【インタビュー】インターヴァルス「ギターで会話するような表現をしたい」

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カナダ出身、プログレッシブ・ギターインストの最重要人物と名高いアーロン・マーシャルによるプロジェクト、インターヴァルスの初来日が実現した。

◆インターヴァルス動画&画像

これまでEP2枚、アルバム1枚をリリースしていたが、最新アルバム『The Way Forward』でついに日本デビューを果たし、今回実現となった来日公演は、ギタークリニックをもともなう初来日となったものだ。新世代ギタリストとも言われているアーロン・マーシャルに、話を聞いた。


──初来日の日本のステージはいかがでしたか?

アーロン:日本は世界一カッコいい場所だよ。とてもエキサイティングで大阪も東京も最高、素晴らしい経験ができた。東京はエネルギーが凄く溢れていてお客さんも生き生きしてたね。大阪はもう少し小さな会場だったけど、どちらも素晴らしかった。

──ギタークリニックも行われましたが、そちらはいかがでしたか?

アーロン:各公演の前に行ったんだけど、とても楽しかった。日本のギターキッズは的を射た質問が多いと思ったよ。言葉の問題もあるから質問も大変だったと思うんだけど、ギターの正しいところに注目していて僕の方が唸るような感じだった。とても情熱を持っている事がわかったし、それは僕も同じだから、通ずるものを感じられた。



──若い世代のファンが多かったようですが、アメリカでもそうですか?

アーロン:16歳から28歳くらいのファンが多いかな。まれに40代も見るけど、これはアメリカでも同じだよ。

──若い世代はギターに興味を持っていますか?

アーロン:うん、若い世代もギターは好きだし、彼らにとってとても良い時期だと思っているよ。僕も若い成長期に色々なものを聴いて吸収できたし、脳が吸収しやすい時期だよね。僕らのやっている音楽にとっても、若い世代に聴いてもらえる事はとても重要だよね。

──アーロンはどんな音楽から聴き始めたのですか?


アーロン:実は昨日のギタークリニックで初めて明かした事なんだけど、子供の頃は野球やホッケーをやっていてスポーツの試合もよく観に行っていたんだ。その後、父親が転職してあまり時間が取れなくなり、スポーツの試合にも連れて行って貰えなくなってしまった。そしたら母親がそれならとダンス教室に僕を入れてさ(笑)、そのダンスの時にかかっていた音楽で、自分は音楽に興味があるんだと気付いたんだよ。それとダンスって振り付けやパターン、筋肉の動きなんかも覚えないといけない事がたくさんあって、実はそれも今とても役立っているんだよね。ダンスも好きだったけど、音楽への情熱が優ってしまって今の自分があるし、作る音楽にも反映されているよ。

──日本デビューアルバム『The Way Forward』を聴いて、まず浮かんだのがグレッグ・ハウでした。お好きですか?

アーロン:ワーオ、凄い褒め言葉だよ、凄く大好きなギタリストなんだ。このアルバムだけでなく、ずっと影響を受けて来たし、彼の楽曲はメロディックで叙情的で華やかだよね。複雑でトリッキーでもあるんだけど音楽の根本的なところはしっかりとしていて、とても憧れたギタリストだよ。グレッグ・ハウ以外にはイタリアのマルコ・スフォグリとガスリー・ゴーヴァンにも多大なる影響を受けたな。ガスリーは史上最高のギタリストだとも思うしね。

──『The Way Forward』は多彩な音楽性のアルバムですが、特に意識した点などは?



アーロン:若い頃に聴いていたポップ・パンクのブリング182とかマイ・ケミカル・ロマンス、AFI、アンタイ・フラッグ、L.A.のストラング・アウトあたりの影響もある。サウンド的には、キーボードのテクスチャーとして1980年代や1990年代のゲーム音楽の要素も採り入れているんだ。僕が影響を受けたギタリストと聴いてきた音楽と、あとアルバムのアートワークでひとつの世界を表現したよ。自分が生まれた頃の1980年代後半から1990年代前半のカルチャーも含めて網羅したような内容にしたかったんだ。そうそう、僕も父も母も10月生まれの一人っ子なので家族全員が天秤座なんだよ。「Libra」という曲はその意味さ、アルバムのアートワークにも天秤座がチラホラと書かれているし、表と裏に色々なヴィジュアルヒントが隠れているから聴きながら宝探しのように楽しんでみて。

──全編インストですが、楽曲はどのようにして生まれるのでしょうか。

アーロン:ギターはいつから始めたか忘れたくらい前だけど、作曲を始めたのはこの10年くらいなんだ。まだパターンや方程式があるわけではなくて流動的なんだけど、自分でジャムをしながらアイディアを出して、鳥肌が立ったり首の毛が逆立ったりした時の直感を大切にしている。その直感と自分の音楽理論を組み合わせて作って行くんだ、あれこれ頭の中でもかき混ぜて焦点が決まって行く感じかな。

