【インタビュー】ファンキー加藤、柔らかみのある力強さでリスナーの背中を押す新シングル「希望のWooh」

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■新しいことに挑戦するのが楽しいんです
■失敗することも多いけどハマったときの快感はすごい


――続いて、カップリング曲の「40」にいきましょう。

ファンキー加藤:この曲のタイトルは“フォーティー”だと思う人がいるかもしれませんが、“ヨンジュウ”です。僕は、“フォーティー”なんていう洒落たタイトルにはしません(笑)。まんま“ヨンジュウ”で、お願いします(笑)。この曲は元々Jazzin'park(ジャジンパーク)さん、若いラッパーのEINSHTEIN(アインシュタイン)さんと一緒に作ったんですけど、僕はこの曲のスカ・パンクっぽいテイストがすごく好きで、どちらかというとこっちの曲をリード曲として推していたんです。これに熱いメッセージを込めて届けることができたら、また新しいファンキー加藤像を提示できると思って。でも、歌詞を書いているうちに、どんどんファニーな方向にいってしまって(笑)。最初から40歳というテーマだったんですけど、“40歳あるある”は苦笑いしちゃうような面白さなんですよね。そういう中で、スタッフさんと話し合った結果「希望のWooh」のほうがリード向きなんじゃないかという話になって、その瞬間「40」は崩せるなと思ったんです。いい意味で、もっともっと面白おかしくいけるなと。僕は今年40歳になるんですけど、そこに対してあまり悲観はしていないんですよ。ただ、“まいったなぁ”と頭をかいてしまうようなちょっと苦い部分はあって、そういうことを面白おかしく書きたいなという気持ちになったんです。チャールズ・チャップリンの言葉で、「人生はズームアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見ると喜劇だ」という言葉があるんですよ。そういう40代の悲哀みたいなものを、笑い飛ばすような気持ちで歌った曲にすることにしました。

――40歳を迎える自分自身のことを描きつつ、同年代のリスナーに向けたメッセージ・ソングにもなっていることが印象的です。

ファンキー加藤:大人になればなるほど、同年代というだけで“同じ時代を生き抜いてきた”という戦友感が生まれてくるんですよ。初めて会った人とかでも同年代だと、一気に距離が縮まるような感覚がある。だから、「40」は僕から同世代の人たちに向けたエールです。歌詞に出てくる“My friend”というのは僕の周りにいる友人だけではなくて、昭和53年前後生まれの人たちみんなを指しているんです。

――先ほど言われたように、“40歳になっちゃった…”という後ろ向きな心情ではなくて、“大人ってのも悪かないぜ”と歌っているのがいいですね。

ファンキー加藤:40代というのは、そんなに悲観するような歳でもないですから。特に音楽業界は50代だろうが、60代だろうが、超絶カッコいい諸先輩方が山ほどいますからね。この曲の“まだまだこれからさ”というのは強がっているわけではなくて、本当に素直な自分の心情です。だから、この曲はたとえばライブで歌ったときに、もしかすると10代、20代の子は“ポカーン”とするかもしれない。だけど、40代の僕たちが楽しく歌って踊っていれば、若い子たちも大人になるというのも楽しそうだなと感じてもらえる気がするんですよ。歳をとるというのはネガティブなことばかりじゃないよと。


▲「希望のWooh」【初回限定盤】


▲「希望のWooh」【通常盤】

――そういう意味では、若い世代に向けたメッセージ・ソングともいえますね。たしかに、若い人には大人になることをネガティブに捉えてほしくないですし、20歳そこそこで自分の人生に見切りをつけてしまったりしないでほしいなと思います。

ファンキー加藤:それは40代も一緒だと思う。40代なんて本当にまだまだ青い。ましてや20代なんて、ヒヨコみたいなもんですよね。だから、生きることにつまづいている20代の人とかには、そこで負けてほしくない。がんばって、乗り越えていってほしいです。

