【インタビュー】井出靖、16年ぶりのLONESOME ECHO PRODUCTION名義での新作発売「甘いレゲエのトラックで勘太郎さんがブルース弾いてたら気持ちいいんだろうな」

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音楽プロデューサー/アーティストの井出靖が、ブルースギタリストの内田勘太郎を迎え、アルバム『LONESOME ECHO PRODUCTION Starring 内田勘太郎 MELLOW VIBES DUB』を8月29日にリリースする。井出がLONESOME ECHO PRODUCTION名義を使用するのは、実に16年ぶりとなる。

これ以上研ぎ澄ましようがないシンプルなレゲエのトラックに内田の心地よいボトルネックギターがたゆたう……そこにはWATUSI(COLFEET)によるエンジニアリングと“トリートメント”というエッセンスも聞き逃せない。30年来の友人である二人がなぜ今、これほどまでにスマートなダブアルバムを製作するに至ったのか、早速聞いてみた。

◆ ◆ ◆

■スカスカな感じもあるけど、
■勘太郎さんのギターが入ると他の音はいらなくなる

──まずはこのアルバムが作られた経緯を教えてください。

井出靖 元々は内田勘太郎さんと出会ったことがきっかけなんです。ある日、「甘いレゲエのトラックで勘太郎さんがブルース弾いてたら気持ちいいんだろうな」っていう僕の妄想から始まったんです。それで「こういうの、どうですか?」って、勘太郎さんにいきなり連絡したら、「ああ、いいですね、興味あります」と……。で、早速モータウンのカバー曲を中心にトラックを送ってみると……そういう曲は弾いたことがないと(笑)。

──そういう音源を送ったということは、もともとカバー曲集を作ろうと思ったんですか?

井出靖 うち(Grand Gallery)が原盤を持っているカバー曲のトラックで、甘いレゲエにブルージーなギター、ボトルネックギターが入ったら気持ちいいんじゃないか、そういう意図で考えてたんです。

──本来だったらカバー曲の作品集が出来てたわけですね。

井出靖 そう。で、そういうの、勘太郎さんだったらパッと弾いちゃうんだろうな、と勝手に思ってたわけ。すると勘太郎さんのマネージャーから、「1日しかないけど全曲録るってことはないですよね?」なんて言われちゃって……(笑)。んじゃ、とりあえずトラックをかけるから好きなように弾いてくださいってことになって。

──かなりざっくりとしたお願いですね(笑)。

井出靖 勘太郎さんにも制作の主旨を理解していただいてね。で、まさにこのスタジオで、キーボードとかコードがぶつかりそうな楽器は全部オフして、好きなように弾いていただいた。結局3時間で8曲分撮り終えました。

──その後、勘太郎さんの弾いたトラックを組み替えていくわけですか?

井出靖 いやその後は飲みました(笑)。

WATUSI 3時間でギターを撮り終わって、この人たちは4時間くらい飲んでるからね(笑)。

井出靖 勘太郎さんは話をすることが好きなので、その間にWATUSI君にラフミックスを作ってもらって……それを1曲聞いてもらったら「いいじゃないか!」と。じゃあ、この方向で行こうということになったんです。そこからの編集作業っていうのかな……。

WATUSI 最初のラフミックスをすごく気に入ってくれたのが心強かったよね。それでオケは自由にやればいいやってなって。

井出靖 最後に録った曲が、あたかも曲の構成を知ってたかのように、勘太郎さんのギターがすごくハマったんです。アルバムでいうと2曲目。それでこの方向でいいんだと……。その後はWATUSI君のスタジオで、コードがぶつかってるベースはこっちから持ってきてとか、ギターはココとココを使ってとか……勘太郎さんにはどんな編集をしてもいいと言われてたので、新しく作り変えて勘太郎さんに送ると「曲になってんじゃん!」と(笑)。だからレコーディングしてからは1から作り上げた感じですね。

──勘太郎さんが弾いたものは何パーセントくらい原曲成分が残ってますか?

WATUSI 曲によりけりで、いいものはそのままメロを活かしたりしたけど……こういう人(井出)がいるから、それ切っちゃえばいいじゃないとか、下手すると全く違う曲からパーツだけを持ってきちゃえばとか(笑)。

──曲によってはすべて切り刻んでいるものもあるってことですよね?

WATUSI ありますね。後はダブカルチャーにどっぷり遣っている二人なので、(空間系のエフェクターを使って)飛ばしゃーいいかと(笑)。

井出靖 ベースを抜いてギターとタイコだけ飛ばしとけばいいでしょみたいなね(笑)。ただ今回ダビングはしないようにしたんです。

──では、ありものの素材だけで構成し直そうというのがテーマ?

