ヘルシンキのフェス＜FLOW FESTIVAL＞に行ってきた

フィンランドの首都ヘルシンキで開催された野外フェス＜FLOW FESTIVAL＞が素晴らしかった。気候も素晴らしく、会場も快適で、ケンドリック・ラマー、アークティック・モンキーズ、ローリン・ヒルをヘッドライナーに迎えたアーティスト・ラインナップも豪華で、日本のお盆休みと合わせやすく、ぜひともまた行きたいフェスだった。

＜FLOW FESTIVAL 2018＞は、8月10日(金)・11日(土)・12日(日)の3日間、Suvilahtiで開催された。Suvilahtiはヘルシンキのベイエリアでもとは発電所だったという場所だが、今では地元のランドマーク的な存在となっており、本来の役目を終えてからはギャラリーやレストランなどのテナント、サーカスや劇場、そして音楽イベントといった文化活動とエンターテイメントが開催されている。今回は、＜FLOW FESTIVAL＞事務局からヨーロッパを中心にアメリカ／アジアのメディアへ取材依頼があり、BARKSもそれに応える形で参戦してきたものだ。


ヘルシンキは約北緯60度で北海道よりも北に位置するため、異常な暑さの東京と比べると、湿度も低くかなり快適な気候だ。そしてフィンランド北部の白夜とまではいかないが、夏のヘルシンキは22時まで日が落ちず明るい。天気の良い昼間は短パンにTシャツ、夜になって上着を一枚羽織るとちょうどよく過ごせた。夏フェスで熱中症のケアが不要…それだけで快適さが段違いである。





＜FLOW FESTIVAL＞は2004年からヘルシンキの小規模なクラブイベントとしてスタートし、2007年からは会場をSuvilahtiに移し、大きく成長してきたフェスである。DJステージを含めて屋内外・大小様々でユニークな10ステージを擁する会場にはインターナショナルなビッグアーティストを筆頭にヨーロッパ、フィンランド国内からも新進気鋭のアーティストを含む総勢144組の出演アクト、18のアートプロジェクト、60以上のバーとフードブースが並んでいる。3日間で約8万4千人を集客し、その80％はフィンランド国内からで20%はヨーロッパを中心とした国外からのオーディエンスなのだという。



環境にも配慮されており、フェスティバル中に発生したすべての廃棄物はリサイクルされ再利用が実践されている。またペットボトル以外の缶や瓶はデポジット制度になっていて、ドリンクエリアで飲み物を購入する際に1ユーロをあらかじめ上乗せして支払い、飲み終えた後はデポジットブースで空き缶・空き瓶と交換で1ユーロ返却されるというシステムが徹底されている。そのため足元に缶や瓶が転がっているということもなく、素晴らしい環境がキープされている。またフィンランドでは日本と比べ圧倒的にキャッシュレス化が進んでおり、それは＜FLOW FESTIVAL＞のフェス会場でも同様で、フェスのフード、ドリンクブースではみんながクレジットカードをかざすという日本のフェスではあまり見られない光景が繰り広げられていた。日本からの訪問者で現金やクレジット決済でも端末にカードを挿入して4桁の暗証番号を入力していたのはかなりレアな存在だった。





なお、＜FLOW FESTIVAL＞はアルコールを提供するため基本的に18歳未満は入場できない。ただし日曜日の17時までは「Family Sunday」として保護者同伴で子供も入場できることになっている。ベイエリアでの開催のため、会場に高低差はなく地面は舗装されているのでベビーカーでも楽に会場内を移動でき、小さい子供連れの参加者にも優しい設計だった。さらに会場ではPOP UP CHINEMAで映画を観ることができ「Family Sunday」に合わせてスタジオジブリの「となりのトトロ」も上映されていた。



Kendrick Lamar、Arctic Monkeys、Ms. Lauryn Hill、Patti Smith、Kamasi Washington、Mura Masa、Moses Sumney、6lack、Jorja Smithなど、短い夏の長い夜を存分に楽しむヘルシンキと＜FLOW FESTIVAL＞のステージ、会場のフォトレポートを一挙にお届けする。