェスへの出演も経験していますね。この1年を振り返ってみていかがですか。

片桐 航(Vo& Gt):今回、久しぶりのリリースになるんですけど、この1年間は色んなものを吸収したり、ライヴのやり方を変えていく時期でもありました。例えば、ステージで「ここはこう弾く」とか「ここはこう動く」とか、「こういう表情をしてこういう感じで歌えばいい」って思っていたものが、この1年で変化してきて、本能的にライヴを楽しむようにしようと思ったんです。去年のフェスのときは、決め込んでいたものが裏目に出ていたんですよね。

――裏目に出ていた、と言うと?

片桐:フェスに来るお客さんは色んなバンドのライヴをたくさん観ている人たちなので、その人たちから見ると硬かったというか、自分たちが本心でライヴを楽しんでいる感じが出せなかったと思っています。それが反省点になって、今年はまず自分たちがライヴを楽しんだ上で、お客さんに伝わるライヴにしようって考えた1年でした。

ソラ(Gt):リリースの間隔が開いたので、自分の性格上、不安になってしまうんですよ。シングルを3枚しか出していない状況で、「飽きられるんじゃないか?」「忘れられるんじゃないか?」とすごく不安で。だから逆に、何かをすることに積極的になってストイックになれた。ギターを見つめ直す時間も多くなりましたし、音楽だけじゃなくて映画や小説をどんどんインプットして音楽に還元するっていう時間がすごく多くなりました。自分をブラッシュアップする良い機会になりました。

――そういう不安な気持ちになったときって、メンバーに話すんですか?

ソラ:いや、まったく(笑)。お互いに干渉しなくなったんですよね。以前は、「お前はこういうキャラクターだから、それはやらないでこうした方がいい」とか、コンセプトを決め込み過ぎちゃって、制約みたいなものがあったんです。でもそれを一回取っ払おうってなってからは、あんまり干渉しなくなりました。今はそれより、「お前はどうしたいの?」っていうことを聞きたいし、それをサポートできるようになりたいっていう気持ちがあります。そういう意味で、人間的にも成長した1年間だったと思います。

kazu(Ba):ライヴもそうなんですけど、自分を見つめ直す期間だったと思います。1年間あったので、今作には入らなかった曲もメンバーでアレンジしてストックしていて。結構時間もあったので、そういう曲を作っていくにあたって、ちゃんと「この曲はこういうフレーズにしたら良いんじゃないか」とか、プレイスタイルを考え直す良い機会になったと思います。今までは「他のパートが出ているから俺は大人しくしていよう」と考えていたんですけど、今作は久々のレコーディングということもあって、「やれるところまでやってやろう」と詰め込みました。ライヴも見直す機会ではあったんですけど、制作に関しても、ベーシストとしてのプレイスタイルとしても見直す良い機会でしたね。

――ベーシストとして、これまで自分になかったものも取り入れたりしているんですか?

kazu:今まで触れてこなかったところに触れてみようかなって。最近アップライトベースを買ったんですよ。家で趣味程度に弾いている段階なんですけど。いつかそれをライヴで使いたいとは思っているんですが、なかなか勝手が違うので苦戦しています(笑)。

KANDAI(Dr):ライヴにおいては、各々がどれだけ自由にやれるかということが重要だと気づきました。ただ、僕はライヴ中にPCも触るので、ちょっとしたことが気になるんですよ。キーを押すタイミングやPCの不具合なんかが、結構メンタルにくるんです。自由な分、そっちに冷静さが向かなくなるのも困るので、そういう精神的な面をいかに強くするのかっていうのも考えました。

――ライヴ中にPCを操作するというのは、マニピュレーター的な立場っていうことですか。

KANDAI:いや、そこまではいかないですけど、僕がキーを押して曲を変えるタイミングを全部操作しているんです。それとこの1年は、スポーツをしたり料理をしてみたり、音楽とは関係ないところに挑戦してみました。特に、去年の夏フェスで屋外で演奏する体力がないと感じたので、今年はそこに向けてなるべくスポーツをやるようにしていました。あと、僕らは曲をPCで作っているので、PCのドラムの音がどうしたら良くなるかを研究した1年でもありましたね。


▲「Make my story」通常盤(CD)


▲「Make my story」期間生産限定盤(CD+DVD)

――今作もサウンドプロデューサーにデビュー当時から携わっているakkinさんが参加していますが、リード曲「Make my story」は制作にあたってどんな話をしたのでしょうか。

片桐:サビが結構広がりがあるので、その他の部分でバンド感を前面に出そうと思いました。デモ段階で、AメロBメロを強いリズムで持って行きたかった。その上で、サビの広がりがあと一歩足りないと感じて、コーラスの重ね方を2声でいくのか3声で行くのかをakkinさんと相談して3声で自分が重ねました。メロディラインもほんのちょっと変えてみたりとか。とにかくこだわったのは、サビの広がりですね。そこに行くまでに、狭い空間で鳴っている感じにして、一気にサビで広がるということを意識していました。

――「Make my story」はTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』のオープニングテーマになっていますが、こういうタイアップって、作品のイメージありきで曲を書いているんですか?