――そういう思いが込められていることも「40」の大きな魅力といえますね。「希望のWooh」のもう1曲のカップリングは、温かみや洗練感に溢れた「ラフソング」です。

ファンキー加藤:「希望のWooh」と「40」ができあがって、もう1曲はどうしようかという話になったときに、僕の中でタイトルのアイディアが一つあったので、ちょっと任せてもらっていいですかという話をしたんです。またいつかいいラブソングを書きたいと思っているけど、まだ今は作れないなという気持ちがあるんですよ。そういう中で、ちょっと字面が似ている“ラフソング”という言葉がアイディアとしてずっと頭の中にあったんです。それで、歌詞検索サイトで「ラフソング」というタイトルの曲を検索したところ無かったので、これは使えるなと思って。他の人が思いつく前に形にしようと思って、自分なりの“ラフな歌”というものを作ることにしました(笑)。

――ただ、決してラフな曲ではないですね。

ファンキー加藤:ラフではないです。田中隼人さんと一緒に作ったんですけど、すごく良いトラックが上がってきてしまって、全然思っていたのと違う…みたいな(笑)。なんかね、隼人氏がどんどん調子に乗ってきていて、どんどんオシャレになっているという(笑)。でも、すごく良いトラックだったので、それを活かすことにしました。歌の主人公は完全に自分でいいと思ったんです。“ファルセットもビブラートもない この声をG#へただ ただ 張り上げている”というのは、そのままファンキー加藤の姿なんですよ。この曲の歌詞は、僕にとって本当に大切なファンの人たちに向けた思いであると同時に、就職や育児などのいろんな事情で離れていってしまったファンの方に今一度届けることができたらな…という気持ちも入っています。

――それぞれの事情で音楽やライブなどから離れてしまった人も、加藤さんが歌い続けていれば、きっとまた会いに来られると思います。それにしても、加藤さんが作られる曲は、ご自身そのものといえる曲が多いですね。

ファンキー加藤:そうですね。特にアルバム曲やシングルのカップリング曲はそういうものが多いです。リード曲はちゃんと間口の広いポップ・ミュージックにしたいという気持ちがあるけど、それ以外の曲はそのときそのときの自分を投影したものにしたい……というか、最近は自然とそうなることが多いんですよ。今回の「40」や「ラフソング」は、かなり自分自身です。


――そういうスタンスも、ファンの皆さんは嬉しいと思います。それに、今回のシングルもそうですが、加藤さんは音源を作るたびに新しいことに挑戦されていることも注目といえますね。

ファンキー加藤:新しいことに挑戦するのが楽しいんですよ。失敗することも多いけど、ハマったときの快感はすごいものがあるから。それに、同じような曲が並んでいたり、リード曲だけ特に完成度が高いような作品を作るのは嫌なんですよ。全曲が良いと思ってもらえる作品にしたい。今回の「希望のWooh」もそういうシングルにはできたかなと思うので、3曲をじっくり聴いてほしいです。

――さらに、9月26日に「希望のWooh」がリリースされた後、10月から年末にかけて行われるホール・ツアーも楽しみです。

ファンキー加藤:2018年のファンキー加藤は2月に八王子でワンマン・ライブをして、3月に『今日の詩』をリリースして、その直後からフリーライブ・ツアーに出て…というふうに、一度も物語が途切れていないんですよ。こういうことは例年にはないと思いながら、ずっと走り続けている。フリーライブ・ツアーはホール・ツアーの直前まで続けるつもりなので、トップ・スピードのままホールの初日に立てるだろうなというのがあって。今まではホール・ツアーの前はここまで詰め込んではいなかったんですけど、途切れないままいけるので、すごく楽しみです。

――加藤さん自身が、そういう流れを作られたということもポイントといえますね。ホール・ツアーの構想などもすでにありますか?

