【インタビュー】androp、温かみや繊細さに溢れたバラード・チューン「Hikari」

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■カプリングにライブ・トラックを入れることにしたのは
■andropはライブではどんなサウンドなのかを知ってほしかった


――続いて、今回のシングルのカップリングについて話しましょう。カップリングは「Hikari」をピアノの弾き語り形態にリ・アレンジした“piano TV ver.”と、「Catch Me」「Hanabi」「Sorry」のライブ・トラックが収録されています。

内澤:ライブ・トラックを入れることにしたのは、「Hikari」というシングルを通してandropを知る人も多いだろうというのがあったので、そういう人たちに対してandropはどういうライブをするバンドなのか、実際にはどんなサウンドを鳴らしているのかといったことを知ってほしいと思ったんです。そういう気持ちがまずあって、あとは僕らは今年の4月から6月にかけて<one-man live tour 2018“cocoon”>というツアーをしたんですけど、ちょうど「Hikari」の制作と重なっていたんです。だから、僕は朝まで歌詞を書いて、そのまま寝ないでライブをしたりしていたんですよ。そうしたら声帯結節になってしまって、ファイナル6月3日のライブ後半に声が出なくなってしまった。そういうことも含めて、ツアー・ファイナルの空気感も「Hikari」に通じているんですよね。だから、6月3日のライブ・トラックをカップリングにすることにしたんです。それに、ライブ・トラックの3曲は今年の3月に出した『cocoon』というアルバムに入っていて、「Hanabi」は推し曲だったんですよ。それを、夏に聴いてほしいという想いもありました。

佐藤:<one-man live tour 2018“cocoon”>は僕らとしては二度目で5年ぶりのホール・ツアーだったんです。ずっとやりたい、やりたいと思いながらできなかった5年間を経て、ようやく今年ホール・ツアーをすることができた。ホール・ツアーが決まって、それに向けて作ったのが『cocoon』というアルバムでもあったので、それを1本のツアーで終わらせることなく音源にして、またみんなに聴いてもらえるというのは非常に嬉しいですね。それに、「Hikari」で初めてandropを知る人はライブ・トラックを聴いてandropのライブにも興味が湧いて、ライブに来てくれるといいなと思います。


前田:andropに興味を持った人がYouTubeなどを見ると、再生回数の多さというところで、出てくるのは昔の曲だったりすると思うんですよ。そうするとロック調な曲も出てきますし、たしかに自分たちはそういう歴史を辿ってきていますけど、今の僕らがカッコいいと思うものは『cocoon』というアルバムに詰まっているんです。そういうところで、今回のライブ・トラックは今のandropはこういうモードなんだよということを端的に伝えるという意味で、ベストな選曲だと思います。僕らはいろんな変遷を辿ってきていて、たとえば同期を入れたり、逆に同期をなくしたりとか、そういう時期を経て今に至っていて、最近は生ドラムでサンプリングを鳴らしたりしていまよ。グルーブは生だけど、音色はすごくエレクトロだったりするという。ヒップホップで少し前から世界的に主流になっていることを、人力でやっているんです。今回の曲でいうと、「Sorry」は内澤君がルーパーを使って、出だしのアコギのリフをその場でループさせて、そこに対して歌っていって、その後みんなが入ってくるというやり方をしているんです。「Hikari」で初めてandropを知った人も今回のライブ・トラックを聴いてもらえば、ライブでも挑戦的なことをしているバンドだということがわかってもらえると思う。音楽に詳しい人ほど、“おっ?”と思ってもらえる自信はあります。

伊藤:前田君が話したように、ドラムは同期とサンプリング音源を混ぜている曲もあれば、全部生でサンプリングを使っている曲もあれば、全編普通の音という曲もあります。今回の音源でいうと「Hanabi」は全部生で、「Catch Me」は混ざっていて、「Sorry」は全部サンプリングという感じです。


▲前田恭介

――3つのパターンを聴くことができるんですね。「Catch Me」は、バスドラにショート・ディレイが掛かっていませんか?

伊藤:掛かっています。サンプリング音源を使うときはその曲をレコーディングして、ミックスが終わった後のステム・データから切り出して使うんですけど、実はこの曲のバスドラだけ、シレッと違う曲から持ってきています。リハをしたときに、この曲は違う曲のキック(バスドラ)の音が合うということになったんです。それで、バスドラだけディレイが掛かっているんです。

――そういう柔軟さもさすがです。さて、「Hikari」は必聴といえるシングルになりましたし、9月から11月にかけて行われる全国ツアーも楽しみです。

内澤:秋のツアーは“angstrom 0.9pm”というタイトルなんですけど、“angstrom”は長さの単位で100億分の1メートル……だったかな?(笑) とにかく、すごく小さな単位で、“pm”は“ピコメートル”という単位です。100pmで、やっと0.1ナノメートルになるというミクロな世界なんです。僕らのライブ活動だったり、音楽活動というのはすごく小さな一歩だけれども、それを少しずつ積み重ねることで進んでいくんだよ、新しい自分たちになっていくんだよ…ということを伝えたいという想いがあって。それで、小さい単位を使うことにしたんですけど、小さくし過ぎて説明が難しいという(笑)。