片桐:今回はもともとアニメを知っていて、それに合うような曲を何曲か出してみたんですけど、ぴったり合うのがなくて、大急ぎで新曲を作りました。

――じゃあ、「Make my story」は本当の最新曲?

片桐:そうですね、本当にこのシングルのために書いた最新曲です。

――この曲に関して言うと、全員すごく手数が多いなって思うんですけど。

一同:ははははは(笑)。


▲片桐 航

――さきほど、kazuさんが「すごく詰め込んだ」っておっしゃいましたけど、。前半の“Follow my way~”って歌うところは、ベースが弾きまくっていますね。アレンジでぶつかったりしないんですか。

kazu:デモ段階で各パートが自分のフレーズを作ってそのデータを全員に送るんですけど、その段階で何も言われなかったら、たぶん大丈夫だろうなって(笑)。けど僕はこの曲のアレンジについては今までの曲の中で一番考えたんじゃないかな。今までのシングル曲は、他のパートに任せて自分のベースは土台でいいっていうスタンスだったんです。今回は僕らのシングル曲の中でもゆったりめのテンポなんですけど、そういう曲でこれまで通りに弾いてしまうと、面白くなくなる。デモを聴いたときに、「この曲は自分が頑張らないといけない」と直感的に感じて、そこからが大変でした。今持っているすべてをつぎ込んだというか。どこまでやればカッコよくいやらしくなく、この曲に表情を付けられるかで悩みました。

KANDAI:kazuのベースを聴いた上で、確かにベースが引っ張った方がいいという意図が伝わったので。個人的にはいつもより手数を減らしているくらいです。

片桐:デビュー前は、デモ段階でメンバーにこうしてほしいっていうのを細かく言う時期もあったんですけど、最近は「Lenny code fictionらしさ」が全員わかってきていて、「ここはあいつが弾きそうやな」とか、「このフレーズはたぶんソラが気に入らんやろうな」とか、「このイントロやったら、たぶん弾いてくれるやろな」とか。そういう色んなことがお互いにわかってきて、言わなくてもいける。だからみんな自由にできるんだろうなっていう感じはあります。

ソラ:アニメ作品の主題歌っていうことに関しては、航がうまく形にしてくれたと思うので、僕のやるべきことは、それをいかにLenny code fictionに落とし込むかっていうことでした。そう考えたときに、僕の個性だと思っているメロディアスなギターを詰め込みたかったんです。

――音色はとてもドライで、あまりエフェクトで膨らませていない印象ですね。

ソラ:そこがロックバンドの醍醐味だなと思っているので。生音でどれだけ勝負できるかっていう。

kazu:あえて、全パートをヴィンテージライトな音にしています。僕も普段はジャズベースしか使わないんですけど、プレシジョンベースを使って“いなたい音”にしています。ちょっと時代を遡った音作りをしている感じですね。


▲kazu

――そういう音作りに関しては、バンドとしての変遷がありますか。

ソラ:かなりありますね。

kazu:デビュー当時は、音圧が高めのパワフルなパンチのある音でっていう頭があったんですけど、それが曲によって音を変えられるようになったというか。

ソラ:個性を出すためにはどうしたらいいかをエンジニアと話し合って出来上がったのがこういう音なんです。

KANDAI:ドラムは60年代くらいの乾ききったヴィンテージのセットを使っています。録り方も結構特殊で、1回部屋を冷房でキンキンに冷やして湿度を飛ばすという徹底した感じでやったんです。古いドラムって、古い音がするのかなって思っていたんですけど、マイクに馴染ませたときに、新しい楽器よりすごくちゃんとローの成分があるんですよね。古い楽器でもこういう音が出るんだなっていう発見にもなりました。シンバルも何枚が試して、曲調に合ったキラキラした音がするメーカーのものを選んだり。理想に近い音でレコーディングできたと思います。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス