【インタビュー】グッド・シャーロット「このALの僕達は、若い野生馬に戻って走り回っている」

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■ ポップカルチャーに媚びたアルバムではないね

── なるほど。自己を見つめる時間や、感情を掘り下げていく時間が濃厚にあったことが伝わりますが、期間的にはどのくらいで制作していたんですか?

ベンジー:いや、あんまり時間はかからなかったよ。でも僕としては、これまで生きてきた40年間があったからできたアルバムだと言いたいね。今までの自分たちなら決して言えなかったようなことも、今度のアルバムでもちゃんと言えているし。まぁ、実際の制作にかかった時間は6週間くらいかな。

ジョエル:そうだね。

ベンジー:このアルバムで目指していたのは……とにかく僕の頭にずっとあったのは、さっきも言った野生の馬のイメージで、今回のアルバムでは、そのまだ若くて威勢のいい馬を再び見つけることができた。この馬は、とにかく全力疾走することしか頭になかった。なのにこの馬は捕らえられ、サーカスに連れて行かれ、みんなの前で芸をさせられた。ムチをふるい、叩いて脅して、ジャンプさせたり、速く走らせたり、いろんな芸をやらせていた。結局、馬の心は壊れてしまって、若いころの面影は形もなくなる。それがこのアルバムの前の僕たちだったと思う。でも僕たちはなんとか這い上がり、よろよろと立ち上がって、自分を守ることにした。そしてこのアルバムでの僕たちは、以前のはつらつとした若い馬に戻って走り回っている。そういうイメージが頭にあったので、このアルバムではとにかく自由に、何の制約もなく、心の内をすべてさらけ出すことにした。ごまかしは一切なしで、善し悪し関係なく、胸からあふれた感情をすべてそのまま形にしたんだ。そうやって、“野生の馬”の美しいイメージをこのアルバムに閉じ込めた。

ジョエル:ポップカルチャーに媚びたアルバムではないね。

ベンジー:そう、自分を表現する以外に、目的はひとつもないんだ。僕にとっては、健康を取り戻し、野に放たれた馬が自由に自分らしく走り回っている、そういうものだね。

▲アルバム『Generation Rx』

──今作のプロデューサーであるザック・セルヴィーニは、前作『Youth Authority』ではエンジニアを務めていましたが、今回プロデューサーとして起用したのはなぜだったのでしょうか。

ベンジー:このアルバムでは、リアルな自分たちらしさを出すことが何より大事だと思っていた。そのためにはプライベートな環境が必要で、よそから来た連中にスタジオで「これがいい」とか「ダメ」とか言われるようなことは絶対に避けたかったんだ。幸い、ザックとは前作ではエンジニアとして入ってもらって、いい関係ができていたから、いいパートナーになってくれると思った。自分でプロデュースするつもりだったんだけど、誰か一緒に、サウンド面でアイディアを出して、作業を手伝ってくれる人が必要だったからね。それに、ちょっと変わった存在感があるやつなんだ。スタジオにいても、誰もいないんじゃないか?っていうくらい気配を消せる一方で、誰かと相談したいなって思ったときはちゃんと相手になってくれる、っていう。

ジョエル:僕たちがオールドスクールなレコードメーカーだとすると、ザックはいまどきのレコードメーカーなんだよね。だから、昔と今で、いい組み合わせになってるんだと思う。

ベンジー:すごく若いからね。今、24歳くらいかな。ジョエルが言ったとおり、すごく今を感じさせるエンジニアで、僕たちは昔っぽいっていう、そこがいいんだよね。僕も自分ひとりでプロデュースできるとは思っていなくて、誰かコラボ相手が必要だった。信頼感があるから、どんな個人的なことでも、ザックの前なら遠慮なく言える。いいとか悪いとか意見することなく、わかってくれるやつだと信じているからね。

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