【インタビュー】DEZERT、ギターとの確執「音楽的なギタリストは、今、ヴィジュアル系をやらない」

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DEZERTが、全国ツアー<DEZERT LIVE TOUR 2018「What is “Today” ?」>を開催中だ。同ツアーは約2年半ぶりのフルアルバム『TODAY』を掲げて行われているものであり、先鋭的かつ刺激的なバンドを輩出してきたMAVERICK D.C. GROUPが新たに発足させたレーベルMAVERICKの第一弾としてリリースされたという話題性はアルバムへの関心度を一層高めたようだ。しかし、注目すべきは彼らを取り巻く環境の変化ではなく、音楽性そのものの進化にある。そのサウンドメイクは目覚ましく、収録された10曲すべてがタイトでリアリティの高いロックチューン。鋭くシンプルな言葉で綴られたメッセージが胸を奮わせる。

◆DEZERT 画像

BARKSは千秋(Vo)とMiyako(G)を招いて両者によるトークセッションを行なった。テーマは“ギターとの確執ついて”。「ギタリストが好きじゃない」を公言する千秋発案によるこのテーマは、果たしてDEZERTの今を象徴するものか、それとも逆説的なものか、はたまたシーンの概念を木っ端微塵に打ち砕くものか。いずれにせよ、『TODAY』のサウンドスタイルがこれまでと異なる側面をみせて、新たなDEZERTを指し示したことを考えれば興味深いテーマでもある。

両者のトークはMiyako加入時まで遡り、“千秋とMiyakoの真逆な関係”、“お互いの変化”、“ギター論”、“ヴィジュアル系とギタリスト”におよんで個々のスタイルや『TODAY』に息づく必然性を浮き彫りにした。約10000字にわたるロングなトークセッションをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■この人はサイコパスなんですよ(笑)
■実は、あんまり感情がない

──サポートギタリストとして参加していたMiyakoが、DEZERTに正式加入したのが2015年。サポートから正式メンバーにするにあたり、どんな判断基準が働きました?

千秋:人間性ですね。僕は、ギタリストが好きじゃないんです。ギタリストにリスペクトを持てなかった。だから、もともとギター好きじゃなかったんです。それで“ギタリストは入れんとこうかな”と一瞬思ったんですよ。

Miyako:そう言ってたもんね。

▲千秋 (Vo)

千秋:“俺がギター弾こうかな”と。自分で弾けると思ってた、“余裕やろ”って(笑)。でも……難しかったんですよ。“これはギタリストを入れなあかん”と(笑)。ただ、ぶっちゃけ、誰でも良かった。うちのメンバーも、“千秋がいいなら誰でもいい”って考えで。それで何人か候補がいて、何人かとスタジオも入ったんですけど、一番ふざけてた、コイツは。

Miyako:いや、ふざけてたというか、違うんですよ(笑)。DEZERTはドロップチューニングでゴリゴリのバンドというイメージじゃないですか? でもスタジオに、自分はレギュラーチューニングのテレキャスを持っていって、コードを鳴らしたっていうだけで。

──いいクリーンサウンドを、DEZERTとの初スタジオで鳴らしてやったわけですね(笑)。

Miyako:いや、クランチサウンド(笑)。

千秋:ふざけてる!

──ははは!

Miyako:でも楽しかったですね。リハの途中から千秋くんもギターを弾き始めて。

千秋:まだ音源リリースしてない曲をずっとやってたもんな?

Miyako:そうそう(笑)。まさに“音楽=音を出して楽しんでる”ようなスタジオセッションだった。“楽しんでやってんだな、この人達”って。

千秋:そうでもなかったけど、俺ら(笑)。ギタリストが入るってことは、いろいろやらなきゃいけないこともいっぱいあるわけだから、全然楽しくなかった。そうしたらコイツは曲を覚えてきてへんし、面倒臭いなと思って。候補の他の人達も、例えば“DEZERTの歴史を背負っていける”とか“どういうキャラクターがいい”とか、しょうもないことで悩んでいて。でもこの人(Miyako)は、「バンドをしたい」って言ってて。なんかカッコええな、と(笑)。だったら俺も俺も、と。バンドをしようとなったのが、Miyakoが参加した約2年半前のこと。

▲フルアルバム『TODAY』トゥデイ盤

──サポート参加した直後からうまく転がり始めたんですか?

千秋:大変だった。そのときから言ってたけど、「あまりギタリストだとは思っていない」と。ギタリストというよりも、メンバーの一人というイメージで接してたから。ギタリストとしてのリスペクトはなかったし、イラッとすることもあったし。メンバーとしてなら何でも話せるけど、ギターという観点になると、ガーッといろいろ言っちゃうから。俺の発言に、この人もイラッとすることあっただろうし。去年ぐらいまでずっとそんな感じやった。

Miyako:まずは「下手!」って言われて。言い返すようなことでもないんで、言われたことを受け入れて、ただただやるっていう。

──何気に器がデカい男ですか?

千秋:いやいや、この人はサイコパスなんですよ(笑)。実は、あんまり感情がないっていう部分がある。ライブ後にヘコむところも、他の人と違うし。そこはいいなと思いますけど。

Miyako:過去のバンド人生が意外に大変だったんです、いろいろと。いろんなことに揉まれながら生きてきたから、もしかしたらそうなっちゃったのかもしれない。人に何か言われてシャットアウトするというよりも、まずは全てを受け入れてみる、みたいに。

──結局、うまくいってるんですか?

千秋:うまくは……どうなんですかね。俺は、いつバンドを辞めてもいいと思ってたから。でも、俺自身、引き返せないところまで来ている感じもあって。そのギャップを、ライブで思いっクソ感情的になったりして埋めてたんです。でも気持ちが晴れることはなくて。2年半ぐらい前から、“昔は楽しかったな”という言葉が自分から出てくることも増えてきていて。その時期、音楽業界の人達からの意見もいろいろ入ってきたんですよね。“DEZERTはこうあるべき”とか“こういう音楽性でいくべき”とか。それを受け入れてみたものの、自分は消化できず、例えるなら下痢した状態がずっと続いていたんですよ。それがやっと、お腹に入れて、自分のものにしようと思ったのが、今年の春ぐらい。そうなったとき、ようやく、ギタリストとしてMiyakoと接しようとなったんです。今年になって初めて“ギタリスト=Miyako”ってことになった(笑)。それでアルバム『TODAY』という流れなんです。

──どんな意見も受け入れるMiyakoがバンドにいてくれることは、何らかの緩和作用にもなってきたんですか?

千秋:間違いなくそうですね。自分が音楽的に下痢している状態でもずっと来れたってことは、メンバーの大きな器があったから。それでようやく今から始めようかなと。

◆インタビュー(2)へ
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