井出靖 “最高のギター・アルバムを作る”という思いがあったので……実は今年“アーバン・ブルース”というテーマで新しいレーベルを立ち上げたんです。最初は僕の中では「アーバン・ブルース starring 内田勘太郎〜〜アイランド・ダブ」みたいなタイトルでリリースしたかった。すると勘太郎さんが“アーバン”という言葉に違和感があったみたいで……「井出靖」名義でも違うし、んじゃどうしようかと(笑)。そこで、LONESOME ECHO PRODUCTION名義で、以前「口づけ」という甘いレゲエを出してた経緯もあって、急遽16年ぶりにこの名義が浮上したわけ。このアルバムは自然に聴こえるだろうけど、編集作業は大変でしたね。

──音数がシンプルで、普通に演奏しているように聞こえますね。

井出靖 編集作業は大変だったけど、それほど時間をかけずに進めることができたんですよね。スカスカな感じもあるけど、勘太郎さんのギターが入ると他の音はいらなくなる。

WATUSI そこはさすがだなって思います。全曲のラフミックスを送って、何回か聞いてもらって……ギターがズーっとベタで鳴ってても気持ちいいんですけど、さらに長い間聴けるものにするにはどうしたらよいか、そういうことを考えましたね。切り刻むのは申し訳ないけれど……本来なら演奏家にしてはいけないことだけをして作ったという(笑)。でもこの人は80年代からズーッと同じことをやってるんで(笑)。

井出靖 プロデュースして時間が経って……ギターの人ってたくさんフレーズを入れてくれるんだけど、半年後には絶対忘れてるんですよね(笑)。

WATUSI “俺がプロデューサー”ってことだよね。ジェームス・チャンスのときもそうだったけど、この人は相手が誰だろうが、自分モノのときはサンプリングネタにくらいしか考えてないからね(笑)。

井出靖 そうしないと……自分の作品ですからねぇ(笑)。勘太郎さんにとっては僕とやるということ、つまり新しいダンスミュージックとしてトライをしたいと言われてたので、ザクザク切り刻んで何をしてもいいと。その期待に答えたかったし、でもポップに……。

WATUSI 肩の力の抜いたものにしたかったよね。だからサクサク作業しようと。

井出靖 時間をかけちゃうと凝っちゃう。シンセを入れてスペーシーにしたいなーと思ったけど、終わらなくなっちゃうなと。夏に出したいとも言われていたし……。

WATUSI 時間もなかったけど、今回やったのはダンスミュージック以降の“マイナスアレンジ”だけ。「何を減らしていくかを考えて、どこの時点で一番ポップで簡潔で、しかも何もしてないように聴こえるか」。

井出靖 本当にそう。曲順も最初に決めてたんですけど、ミックスがまとまったところで全部変えたんです。

WATUSI 井出靖の仕事の何がすごいかって、曲順と曲間なんだよね。アルバムを聞くと。むしろそれだけの仕事を頼みたいくらい(笑)。ストーリーつけがすごい。

■性格もタイプも中身も違うけど
■多分相手がやってることに“我慢できあう仲”

──ところでお二人はそもそもどういう出会いなんでしょうか?

井出靖 下北沢の飲み屋で会ったよね?

WATUSI 80年代の前半かな。共通の友達が二人いて、下北沢で会って飲んだんだよね。

井出靖 それ以来の付き合いで、仕事は頼んだことはあるけど。こういう風に二人でスタジオに入って作業したことはないもんね。

WATUSI 二人はないね。それこそいろんなレコーディングはたくさんしてるけど。

──作業に関しては“ツーカー”な感じ?

井出靖 さっと終わりますね。

WATUSI 基本は相手に任せること。ミックスを淡々とやってると「そこはカットかね」と声がかかったり、後ろで寝てるかと思うとチャンと全部聴いてて、突然「そこはもうちょっとこうできる?」とか言い始めたり。ホントそういう仲。歳も近いんだけど、いいジジイ同士だから肩の力を抜いて……自分がどうしたいこうしたいとかないからね。

井出靖 ないねぇ。WATUSI君のフィルの掛け方が嫌だとかそういう次元じゃないというか……。そういうところが気になってたらそもそも一緒にやらないと思うしね。

WATUSI 自分のことは自分でやればいいしね。最後はああ、それでよかったね、で終わり。音楽なんて極端で、好きなものは被ってるけど、まったく違う二人だし、性格もタイプも中身も違うけど、多分相手がやってることに“我慢できあう仲”だと思う。音楽ってそういうヤツはいないから。そこはすごいことなんですよ。そういう“我慢できあう仲”はローリー・ファイン(COLDFEET)くらいかも。

井出靖 もしLONESOME ECHO PRODUCTION名義だったら、シンセたくさん入れたいな、とかエゴはあるし、自分だけのものだったらこれで出していいのかってドキドキしちゃうけど。

WATUSI 今回のアルバムの作り方って発明だと思うんです。井出靖が持っている原盤ネタをどうにもでできるわけじゃん? それであっという間にできて、これでいいやって言えるものができちゃう。これってすごいことだと思う。実はお互いキックの音ひとつに3週間悩むタイプの人間だから(笑)。足さないでやろうというのは決めていたし、限界値がある中でクリエイティブな遊びをしようとしてるわけ。だからこそ集中して面白いものができる。