一同:ハハハッ!(笑)

佐藤:とにかく小さな単位で、その積み重ねだよということをわかってもらえればいいです(笑)。あとは、秋のツアーは1年半ぶりのライブハウス・ツアーなんですけど、思い入れの強い会場が多いんです。たとえば代官山UNITは僕らが初めてワンマン・ライブをしたライブハウスだし、恵比寿LIQUIDROOMは2回目にワンマンをしたところなんです。大阪BIGCAT、福岡のDRUM Be-1、NAGOYA CLUB QUATTROは、初めて全国ツアーをしたときにライブをした会場だし。そこに、また帰れることがすごく嬉しいですし、久々にいく土地もありますので、各地のファンの皆さんにぜひ集まってほしいです。それに、<one-man live tour 2018“cocoon”>はホール・ツアーだったけど、僕らはライブハウスでも、ホールでも魅せられるバンドでありたいということが四人の共通した意識として常にあって。秋のライブハウス・ツアーでは、ホールとはまた違った良さを見せられると思います。


▲伊藤彬彦

前田:今回は「Hikari」が、ある程度主軸にはなるんじゃないかな。ライブハウスで「Hikari」が核になったセットリストのライブをするということで、まだみんなで考えている途中ですけど、新しい見え方とか、聴こえ方になると思うんですよ。それが自分でも楽しみだし、2ヶ月のツアーを通して、新しい感覚のライブがどういうふうに進化していくかということも楽しみにしています。

伊藤:僕らはレコーディングのたびにいろんな新しいことに挑戦してきていて、それが9年ともなるといろんな音があるなということを、前回のホール・ツアーのときに実感したんです。いろんな音色を使うから、もう機材の量がハンパないんですよ。でも、今度のツアーは会場の広さ的に、たとえばドラムセットを2台置いたりはできなくて、1台のセットにプラスαくらいしかできないから、工夫が必要になるというのがあって。その結果すごくフィジカルなライブになる気がしていて、バンド感やライブ感がより伝わるようなライブになるといいなと思います。

内澤:僕らはここ数年で、表現の仕方がまた増えてきている。いろんな届け方ができるようになると、過去の曲も“じゃあ、この曲はどういうふうに届けようか”と悩めるようになるんです。だから、ずっとライブに来てくれている人も飽きないだろうし、初めてくる人にも意外さを感じてもらえるようなライブができると思います。来年10周年ということで、10周年に向けた序章として最新の自分たちを届けるライブになるので、期待していてください。

取材・文●村上孝之


リリース情報

new single「Hikari」
2018.08.29 release
初回限定盤(CD+DVD)
UPCH-7434 ¥2,300(税抜)
通常盤(CD)
UPCH-5947 \1,200(税抜)

初回限定盤(CD+DVD)
CD
01.Hikari
フジテレビ系 木曜劇場「グッド・ドクター」主題歌
02.Hikari (piano TV ver.)
03.Catch Me (one-man live tour 2018“cocoon”tour final)
04.Hanabi (one-man live tour 2018“cocoon”tour final)
DVD
・「Hikari」Music Video
・「Hikari」Making Video
通常盤(CD)
01.Hikari
02.Hikari (piano TV ver.)
03.Sorry (one-man live tour 2018“cocoon”tour final)
04.Hanabi (one-man live tour 2018“cocoon”tour final)

ライブ・イベント情報

<one-man live tour 2018“angstrom 0.9 pm”>
2018.09.04(火) 千葉・千葉LOOK
2018.09.07(金) 宮城・Sendai Rensa
2018.09.08(土) 福島・郡山CLUB#9
2018.09.14(金) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
2018.09.21(金) 大阪・大阪BIGCAT
2018.09.22(土) 大阪・大阪BIGCAT
2018.10.05(金) 群馬・高崎 club FLEEZ
2018.10.06(土) 新潟・NEXS NIIGATA
2018.10.08(月・祝) 山梨・甲府CONVICTION
2018.10.14(日) 東京・LIQUIDROOM
2018.10.17(水) 愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
2018.10.18(木) 愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
2018.10.21(日) 神奈川・F.A.D YOKOHAMA
2018.10.30(火) 福岡・福岡DRUM Be-1
2018.10.31(水) 福岡・福岡DRUM Be-1
2018.11.10(土) 栃木・HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
2018.11.15(木) 東京・代官山UNIT
2018.11.16(金) 東京・代官山UNIT

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