【レポート】B’z LIVE-GYMは、「ライブ」ではなく「ドキュメンタリー」

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B'zデビュー30周年を記念した大々的な全国ツアー<B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI->が、9月22日に千秋楽を迎えた。何があっても生き返り羽ばたく火の鳥=HINOTORIがステージの上で大きな羽を広げ、その上には見事な月が輝き、味の素スタジアムを見守っている。ときおり雲が流れ、自然が織りなす美しいバックグラウンドがステージを際立たせ、それはまるで30年の功績を称える天からのプレゼントのようにも見えた。

◆<B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI->画像

開演を待つオーディエンスから放たれる期待と喜びの熱量ははちきれんばかりで、場内アナウンスが流れただけで大きな拍手が湧き起こり、暗転する前からメンバーを呼び寄せる拍手が止まらない。ツアーファイナルとなったこの日を指折り数え、会場には5万人ものアドレナリンが大きなうねりを生み始めている。懸念されていた雨の不安もなくなり、会場は絶好のライブコンディションを迎え、SEが流れメンバー登場とともにライブが始まると、閃光を放ったようにオーディエンスのエネルギーが一気に放たれた。



「思うような声が出ない」という30年にして初めて体験するトラブルと遭遇する波乱のツアーだったことは、多くのファンが知っていたことでもあり、そのおぼつかないコンディションを補って余りある「誠実さ」と「高きプロ意識」で応えたB'zの真の姿が、まだ見ぬ新たな感動と大いなる歓喜を呼び起こしたことも、伝え聞いている。

つまりは、会場に集まったほとんどのファンは見る前からわかっていたのだ。<B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI->は「ライブ」ではなく「ドキュメンタリー」なのだということを。

そしてそれは味の素スタジアムでも、現実のものとなった。「ライブ」とは文字通り「生き様」であり、30年を生き続け今後も変わらず邁進し続けるようとする2人の魂を感じる場でもある。それは巨大なグルーヴであり、オーディエンスとの心の交流でもあり、B'zを好きでよかったと思える喜びを幾度となく感じられる、オーディエンスひとりひとりが主役のドキュメンタリーなのだ。


もちろん見どころは満載で、例を上げれば枚挙に暇がない。いきなり1曲目から「ultra soul」をぶちかました最強のスタートダッシュ、「裸足の女神」「Wonderful Opportunity」などでみせた過去のライブ映像とのシンクロや、みんなで振り付けをあわせハンドクラップで音楽と一体化する、久しぶりの「恋心(KOI-GOKORO)」の屈託なき楽しさ、ふたりの巨大なバルーン人形、「LOVE PHANTOM」でみせた稲葉浩志のドラキュラ伯爵コスチュームに巨大トラスステージからの伝説のダイブ再現、そしてなにより「LOVE PHANTOM」の続編として生を受けた新曲「HINOTORI」の初公開、そのときに映し出された、まるで火の鳥になったような真っ赤な炎に浮かぶ稲葉浩志の姿。そしてレーザー光を放つ松本孝弘のKiller KG-PRIME。



まだまだ見どころは尽きない。「ALONE」では稲葉浩志によるピアノ弾き語りが披露され、「Real Thing Shakes」からメドレーで演奏された「juice」では20個の巨大な缶ジュース・バルーンが会場を踊り舞い、「Pleasure 2018 ~人生の快楽~」では新しく書き直された歌詞を楽しむことができた。「ギリギリchop」ではみんなでタオルを回し、様々な曲で20年もの紛失事件から無事現場に復帰したミュージックマンEVHシグネチュアのサウンドも聞けたし、終演時に打ち上げられた花火も感動の余韻をさらにドラマティックなものにしてくれた。

しかし、なにより一番の見所だったのは、アンコール時にアリーナの中に突如現れた、小さなステージに立ったふたりの姿だったのではないか。飾りっ気のない小さくシンプルな四角いステージだが、機能美にあふれており、まるで30年前にB'zが登場したときの「ソリッドでシンプルな2人の精神性」を表現しているようだった。そして同時に、2018年9月22日をもって31年目に突入したB'zがいつまでも初心を忘れないことを高らかに宣言するセットにも見えた。


彼らは自らの足でアリーナに降り立ち、大歓声にもまれながらフロアを歩いてこの小さなステージの上に立った。キャナリーイエローのバッキングだけという弾き語りアレンジで稲葉浩志は「Brotherhood」を歌い、図らずもオーディエンスがコーラスを担う形で魂の交流が生まれ、会場全体がごく自然に一体化した。その場にいたひとりひとりがB'zのメンバーになる瞬間が何度も何度も訪れ、シナリオなきドラマが純粋な感動を会場いっぱいに満たした。

最後に演奏された「RUN」では、彼らの歴史の軌跡となる様々な映像をバックに、松本孝弘がギターソロを弾き続けた。フラッシュバックするような映像と最新のサウンドが渾然一体となった彼らのパフォーマンスは、B'z30年の思いとその生き様が深く強く刻まれているドキュメントそのものを言い表しているようだった。それは、まるで日本のロックの歴史をそのまま体現するステージでもあり、2人というユニット形式がロックバンドを全うできることを明かした功績の証でもあり、Jロックの熟成を身をもって証明してみせたひとときとなった。


最後に「最高のプレジャー、たっぷりいただきました。どうもありがとう」と叫んだ稲葉浩志だったが、オーディエンスたちは会場が揺れんばかりの歓声で、感動と感謝の思いを表した。心から湧き出る叫びは「“ありがとう”はこっちのセリフだよ」という、本当のコールアンドレスポンスだ。



「国民的バンド」といった軽々しい表現ではなく、30年の時を経て日本人が生んだ日本のロックエンターテイメントの完成形を堂々と見せつけたこの日の味の素スタジアムだったが、そんな彼らはその立ち位置に甘んじることなく、すでに31年目のスタートを切っている。B'zとオーディエンスをつなぐ信頼の強さ/お互いのリスペクトこそが、B'zを前進させる最大の推進力であることを、強く強く印象づけるものであった。

取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也


<B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI->

2018年9月22日@味の素スタジアム
1.ultra soul
2.BLOWIN'
3.ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~
4.裸足の女神
5.Wonderful Opportunity
6.光芒
7.月光
8.恋心(KOI-GOKORO)
9. OH! GIRL
10.イチブトゼンブ
11.ねがい
12.星に願いを(TAKソロ)~ALONE
13.LOVE PHANTOM~HINOTORI~LOVE PHANTOM
14.Real Thing Shakes~juice
15.BAD COMMUNICATION
16.Pleasure 2018 ~人生の快楽~
E1.Brotherhood
E2.ギリギリchop
E3.RUN
エンディングSE:ひとりじゃないから -Theme of LIVE-GYM- ~ いつかまたここで

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