【ライブレポート】<千歌繚乱vol.17>、ひとくくりでは語れない“V系”の世界

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BARKS主催ヴィジュアル系イベント<千歌繚乱vol.17>が、8月15日に池袋EDGEにて開催された。

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この日出演したのはヴァージュ、CANIVAL、ギャロ、SAVAGE、ジグソウ、MORRIGANの6バンドだ。真夏の日差しが眩しい時期、その真逆とも言える雰囲気の、音楽性からも見た目からも“黒”が連想されるバンドが集結した。しかし、いずれのバンドも“ただのヴィジュアル系バンド”ではなかった。ひと癖もふた癖もある彼らが作り上げた、それぞれの世界を紹介したいと思う。

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事前に行っていたインタビューで「ジグソウとはどんなバンドか?」という問いに、「見世物小屋」「視覚に訴えかけるバンド」と答えてくれたジグソウ。一体どういうことなのかと思っていたが、それは幕が開けた瞬間に理解できた。まず、ステージとフロアの間には赤い糸が結界のように張り巡らされているのだ。そこに不気味なナレーション、点滅する照明に浮かび上がるメンバーの姿、不穏な靴音。幕開けの段階で、既に世界が作りこまれている。

一曲目「痣」では、マル(G)と智依(B)が深く腰を折った姿勢で楽器を奏でている。そしてマリオネットのような動きのブキミ(Vo)が合図を出すと、操り人形のように動き始める。確かに見世物小屋のような妖しげな雰囲気だ。続く「近所のあの子」では詩季(Dr)のリズムにあわせ、マルと智依がそれぞれギターとベースを左右に大きくふりかぶって、振り子のような動きやターンを見せる。「よくそれで楽器が弾けるな」と心配になってしまうほどの大きな動き。楽曲はどちらかというとシンプルな構成だが、一糸乱れぬパフォーマンスが目に楽しい。曲中にブキミがハサミを取り出してステージに貼られた糸をプツンと切るシーンも。


「見せる」ことに特化しているバンドだと感じたが、「少女TYPE[B]」では頭を振ったり、「ブリキのオモチャ」では行進のようなドラムのリズムにあわせファンが旗を振るシーンがあったりと、観客も置き去りにしない。ラスト「とびおりくん」では楽器陣の徹底したパフォーマンスと一緒にファンも手をあわせてジャンプ、折りたたみを繰り出すなど、ジグソウの世界と見ている側の世界が混ざり合っていく。曲終わりにはステージ上に用意された壇から飛び降りたブキミ。そして無表情に立ち上がると、ジグソウのロゴを模したポーズで幕が降りた。終わってすぐ観客から拍手が起こったのも印象的。彼らはライブのことを“SHOW”と呼んでいるが、その言葉通り自分たちのスタイルを見せつけ、ファンも“SHOW”として楽しんでいたのだろう。

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ジグソウとは異なる雰囲気でステージを作り上げたのは、ヴァージュ。この日のセットリストは、前半に切ない楽曲、後半にかけて徐々に熱を上げていく構成。黒いエナメルの衣装に派手な髪色、美しいメイクもそうだし、“ヴィジュアル系らしい”ライブだ。彼らはまず、8月22日にリリースされる2ndシングルより「かくれんぼ」「影」を投下。

ヴァージュの曲は「激しさ」「儚さ」「刹那的」というヴィジュアル系の魅力を網羅している。どの曲も、一気に開けるサビのメロディがとても美しい。透明感ある遼(Vo)の歌声は、たとえヴィジュアル系ファンでなくても聞きやすいだろうなと感じる。ハイトーンで少し女性的な声で、歌詞に込められた気持ちもダイレクトに胸に伝わってくる。激しくダークな面を支える或(Dr)と沁(B)のプレイに、繊細な遼の声と紫月(G)の哭きのギターが乗るというバランスも抜群だ。


ライブ後半は、切ない歌声を響かせていた姿とは打って変わって「死ぬ準備はいいか!」「もっと!もっと!」と力強く煽り倒す遼。「お人形遊び」ではメンバーがかわるがわるお立ち台に上り煽り、それに応えるファンのヘドバンでフロアは嵐が起きたかのよう。この二面性がまた痺れる。そしてMCもなくあっという間にラスト「家族ごっこ」へ。怒涛の勢いでライブを締めくくった。

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ヴァージュが作った勢いを増幅させるように、幕開けからファンの折りたたみで迎え入れられたのはSAVAGE。1曲目の「蝙蝠」からフロアにはヘドバンが巻き起こるが、対するメンバーは立ち位置から動かず演奏を続ける。毒気を孕んだ歌詞を、自傷を思わせるパフォーマンスを取り入れて歌う龍華(Vo)がとてもクールだ。続く「Bogus Duty」でも曲のしょぱなからモッシュが起こるのだが、龍華は腰に手を当ててお立ち台の上から「動け!」と命令する。このドSなスタイルは、ここまでのボーカルにはなかった魅力だ。


「潔癖症の僕から不感症の君へ」に入るころには、すっかりフロアはモッシュとヘドバンで埋め尽くされる。SAVAGEというバンド名にぴったりの、獰猛な空間だ。見せる、歌う、演奏する、ということ以上に、彼らはフロア全体を端から端までどんどん熱くさせていくだけのパワーを持っていた。SAVAGEは“毒”をバンドを表すひとつのキーワードに掲げているが、こうやってファンの熱気が広がっていく様子は、まさに毒が浸食していくかのよう。

だがそれでも「こんなもんじゃねえ」「何しにきた」などと煽り、どこまでも満足しないメンバー。MCも曲と曲をつなぐ間もなく、次から次へと楽曲を繰り出してくるスタイルも、まるで弄ばれているかのように感じてくる。ちなみに“弄ばれる”と書いてしまったのは、SAVAGEは激しいだけでなく、どこか色気を感じてしまう部分があるからだ。そんなライブのラストには、暴れる要素をこれでもかと詰め込んだ「「匿名」さんの首輪」。この獰猛さは、きっと中毒になる。

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