ファンキー加藤:今までどおり熱量のあるライブをして、皆さんをちゃんと巻き込みたい。最後列の方まで、しっかり見つめながら歌おうと思っています。あとは、いくつかチャレンジしてみようかなと思うことがありますね。たとえば、夏フェスとかに出演すると、やっぱり若いバンドは元気があります。そういうライブを見ていて、僕はバックトラックと鍵盤でライブをしているんですけど、曲間でスキットみたいなものを入れたりすることはできるなと思って。それに、僕は曲終わりにバンドで“ジャーン! ジャカジャカ…”とやって“ジャンッ!”と終わるというのを2~3回しかやったことがないんですよ。でも、やりたいなという気持ちがあって、そういうことが可能なのかをツアーまでに検証しようと思っています(笑)。あとは、全公演セットリストを替えるというのもやってみたいし、面白おかしい映像とかも活かしたい。そんなふうに、アイディアはいっぱいあるんです。僕の中では、ライブに来てくれた人が喜んでくれたり、笑ってくれたりすることが何物にも代えがたい幸せなんですよ。マジメ一辺倒というのは僕自身が疲れてしまうので、みんなで腹をかかえて笑ったりする場面があるライブをしたいですね。

――楽しみです。今年最後のライブは12月29日の仙台公演ですので、2018年は本当に走り抜けた1年になりますね。

ファンキー加藤:そう。仙台が終わったら、あと2日で今年は終わりという(笑)。でも、いい1年だなと思いますね。平成最後の年を全力で駆け抜けて、いい流れで来年につなげていきたい。もう、今年は行けるところまで行ってやろうと思っています。

取材・文●村上孝之


リリース情報

9thシングル 「希望のWooh」
9月26日(水) Release
■初回限定盤【CD+DVD】MUCD-9127/8 ¥1,667+税
■通常盤【CD】MUCD-5349 ¥1,000+税
<収録曲>
01.希望のWooh(テレビ朝日系「ワールドプロレスリング」8・9月ファイティングミュージック)
02.40
03.ラフソング
04.<初回限定盤特典>CBCラジオ「ナガオカ×スクランブル」×ファンキー加藤
【初回限定盤 DVD収録内容】
・「希望のWooh」VIDEO CLIP
・「希望のWooh」VIDEO CLIPメイキング映像
・KatoTube
[KatoTube収録内容]
1.ファンキー加藤、ギネス記録を更新!?
2.ファンキー加藤常識クイズ編
3.【ドッキリ】ファンキー加藤にレンガを投げつけてみた結果ww

ライブ・イベント情報

【LIVE/TOUR】全国3rdホールツアー「希望のWooh oh TOUR」
2018年10月13日(土) 埼玉 戸田市文化会館
[問]DISK GARAGE TEL : 050-5533-0888
2018年10月25日(木) 東京 中野サンプラザホール
[問]DISK GARAGE TEL : 050-5533-0888
2018年11月1日(木) 大阪 オリックス劇場
[問]キョードーインフォメーション TEL : 0570-200-888
2018年11月10日(土) 岡山 岡山市民会館
[問]夢番地 岡山 TEL : 086-231-3531
2018年11月17日(土) 福井 鯖江市文化センター
[問]キョードー北陸チケットセンター TEL : 025-245-5100
2018年11月28日(水) 愛知 名古屋国際会議場 センチュリーホール
[問]サンデーフォークプロモーション TEL : 052-320-9100
2018年12月7日(金) 北海道 札幌市教育文化会館(大ホール)
[問]マウントアライブ TEL : 011-623-5555
2018年12月21日(金) 福岡 福岡市民会館(大ホール)
[問]キョードー西日本 TEL : 092-714-0159
2018年12月23日(日) 香川 サンポートホール高松(大ホール)
[問]デューク高松 TEL : 087-822-2520
2018年12月29日(土) 宮城 仙台サンプラザホール
[問]キョードー東北 TEL : 022-217-7788

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