──サステインが減少しても、とてもエモーショナルなギターを感じさせますよね。


アーロン:凄く興味深い観点だね、そういう耳を持っていて素晴らしいよ。意識してたわけじゃないから言われてみてハッと気付いたけど、作曲して感じたものがこうなったんだろうとは思う。さっき言っていた80年代から90年代のゲーム音楽は短めのスタッカート的な音が多いからかもしれない、それが僕にとって気持ちの良い音だったんだろうね。

──音幅がとても広いのも特徴的ですね。

アーロン:インストだからギターをヴォーカルのように聴かせる事とか、ギターをギターらしく聴かせるところ、でもギターで限定されてしまう部分もあるからその分は自分がクリエイティブにならなくてはいけないよね。そういう事を考えて制作しているよ。

──チョーキングもあまりされませんか?

アーロン:一応やってはいるよ。テクニックの事も考えてはいるんだけど、僕の場合はテクニックを見せびらかしてドヤ顔するみたいのではなくて(笑)、ギターで会話するような表現をしたいんだ。囁いているような表現やトーンの使い方もテクニックのひとつとして考えているんだ。見せびらかすより、手段のひとつなんだよね。

──"新世代"ギタリストと言われる事についてはどう感じてますか?

アーロン:凄く嬉しいし素晴らしい事だけど、僕はどちらかと言うとギターよりもソングライターやコンポーザーとして楽曲そのものを考えているんだ。ギターが上手くなって一番になりたいとか、人間離れした音を出したいとか思ってしまうと、楽器に興味がなくなってしまう気がするんだよね。家事のようにやらなくてはならない事となってしまうと…ね。僕は音楽自体に情熱を持っていて、ギターは自分のやりたい作曲を可能にしてくれるものの手段かな。

──G3やG5のようなイベントにはあまりご興味はないですか?


アーロン:呼ばれたら行くよ(笑)。そうなったら怖気付くかもしれないな。僕らはギターの演奏だけでなくて、全ての楽器を含めた作曲や全体的なプロデュースにも誇りを持っている。昔は、サウンドはBGMのようでもギターさえ良ければ喜ばれたんだけど、今の僕らのような音楽ファンはとても耳が肥えているから大変なんだ。便利な機械も色々あるからそれらを駆使するし、全体的に良くなければいけないし先も見据えたものじゃないとね。

──アメリカの音楽シーンでは、こういう新世代ギタリストの音楽が頭角を現してますか?

アーロン:そうだね、インターヴァルスとして音楽を作り始めた2010~2011年頃は、まだそう広がってはいなかったけど、それが2014年以降は手応えを感じ始めて、とてもコアに熱意を持ったファンが増えたよ。インストだからメジャーなメタルバンドほどではないけど、ニッチなカルト的な人気を得た。アジアのファンも増えたよ。

──今後もインストにこだわりますか?

アーロン:1st EPの頃はまだ決めかねていたし、2nd EPの頃に、ようやくこの手の音楽に手応えを感じてきた。僕はインターヴァルスに対して、インストが情熱を感じられてワクワクできるものだというヴィジョンが見えてきていたけれど、当時のバンドメンバーはまだヴォーカルにこだわっていたんだ。そんな事もあって、慎重に考えを重ねた結果、1stフルアルバム『A Voice Within』はヴォーカル入りでできた。このアルバムのおかげで、自分がモダンなメロディックサウンドを書ける事がわかったけど、でもまだ理想の形ではなかった。セールス的にも上手くはいかなかった。もちろんヴォーカル入りの音楽が嫌いなわけでもなく、他のシンガーとのコラボなどはやりたいと思っているけれど、インターヴァルスは今後もインストになると思う。

──今後のスケジュールは?


アーロン:この後はオーストラリアとニュージーランドへ行って、一旦帰国する。僕の誕生日の10月6日までには時差ボケが治っているといいな(笑)。それから1ヶ月オフの後、年内は北米ツアー、来年はまたEPをリリースするので曲作りを始めて、1月は恒例のNAMMショウ、2月はメキシコ。その後はおそらく北米とヨーロッパへ行くんじゃないかな?日本もできるだけ早く戻って来たいね。プライベートでももっと日本を知りたいんだ。

──日本のファンへメッセージを。

アーロン:ライブに来てくれたみんな、どうもありがとう。そしてアルバムを楽しんで欲しい。日本でもこうしてアルバムがリリースできた事を本当に感謝しているよ、もっとこういう機会を得たいね。日本のカルチャーも大好きだし、ファンのみんなの応援もとても力になっています、本当にありがとう。

取材・文:Sweeet Rock / Aki
写真:Kayoko Yamamoto

<INTERVALS ~ The Way Forward Japan Tour 2018 ~>

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