──今回の作り方は、サンプリングとも違いますね。

WATUSI 何もサンプリングしてないからね。

井出靖 コード進行、曲構成も変わってるし、原曲は形としては残ってない。そういう意味ではかなり斬新な作りだと思います。ある意味、原盤を持っている意味がありましたね(笑)。それはともかく今回の作品は勘太郎さんの良さがすごく出ている。

WATUSI ギター、いいなって思っているうちに終わる感じを目指したからね。

井出靖 勘太郎さんのファンにも刺さる作品だと思います。

WATUSI 編集はしまくってるけどね。

井出靖 勘太郎さんのマネージャーが言ってたんですけど、「メロになってんじゃん、すげーな」って言ってたらしいです(笑)。

WATUSI いわゆるEDMのトラック作りとは対極の作り方だよね。盛り上がらないように編集してるから(笑)。

井出靖 奇跡的にうまくできたよね(笑)。

WATUSI この曲、ライブじゃやらないでね、絶対思い出せないから(笑)。勘太郎さん、この曲知らないし(笑)。

撮影・取材:BARKS編集部


『LONESOME ECHO PRODUCTION Starring 内田勘太郎 MELLOW VIBES DUB』

2018年8月29日(水)リリース
GRGA0108 2,500円+税

1.ISLAND REGGAE DUB
2.BEAUTIFUL SUNSET DUB
3.SWEETEST ECHO DUB
4.DAY DREAMIN DUB
5.MELLOW BREEZE DUB
6.DANCE HALL STYLE DUB
7.ON THE BEACH DUB
8.SURF SIDE DUB


<HOME PARTY Weekday Festival for Rock’n Roll Adult>

9月18日(火)
東京・代官山UNIT/UNICE/SALOON 3会場同時開催
OPEN/START 18:00
DOOR ¥7,500
ADV ¥6,500 **前売特典 Grand GalleryのCD1枚付き

■UNIT
ヤン富田
DJ KRUSH
Yasushi Ide presents THE MILLION IMAGES ORCHESTRA
VIDEOTAPEMUSIC

■UNICE
・LIVE
直枝政広(カーネーション)
bird
奇妙礼太郎 with 塚本功
高野寛
Clementine feat.金原千恵子
ヒックスヴィル
・DJ
橋本徹

■SALOON
・LIVE
Donuts Disco Deluxe(スチャダラANI/ロボ宙/AFRA)
Conguero Tres Hoofers
THREE LITTLE BIRDS
延原達治 with 石井マサユキ
HITOMITOI DJ SET
Sandii
なかの綾
・DJ
CAPTAIN VINYL(DJ NORI&MURO)
SHINCO(スチャダラパー)
田中知之(FPM)
高木完
川辺ヒロシ
クボタタケシ
永田一直

■FOOD,DRINK and SWEETS
アヒルストア
アベクミコ
お好みたまちゃん
キッチン⭐︎ボルベール
岸本恵理子
QUIET LODGE
ケニーズ タコス
祥瑞
その場しのぎの酒場
テキーラバーGatito

○e+
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002261219P0050001P006001P0030001
○チケットぴあ
http://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1824928&rlsCd=001&lotRlsCd=
○Yahooチケット
https://info.y-tickets.jp/order/performance/y-tickets18168584718
○ローソンチケット
http://l-tike.com/order/?gLcode=72264&gPfKey=20180515000000317428&gEntryMthd=01&gScheduleNo=1&gCarrierCd=08&gPfName=%EF%BC%A8%EF%BC%AF%EF%BC%AD%EF%BC%A5%E3%80%80%EF%BC%B0%EF%BC%A1%EF%BC%B2%EF%BC%B4%EF%BC%B9&gBaseVenueCd=33051


< To turn sixty -Watusi 60’s celebration- >

2018年9月4日 (火)
18:00 開場 19:00 開演
WWW X
〒150-0042 東京都宇田川町 13-17 ライズビル 2F
03-5458-7688 http://www-shibuya.jp/

■料金 前売り 6,000 円 当日 7,000 円
*前売り券購入の方には本人直筆サイン入り記念うちわをプレゼント !! *別途 1 ドリンクオーダー

■出演者
<COLDFEET>
Lori Fine (Vo) / Watusi (Bass) / SUGIZO(Gt)/ 佐藤タイジ(Vo & Gt) / 屋敷豪太 (Dr) / 龍山一平 (key)
<TDO (Tokyo Discotheque Orchestra)>
Watusi (Bass) / 松岡”matzz”高廣 (Per) / 堀越雄輔 (Gt) / 會田茂一 (Gt) / 屋敷豪太 (Dr) / 龍山一平 (key) コバヤシ・ケン(Sax) / SAKI (Tp) / 金原千恵子ストリングス・カルテット / K-Ta (Vib)
Guest Vocal:bird / SILVA / 遊佐未森
<DUBFORCE>
屋敷豪太(Dr)/ DUB MASTER X(Mix)/ いとうせいこう (Words) / Watusi (Bass) / 會田茂一 (Gt) 龍山一平 (Key) / コバヤシケン (Sax) / SAKI (Tp)
DJ : DJ EMMA / DJ Genchin

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